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【ヴァギナ・デンタータ】

瞼を閉じれば見えてくるものこそ本当の世界――と、信じたい私は四六時中夢の中へ。

みぎひだり

2006年06月29日 14時42分42秒 | テクスト

------------------------------------------------------------------------------------Text written by man-ju*[migi-hidari]

 海陸の境界線に向かい合わせに立つ。わたしの右足とあなたの左足は罅ぜた砂の上に、あなたの右足とわたしの左足は冷えた水のなかへ浸す。わたしたちは長いことそうやって立ち続ける。会話は交わさない。陽は沈みまた昇り、月は輝きまた密やかに白く身をひそめてゆく。立ちはじめてからどれくらい経ったのかは、もう、忘れてしまっている。おそらく重要でもない。しだいにわたしの右側とあなたの左側は乾き、あなたの右側とわたしの左側は湿ってくる。足許から。
 あるとき、本当に唐突に、額の真ん中がしくしくと痛みだす。それは胸のあいだを通り、臍を抜けて陰部を貫く。境界線はとうとうそっくりそのままわたしたちの体表に写し取られる。
 するとわたしたちはどちらからともなく歩み寄る。慎重に。そっ、と、膚を触れ合う。乾いた半身は互いの湿った半身に吸い寄せられ、湿った半身はあますところなく乾いた半身を摘み取ってゆく。わたしたちはそれぞれに孵化し、わたしとあなたと、あなたとわたしになる。

[fukujyou-ni-shisu]*(2006. 06. ××)------------------------------------------------------------------------------------