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Saxophonist 宮地スグル公式ブログ

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CD制作って・・。クラブ・ミュージック、そういや昔がんばったねぇ。

2012年05月24日 06時28分28秒 | records/cds
久しぶりに音楽の事書きます。

昨日のライブで共演して頂いた方に「Beat'n'Colors」買って戴きました。
久しぶりに売れると、自分の仕事がちゃんと出来てたか心配になるもんでして。。で、久しぶりにちゃんと自宅で聴いてみましたよ。これはいつもの通過儀礼。2004年リリースだって。もう8年も経つんだ・・。

この頃は、ヤマハのXGWorksってソフト使ってて、初期のモデルのため使い辛くて、しかも自分は打ち込み初心者。右も左もわからない状態でのスタート。・・の割にはよく頑張ったなぁと自分を褒めてやりたい。今なら最新のCUBASE6が有るし、仕事も早くなったので、もっと良い音でもっと楽にミックス出来るのに・・と、ちょいと悔しい様な、懐かしいような。来る日も来る日も「スネアの音をあの音とこの音混ぜれば・・」などと、サックス以外の事ばかり考えてた、ほろ苦い思い出が蘇る。(笑)

当時、制作の途中で前任のプロデューサーに「ハウスがやりたいのか、ヒップ・ホップがやりたいのか、方向性をはっきりして欲しい。」と言われたけど、元々、僕にはそんなものは無い。ジャズ・ミュージシャンで周りを固めた僕の1stも2ndもスイングだけじゃなく、ロックやファンクやラテンのビートが入っている。なんで、そういうジャンル決めが必要なのか僕には分からない。ジャコの「ワード・オブ・マウス」は1枚でオール・ジャンル聴けるから、僕の最も大好きなアルバムなのだ。普段から、色んな音楽を聴いている。それを素直に出す事が僕の音楽表現の筈だ。だから、このアルバムには、ハウスもヒップ・ホップもブレーク・ビーツも入っている。まぁ、それが敗因といえばそうなのかも知れないけど、最も売れてないアルバムではある。(苦笑) マーケティングは重要だけど、その結果、クソの様な音楽が出回っていて、最近は買う前には本当に試聴、もしくはリサーチが必要になった。リスナーにばかり合わせて信念の無いアルバムを作っても意味が無いと思う。その点、70~80年代のアルバムって、お金も時間もたっぷりかけた良い作品が多いと感じてしまう。僕のCD制作は完全にそれに倣ったものだ。

この「Beat'n'Colors」は、どうしても自分で全てオーガナイズしたくて作った作品だけど、それでも、多くの協力者を必要としたし、その他のアルバムでは、色んな人の意見が有って初めて完成したものだ。まぁ、どうしても1音にこだわりが有るため、他人の意見をねじ伏せてでも自分の意見を通したものも有るけど。でも、僕一人の価値観では、あまりにも偏りすぎているというのは認識している。音楽だけじゃなく、ジャケット・デザインから、ライナー・ノーツまで、僕は全てに参加するので、スタッフの方々全員が仕事しやすい様に僕自身がスペースを空けるというのもアルバム作りには重要だ。口出しし過ぎるのはご法度。でも、最近の若者がCDを板で買わずにDLで購入するので、こういう作業がちょっとずつ無意味になって来てるのが寂しい。

最近のジャズのアルバムって、ライブ録音をはじめ、短時間で生々しく録るのが主流の様だ。要は、ミックスの技術力があまりに高くなりすぎて、いくらでも切り貼りが出来るし誤魔化しも効く。そうではなく、ミュージシャンが一発勝負で発揮される技量を聴かせたい!という気持ちの表れなんだと思う。でも、それならライブ会場に足を運んで戴いて、生演奏を聴いて貰った方が良いと思う。結局、CDで聴いている音は、ベースを増幅させたりして、ヘッドフォンやスピーカーで聴いて心地良いバランスになっている。つまり、「生音の様な仮想現実」を聴いていることになる。また、演奏内容がライブと同じ「ドキュメンタリー」なら、それを残す事の意義を考えてしまう。音楽家も日々成長するわけで、とある一日の日記を残すようなものだ。決してそれがいけないわけではないけれど、僕にとってそれは「ライブ」であり、アルバム制作とは意義が異なる。リスナーが、どうせ仮想現実を聴かされるのなら、僕はライブとは全く異なるものを提供したいと思うのだ。家ではライブと趣向が異なり計算し尽くされたものをCDで聴いて戴いて、ライブ会場では何が起こるか分からないドキドキ感を味わって貰いたい。これが、CD制作の時に僕がいつも考えている事だ。

(プレスティッジ盤に代表される、50年代のドキュメンタリー的ないわゆる「一発録り」にも名盤は山の様に有るけれど、演奏者の技量は勿論の事、テイク数と偶然の重なりと名曲と絶妙な曲順の上に成り立っている・・と僕は思っている。)

そういえば「Beat'n'Colors」に入ってる曲をライブで最近やってるけど、CDと内容がどんどん変わって行ってて大変刺激的だ。ライブで音楽は生き物の様に変化して行く。一方、CDの中の音楽は何度でも聴ける程の価値が無いとダメだ。僕にとってライブとは舞台演劇で、CD(アルバム)とは、やはり映画の様に臨場感と共に何度も楽しめる作品でなければならない。


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