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【ヴァギナ・デンタータ】

瞼を閉じれば見えてくるものこそ本当の世界――と、信じたい私は四六時中夢の中へ。

化石村

2007年01月21日 21時59分00秒 | テクスト

--------------------------------------------------------------------------------------Text written by man-ju*[kaseki-mura]

 隣村は石油を掘り当てたが、こちらでは化石が出土した。十歳前後の少女ばかり何体も。状態は実に良好で、閉じた睫毛の一本々々から唇の縦皺に至るまで克明に保存されている。村の男たちは色めき立ち、今や誰もがこの化石の少女群を掘りだすことに夢中になっている。廃れた村も石油を掘り当てれば金が廻る隣村に遅れをとるなと村の会議でついこのあいだまで口角泡を飛ばし合っていたことはすでに忘れているらしい。そのあと開かれた会議では、少女群の出土は口外法度ということですんなり意見はまとまった。女たちは冷笑した。
 村長などは少女群の発掘にことに熱心で、経験と熟練度を誇示して乳首と性器のまわりばかり掘りたがる。
 切り崩した一部では少女が土とともに年代別の層になっているのを見ることが出来る。一人として似通った少女は居ない、けれどもどの少女も同じようにいとけない。女たちは誰もがそれを家事の傍らやはり冷ややかに眺めやりながら、いつか一人くらい少年が出土しやしないかとほんのり期待しているらしい。

[fukujyou-ni-shisu]*(2006. ××. ××)------------------------------------------------------------------------------------

ページの向こうに

2006年10月08日 00時12分15秒 | テクスト

------------------------------------------------------------------------------Text written by man-ju*[page-no-mukouni]

 フローリングは窓越しの陽射しを受けて温かい。お尻をつけて坐りこみ爪を切る。跣の両足で開いた本を押さえ。蹠に乾いた紙の感触。指の形に沿って爪切りを動かしてゆくと、弓形に切られた爪がぽつんとページのあいだに落ちる。一枚爪を切るたびわたしはページをめくる。
 ふいに名前を呼ばれて顔を上げた。彼だ。爪を切っているの。ううん。本を読んでいるの。ううん。
 それきり彼は困った顔をして黙りこんだ。本当に訊いてほしいことを彼は訊かない。わたしもまた黙りこみ、爪を切る作業を再開した。一枚切る、ページをめくる。切る、めくる。切る。めくる。切る。彼の視線はずっと、うな垂れた頸筋に感じている。
 すべての爪を切り終えればわたしは本を閉じ彼の前に立つ。明日仕事に行く電車のなかで読んでみて。とても面白い本だから。わたしは猫撫で声で本を彼の胸に押しつける。あいだに挟まった爪がページを貫きちくりと彼の胸をも貫く、そんな妄想を抱く。そう、それは本当に莫迦げた妄想だ。けれどもたしかに彼は痛みをこらえて顔をしかめた。

[fukujyou-ni-shisu]*(2006. 09. ××)------------------------------------------------------------------------------------

紅茶泥棒

2006年09月06日 00時54分30秒 | テクスト

---------------------------------------------------------------------------Text written by man-ju*[koucya-dorobou]

 午后三時。青年がとんがり帽子をちょいと曲げ、ぴかぴか銀色に輝く上等の笛を吹くと紅茶たちはテーブルの上のポットからいっせいに飛びだし、アッサムは兎になりセイロンは小鳥になりダージリンは鼠になって青年の笛のもと目指して町なかを一目散に駆けてゆく。
 たぷぴとぽつん。
 青年の横では小さな痩せた子供たちが長い長い列になっていて、木の幹をくり貫いて手ずから作ったさまざまのカップをしっかり両手でくるんで持っている。駆けてきた紅茶たちは子供たちのカップ目掛けて次々飛びこむ、たぷぴとぽつん、飛びこむと同時にきらきら輝くおいしい紅茶に戻ってしまう。
 青年はとんがり帽子をちょいと正し、ポケットからとっときのバタークッキーを取りだして振る舞い、子供たちはみんな笑顔になって、がやがやと愉しいひとときのティータイムを過ごす。

[fukujyou-ni-shisu]*(2006. 08. 30)------------------------------------------------------------------------------------

子を運ぶ

2006年09月02日 01時03分15秒 | テクスト

-------------------------------------------------------------------------------Text written by man-ju*[ko-wo-hakobu]

 妻を連れ、暖かな国へ向かう船へと乗りこむ。何時の出港ですかと問うと午后一時ですとの返事。まだ少し余裕があったので、私は一度船を降り妻のために水気の多い果物を買ってきた。妻は旨そうに赤やら黄色やらの果実を口に含む。身重の妻に船旅は少し酷だろうかと、色のない唇の端を伝う甘い汁を眺めながら思う。
 腹の子は私の子ではない。かといって妻の姦通のあったわけでもない。なぜならば妻の性器は先天的に閉じており、性交渉を行うこと自体不可能なので。月のものもない。言ってみれば妻は清廉な処女であり、少女だった。
 神の子だろうと私たちは微笑み合った。妻の笑顔はこの上なく奇麗だった。私は妻を愛している。
 暖かな場所へ行かなければならないわと妻は言った。身籠って九箇月目、そろそろ臨月を迎えた頃だ。ああそうだろうねと私は答えた。何となく私にも判っていた。そこには何百年も前から根づいている大木があり、ちょうど人が一人横たわれるだけのうろがあることも。汽笛が鳴り、いよいよ船は港を離れた。神の子が正しい場所で生まれ落ちることを信じ、私たちは固く手を握り合う。

[fukujyou-ni-shisu]*(2006. 08. 30)------------------------------------------------------------------------------------

絶対解

2006年07月12日 22時44分31秒 | テクスト

----------------------------------------------------------------------------------------Text written by man-ju*[zettai-kai]

 娘たちはみな裸で、左右どちらかの小陰唇に焼き鏝で数字を刻まれている。窓のない四角い部屋に何人もいっぺんに押しこめられ、体を堅く閉じ蹲っている。互いの呼吸は近く、触れ合った肌は汗ばむほどなのに震えはやまない。裸電球に飛びこんだ虫が落ちて死ぬ。
 その男には揺るぎない地位と財力があり、誰も知らない秘められた館で娘たちを代わる代わるいたぶることを享楽としていた。娘たちは男を満足させられればその日一日を無事にやり過ごし少ない飯にありつくことが出来たし、そうでなければその場で命を落とす。
 娘たちはかつてにぎやかな町で愛され、育った。親がありきょうだいがあり恋人があり、鮮やかな日々があった。今や娘たちには死のにおいの色濃い澱んだ日々しかない。
 一日の終わり、薄べったい毛布にくるまりながら娘たちは繰り返し同じ夢を見る。いつか、愛した男が自分を救いだしてくれること。顔立ちも年齢もさまざまだろう、故郷も生い立ちもさまざまだろう。ただひとつたしかなのは、どの男も、娘を守り抜くための逞しい腕を持っている。

[fukujyou-ni-shisu]*(2006. 07. ××)------------------------------------------------------------------------------------

栗の花の宣告

2006年07月10日 20時39分27秒 | テクスト

------------------------------------------------------------------Text written by man-ju*[kurinohana-no-senkoku]

 清美さんは花咲き誇る庭にしゃがみこみ、いずこかから列をなしてくぐり戸を抜けてくる蟻を正確に一匹ずつ潰してゆく。清美さんの指尖は潰した蟻の色に染まっている。はだけた浴衣の裾から白く張った腿が覗く。
 僕は縁側で胡坐を掻き、団扇を片手に清美さんの耽る残虐な遊びを観察している。
「甘い果実などどこにもないのに、なぜ蟻どもはそうやって列をなしてこの家へやって来るのだろうね」
 蹠が汗で湿っぽい。跣の足は埃をたくさんつけていた。手で払う。ざらざらした。
「何かの花のにおいをお菓子と間違えてでもいるんでしょう」
 清美さんは蟻を潰すことをやめず、僕のほうを見ようともしない。蟻の潰れる手ひどい音が僕の耳を侵す。ぷつぷつと、まるで葡萄を潰しているみたいだ。くぐり戸の前はそんなふうにして清美さんに潰された蟻で黒々と禍々しかった。僕は清美さんの白く張った腿を見た。
「……そうやって全部を殺してしまうつもりかい」
 胡坐を組んでいた脚を崩して団扇を下腹部に押し当てる。熱っぽかった。
 清美さんは鼻で嗤った。
「這入ってくるのが悪いんじゃない、ここはうちの庭なのに。どうせこれっぽっちの蟻を殺したってどうともなりゃしない」
 死んだ蟻の山はどんどんとうずたかくなる。
「世界じゅうのどこかにね、」
 手を休めないまま清美さんは言う。
「うん」
「檸檬みたいに酸っぱい味をした蟻が居るんだって」
「へえ。面白いね」
「あんた、ちょっとこの蟻を食べてみる気はない? いったいどんな味がするか」
「厭だよ」僕は頸を振る。「甘い味がするのならまだしも」
「甘ぁい果実」
「そう、甘ぁい果実。南国の。剥くと白く張った果実がみずみずしいね」
「私みたいな」
「そう、清美さんみたいな」
「でしょうねえ」
 僕はいよいよきつく団扇を下腹部に押し当て、清美さんは高らかに笑い、はだけた浴衣の裾から覗く腿を震わせぷつぷつと蟻を潰し続ける。

[fukujyou-ni-shisu]*(2006. 05. ××)------------------------------------------------------------------------------------

緑の傘

2006年07月09日 21時16分14秒 | テクスト

---------------------------------------------------------------------------------Text written by man-ju*[midori-no-kasa]

 追いかけっこに疲れたのであっくんと一緒に木蔭で休む。ぬしさまと呼んでいるその木は、あっくんと二人、向こうとこちらで手を繋ぎ合ってわっかをつくろうにも抱えきれないほど太くて大きい。葉っぱは緑色が濃くて奇麗だ。幹は特別ひいやりとしている。
 ぬしさまの下は静かで涼しい。
 追いかけっこの途中で、あっくんとキスをした。瞼を閉じたら陽射しに射られた。上瞼と下瞼が合わさった瞬間、じゅッと熱がはじけた。重ねた唇にも電流が走ったみたいになって、びっくりした私たちは慌てて体を離した。きまり悪さをごまかすように力いっぱい追いかけ合った。
 並べた膝が触れ合ったから、ぬしさまの下で、もう一度キスをした。最初はおずおずと、それからひしひしと。
 ぬしさまの下は静かで涼しい、閉じた瞼に熱ははじけない。唇の温度は嘘みたいに心地よかった。うっすりと目を開けると、触れ合った膝にぬしさまの影。

[fukujyou-ni-shisu]*(2006. 07. ××)------------------------------------------------------------------------------------

みぎひだり

2006年06月29日 14時42分42秒 | テクスト

------------------------------------------------------------------------------------Text written by man-ju*[migi-hidari]

 海陸の境界線に向かい合わせに立つ。わたしの右足とあなたの左足は罅ぜた砂の上に、あなたの右足とわたしの左足は冷えた水のなかへ浸す。わたしたちは長いことそうやって立ち続ける。会話は交わさない。陽は沈みまた昇り、月は輝きまた密やかに白く身をひそめてゆく。立ちはじめてからどれくらい経ったのかは、もう、忘れてしまっている。おそらく重要でもない。しだいにわたしの右側とあなたの左側は乾き、あなたの右側とわたしの左側は湿ってくる。足許から。
 あるとき、本当に唐突に、額の真ん中がしくしくと痛みだす。それは胸のあいだを通り、臍を抜けて陰部を貫く。境界線はとうとうそっくりそのままわたしたちの体表に写し取られる。
 するとわたしたちはどちらからともなく歩み寄る。慎重に。そっ、と、膚を触れ合う。乾いた半身は互いの湿った半身に吸い寄せられ、湿った半身はあますところなく乾いた半身を摘み取ってゆく。わたしたちはそれぞれに孵化し、わたしとあなたと、あなたとわたしになる。

[fukujyou-ni-shisu]*(2006. 06. ××)------------------------------------------------------------------------------------

空気の悪い部屋

2006年05月10日 02時02分01秒 | テクスト

-----------------------------------------------------------------------Text written by man-ju*[kuuki-no-warui-heya]

 声を失ってからの彼は、私以外の人とはめったに交流しようとはしなかった。2LDKのアパートから外に出ることさえない。ソファの脇に飾られたドラセナの鉢の横が、唯一彼の安息の場所だった。
 彼は、しじゅう何かにおびえて見えた。苦しそうに見えもした。息遣いが不規則で、一人きりになることをひどく嫌うようになっていた。以前ならばとても考えられないことだった。私を置いてどこかへ行ってしまうことさえあれ、今のように私を捜して部屋じゅうを歩き廻ることなどなかった。私が呼べばすぐに傍まで駆けてくるようになった彼は、不安定で、いつか壊れてしまうのではないかという懸念をいつも私に抱かせた。
 ドラセナの鉢の横で丸くなって眠るときだけは、おびえた様子も苦しげな息遣いも消えてなくなる。夢の中までは彼を脅かす何かも追い駆けてゆくことはないのだと思うと、私も少しだけ安堵することが出来た。眠っている間であれば、彼は夢の中の出来事に柔らかく微笑むことすらあったのだ。
 金色に光る産毛と無防備な盆の窪を眺めながら、まるで仔犬のようだと私は思う。声を失う前よりも、声を失ったあとの彼のほうが素直に感情を表に出すようになったようだ。彼が私だけを頼りにしている証拠なのだと思うと、人知れず胸が躍った。私にとって、彼に替えられるほどいとおしい存在はほかになかった。
 細く柔らかいゆえにすぐに縺れてしまう髪の毛に手櫛を入れてやりながら、彼の横で一緒になってまどろむのが私は好きだ。彼は平熱が高い。ぴったりと寄り添うと心地よいくらいの温かさだった。どんなに眠れぬ夜だったにしても、彼の体温を感じながら髪の毛を梳いてやっていると、自然気持ちよく眠りに落ちることが出来る。
 私は毎朝、彼に耳を舐められて目を覚ます。私よりも先に眠る彼は、私よりも先に起きてくる。彼の濡れた舌はじんと熱いけれども、次第にしんと冷えてくる。舐められた箇所から広がる快感を棄てたくなくて、私はしばらく毛布をからげてじっとしている。時計の秒針が円を描ききってきっかり一周すれば、彼はもう一度私を起こすために耳を舐めてくるはずだ。私はそれを待っている。
「おはよう、朝だね」
 何より先に、私は彼の柔らかな髪を梳く。彼は今度はその手を舐める。先程とは異なる舌遣いは、おはようの挨拶だ。
 彼は、失った声の代わりに舌を使って会話する。それは、たしかに会話だった。私は彼の微妙な舌遣いの違いを的確に感じ分けることが出来たし、それによって彼が何を訴えたいのかもすぐに知れた。
 たとえば、おはようの挨拶は舌先だけを使って後ろから前に向かって舐めるのに対して、おやすみならば前から後ろにつつくようにする。だからこそ、私はなおさら彼を仔犬のようだと錯覚した。
 彼は私に全幅の信頼を寄せていた。何かにつけて私のあとを従いてくる彼を、私は、哀願して愛玩して手放さなかった。お手もお代わりも、愛嬌たっぷりのおねだりさえ得意な彼だった。
 私はせっせと彼の世話に勤しんだ。
 三度の食事。散髪。歯磨き。爪切り。足の指の隙間を洗うこと。彼もべつだん不平は洩らさず、私のなすがままだった。
 私は彼のためにと仕事を変え、出来るだけ彼と一緒に居られるよう取り計らった。ちょっと目を離した隙に何かあってはならないと、手取り足取り世話を焼き、一から十まで干渉するようになっていった。
「あなたの耳の形が好きだから、横の髪の毛は少し短めに切りましょう」
「歯磨き粉は甘い味付けがいいでしょう。刺激のあんまり強すぎるのは、君の大切な舌を痛めてしまいそうだから」
「お前には青が似合うと思って新しい服を買ってきたの。今のを脱いでちょっとこっちを着てみてよ」
 彼が私のものであると思えば思うほど、私は彼を溺愛した。そうして彼をねじ伏せることに腐心した。
 だから私は、彼がいつか壊れてしまうのではないかとしじゅう懸念していたことを、つい忘れてしまったのだ。苦しそうな息遣いを。
 ある朝、私はいつもと違う強烈な痛みを覚えて目を覚ました。何が起こったのか、すぐには判断がつかなかった。痺れる頭を幾度か振って、ようやく、彼が私の耳を舐めるのではなく噛んだのだということを理解した。噛まれた耳朶がぢんと痛んだ。彼はまっすぐに私を見据えていた。
 私と彼はしばしのあいだ、そのままの姿勢で見つめ合った。きゅっと口を引き結んで一心に私を見ている彼が、いったい何を言おうとしているのか、このときの私にはなぜだかどんなにしても理解することが出来なかった。
 どれくらいの時間そうしていたのだろう、彼は瞬きを一度して、ひっそりと部屋を出ていった。そうして二度と戻ってはこなかった。振り返ることもしなかった。私は彼の名前を呼んでみたけれども、もちろん、傍に駆けてくるものは何もない。水をやり忘れたらしいドラセナが、葉をぐったりとさせてソファの脇にあるだけだった。
 哀願して愛玩した私の仔犬は居なくなった。
 以来私は、犬を見かけると彼との生活がちらついて、何よりも舐められることをどうしようもなく怖れてしまう。

[fukujyou-ni-shisu]*(2005. ××. ××)------------------------------------------------------------------------------------

僕のメリー・ポピンズは傘を持たない

2006年04月17日 00時06分44秒 | テクスト

--------------------------------------------------Text written by man-ju*[My Mary Poppins doesn’t have an umbrella]

 君の手を曳いて僕は丘の上まで歩く。君の脚はとてもか細くはかないので僕の歩調に合わせるのに苦労する、けれども僕はついそれを忘れて足早になり君を引っ張りすぎてしまう。そのたび君は非難の代わりに小さく喉を鳴らす。
 道すがら、僕らは一輪の花から一枚ずつありったけの花びらを集める。花びらは朝露を抱いてしっぽりと濡れていて、指に吸いつく。ポケットはじき花びらでいっぱいになる。
 丘の上からはにぎやかな町が一望出来る。僕は集めた花びらを口に含んで噛み砕くと口移しに君に託す。君の唇は甘い。君は体温と舌の味を吸って柔らかくほぐれた花びらを丘の上からそう、と、吹く。君の唇から零れた花びらは迷いなく空に遠くくっきりと一筋の径を描く。
 僕らはきつく手を握り合って丘を蹴る。空に舞う花びらとともに高く高く上昇する。広場で戯れていた町の子らが僕らの姿を見つけて歓声を上げ、こもごも嬉しそうに指を差す。
 僕らはほんの小さな彼らににこやかに手を振り、もう一度口づけを交わし、花びらのなか次の丘を目指す。

[fukujyou-ni-shisu]*(2006. ××.××)------------------------------------------------------------------------------------