hyakunenseis◇ry ∞

リリカルに、コミカルに、フツーに、日常いろ色。

rrj・ハウステンボス記 / ギヤマンMus.8

2021-04-29 12:43:00 | rrj
ひきつづきボヘミアングラスを。
抹茶色に艶めく磁器のような
手付水注こと...


持ち手付きピッチャー。

水を入れておき、
コップなどに注ぐ器なのでしょう。
少々の厳めしさと気品そして格調高さ...

使用もしく所有していたのは貴族かしらね。


外観のデザインも
つるんと丸いだけでなく、
面取りをほどこされてるわ。


器の首から
注ぎ口に至るまでの間が長く、
その先端はなだらかな下向きの角度。

とぽぽ...とぽ.. .と.. と. と.・°

ひとすじ出ずる水は
きれいな弧を描いてコップへと
注がれるだろう...そんな様子が思い浮かぶ。


持ち手部分。

波打つ口べりから
そのまま流麗につながって、
唐草のような模様をくねらせる...

カーヴィッドラインの細緻なこと。


肩部分にも金飾り。


そして・・・

ピッチャーのボディで一番、
盛りあがって膨らんだ
箇所に...

眼のような斑紋


これぞこの
マーブルグラス、
最大の特徴ではないでしょうか。

孔雀石の縞模様を薄めたみたい

それもそのはず、
マーブルグラスというのは
準宝石を模した彩色なんですって。

つまり斑付きで多層の色ガラス


しかもこのガラス着彩の生みの親は、
工芸家でも職人でもない
ボヘミアの発明家...

フリードリヒ・エガーマンなる人物

こんな着彩模様まで
ガラスで表現できるのね...
石から削りだし磨きあげたようだもの。

ステイニング技法というそうなの

そういう技があると知らなければ、
準宝石製の壺と言われても
信じてしまうわ。


ベースも四つ足の金細工。

どこをどう観ても、
微に入り細に入り隙なく
技巧に富んだ一級品のピッチャーよ...

感嘆のため息が漏れる

マーブルグラス=大理石ガラス
名は体を表すとはまさに...
素晴らしいのです。


*-*-*-*-*

〜 LL p.p.s 〜

なおこちら、
緊急事態宣言の前に
骨董市で見かけたピッチャー ・°


昭和レトロな冠水瓶. ∴・°

生活しながら
ガラス用品を楽しむなら、
こういうのが好みだしステキだな。
少し古い国内ガラスメーカー社製のようよ。

かわゆ&ほっこり( *´ ω ` )。°


*-*-*-*-*

rrj・ハウステンボス記 / ギヤマンMus.7

2021-04-25 10:48:00 | rrj
サビーノ独特の花瓶につづくは
ボヘミアングラスの花瓶2点、
姿のそっくりな青と赤・°

          トウジランキ            ドウアカ
( 青=透地藍被 / 赤=銅赤着彩 )


シュッとスリムで
阿吽のように並び立つ、
透地藍被と銅赤着彩...どちらも
グラヴュール彫りで鹿文花瓶(=シカモン・カビン)。


長いながいラッパ型です。

つつつつー・・・と、
末広がる口べりに向かい
胴をなぞるように観ていけば、
その曲線がすべすべと目肌に触れる心地...

優美だわ。


どうでしょうこの色合い...

銅赤は
その名が知らせるとおり、
銅で発色させた深く沈む赤。

...しっとり大人しやかな

体の奥深くを巡る血色とも似て、
尊さすら感じる
生命的な赤。

血液は鉄由来ガラスは銅由来

そこが、
似てはいても
非なる赤の成分か・°


鹿文アップ。

構図は同じでポーズが違う。
青の鹿は嘶くように跳ねあがり、
赤の鹿は立ち止まって周囲を見渡すかのよう...

まるで静と動の一対

藍被花瓶は1880年作で
銅赤花瓶は1870年作、
時に10年の開き...

10年越しで揃ったのね。

ほぼ同じ風景が描かれているのは、
自然豊かなボヘミアの伝統的な
文様だからなのでしょう。


それぞれに凝らされた
お足元のフォルムと装飾。
長身を支えるプレート面の
模様や縁どりは可愛らしくて・°


グラヴュール彫り

銅製の
回る円盤にガラス表面を
当てて彫りこむ作業なのだそう。

二つを見比べると・・・


繊細でいて力強い
彫りの微妙な力加減に、
手先や指先に集まる細やかな...

神経と集中力を察せられる思い

職人さん特有の
勘と技が表出させた、
ガラス彫刻の文様芸術なのだわ。

*-*-*-*-*

rrj・ハウステンボス記 / ギヤマンMus.6

2021-04-20 12:25:00 | rrj
ユニークなキノコランプに、
きらめき輝くだけが全てではない
ガラス工芸の幅を目の当たりにした後...

まだあったの

独特な造形。
これは一体全体...なに?
グロテスクさすら漂うただならぬ、

異形の曇りガラスその雰囲気たるや。


*-*-*-*-*

凹凸の
窪みが彫られて
やや歪みぎみの楕円パターンが、

びっしり並ぶ

それだけなのに、
どうしてこうも奇っ怪な
集合体に見えてくるのだろう。


上段は縦長に中段は横側にへと、
さも伸びたり縮んだりする
動きまで見えそう。


窪んでみえる部分...魚眼ぽいわ。


出っぱり部分。


多重の円が密に寄りあうところ、皺...皺...皺。


影の輪郭も凸凹と立体的。


独特しいのだわ・°

艶のない
青い濃淡の曇りガラスに、
単純な楕円の波紋が広がってゆく...

かなりアクの強いずんぐりむっくりボディ。


この原初風な造形・・・

悠遠の縄文時代から現代へ出土した、
太古の昔に作られし
図案の壺...

土偶的ですらあるのが面白い・°

なんといっても幾何学模様、
湧きだす想像力も十人十色に
多方面へと及んでゆくことでしょう。

制作されたのは1930年フランス、
時代はアール・デコ最盛期の
ガラス工芸家...

マリウス・エルンスト・サビーノ作...『 花瓶 』


*-*-*-*-*

rrj・ハウステンボス記 / ギヤマンMus.5

2021-04-16 23:04:00 | rrj
だいぶ旅行記から
かけ離れてしまい趣味の世界に
没頭してますこと...しばしご容赦★°

道中の
美術鑑賞も外せない
旅の見聞なのです m( .u_u. )m

.  。  ・   .  。  ・   .  。  ・

遠目に
ちぃさく映りこむ、
あのキノコ型ったら変わってる。

おもしろい造形

これまで観てきたギヤマンと、
だいぶ質感や趣きが
異なるのだわ...

お菓子の "きのこの山" みたい・°


ぽゎん. ・ぽゎわん.・°

あったまってる
ほかほかキノコ...保温中...保温中...
オレンジ色に光るよキノコの正体は、

エミール・ガレ作シクラメン文ランプ。


"galle"

キノコのともランプのとも言いつく、
頭部分のカサとふっくらした
スタンド面にサイン入り。

((・・・なぜキノコにシクラメンだろ ))

植物や昆虫その生態系と自然に、
造作モチーフを見出した
ガレの感性と表現。

((・・・お庭で育ててたのかな ))

身の回りの環境から
大自然の巡りを感知し、
また観察しつづけたといいますから。

この取り合わせはきっと・・・

ガレ独自の
芸術世界にある精神の森の奥深く...
そこにのみ生えてくる摩訶不思議の、

シクラメン茸なのかしら。


命の循環を示す
キノコモチーフをカンヴァスに、
はにかみ屋さんで内気なシクラメンの...

楚々と生長する姿

その和名は "篝火花" 。
夜明かりの花という意味を持つ
シクラメンがランプの文様なのよ、

ぴったりだわ. .。+ °


・・・しっかり充電されてます。


ランプの...キノコの...カサ裏が少し見えるよ。


花が、蕾が、茎が、葉が 、


くっきり浮き彫りに。


ガレ自ら手掛けた作品は少ないんですって。

自分の工房で雇った職人さんに
イメージやデザインを伝え、
制作された品が多いそう。

するとこのランプも
工房作品の可能性があるのね、
"監修・エミールガレ" なのかもしれません。

どちらにせよ

アールヌーヴォーの名手、
エミール・ガレ1900年の作。
この世から他界するのが1904年...

その4年前のものと思えば何か感慨深いわ。

そして私にとって、
このときがエミールガレを知る機会となり、
初めてのキノコモチーフ遭遇でもありました・°

*-*-*-*-*

rrj・ハウステンボス記 / ギヤマンMus.4

2021-04-14 19:19:00 | rrj
Mus4.は
テーブルセンターと同列の品を
展示されていたように載せていきます。

.  。  ・   .  。  ・   .  。  ・


立ち姿すらり

この中では群を抜き、
高さのある細身フォルムと
開かれた瓶口の青さが目立つ...

トウジ ランキ
透地 藍被 金彩 花瓶-。


立派だわ。

ふんだんに金彩が
ほどこされていても、
派手派手しさを感じません...

高貴にして落ちつき払っている。

窄まる首の部分から
開かれていく口のあたり、
線の流れが朝顔の花を模したよう...

すでに花瓶そのものが咲いたみたいだわ。


その花瓶の口。...ひらり青い花びら。


ボディ部分。深ずむ青...紺藍と金模様。


お足元。
少しだけ素地が見えてます...
色を被せるまえの無垢な透明ガラスちらり。


つづきまして・・・


小ぶりなれども烈しく輝く、
あの火のように真っ赤い
ギヤマンなにかしら。


まあ. ∴・°

ボトルの
首が長くてまん丸ボディ、
華麗なるフラスコ瓶という感じ。

・・・みつめる瞳をも染めそうな赤赤しさ

ガラスの赤と這いつたう金の蔓紋様が、
黒い闇と白い光りのはざまで
熾火のよう照り映える...

かゞやく熱の塊がごとく。


またまた朝顔の葉と似た蔓紋様。
藍被花瓶との並べあわせは偶然にしても、
連想が一致して結びあうのは楽しいものね・°


カップを支える厚いプレートそして脚。


うるうる潤む赤い光りと影...底に溜まってる。


1890年代-、
20世紀を迎えるまで
あと10年足らずという時代の...

キンアカ
金赤金彩リキュールセット

ガラス自体を赤く色づかせるために
加えられているのは大量の
金属の金。

ゆえに金赤と名付けられ

しかも、
この宝石のような赤を
発色させるのは至難の技なのだとか。

とても貴重な19世紀アンティーク...赤の輝き。

*-*-*-*-*