高橋悠治氏のピアノ演奏の分析(大きなことを書きすぎ)と今まで書いていたけど、どのようにしたらよいものでしょうか。よく分かりません。そこで、高橋氏とは限らず、小フーガト短調という曲そのものを見ていこうと思いました。さてどこからはじめようか、と思いながら「名曲に何を聴くか」という本を読んでいたら、調について述べているのが目に入ってきました。そうだ、調から見ていこう!
そこでテーマとなる部分「ソレ♭シーラ ソ♭シラソ♯ファラレー ソレラレシ♭シラソラレ ソレソラレラ♭シラソラレレド ♭シラソ♭シラソ♯ファラソレソラ♭シドレミ」がどのような調になって登場しているかを見てみました。登場する順に書いています。
1.ト短調
2.ニ短調
3.ト短調
4.ニ短調
5.ト短調
6.変ロ長調
7.変ロ長調
8.ハ短調
9.ト短調
調がたえまなく変わっています。曲の雰囲気もそれに応じて変化しているはずです。どのように変わっているかもっとみてみると、調性の変化にはきまりが見られます。臨時記号も♭と一貫しているうえに属調、下属調、平行調という動きになっており、無理のない変化になっています。ちなみに完全5度上の調を「属調」、完全5度下の調を「下属調」、調号が同じで別種の調を「平行調」といいます。(青島広志著「やさしくわかる楽典」より引用)
1.ト短調
2.ニ短調 1.ト短調から5度上がる 属調
3.ト短調 2.ニ短調から5度下がる 下属調
4.ニ短調 3.ト短調から5度上がる 属調
5.ト短調 4.ニ短調から5度下がる 下属調
6.変ロ長調 5.ト短調と調号が同じの長調 平行調
7.変ロ長調 6.変ロ長調と同じ
8.ハ短調 1.ト短調から5度下がる
9.ト短調 8.ハ短調から5度上がる
5度上がる、5度下がる、という動きは「名曲に何を聴くか」によると古典的な転調によくみられるとありました。確かにバッハの平均律2番のフーガ(今少し弾いているので)もハ短調からト短調へと5度上がる動きをしていました。ちなみにロマン派の曲には、3度の動きがみられ、表現を深くしていることが多いとありました。
属調、下属調についても非常に興味深いことが書いてありました。シューベルトの歌曲「野ばら」の、ト長調からニ長調への変化、属調への変化を例に出し、もともとの主調から5度上の属調への変化は「緊張」を、主調から5度下への下属調への変化を「弛緩」をもたらすと述べています。たしかに「野ばら」がニ長調へと変わった瞬間、緊張感、高揚感が増しています。転調が大きな役割を果たしているよい例です。
しかし、短調の場合はどうなのでしょうか。ト短調からニ短調への動きから「緊張」が感じ取られるでしょうか?ト短調からハ短調への動きは「弛緩」だといえるのでしょうか?ちょっと保留にしておきます。
ちなみにそれぞれの調の個性について、青島広志氏は「やさしくわかる楽典」で面白いことを書いていました。割り切りすぎ、とも言われるかもしれませんが、こういう試みには興味がひかれます。(以下引用)
ト短調 深く透明な悲しさをたたえています。モーツァルトのト短調は死を予感させる調として有名です。
例 モーツァルト 交響曲第25番、第40番
ニ短調 素朴で、ひなびた味わいを持ちます。木管楽器に適する調です。
例 ビゼー 歌劇「カルメン」 「ハバネラ」
変ロ長調 クラリネットに用いられる調で、多少くすんではいますが、滑らかな動きに適する調です。
例 シューベルト 劇音楽 ロザムンデ 間奏曲第3番
ハ短調 最も荘重で、悲劇的な調です。ベートーヴェンが好んだ調として有名です。
例 交響曲第5番 運命
小フーガ、おわりから2番目である8番目にハ短調が登場していることは注目に値します。この部分から荘厳な雰囲気が強くなって最も盛り上がる部分がやってきます。
ほかにテーマについてはリズムの微妙な変化など、他にも気になることがあるのですが、今回はここまでにします。
なによりも、調について調べてみるとなにかがつかめてくる、というのが分かってよかったです。他の曲でも応用できそうな気がしました。
そこでテーマとなる部分「ソレ♭シーラ ソ♭シラソ♯ファラレー ソレラレシ♭シラソラレ ソレソラレラ♭シラソラレレド ♭シラソ♭シラソ♯ファラソレソラ♭シドレミ」がどのような調になって登場しているかを見てみました。登場する順に書いています。
1.ト短調
2.ニ短調
3.ト短調
4.ニ短調
5.ト短調
6.変ロ長調
7.変ロ長調
8.ハ短調
9.ト短調
調がたえまなく変わっています。曲の雰囲気もそれに応じて変化しているはずです。どのように変わっているかもっとみてみると、調性の変化にはきまりが見られます。臨時記号も♭と一貫しているうえに属調、下属調、平行調という動きになっており、無理のない変化になっています。ちなみに完全5度上の調を「属調」、完全5度下の調を「下属調」、調号が同じで別種の調を「平行調」といいます。(青島広志著「やさしくわかる楽典」より引用)
1.ト短調
2.ニ短調 1.ト短調から5度上がる 属調
3.ト短調 2.ニ短調から5度下がる 下属調
4.ニ短調 3.ト短調から5度上がる 属調
5.ト短調 4.ニ短調から5度下がる 下属調
6.変ロ長調 5.ト短調と調号が同じの長調 平行調
7.変ロ長調 6.変ロ長調と同じ
8.ハ短調 1.ト短調から5度下がる
9.ト短調 8.ハ短調から5度上がる
5度上がる、5度下がる、という動きは「名曲に何を聴くか」によると古典的な転調によくみられるとありました。確かにバッハの平均律2番のフーガ(今少し弾いているので)もハ短調からト短調へと5度上がる動きをしていました。ちなみにロマン派の曲には、3度の動きがみられ、表現を深くしていることが多いとありました。
属調、下属調についても非常に興味深いことが書いてありました。シューベルトの歌曲「野ばら」の、ト長調からニ長調への変化、属調への変化を例に出し、もともとの主調から5度上の属調への変化は「緊張」を、主調から5度下への下属調への変化を「弛緩」をもたらすと述べています。たしかに「野ばら」がニ長調へと変わった瞬間、緊張感、高揚感が増しています。転調が大きな役割を果たしているよい例です。
しかし、短調の場合はどうなのでしょうか。ト短調からニ短調への動きから「緊張」が感じ取られるでしょうか?ト短調からハ短調への動きは「弛緩」だといえるのでしょうか?ちょっと保留にしておきます。
ちなみにそれぞれの調の個性について、青島広志氏は「やさしくわかる楽典」で面白いことを書いていました。割り切りすぎ、とも言われるかもしれませんが、こういう試みには興味がひかれます。(以下引用)
ト短調 深く透明な悲しさをたたえています。モーツァルトのト短調は死を予感させる調として有名です。
例 モーツァルト 交響曲第25番、第40番
ニ短調 素朴で、ひなびた味わいを持ちます。木管楽器に適する調です。
例 ビゼー 歌劇「カルメン」 「ハバネラ」
変ロ長調 クラリネットに用いられる調で、多少くすんではいますが、滑らかな動きに適する調です。
例 シューベルト 劇音楽 ロザムンデ 間奏曲第3番
ハ短調 最も荘重で、悲劇的な調です。ベートーヴェンが好んだ調として有名です。
例 交響曲第5番 運命
小フーガ、おわりから2番目である8番目にハ短調が登場していることは注目に値します。この部分から荘厳な雰囲気が強くなって最も盛り上がる部分がやってきます。
ほかにテーマについてはリズムの微妙な変化など、他にも気になることがあるのですが、今回はここまでにします。
なによりも、調について調べてみるとなにかがつかめてくる、というのが分かってよかったです。他の曲でも応用できそうな気がしました。
この課題、いきなりでびっくりしましたが、面白そうだと思って早速あたってみました。すべての曲が5度上の属調に転調していましたね(^^)