バースのファン、カントリー・ロックのファン、果てはストーンズのファンにも一目おかれるグラム・パーソンズ。ロック・シーンに「保守派の音楽」と嫌われたカントリーを持ち込んだその功績はさておき、泣きたくなるほどメローなこの曲は、25年以上経った今もその魅力を失っていない。ただ、この人の評価はそれほどのものか? と思うこともないわけではない。「ロデオの恋人」がバースの最高傑作とは思わないし、残されたアルバムも名盤、というのとはちょっと違う、と思っている。これは少数意見なんだろうか? ただ楽曲だけをとれば、名曲が少なくない人であることも確かなのだが。
バーズ脱退後に発表したセカンド・アルバム「Grievious Angel」(74年)に収められた「Brass Buttons」は、ファースト「GP」(73年)の「She」などに通じるバラード曲。印象的なピアノのイントロと、アクセントとなるスティールギターのリフ、決してうまいとはいえないグラム(バース組ではジーン・パーソンズというメンバーもいるので、ここではグラムと表記する)のボーカル……。あらためて聴いてみて、やっぱりカントリー・バラードは演歌なんだな、と実感する。彼のソロは、いまさらロックのビートを強調したり、ロック的なアプローチ(たとえばポコなどに見られる)をしているわけではない。だからアルバム自体は純然たるカントリー・アルバムのイメージが強い。当時は「髪の長いヤツがカントリーをやっている」だけで、充分革新的なことだったのだ。アルバム・ガイドならその辺の事情が重要になってくるのだが、「泣ける選曲」では、この曲の魅力だけにポイントを絞ろう。
「真鍮のボタン、緑の絹、銀の靴」……と、状況を淡々と描写するイントロ。「彼女の言葉はいまも頭の中を踊り、彼女の髪の毛はいまもベッドの上に」……と、いなくなった彼女の思いにひたる展開。韻を踏んだ歌詞も最近のロックでは重要視されないパターンで、これも新鮮に聴こえる。コットンランドから出てきたひとりの女性を描写した前作の「She」に比べても、どんどんカントリーの文法へと戻っているのが面白い。
どちらも名盤の誉れ高いのに、リアルタイムではまったく売れなかった。それが原因でドラッグに走り(手助けをしたのがストーンズのキース・リチャードだという説もある)、結局それが原因で73年の9月19日に死去。死後発表されたフォーリン・エンジェルズ(彼のバンド、エミールー・ハリスもいた)でのグラムの声は、明らかに調子が悪そうだ。
バースのメンバーのなかでもグラムはとりたてて評価が高い。ハードコアなファンも多く、死後数々のコンピュレーション盤が発売されている。でも、そのほとんどはグラムが在籍したインターナショナル・サブマリン・バンドやフライング・ブリトー・ブラザースからの寄せ集めだし、その曲も「初期のカントリーロック」という資料価値以上のものは少ないように思う。同様に、グラムのソロ2枚でも、もろカントリーの曲はカントリーのファンでもなければ聴き飛ばしてしまうのではないだろうか? 30年の時代の流れとは、そんなものなのだろうか。しかし名曲は名曲。この1曲のためにアルバムを買うのは、決して損なことではないと思う。
「Brass Buttons」は73年のアルバム「Crazy Eyes」でポコがカバーしている他、90年にレモンヘッズがアルバム「Lovey」でも取り上げている。偶然買ったジョニー・リバースの「 」にもこの曲はカバーされていたが、どうもGPの印象が強すぎるせいか、情けない声でないとあの情感は伝わりにくい気がするのは自分だけか?
バーズ脱退後に発表したセカンド・アルバム「Grievious Angel」(74年)に収められた「Brass Buttons」は、ファースト「GP」(73年)の「She」などに通じるバラード曲。印象的なピアノのイントロと、アクセントとなるスティールギターのリフ、決してうまいとはいえないグラム(バース組ではジーン・パーソンズというメンバーもいるので、ここではグラムと表記する)のボーカル……。あらためて聴いてみて、やっぱりカントリー・バラードは演歌なんだな、と実感する。彼のソロは、いまさらロックのビートを強調したり、ロック的なアプローチ(たとえばポコなどに見られる)をしているわけではない。だからアルバム自体は純然たるカントリー・アルバムのイメージが強い。当時は「髪の長いヤツがカントリーをやっている」だけで、充分革新的なことだったのだ。アルバム・ガイドならその辺の事情が重要になってくるのだが、「泣ける選曲」では、この曲の魅力だけにポイントを絞ろう。
「真鍮のボタン、緑の絹、銀の靴」……と、状況を淡々と描写するイントロ。「彼女の言葉はいまも頭の中を踊り、彼女の髪の毛はいまもベッドの上に」……と、いなくなった彼女の思いにひたる展開。韻を踏んだ歌詞も最近のロックでは重要視されないパターンで、これも新鮮に聴こえる。コットンランドから出てきたひとりの女性を描写した前作の「She」に比べても、どんどんカントリーの文法へと戻っているのが面白い。
どちらも名盤の誉れ高いのに、リアルタイムではまったく売れなかった。それが原因でドラッグに走り(手助けをしたのがストーンズのキース・リチャードだという説もある)、結局それが原因で73年の9月19日に死去。死後発表されたフォーリン・エンジェルズ(彼のバンド、エミールー・ハリスもいた)でのグラムの声は、明らかに調子が悪そうだ。
バースのメンバーのなかでもグラムはとりたてて評価が高い。ハードコアなファンも多く、死後数々のコンピュレーション盤が発売されている。でも、そのほとんどはグラムが在籍したインターナショナル・サブマリン・バンドやフライング・ブリトー・ブラザースからの寄せ集めだし、その曲も「初期のカントリーロック」という資料価値以上のものは少ないように思う。同様に、グラムのソロ2枚でも、もろカントリーの曲はカントリーのファンでもなければ聴き飛ばしてしまうのではないだろうか? 30年の時代の流れとは、そんなものなのだろうか。しかし名曲は名曲。この1曲のためにアルバムを買うのは、決して損なことではないと思う。
「Brass Buttons」は73年のアルバム「Crazy Eyes」でポコがカバーしている他、90年にレモンヘッズがアルバム「Lovey」でも取り上げている。偶然買ったジョニー・リバースの「 」にもこの曲はカバーされていたが、どうもGPの印象が強すぎるせいか、情けない声でないとあの情感は伝わりにくい気がするのは自分だけか?