6月28日 第87回定時株主総会の3時間47分
そこには、確かに3・11以前の世界があった―
今も福島に向きあうことのない九電取締役会
九電消費者株主の会・木 村 京 子
東北大震災・福島第一原発事故から4ヶ月半が経ちました。株主の皆さまのなかには、御家族や御友人などで被害を受けられた方もおられるかと思います。心よりお見舞い申し上げます。
今や、東京電力の次に注目される九州電力となりました。
株主総会直後から、立てつづけに「やらせメール」や、佐賀県知事や玄海町長も巻き込んだ「玄海2、3号機運転再開策動」、一転して「ストレステスト導入」と「玄海3、4号機のデータミス発覚」。おそらくこれまでだったら、これらのことは、国・電力会社にとっては当たり前のように行われてきたことでしょうが、社会的には、「原発の安全性」を自ら否定するような一連の事態という意味が、あらわになったということです。
「玄海1号機の原子炉容器の脆化という、急速な老朽化」も、多くの人たちの知るところとなりました。川内原発の根本的な設計・立地の誤りも同様です。玄海の使用済み核燃料の保管の問題も行き詰りました。いわば、九電の原発は、今日の原発を巡る諸問題の集約されたものと言えるでしょう。
今年の各電力会社の株主総会は、福島事故から3カ月半を経ての開催で、かつてない注目を集めました。福島の重大過酷事故が、今だに信じられない衝撃のなかで、しかし次々に露わになる原発の危険性と、放射能被害の深刻さに向き合う人たちの声が、6月中旬の各種世論調査の、「脱原発70%越え」に反映しました。また、同じころ、大手投資助言会社(JPG)が機関投資家や個人投資家に、「脱原発」を助言するなど、脱原発の意思表示が加速してきました。
九電本店真向かいには、4月20日から、「原発とめよう!九電本店前ひろば」のテントが出現し(100日を越え、現在も継続中)、情報発信・交流の場となっていました。九電説明会や申し入れ、サウンドデモ呼び掛けなどが間断なく続き、その中で、株主総会を強いアピールの場にしようという動きが高まり、当日の、福岡市中心部を2往復するトラクターデモや人間の鎖として実りました。後の、歌野敬さんの投稿に報告があります。
今年も、煩雑な「個別株主通知手続き」をしていただいた、70名の株主の方々の48500株で、株主提案権を確保することができました。その4つの議案と100項目に近い事前質問書(福島関連、事故対策、「テロ」攻撃、防災避難対策、損害賠償、廃炉、使用済み核燃料問題、情報公開、需給関連、内部監査、再生可能エネルギー、60年運転問題、送発電分離、電力自由化、発電単価、CO2問題、市民への説明会など)を持って、株主総会に臨みました。100項目の質問は、株主総会の意味(会社の最高意思決定機関)に関心も持つ人たちから、広く寄せられたものもあります。1週間前には、九電に持ち込み、誠意ある回答をするよう求める事前の申し入れも行いました。
当日、1200人を超える株主が出席。いつもは九電のOB風の人が目立つ辺りが、今年は社員風な男性が多い印象。やらせメールに連動していたのですね。
長い事業報告の後、事前質問への一括回答が、担当取締役からなされましたが、場当たり的な「緊急安全津波対策」が誇示されるくらいで、あとは、福島事故の原因究明も検証もされてないにもかかわらず、「地震の影響はなかった」(想定内の強さだったのに、重大事故につながったことを認めたくないため?)と強弁。福島事故に言及するのはこのあたりだけで、あとは九電HPに記載の内容ばかり。
オール電化はさすがに引っ込めて「省エネ快適ライフ」という造語を繰り返すのみ。株主から「オール電化で電気が使えなくなったら、プロパンか何かの代替策を講じてくれるの?」という分かりやすい質問も出ましたが、無視。
提案株主の事前質問や再質問、当日会場内からの質問が間断なく続くが、回答らしいものがないにも関わらず、真部社長(議長)は、「原発以外の質問ありませんか」と臆面もなく言い出す始末。この真摯さのない姿勢が露わなを議事進行ぶりは、歴代社長のなかでも際立っています。
会社提案の「取締役の選任」の一括審議に対しては、「個別の取締役ごとに採決をするべき、議決権数による採決の可否をすべき」との「動議」を出しましたが、否決。九州経済連会長として、「運転再開」を、自らが会長の九電に求めるという「二人羽織」を進める松尾信吾会長と社長にはどうしてもやめていただきたかったのに。
株主提案議案では、5号議案(古い原発からの廃炉、新増設をしない)に対する修正動議を行い、
玄海1号機廃炉を提案しましたが、「動議」としての扱いが無く、否決。他の議案の趣旨説明も制限されるなど、例年以上に、議案審議の態をなさない事態になりました。又、福島から避難してこられた、福島ハイロアクションの、うのさえこさんのメッセージ代読に対しては、いきなりマイクを切るという前代未聞のありさま。
こうして、3時間47分の総会は終わりました。議案成立は、出席株主の議決権数の3分の2を越えたかどうかに依るのですが、大株主の代理や委任状等でそれらはあらかじめ九電にゆだねられているとはいえ、一切カウントしない採決方法は今年も変わりませんでした。
先日、総会の「臨時報告書」の一部のコピーを取りました。取締役選任の内容は、松尾会長、真部社長、日名子副社長{企業の社会的責任等担当}は有意な差で低い賛成率でした。提案議案は
「反対率90%で、5%台の賛成率」(当日の賛否の議決権数は大株主以外は反映していない)と言うことらしいのですが、棄権や無効を含めた詳細を示すよう求めてきました。
「脱原発の会社になるなら株主になる」意思表示アクションが、歌野あやさんから提案され、反響がありました(後述の投稿参照)。株主総会への関心は確実に広がっています。9月には「議決権行使書」を閲覧に行きます。株主権数に収れんされない、多彩なコメントを見ることができそうです。株主運動は10数年の助走期間を経て、やっとあたらしいスタート台に立てたと言えるでしょう。これからもどうかよろしくお願い致します。
そこには、確かに3・11以前の世界があった―
今も福島に向きあうことのない九電取締役会
九電消費者株主の会・木 村 京 子
東北大震災・福島第一原発事故から4ヶ月半が経ちました。株主の皆さまのなかには、御家族や御友人などで被害を受けられた方もおられるかと思います。心よりお見舞い申し上げます。
今や、東京電力の次に注目される九州電力となりました。
株主総会直後から、立てつづけに「やらせメール」や、佐賀県知事や玄海町長も巻き込んだ「玄海2、3号機運転再開策動」、一転して「ストレステスト導入」と「玄海3、4号機のデータミス発覚」。おそらくこれまでだったら、これらのことは、国・電力会社にとっては当たり前のように行われてきたことでしょうが、社会的には、「原発の安全性」を自ら否定するような一連の事態という意味が、あらわになったということです。
「玄海1号機の原子炉容器の脆化という、急速な老朽化」も、多くの人たちの知るところとなりました。川内原発の根本的な設計・立地の誤りも同様です。玄海の使用済み核燃料の保管の問題も行き詰りました。いわば、九電の原発は、今日の原発を巡る諸問題の集約されたものと言えるでしょう。
今年の各電力会社の株主総会は、福島事故から3カ月半を経ての開催で、かつてない注目を集めました。福島の重大過酷事故が、今だに信じられない衝撃のなかで、しかし次々に露わになる原発の危険性と、放射能被害の深刻さに向き合う人たちの声が、6月中旬の各種世論調査の、「脱原発70%越え」に反映しました。また、同じころ、大手投資助言会社(JPG)が機関投資家や個人投資家に、「脱原発」を助言するなど、脱原発の意思表示が加速してきました。
九電本店真向かいには、4月20日から、「原発とめよう!九電本店前ひろば」のテントが出現し(100日を越え、現在も継続中)、情報発信・交流の場となっていました。九電説明会や申し入れ、サウンドデモ呼び掛けなどが間断なく続き、その中で、株主総会を強いアピールの場にしようという動きが高まり、当日の、福岡市中心部を2往復するトラクターデモや人間の鎖として実りました。後の、歌野敬さんの投稿に報告があります。
今年も、煩雑な「個別株主通知手続き」をしていただいた、70名の株主の方々の48500株で、株主提案権を確保することができました。その4つの議案と100項目に近い事前質問書(福島関連、事故対策、「テロ」攻撃、防災避難対策、損害賠償、廃炉、使用済み核燃料問題、情報公開、需給関連、内部監査、再生可能エネルギー、60年運転問題、送発電分離、電力自由化、発電単価、CO2問題、市民への説明会など)を持って、株主総会に臨みました。100項目の質問は、株主総会の意味(会社の最高意思決定機関)に関心も持つ人たちから、広く寄せられたものもあります。1週間前には、九電に持ち込み、誠意ある回答をするよう求める事前の申し入れも行いました。
当日、1200人を超える株主が出席。いつもは九電のOB風の人が目立つ辺りが、今年は社員風な男性が多い印象。やらせメールに連動していたのですね。
長い事業報告の後、事前質問への一括回答が、担当取締役からなされましたが、場当たり的な「緊急安全津波対策」が誇示されるくらいで、あとは、福島事故の原因究明も検証もされてないにもかかわらず、「地震の影響はなかった」(想定内の強さだったのに、重大事故につながったことを認めたくないため?)と強弁。福島事故に言及するのはこのあたりだけで、あとは九電HPに記載の内容ばかり。
オール電化はさすがに引っ込めて「省エネ快適ライフ」という造語を繰り返すのみ。株主から「オール電化で電気が使えなくなったら、プロパンか何かの代替策を講じてくれるの?」という分かりやすい質問も出ましたが、無視。
提案株主の事前質問や再質問、当日会場内からの質問が間断なく続くが、回答らしいものがないにも関わらず、真部社長(議長)は、「原発以外の質問ありませんか」と臆面もなく言い出す始末。この真摯さのない姿勢が露わなを議事進行ぶりは、歴代社長のなかでも際立っています。
会社提案の「取締役の選任」の一括審議に対しては、「個別の取締役ごとに採決をするべき、議決権数による採決の可否をすべき」との「動議」を出しましたが、否決。九州経済連会長として、「運転再開」を、自らが会長の九電に求めるという「二人羽織」を進める松尾信吾会長と社長にはどうしてもやめていただきたかったのに。
株主提案議案では、5号議案(古い原発からの廃炉、新増設をしない)に対する修正動議を行い、
玄海1号機廃炉を提案しましたが、「動議」としての扱いが無く、否決。他の議案の趣旨説明も制限されるなど、例年以上に、議案審議の態をなさない事態になりました。又、福島から避難してこられた、福島ハイロアクションの、うのさえこさんのメッセージ代読に対しては、いきなりマイクを切るという前代未聞のありさま。
こうして、3時間47分の総会は終わりました。議案成立は、出席株主の議決権数の3分の2を越えたかどうかに依るのですが、大株主の代理や委任状等でそれらはあらかじめ九電にゆだねられているとはいえ、一切カウントしない採決方法は今年も変わりませんでした。
先日、総会の「臨時報告書」の一部のコピーを取りました。取締役選任の内容は、松尾会長、真部社長、日名子副社長{企業の社会的責任等担当}は有意な差で低い賛成率でした。提案議案は
「反対率90%で、5%台の賛成率」(当日の賛否の議決権数は大株主以外は反映していない)と言うことらしいのですが、棄権や無効を含めた詳細を示すよう求めてきました。
「脱原発の会社になるなら株主になる」意思表示アクションが、歌野あやさんから提案され、反響がありました(後述の投稿参照)。株主総会への関心は確実に広がっています。9月には「議決権行使書」を閲覧に行きます。株主権数に収れんされない、多彩なコメントを見ることができそうです。株主運動は10数年の助走期間を経て、やっとあたらしいスタート台に立てたと言えるでしょう。これからもどうかよろしくお願い致します。