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【ヴァギナ・デンタータ】

瞼を閉じれば見えてくるものこそ本当の世界――と、信じたい私は四六時中夢の中へ。

化石村

2007年01月21日 21時59分00秒 | テクスト

--------------------------------------------------------------------------------------Text written by man-ju*[kaseki-mura]

 隣村は石油を掘り当てたが、こちらでは化石が出土した。十歳前後の少女ばかり何体も。状態は実に良好で、閉じた睫毛の一本々々から唇の縦皺に至るまで克明に保存されている。村の男たちは色めき立ち、今や誰もがこの化石の少女群を掘りだすことに夢中になっている。廃れた村も石油を掘り当てれば金が廻る隣村に遅れをとるなと村の会議でついこのあいだまで口角泡を飛ばし合っていたことはすでに忘れているらしい。そのあと開かれた会議では、少女群の出土は口外法度ということですんなり意見はまとまった。女たちは冷笑した。
 村長などは少女群の発掘にことに熱心で、経験と熟練度を誇示して乳首と性器のまわりばかり掘りたがる。
 切り崩した一部では少女が土とともに年代別の層になっているのを見ることが出来る。一人として似通った少女は居ない、けれどもどの少女も同じようにいとけない。女たちは誰もがそれを家事の傍らやはり冷ややかに眺めやりながら、いつか一人くらい少年が出土しやしないかとほんのり期待しているらしい。

[fukujyou-ni-shisu]*(2006. ××. ××)------------------------------------------------------------------------------------