時には、旅の日常

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2015 バスク・バルセロナ紀行-38~サグラダ・ファミリア<2>

2016-11-15 22:22:31 | スペイン
 サグラダ・ファミリアの塔の上から地上へと戻り、再び教会堂内を、見て回ります。

 <<2015 バスク・バルセロナ紀行-37>

 広い堂内には、夥しい数の、個性的な装飾が施されていて目を引くのですが、私が最も魅かれたのは、これも数多く嵌め込まれたステンドグラスを通して射し込む、「光の色彩美」でした。
 陽光が、ステンドグラスの様々な色彩を帯びて道内へと射し込み、カラフルに染め上げる光景は、神々しさそのものにも通じる、幻想的な美しさ!

 巧みな光の扱いに感嘆しながら、「光の芸術」の妙に魅了されていました。

 <サグラダ・ファミリア(公式サイト)>
 <サグラダ・ファミリア(Wikipedia)>

 記事中の画像クリックで、別ウィンドウが開きます。


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 途中で立ち止まって、景色を眺めたりもしましたが、10分弱程の時間を掛けて、恐ろしく急な螺旋階段を、塔の上から下りてきました;

 最後の一団を下り切った瞬間、「これでもう、転げ落ちる心配がなくなった!」と、心の底から安堵したものでしたw
 この、末端部の階段の角度を見ても、急な階段であることがお分かりになると思います。



 無事に塔の上から、戻ってきました。
 狭い螺旋階段の区画から、仕切りの扉を抜けて、教会堂内へと出ると、視界が一挙に広がります!

 再び、堂内の見学を始めるとしましょう。
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 堂内の天井近くは明るく、床近くは暗く。
 明暗のコントラストを、敢えて際立たせているかのような空間が、広がります。

 建材もまた、上部は白色の、光をより反射して明るく輝くような色のものを、下部は明るさを抑えた色調のものを配していて、人間の情緒に神秘性を、より効果的に訴え掛けてくるような雰囲気に、満ちていました。

 手前の柱には、ステンドグラスを透過した光が当たり、幻想的な色彩で、観る者を魅了していました(私もその一人)。



 バラ窓に嵌った、ステンドグラス。

 教会のステンドグラスは、聖書の場面等を意匠化したものが多いですが、このステンドグラスは、抽象的なデザインに見えますね。
 光の当たっていない時には、不思議な立体感を感じることのできる、ステンドグラスです。



 こちらは、反対側の、陽の当たっている側に面したステンドグラス。
 燦々と降り注ぐ陽光を受けて、まるで燃え上がっているかのような強烈な輝きを、放っています!

 堂内の壁面にも、バラ窓に合わせて放射状に凹凸が付けられていて、視覚的に光線が広がっていくように見えます。

 ステンドグラスの左側の壁が、緑から朱色へのグラデーションに染まっていますが、これも、外から射しこんでくる光によるものです。
 サグラダ・ファミリア(Sagrada Família)は、「光の教会」でもありました。



 祭壇も一風変わっている、サグラダ・ファミリア。

 イエスの十字架の上には、黄金の覆いが。
 壇を囲むように林立している柱が、くすんだ色をしているので、その鮮やかな色彩が、より浮き上がるように強調されて、視界へ飛び込んできます。



 どこか、生物の脊椎を思わせるような、サグラダ・ファミリアの天井の装飾。

 1つ1つ複雑な模様の装飾を連続して多数配置し、天井一面にわたり、精緻な装飾で満たされている様子は、正に圧巻な眺めです!
 白の中に、橙系の暖色を加えていることで、温もりのような暖かさも感じ取ることができました。



 堂内も、場所により、光の按配が微妙に異なり、祭壇周りでは、このように厳かな雰囲気が、明暗のコントラストによって、巧みに演出されています。

 十字架の直上の、大きな明かり取りの天窓から降り注ぐ、大量の光線は、正に「救いの光明」といった趣を、感情に訴えてきますね。



 前衛的ながらも、規則的、幾何学的に並べられている、天井の装飾。

 その整然とした、美しい並びが作り上げる壮大な文様は、どれだけ眺め続けていても、見飽きることがありませんでした。
 首が疲れてくるまで、上を向き続けていましたw



 光の当たる側は、このようにステンドグラスの悉くが眩い光を放って、壁一面を素晴らしいグラデーションに染め上げます!

 「この世のものとは思えない美しさ」という思いを、大袈裟でもなんでもなく、自然と心に抱いてしまう…そのような光景でした。



 祭壇の真上の、光が降り注ぐ大きな天窓。
 視覚的な効果もあり、ついつい視線を遣ってしまう、印象的な配置です。

 光と影とが作り上げる、立体的な幻影効果の巧みさに、ここでも息を呑んで、唯々見つめているばかりでした!



 祭壇から離れると、両側の壁一面にステンドグラスが配されて、祭壇周りとは対照的に、明るく開放的な雰囲気に満たされます。

 人々の身長と比較して、教会堂の天井がいかに高いか、改めて実感しました。



 光の射し込むステンドグラスに相対している柱は、このように、ステンドグラスからの鮮やかな色彩を、見事に投影されています!

 眼の前で繰り広げられる、光の饗宴…目を向けた先にあるものが、ここまで悉く色彩豊かに輝くという体験は初めてであり、感銘を受けました。



 先程の、光が降り注ぐ大きな明かり取りの光景に、十字架のイエスを入れてみると、また趣のあるアングルに…。
 本当に、イエスが昇天していくように見える、巧みな配置ですね。

 もうすっかり、光の生み出す幻惑の虜となって、夢中でコンデジのシャッターを切っていました。



 サグラダ・ファミリアでは、「生誕のファサード」と共に、「アントニ・ガウディの作品群」としてユネスコの世界遺産に登録されている、ガウディ(Antoni Plàcid Guillem Gaudí i Cornet)が直接手掛けた地下聖堂。
 地上階の教会堂内からも、このように僅かではありますが、祭壇の辺りを眺めることができます。

 この地下聖堂は、ミサのある時には、誰でも入ることができる、とのことです。
 有料チケット保持者用の入口とは別の、専用の入口(「受難のファサード」側にあります)から、入ることができるそうです。
 地下聖堂には、ガウディも葬られていて、彼の墓があります。



 圧巻としか言いようのなかった、光の織りなす眺め。
 ここまで鮮やかに、ステンドグラスの色が投影されるものとは、夢にも思いませんでした!

 少し離れた場所から一望すると、鮮やかに染まった周囲の様子も併せて一望することができて、色彩のコントラストの素晴らしさに、視線が釘付けとなってしまいました。
 柱の周囲に佇んでいる人々もきっと、この光のシャワーの光景を、感動の心をもって眺めていることでしょう。

 モデルニスモの個性的な建築様式が注目されるサグラダ・ファミリアですが、私が最も魅せられたのは、この光の巧みなアレンジでした。
 「光の教会」として、私の記憶には鮮明に刻み込まれました。
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 光の芸術にすっかり魅せられた時間を過ごしたサグラダ・ファミリア…そろそろ、別れを告げる頃合いとなりました。
 入場した、「生誕のファサード」とは反対側の西側にある、「受難のファサード」をくぐって、教会の外へ出ます。

 雲一つない、抜けるような晩秋の蒼天。
 堂内を(ステンドグラスの)多彩な色に染めた陽光が、外では透明な輝きで、清々しく降り注いでいました。



 サグラダ・ファミリアの、「受難のファサード」を仰ぎ見ます。

 「生誕のファサード」とは対照的に、現代的な意匠の彫刻で、イエスの受難の場面を表現しています。
 直線的な作風が、厳しい場面をよりシビアに感じさせているような印象を受けました。

 「受難のファサード」から、出口のゲートを通り、敷地の外へ。



 サグラダ・ファミリアを辞去したものの、すぐに立ち去るのも名残惜しく、入場前と同様に、その敷地の周囲を、ぐるりと一周。
 「生誕のファサード」前にも今一度立ち寄り、別れを告げます。

 本当に、夢を見ているような、幻想的な光の眺めに魅了された、素敵な体験ができた、サグラダ・ファミリア。
 公式発表通りに工事が進捗すれば、完成は2026年。
 今後もまだまだ、多くの塔が建設されるようで、完成の暁には、また是非訪れて、その威容と、素晴らしい光の芸術を、改めて肌で感じてみたいものです。

 <2015 バスク・バルセロナ紀行-39>>



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2 コメント

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Unknown (タヌ子)
2016-11-16 08:22:42
サグラダファミリアを訪れたのは30年ぐらい前。
教会前で記念撮影をしたのは覚えているけれど、内部の記憶が殆どないのです(汗)
お天気の良い日だったので、光の芸術を楽しめたはずなのに、あまり記憶に残っていないということは、多分まだ内部の見学がかなり制限されていたのだと思います。
完成まであと10年。
なんとか元気で完成した姿を見てみたい。
完成後1年ぐらいは見学は恐らく完全予約制になりそうだけど、お天気の悪い日に当たってしまったら泣くに泣けませんね。
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タヌ子さん。 (taろう)
2016-11-16 23:14:19
サグラダ・ファミリアの進捗が加速したのは、最近の5~6年程前あたりからではないでしょうか。
2010年に前の教皇がミサを執り行ったそうで、その訪問に間に合うよう、急ピッチで内部の建設が進んだという話を聞いたことがあります。
贖罪教会ということで、寄付が集まらないと、建設が進まなかったことが、中々完成しなかった最大の理由なのでしょう。
技術も進歩し、昨今の訪問者の激増による収入増で、上手くいけば10年後の完成とは…私たちが生きているうちに、完成した姿を拝むことができそうですね♪
その時には、また凄い人なのだろうけれど、私も実際にこの目で見てみたいです!
ステンドグラスの効果が、こんなに美しく映えるとは、今回訪れてみて、最大の驚きでした。
タヌ子さんの訪れるであろう日が、雲一つない快晴でありますように^^
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