逍遥日記

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トランプ大統領の貿易戦争と世界の経済・政治

2018-08-26 10:32:12 | 経済
トランプ大統領の貿易戦争と世界の経済・政治
和洋女子大学国際学科教授、山下景秋

世界全体をモノやカネが自由に移動するグローバル化が進んだ現代においては、各国が独自に行う財政政策や金融政策の効果は小さくなっている。一国独自の貿易政策も同様である。また、現代の社会問題の多くは、政治と経済が密接に関係しあっている問題である。
1.トランプ大統領の貿易戦争
トランプ大統領が仕掛けた貿易戦争は、モノやカネが自由に移動する、グローバル化が進んだ現代においては、思ったほどの効果がないと昨日25日のブログで述べた。注意しなくてはならないのは、輸入制限による貿易戦争により新興国の輸出が困難になると、新興国はドルを稼げなくなり、通貨安の進行と合わせて外国からの借金の返済ができなくなるということだ。このような事情は、トルコだけでなく中国も同様である。
通貨安の進行が行き過ぎて通貨が暴落したり、外国からの借金の返済が滞ると、通貨危機や金融危機を引き起こす危険性があることに注意しなくてはならない。そして、そのような経済危機はアメリカ経済にも深刻な影響を及ぼすことをトランプ大統領は認識すべきだ。(ただし、軽度の通貨安の進行は、輸出が有利になり、トルコのような観光国では外国人観光客が増えるというプラスの効果もある)

2.北朝鮮問題と中国

 中国は、すでに国内の企業や地方政府が借金を返せないという問題を抱えている。さらに、このような世界情勢のなかで外国からの借金の返済が難しくなるだけでなく、一帯一路構想の下で貸したドルを返してくれないという問題も生じ始めている。
 中国の行き過ぎた覇権が新植民地主義であると他国から批判され始めている状況に加えて、トランプ大統領が仕掛けた貿易戦争によりますます中国経済が悪化する可能性もあるという問題が付け加わった。
 中国の習近平主席の拡大主義が、周辺諸国だけでなくアメリカの反発を呼び起こした。中国の長老のなかにはその責任を問う者もいると伝えられている。
 そこで、習近平主席は、アメリカとの貿易戦争を回避する方法として、北朝鮮を支援する姿勢をちらつかせている。これが、非核化の点で北朝鮮がアメリカに譲歩しない1つの理由になっている。
 北朝鮮問題でアメリカと中国が協力しないと効果がないということは、私が以前にツイートで何度も指摘したことだ。アメリカとの貿易戦争で苦慮している習近平主席は、意図的に北朝鮮を支援する姿勢を見せることにより、アメリカと取引したいはずだ。
アメリカが北朝鮮問題で中国に協力してほしいなら、中国との貿易戦争をひっこめたらどうかというはずだ。
 トランプ大統領は、貿易戦争を終息させることにより、世界の経済危機と北朝鮮問題を同時に回避・解決する方向にもっていくべきだ。

#トランプ #貿易戦争 #トルコ #中国 #北朝鮮


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