この、前の記事で、九電によって不当に阻止され、朗読すら認められなかった福島からの魂の手紙です。この場でご紹介します。
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九州電力のみなさま
九州電力株主のみなさま
福島原発震災が起きて3ヶ月が経ちました。
被災者のひとりとして、みなさまにお伝えしたいことがあり、筆をとります。
今、日本が、世界が、核エネルギーとどう向き合うか、岐路に立たされています。
それは、九州において原子力発電を行ってきた九州電力においても同じです。
被災者の一人として、みなさまにお願いしたいことが3つあります。
第一は、福島原発震災は、どのようにして起こり、何がもたらされ、今後どのように推移するのかということについて、情報を集め、考えていただきたいということです。わからないまま、人に判断を委ねたり、従来のやり方を続けたりすることを、絶対にやめていただきたいということです。原子力発電を推進してきた国や電力会社などの情報だけではなく、長年、原発のもつ危険性について懸念し警鐘を鳴らしてきた市民や専門家の人たちの情報も含めて、是非、知り、そして考えてください。今回の原発震災は、当初想定外の大きな津波が原因とされてきましたが、その後地震動による配管等設備の破損の可能性も指摘されています。今後、福島原発事故の原因究明がなされなければなりませんが、こうした真相究明を待たずして、従来の原子力発電を再開することは、許される選択ではありません。
2つ目は、福島原発震災による放射能汚染がもたらした現実を知っていただきたいということです。津波と地震による深刻な被害に加えて、放射能汚染が複合した原発震災によって、たくさんの生命が救助の手が差し伸べられることなく、失われていきました。原発事故収束のために今も文字通り生命を賭して大量の被ばくを強いられながら働いている方々がいます。何の準備もなく、突然に、家も財産もそれまでの暮らしも、故郷そのものを奪われた人々がいます。チェルノブイリ事故後に強制避難区域となったのと同じレベルの汚染地で、普通の生活をするように求められている人々がいます。子ども達も赤ちゃんも、避難できない大人とともに、被ばくを強いられています。
たくさんの子ども達、大人達が、体調の異変を感じ始めています。十分な情報も支援もない中、言い知れぬ不安と絶望を感じています。
取り返しのつかない放射能汚染が広がってしまった福島県では、収束できない原発事故と深刻な放射能汚染地域を抱え、「復興」のビジョンをたてることすらあまりにも困難です。
九電株主のみなさま、どうぞ私たちの悲嘆と不安と絶望を知ってください。放射能汚染が人々や社会や自然環境にもたらす、破壊的な影響を、知ってください。そして、ひとたび大きな事故が起きてしまえばこうした事態を不可避的に生み出す、原発というものを、発電方法のひとつの選択肢とし続けることの意味に、人として向き合ってください。
3つ目は、次の原発震災を食い止めるため、できる最大限のことをやっていただきたいということです。地殻活動の活動期に入った日本において、次の巨大地震は、いつの時点かで、いずれかの地域で必ず起こります。地震学の最前線の知見を無視せず、勉強してください。そして、「その日」が来る前に、原子炉を止め、燃料棒を取り出し、使用済み核燃料プールの安全確保など最大限できる対策を国や電力会社、関連企業が行うよう、求めてください。
以上3つの問題について、また今日、たくさんの人々が投げかけるさまざまな問題の大切さを感じ、そしてそれについて十分に情報や考える時間を持っていないと感じることが一つでもありますならば、ぜひ、無知の上に危険を冒すという過ちを繰り返さないでください。切に、切に、お願いいたします。
科学は、原爆も原発も作ることができましたが、そこから生み出される放射能を永久に管理したり、解き放たれた放射能を回収したりすることはできません。人々が、放射能被ばくにより様々な被害を受けることを完全に防ぐ手立てもしりません。
この地震大国日本に、わずか半世紀で54基もの原発を建て、その電力を消費し、膨大な核のゴミを生み出し、そしてついに巨大原発事故を起こしてしまった現実を生きる仲間として、私たちは、今、ひとりひとりが責任と使命を担い、現実から目をそらさず、真に生命を尊重する持続可能な社会にむけて歩む決意を求められています。
原発は、エネルギー問題である前に、いのちの問題、人間の尊厳の問題です。
原発という存在は、本質的に、いのちに対する脅威です。
私たちの社会は、私たちのこどもたち、そして未来の世代の人々のために、今、原発と決別しなければなりません。
九州電力株主のみなさん、そして九州電力のみなさん、今、世界の転換点において、みなさんは大きな責任と使命を負うめぐりあわせとなりました。
みなさまひとりひとりの、人間としての賢明さと倫理と勇気を信頼し、筆を置きます。
2011年6月28日 福島県福島市 うのさえこ
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九州電力のみなさま
九州電力株主のみなさま
福島原発震災が起きて3ヶ月が経ちました。
被災者のひとりとして、みなさまにお伝えしたいことがあり、筆をとります。
今、日本が、世界が、核エネルギーとどう向き合うか、岐路に立たされています。
それは、九州において原子力発電を行ってきた九州電力においても同じです。
被災者の一人として、みなさまにお願いしたいことが3つあります。
第一は、福島原発震災は、どのようにして起こり、何がもたらされ、今後どのように推移するのかということについて、情報を集め、考えていただきたいということです。わからないまま、人に判断を委ねたり、従来のやり方を続けたりすることを、絶対にやめていただきたいということです。原子力発電を推進してきた国や電力会社などの情報だけではなく、長年、原発のもつ危険性について懸念し警鐘を鳴らしてきた市民や専門家の人たちの情報も含めて、是非、知り、そして考えてください。今回の原発震災は、当初想定外の大きな津波が原因とされてきましたが、その後地震動による配管等設備の破損の可能性も指摘されています。今後、福島原発事故の原因究明がなされなければなりませんが、こうした真相究明を待たずして、従来の原子力発電を再開することは、許される選択ではありません。
2つ目は、福島原発震災による放射能汚染がもたらした現実を知っていただきたいということです。津波と地震による深刻な被害に加えて、放射能汚染が複合した原発震災によって、たくさんの生命が救助の手が差し伸べられることなく、失われていきました。原発事故収束のために今も文字通り生命を賭して大量の被ばくを強いられながら働いている方々がいます。何の準備もなく、突然に、家も財産もそれまでの暮らしも、故郷そのものを奪われた人々がいます。チェルノブイリ事故後に強制避難区域となったのと同じレベルの汚染地で、普通の生活をするように求められている人々がいます。子ども達も赤ちゃんも、避難できない大人とともに、被ばくを強いられています。
たくさんの子ども達、大人達が、体調の異変を感じ始めています。十分な情報も支援もない中、言い知れぬ不安と絶望を感じています。
取り返しのつかない放射能汚染が広がってしまった福島県では、収束できない原発事故と深刻な放射能汚染地域を抱え、「復興」のビジョンをたてることすらあまりにも困難です。
九電株主のみなさま、どうぞ私たちの悲嘆と不安と絶望を知ってください。放射能汚染が人々や社会や自然環境にもたらす、破壊的な影響を、知ってください。そして、ひとたび大きな事故が起きてしまえばこうした事態を不可避的に生み出す、原発というものを、発電方法のひとつの選択肢とし続けることの意味に、人として向き合ってください。
3つ目は、次の原発震災を食い止めるため、できる最大限のことをやっていただきたいということです。地殻活動の活動期に入った日本において、次の巨大地震は、いつの時点かで、いずれかの地域で必ず起こります。地震学の最前線の知見を無視せず、勉強してください。そして、「その日」が来る前に、原子炉を止め、燃料棒を取り出し、使用済み核燃料プールの安全確保など最大限できる対策を国や電力会社、関連企業が行うよう、求めてください。
以上3つの問題について、また今日、たくさんの人々が投げかけるさまざまな問題の大切さを感じ、そしてそれについて十分に情報や考える時間を持っていないと感じることが一つでもありますならば、ぜひ、無知の上に危険を冒すという過ちを繰り返さないでください。切に、切に、お願いいたします。
科学は、原爆も原発も作ることができましたが、そこから生み出される放射能を永久に管理したり、解き放たれた放射能を回収したりすることはできません。人々が、放射能被ばくにより様々な被害を受けることを完全に防ぐ手立てもしりません。
この地震大国日本に、わずか半世紀で54基もの原発を建て、その電力を消費し、膨大な核のゴミを生み出し、そしてついに巨大原発事故を起こしてしまった現実を生きる仲間として、私たちは、今、ひとりひとりが責任と使命を担い、現実から目をそらさず、真に生命を尊重する持続可能な社会にむけて歩む決意を求められています。
原発は、エネルギー問題である前に、いのちの問題、人間の尊厳の問題です。
原発という存在は、本質的に、いのちに対する脅威です。
私たちの社会は、私たちのこどもたち、そして未来の世代の人々のために、今、原発と決別しなければなりません。
九州電力株主のみなさん、そして九州電力のみなさん、今、世界の転換点において、みなさんは大きな責任と使命を負うめぐりあわせとなりました。
みなさまひとりひとりの、人間としての賢明さと倫理と勇気を信頼し、筆を置きます。
2011年6月28日 福島県福島市 うのさえこ