ふわふわな記憶

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『魔法少女リリカルなのは The 1st』 感想 始まりの物語。大切なことはすべてなのはさんが教えてくれました

2016-04-03 16:25:00 | 魔法少女リリカルなのは

なのはさん

 シリーズ第1作目からかれこれ12年。なぜ、今になってこの記事を書いたのかと言えば、3/26に発売した『ORIGINAL CHRONICLE 魔法少女リリカルなのはThe1st』の6巻を読んで最高に高まったからです。

 なのはさんとフェイトが出会い、ぶつかって、そして友達になっていく過程を描いた第1期TVシリーズの放映10周年に合わせて娘TYPEで連載がスタートした『ORIGINAL CHRONICLE 魔法少女リリカルなのはThe1st』。何が素晴らしいかというと、テレビシリーズの内容のみならず、劇場版アニメやドラマCD、小説版でしか描かれなかった様々なエピソードの全てがこの作品に盛り込まれている点。

 4ヶ月に1冊のペースで刊行されており、単行本を読み返しては、劇場版のBlu-rayを観たくなって、結果大号泣をしながら、「なのフェイは本当に尊い...、日本が生み出した世界に誇れる美しい友情のカタチだよ!」とありえないくらい高まるまでがセットである。

 今でこそなのはシリーズは魅力的なキャラクターが多数登場しているけど、やっぱりね「なのフェイ」は原点にして頂点の存在なんだ!「魔法少女リリカルなのは」はこの2人から始まったんだよな!という事実を強く強く脳に叩きつけてくるのが、『ORIGINAL CHRONICLE 魔法少女リリカルなのはThe1st』の恐ろしいところ。

 劇場版も130分という時間の中で上手にまとまっており、絵に動きが加わったことの強みを生かした戦闘戦の迫力や音響の素晴らしさは本当に圧巻の一言で文句のつけようもない出来だったと僕は思っていますが、『ORIGINAL CHRONICLE 魔法少女リリカルなのはThe1st』は劇場版で詳細に描けなかった部分――フェイトとアルフの出会いの物語や高町なのはというキャラクターの掘り下げがきちんと描かれている点ではなのはファン必読のコミックだと思いますね。




2人の少女の出会いと救済の物語――高町なのはとフェイト・テスタロッサ




私たちのすべては・・・・・・まだはじまってもいない

だから・・・ほんとの自分をはじめるために・・・・・・

いままでの自分を・・・終わらせよう!


 『魔法少女リリカルなのは』は、あまりに悲しい誕生の秘密を抱え、非情な運命に振り回されるフェイトを救済する物語だった。ただ一途に記憶の中にのみ存在する優しい母の笑顔を求め、母が敷いた運命のレールの上をひたすら走り、すり減る日々を送ってきたフェイトが、戦いの中で何度も自分のことを呼びかけてくれて向き合ってくれたなのはさんと、ボロボロになりながらも戦うことを諦めないバルディッシュの姿を見て、「ほんとの自分をはじめるために・・・・・・いままでの自分を・・・終わらせよう!」と前に向かって歩き出すシーンは涙なしには見られない名シーンだ。

 フェイトは凄く等身大なキャラだと思う。強い力を持ちながら、お母さんという「正義」を信じて、辛い運命から逃れられずにいた少女。1stにおいてなのはさんと心をつなぎ、新しい自分を始めるために歩き出したけれど、次回作のA'sで未だ拭いきれない「心の闇」を見抜かれたフェイトは闇の書に吸収され、幻想世界の中で優しい母や姉たちに出会い、自分が求めていた優しい世界で暮らしていくか、それともなのはさんの待つ現実に帰るのか――突き詰めれば「過去」と「今」の選択を再度迫られます。フェイトは内面での葛藤が凄くわかりやすく描写されており、子どもらしい弱さも持っていて、とても共感しやすい。それ故に、成長が一番わかりやすいキャラクターでもあるんですよね。



 対して、なのはさんは正義感が強いというのか、9歳にしてはかなり倫理観が確立され過ぎたキャラクターだと思うんです。自分に何かを守れるだけの力があるなら守りたい。困ったり悩んでいる人がいるなら助けてあげたい。そんなどこかヒーローのように眩しい存在。僕はなのはさんが最も好きなキャラクターだけど、友達にしたいとか嫁にしたいとかっていう感情より、憧れの対象という感情の方が近いかもしれない。


孤独

 小説版で語られた内容で劇場版ではあまりツッコんで描写されることはなかったけど、なのはさんの倫理観が形成されるのは父の事故が大きく関与している。悪い人がいてその人が正義の味方に倒されれば平和が戻りみんなが笑顔になれる。現実はそんなストーリーラインのように簡単にはいかないことをなのはさんは知っている。そして、憎むことでは悲しみが拭えないことも。


 父の事故が原因で、母は夫と子供3人の面倒を見ながら翠屋を一人で切り盛りし、兄姉は家業の手伝いをすることが多くなったため、ひとりぼっちでいる時間が多い時期があった。なのはさんがフェイトの痛みに寄り添えるのは、なのはさんも「孤独」の寂しさを知っているから。良い子でいようと、その寂しさを誰にも分かち合えない「悲しみ」を痛いほどに知っているからだ。

 




わけあいたい

 だからこそ、なのはさんは悲しんで泣いている子を見過ごせない。分けあいたいんだと。友達になりたいんだと。自分と同じように孤独の悲しさと寂しさを知っているフェイトと対等な存在として向き合いたいと思うんだよね。

 等身大なキャラであるフェイトとは対照的になのはさんは9歳にしては倫理観が確立され過ぎていると言ったけど、「自分の寂しい気持ち」を抑え込んで良い子を演じてきたなのはさんが、背伸びすることなく「自分の気持ちを伝えたい ぶつかり合いたい お互いの気持ちを受け止め合うために ぶつかり合わなきゃ伝わらないこともあるから」と真正面からフェイトと向き合う姿は年相応な子どもらしい、真っ直ぐな想いを解き放つことが出来た描写なんじゃないかとも思った。だからこそ、2人の出会いはフェイトがなのはさんに救われるという一方向の物語ではなく、「対等」な存在との出会いでなのはさんもまた救済されたという構造を作っているのが実に上手い。


 痛みや悲しみ、どうしたって消せない過去はある。でも、だからこそ実現した出会いもあり、結ぶことが出来た絆がある。『魔法少女リリカルなのは』は過去に向き合って生きていくことの大切さ、乗り越えていくための強さを説いていて、それは1stに限らず、ヴィヴィオたち次世代の物語「ViVid」にまで繋がっていて、「なのはシリーズ」はどこまでも一貫したテーマでファンを熱くさせてくれるんだなって思う。A'sの感想もいつかきちんと書きたいなと思ったり。

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 さて、そんな熱い気持ちをを改めて感じさせてくれた『ORIGINAL CHRONICLE 魔法少女リリカルなのはThe1st』に感謝するとともに、「なまえをよんで」の名シーンを緋賀ゆかり先生絵で読みたいので、7巻がめったくそ楽しみです。犬だってこんな泣かねーよ!ってくらいわんわん泣く覚悟は出来てますからね。なのはファンは必読です!



1 コメント

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Unknown (Unknown)
2016-11-21 15:15:21
管理人さんはViVid Strike!は見てますか?
キャストは大分違いますが無印を彷彿とさせるような熱さがありますよ、Vキャラの成長ぶりも必見です
ファンで良かったなとそう思える力作ですよ
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