随分ご無沙汰していたのだが、二つの母校(関西学院大&バークリー音大)の大先輩であるタイガー大越さんのクリニックに行って、再会を果たしてきた。
純粋にミュージシャンとして、またクリニシャンとして勉強になることがたくさん有ったのは言うまでも無い。それにしても、相変わらずお元気でよく喋る事!(笑)
内容はマスターコース形式(いわゆるプライベートレッスンを公開したもの)を二人分とライブ&質問コーナー。ピアノの伴奏が付くと言う話だったので誰なのか興味津々だったけど、僕より少し遅れてバークリーに入学した、木原健太郎クン。彼とも久しぶりの再会で、色々ご活躍の話も聞かせてもらい嬉しくなった。バークリー時代の友達のお葬式以来の再会だったんだけどね。
殆どがトランペット奏者で超満員の中、まず、一人目のレッスンでは、パーカーの「オーニソロジー」を題材に話が進む。
生徒さんの悩みが「物語をソロの中で作れない」という事で、タイガーさん、おもむろにピアノを弾き、「4分音符で歌ってごらん。」という。当然、歌いやすいスケールやアルペジオが中心となっていくのだが、そこからコードに対してどうアプローチするかというのは、LICKにばかり頼るプレーヤーにとっては非常に重要な基礎訓練になる。アドリブを車のドライブに例え、遠くを見つめて、まずはゆっくりと向こうからやって来るコードを「こんな音を使ってみよう」と言う感じでならし運転をする。そして、スピードを上げていく。そして、3小節吹いて1小節休むなど、僕もレッスンで教えている「Pacing」について話が進む。4小節単位ではなく、2小節PLAY&1小節RESTでも良いって話、俺も教えてます教えてます。(笑)
コード進行で|GMaj7|G-7 C7|と行く所を、|DMaj7|DbMaj7|と考えて吹くという話に展開。うぬぬ、これリディアン・クロマティック・コンセプトの入り口みたい。(笑) これで、お客さんみんな納得してたらかなりレベル高いです。タイガーさんの書いたフレーズもかなりアウトしている。僕はこういうのよくやるから「イェイ!」なんだけど・・。こういう風に、オリジナリティーを持って自分なりの演奏をする事を強く訴えていた。「もし、チャーリー・パーカーが今、この部屋に入ってきたら、『お前ら、俺の真似ばかりするなよ!』って言うに違いない!」と。激しく同意。
この後、マルサリス兄弟のウイントン抜きで最近ギグをやっている話やクラシックのギグの話に及び、個人練習の一番最後に本番を意識したリハーサルを繰り返すという事をおっしゃっていた。例えば教会で本番があるとしたら、その音響に最も近いガレージの真ん中に譜面台を立てて、本番さながらに演奏する。それを何度も繰り返していると、本番では緊張しない・・と。メンタルな面での貴重な話だった。
二人目は「ニカズ・ドリーム」を題材にしたレッスン。この生徒さんはBb-Maj7というコードに対するアプローチに対してどうすれば良いかという質問だった。最も一般的なのは、メロディック・マイナーを使う事で、バップ・エラでは当たり前の事なんだけど、タイガーさんは現代のやり方として、DbMaj7(+5)、FMaj7(+5)、AMaj7(+5)のアルペジオがスケール内に存在しうるという説明(コードに拡大解釈が必要ではあるが)をして、更にDb,E,F,Ab,A,Cからなるスケールを提示する。これって、僕も上級者に教えてる「ヘキサトニック・スケール」だ。僕はジェリー・バーガンジから教わったんだけど。おぉ、レベル高いですよ、これは。逆にみんな大丈夫かなぁと余計な心配したりして。(笑) このあと、V7(b9)の所でデミニッシュ・スケールを分解して様々なアルペジオを見つけ出して吹く方法論などにも展開。
テクニックの話では、「指に言う事を聞かせる」というトピック。楽器を吹く前に、楽器から離れて指を早く動かす訓練をするのが良いと言う。早いフレーズを口で歌いながら運指の反復練習。ゆっくりと考えながら練習するのではテクニックは上がらないという話。そういえば、自分も最近、全てのフレーズを320以上のテンポで練習するようにしているけど、テクニック向上の必要に迫られての事だ。構え方や指の置き方まで変化を求められるけれど、ゆっくり練習しているうちは、ここまでの必要性は感じなかったもんなぁ。
その後、生徒さんに基本的なエチュードを吹かせて、その目の前に順番に指で「4」とか「3」とかを出して行き、吹き終わってからその数字を順番に言わせる事をした。面白いなぁ。ステージでアドリブしている時は、いろんな所に頭を働かせないとダメだから、脳はこの状態なんだとおっしゃる。じゃ、普段ワイドショウ見ながら練習している僕もあながち間違いではないと言う事か?(笑)
その後、またビートの話に戻り、休符が有っても、長い音符が有っても、そこに細かいビートを常に感じて演奏しなければグルーブしないというお話。休みをただ休んでいるだけではダメ。その間もファンクなら16、スイングなら3連のビートを身体で刻みながら歌わなければ出音がグルーブしないとおっしゃる。確かにそうだよね。
以上のような内容だったけど、タイガーさんってお話し振りから、かなり「右脳の人」だなぁと感じた。昔、よくご自宅に伺ってお話を聞いてもよく分からなかった事が有ったのは僕が常に論理を必要とする「左脳派」だったせいなんだろうな・・と今やっと分かった。(笑) 今度出版される本は楽譜がトランペットのバルブに見立てて五線紙ならぬ三線紙になっているそうな。タイガーさんの頭の中が分かるようになっているらしい。昔から面白い事考える人だなぁと思ってたけど、やっぱ凄いねぇ。僕の頭の中も同じ様にサックスのキーが押すべき所に色が付いてる風になってるけど、それを譜面というか図面にしたら大変な事になるな。(笑)
純粋にミュージシャンとして、またクリニシャンとして勉強になることがたくさん有ったのは言うまでも無い。それにしても、相変わらずお元気でよく喋る事!(笑)
内容はマスターコース形式(いわゆるプライベートレッスンを公開したもの)を二人分とライブ&質問コーナー。ピアノの伴奏が付くと言う話だったので誰なのか興味津々だったけど、僕より少し遅れてバークリーに入学した、木原健太郎クン。彼とも久しぶりの再会で、色々ご活躍の話も聞かせてもらい嬉しくなった。バークリー時代の友達のお葬式以来の再会だったんだけどね。
殆どがトランペット奏者で超満員の中、まず、一人目のレッスンでは、パーカーの「オーニソロジー」を題材に話が進む。
生徒さんの悩みが「物語をソロの中で作れない」という事で、タイガーさん、おもむろにピアノを弾き、「4分音符で歌ってごらん。」という。当然、歌いやすいスケールやアルペジオが中心となっていくのだが、そこからコードに対してどうアプローチするかというのは、LICKにばかり頼るプレーヤーにとっては非常に重要な基礎訓練になる。アドリブを車のドライブに例え、遠くを見つめて、まずはゆっくりと向こうからやって来るコードを「こんな音を使ってみよう」と言う感じでならし運転をする。そして、スピードを上げていく。そして、3小節吹いて1小節休むなど、僕もレッスンで教えている「Pacing」について話が進む。4小節単位ではなく、2小節PLAY&1小節RESTでも良いって話、俺も教えてます教えてます。(笑)
コード進行で|GMaj7|G-7 C7|と行く所を、|DMaj7|DbMaj7|と考えて吹くという話に展開。うぬぬ、これリディアン・クロマティック・コンセプトの入り口みたい。(笑) これで、お客さんみんな納得してたらかなりレベル高いです。タイガーさんの書いたフレーズもかなりアウトしている。僕はこういうのよくやるから「イェイ!」なんだけど・・。こういう風に、オリジナリティーを持って自分なりの演奏をする事を強く訴えていた。「もし、チャーリー・パーカーが今、この部屋に入ってきたら、『お前ら、俺の真似ばかりするなよ!』って言うに違いない!」と。激しく同意。
この後、マルサリス兄弟のウイントン抜きで最近ギグをやっている話やクラシックのギグの話に及び、個人練習の一番最後に本番を意識したリハーサルを繰り返すという事をおっしゃっていた。例えば教会で本番があるとしたら、その音響に最も近いガレージの真ん中に譜面台を立てて、本番さながらに演奏する。それを何度も繰り返していると、本番では緊張しない・・と。メンタルな面での貴重な話だった。
二人目は「ニカズ・ドリーム」を題材にしたレッスン。この生徒さんはBb-Maj7というコードに対するアプローチに対してどうすれば良いかという質問だった。最も一般的なのは、メロディック・マイナーを使う事で、バップ・エラでは当たり前の事なんだけど、タイガーさんは現代のやり方として、DbMaj7(+5)、FMaj7(+5)、AMaj7(+5)のアルペジオがスケール内に存在しうるという説明(コードに拡大解釈が必要ではあるが)をして、更にDb,E,F,Ab,A,Cからなるスケールを提示する。これって、僕も上級者に教えてる「ヘキサトニック・スケール」だ。僕はジェリー・バーガンジから教わったんだけど。おぉ、レベル高いですよ、これは。逆にみんな大丈夫かなぁと余計な心配したりして。(笑) このあと、V7(b9)の所でデミニッシュ・スケールを分解して様々なアルペジオを見つけ出して吹く方法論などにも展開。
テクニックの話では、「指に言う事を聞かせる」というトピック。楽器を吹く前に、楽器から離れて指を早く動かす訓練をするのが良いと言う。早いフレーズを口で歌いながら運指の反復練習。ゆっくりと考えながら練習するのではテクニックは上がらないという話。そういえば、自分も最近、全てのフレーズを320以上のテンポで練習するようにしているけど、テクニック向上の必要に迫られての事だ。構え方や指の置き方まで変化を求められるけれど、ゆっくり練習しているうちは、ここまでの必要性は感じなかったもんなぁ。
その後、生徒さんに基本的なエチュードを吹かせて、その目の前に順番に指で「4」とか「3」とかを出して行き、吹き終わってからその数字を順番に言わせる事をした。面白いなぁ。ステージでアドリブしている時は、いろんな所に頭を働かせないとダメだから、脳はこの状態なんだとおっしゃる。じゃ、普段ワイドショウ見ながら練習している僕もあながち間違いではないと言う事か?(笑)
その後、またビートの話に戻り、休符が有っても、長い音符が有っても、そこに細かいビートを常に感じて演奏しなければグルーブしないというお話。休みをただ休んでいるだけではダメ。その間もファンクなら16、スイングなら3連のビートを身体で刻みながら歌わなければ出音がグルーブしないとおっしゃる。確かにそうだよね。
以上のような内容だったけど、タイガーさんってお話し振りから、かなり「右脳の人」だなぁと感じた。昔、よくご自宅に伺ってお話を聞いてもよく分からなかった事が有ったのは僕が常に論理を必要とする「左脳派」だったせいなんだろうな・・と今やっと分かった。(笑) 今度出版される本は楽譜がトランペットのバルブに見立てて五線紙ならぬ三線紙になっているそうな。タイガーさんの頭の中が分かるようになっているらしい。昔から面白い事考える人だなぁと思ってたけど、やっぱ凄いねぇ。僕の頭の中も同じ様にサックスのキーが押すべき所に色が付いてる風になってるけど、それを譜面というか図面にしたら大変な事になるな。(笑)
あれ以来いつもブログ拝見させて頂いています。
今この日記を読んですごく刺激を受けました。
夜中ですがいろいろ勉強したくなってしまい目が覚めてしまいました。
これからもブログ楽しみにしています。
あと、書き忘れましたが、タイガーさんは「ミュージシャンシップ」に関してもおっしゃってて、「リハーサルも仕事のうち、入り時間厳守。本番ギリギリに来て、適当にスタンダード並べて、ハイ本番!って時代はもう終わった!」と仰ってました。ちょいと、胸が痛くなりました。(笑)
今とにかく刺激を受けてやる気が起きています。
また是非飲み会などご一緒させて頂きたいです。
そこでためになる話をたくさん聞き勉強させて頂きたいですm(__)m
でもちゃっかり質問させてください。すみません、LICKとはなんでしょうか、教えてください!!
それで、すっかり幽霊ファンになってしまい、すみません、ライブいかなければ。
頑張ってね!やる気のあるときが「伸び盛り」です。俺も今そうです。(笑)
また飲みましょう。
>IZUMIさん、
内容書いちゃっていいか分かりませんが(苦笑)、多分、内容には著作権は無いと思います。ははは。
リックってこのスペルだったか心配ですが、「フレーズ」の事です。Ⅱ-Ⅴ-Ⅰのフレーズって大事ではありますけど、それをパズルのように当てはめてるだけでは、ストーリー展開の無いつまらないソロになってしまいます。そういう演奏者を「リック・プレーヤー」といい、アメリカでは良くないプレーヤーの見本とされてしまいます。(笑)
そのため、バークリーではモチーフを発展させる作曲法をアドリブに導入し、それを徹底的にやらされます。僕も、熱くなるとついつい忘れがちですが、生徒にも推奨しています。
最近、「指で流れていく演奏(フレーズ)ではなくてもってその場でリアルに歌う感じ」で、、とある方にいわれたのですが、そうだなと思います。しかし、まず指が動かなければ話にならないわけで、指に言う事を聞かせるというのも、もっともなお話です。宮地さんが、すべてのフレーズを320以上で練習しているというお話は、へえーーーでした。 私はむしろ、「歌う」練習のために、すべての曲をバラードでやる方に重きをおいていました。
勉強になりました
ありがとうございました!