時には、旅の日常

管理人:taろう/旅先で撮ったスナップにコメントを添えて、他にも気の向いた事を綴っていきます。

帰省を兼ねた賢島プチ旅-01~京都→賢島 近鉄・観光特急しまかぜの旅

2022-10-24 20:41:03 | 近畿/日本
三重県四日市市の実家へ帰省の折、いつもどおり京都から真直ぐに帰るのもつまらないので、志摩半島の観光スポットである賢島へ寄り道して、四日市へ帰省しました。

京都から賢島へは、近鉄が直通の特急を一日数本運転していて、そのうちの一本(特定曜日を除く)は、一般の特急車両よりも設備をグレードアップした車両の「しまかぜ」が充てられています。

2013年の登場(京都発着は2014年から)以来10年近くが経過した今日なお高い人気を維持し続けている「しまかぜ」ですが、今回運よく帰省の日のチケットを入手することができたので、関西からも近く実家と同県内にもかかわらず、これまで意外と訪れる機会もほとんどなかった賢島へ、近鉄が誇るプレミアムな観光特急の旅を楽しむことにしました。

<観光特急しまかぜ>


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東海道新幹線の改札正面に位置している、近鉄の京都駅。
今回の旅は、ここからのスタートです。

お盆過ぎの8月下旬でしたが、まだまだ夏休み期間中のせいか、大勢の人が行き交っていました。



10時ちょうど出発の、賢島行特急しまかぜ、入線してきました。
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鋭角的な流線形状の、直線的でシャープなルックス。
前照灯が点灯していると、精悍な表情が一層引き締まり、シャープで恰好いい顔つきになりますね。



眺める場所や角度によって、印象も随分変わる車両です。
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先頭車両は、車内からの展望性を重視したハイデッカーで、眺望を楽しむために窓も大きく、正面上部にもガラスが配されて、おでこが広く見えますw



賢島方の1号車から確保した自席のある最後部の6号車まで、車内を観察。
しまかぜは6両編成で、編成両端の2両(1,2,5,6号車)が横3列配置のプレミアムシート、3号車がカフェ車両、4号車が個室やサロン席のグループ席車両となっています。

3号車のカフェ車両は、イートインスペースが2階建てで、片側が車両を通り抜けできる通路となっています。
通路天井は、2階まで吹き抜けの構造です。



流れる風景を楽しめるように、窓を向いた席が並ぶカフェ。
見通しの良い2階には、13席が一列に並びます。

カフェや食堂車といった専用の車両を連結する列車は今日、大変貴重な存在。
出発後にぜひ、この貴重な機会を楽しもうと思います♪



開放的な2階席に対して、落ち着いた雰囲気が漂い、ゆったりと寛げそうな1階席。
こちらには、2階席の半分以下の6席が配されて、隠れ家感を楽しめそうです。

次の画像と合わせて、京都駅停車中に撮影できなかったので、出発後の走行中に撮影しました。



1階は、低い目線で地上スレスレを滑るように流れゆく景色の迫力を感じることができます。
また、普通の1階建ての車両よりも低い位置にあるので、見慣れた景色でも、見上げるアングルで日頃とは異なる見え方を堪能することもできそうですね。

1階席は、通路へと上がる階段との境に扉があり、仕切って個室とすることもできるようです。



カフェ車両の車端部に設置された手洗いと、トイレ付き車両にあるパウダールーム。

カフェ車両の手洗いはポップな意匠で、トイレ付き車両に設置されているものとはかなり雰囲気が異なります。
トイレ付き車両(6両編成中3両)にもれなく設置されたパウダールームは、女性客からの要望が多かったとのことです。

しまかぜの車両は、製造にあたり広範なマーケティングリサーチを実施し、寄せられた多くの要望に応えた車両となっています。



4号車のグループ席車両。
掘りごたつの床の和風個室と、明るいリビングのような洋風個室が1室ずつと、ヨーロッパのコンパートメント席を彷彿とさせるセミコンパートメントのサロン席が3室あります。

個室は定員4名で3名から、サロン席は定員6名で4名から利用可能です。



2号車と5号車は、床面が通常の高さとなっているプレミアムシート席の車両。
横1席+2席の3席配列で、シートピッチもゆとりの125cmと、快適に過ごせるシートです。

ハイデッカーとなっている1号車と6号車も、シートは2号車、5号車と同じプレミアムシートとなっています。

このように、しまかぜは座席はプレミアムシートと個室のみでカフェ連結という、近鉄特急のフラッグシップ的存在として相応しいプレミアムな構成の編成となっています。



最後部の6号車デッキ部分まで来ました。
デッキの床面は、天然御影石!
また、無料のロッカーも設置されています。

編成両端の先頭車両は、床面が通常の車両よりも72cm高いハイデッカーとなっているため、客室出入口には階段が設けられています。



1号車と6号車の最前列は、このように前方の展望を満喫できる仕様となっています。
客室がハイデッカーとなっているため、床面が平床の運転台よりも72cm高く、進行方向左側となる2列席からも、正面を流れるシーンを存分に楽しむことができます。

因みに、京都駅停車中には、自席のある6号車ハイデッカー車両客室の撮影を、すっかり失念していました。



さて、定刻の10時ちょうどに、しまかぜは京都を出発、賢島を目指す旅が始まります!

各シートには、カフェ車両での食事や、車内販売の案内も用意されています。
カフェは、京都を出発して少し経ってから、営業開始の案内放送がありました。
…が、続けて衝撃的な放送が…!!
何とこの列車に限ってこの日、スタッフの遣り繰りがつかずに、カフェでの食事は提供されないとのこと(T_T)
慢性的な人手不足に加えて、コロナ禍や盆明けのシフト等々、様々な要因が不幸にして重なってしまったのでしょうね…残念ですが、このしまかぜでの食事は諦める他ありません。
ただ、スイーツ類は提供可能とのことであったので、スイーツをいただくことにしました。



座席では、アテンダントさんから、京都出発後程なく、しまかぜ仕様のおしぼりとしまかぜ記念乗車証をいただきました^^

おしぼりの包装には、シッカリとしまかぜのロゴが記されています。
記念乗車証共々、こうしたちょっとした心配りもまた、非日常の旅の気分を盛り上げてくれます。



営業開始後早速、カフェ車両へ。
この日のしまかぜも、座席はほぼ満席状態であったため、早目にカフェ車両に赴きましたが、幸いまだ先客が一組あっただけでした。

眺めの良い2階席で、スイーツをオーダーし、目の前に広がる田園風景を眺めながら待ちます。
やはり普段の列車よりも目線が高く、遠くまで良く見渡せますね。



季節毎に変わるスイーツセットです。
イチゴが美味しそう(^г^)
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甘酸っぱいイチゴ、生クリーム&ケーキのスポンジの優しい甘味…無敵の組み合わせですね!
しまかぜが走る近鉄沿線の三重県鳥羽市にある菓子メーカー「ブランカ」のお菓子、貝の形をしたマドレーヌである「シェル・レーヌ」も付いてきて、得した気分w



流れゆく景色を肴に、美味しいケーキに舌鼓を打ち、有機栽培コーヒーも味わう…何とも優雅な気分にさせてくれる、しまかぜのカフェ車両です。

ゆっくり寛ぎながら、美味しいスイーツセットをいただき、時間の経過と共に、徐々に席が埋まりつつあったカフェを後にしました。



近鉄特急ではお馴染みの喫煙コーナー、しまかぜにも設けられています。
流石は近鉄、喫煙者にも優しい鉄道会社です。



自席でも、すっかり寛ぎモードw
シートピッチ125cmの恩恵を、満喫です!

プレミアムシートには、レッグレストが付いています。
京都から賢島まで2時間を超える長い行程、深く倒れるリクライニングとレッグレストで、体と足とを存分に延ばすことができます♪



すれ違う電車を見て、床面の高さ72cmの差を実感。
床や窓の位置、座席の高さや目線の違い等、ハイデッカーでも相当に高い位置に床面があることが分かりました。
対向電車の屋根まで見渡せるのには、驚きました!

床が高いだけでなく、窓も大きくとられていて、座席の肘掛けのあたりが窓枠の下部分というワイドビュー仕様です。



しまかぜは、京都駅から京都線、橿原線で奈良県橿原市の大和八木駅まで一路南下した後、大和八木駅で大阪と三重県とを結んでいる大阪線へ合流し、進行方向を東へ変えて疾走します。

奈良県内の山間を駆け抜け…



大阪線が三重県に入って最初の街である名張市を流れる名張川を渡り…



大阪からの大阪線と名古屋からの名古屋線とが合流するジャンクションである、伊勢中川駅を通過し…



松阪駅の手前では、三重県から和歌山県に跨る紀伊半島沿岸を走るJR紀勢本線をオーバークロスし…



宮川を渡ると間もなく、しまかぜでは大和八木駅の次の停車駅である、伊勢市駅に到着します。



京都を10時に出発して約2時間、12時1分に伊勢市へ到着しました。
しまかぜに乗車すると、京都から4つ目の停車駅で、3つ目の停車駅の大和八木から100kmの距離を、1時間以上ノンストップで走り抜いてきました。

伊勢市駅は、近鉄では僅か600m東隣の宇治山田と共に、三重県伊勢市の主要駅となっています。
伊勢市駅と宇治山田駅は伊勢神宮の外宮への最寄り駅でもあり、満席状態であった車内も、宇治山田出発後は半分以上が空席となりました。



宇治山田を出発し、次の駅五十鈴川を通過後に跨いだこの道路の行く手に、伊勢神宮内宮があります。

しまかぜは、鳥羽へ向けて、志摩半島を更に東へと進みます。



鳥羽到着の直前に、初めて海を車窓から間近に眺めることができます。
志摩半島の沿岸は、複雑に入り組んだ地形が特徴で、風光明媚な景観となっています。

伊勢志摩エリアでは、海の近くを走っているイメージの近鉄路線ですが、意外にも海を眼前に見渡すことのできる区間は、非常に少ないです。



鳥羽では、少なくなっていた乗客のほとんどが下車してしまいました。

自席のある6号車の車内も、このとおり回送列車状態。。。
京都駅停車中に撮影しそびれた、ハイデッカー車両の車内です。
車内からの、抜群の眺望性がお分かりになるかと思います。

鳥羽出発後、6号車の乗客は私を含めて3名のみでした。
もっと多くの人が賢島方面へ向かうと思っていたので、意外な現実でした。
伊勢志摩方面への観光客は、神宮擁する伊勢がメインとなっているようですね。



列車最後尾から、後方へと流れる線路を眺めています。

鳥羽~賢島の区間はカーブも多く、鳥羽までは最高時速130kmの俊足性能を生かした走りを披露してきたしまかぜも、鳥羽を過ぎると巨体を屈めるようにして急カーブをゆっくり、窮屈そうに通過していました。



近鉄が開発した複合リゾート施設、「志摩スペイン村」の中核となるテーマパークの「パルケエスパーニャ」を、車窓から眺めることもできます。
眺められる場所に差し掛かると、車内では案内放送までしてくれます。

手前の田んぼとテーマパークの建造物群との、景観的なミスマッチ感が中々…;;
パルケエスパーニャへは、賢島行しまかぜで最後の途中停車駅の鵜方から、バスが運行されています。



その最後の途中停車駅の鵜方を出発して、いよいよラストスパート。

賢島駅の直前に架かるこの橋の下は、小さな川にも見えますが、これは海です。
「賢島」の名のとおり、賢島はれっきとした島であり、しまかぜの終点である賢島駅は、駅名と同名の島の中にあります。
しまかぜを含む、賢島行の近鉄電車は全て、「海を渡る電車」であったということですね!



12時47分、しまかぜは定刻どおり終着駅の賢島へ到着しました。
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京都から195.2kmの距離を駆け抜けた所要時間は、2時間47分。
この、京都~賢島の走行距離195.2kmは、JRを除く私鉄特急では、日本最長距離となります。

私鉄特急最長距離の行程を、充実したプレミアムな移動で堪能できた、快適なしまかぜの旅路でした!



京都からのしまかぜが到着したこの時間、近鉄の3つの特急型車両が賢島駅で揃い踏み。
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画像右が京都から乗車してきたしまかぜで、中央はしまかぜ登場まで伊勢志摩方面への特急のフラッグシップ的存在であった車両「伊勢志摩ライナー」、左は「ACE」の愛称を持つ汎用型特急車両です。
多彩な形や塗装の、ハイグレードな車両が多いのも、近鉄特急の魅力です。



しまかぜの顔は、正面から見ると斜め方向から見た時の精悍な顔つきから、かなり印象が変わりますね!
それだけ、しまかぜの先頭部形状が、多面を組み合わせて構成されているという証ですね。

全てにおいて、個性が際立つしまかぜクンですw



しまかぜの先頭部を横から眺めると、その特異な形状がより一層露わとなります。
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多面を組み合わせた形状ながら、奥に停車している伊勢志摩ライナーと比較して、曲線的に角度を変えている流線形状という芸の細かさ…複雑に角度を付けている正面のマスクの様子も、よく分かります。
しまかぜに注ぎ込んだ、近鉄の気合の入れ具合の半端なさを、ヒシヒシと感じました。



しまかぜから降り立った、賢島駅。
伊勢志摩国立公園の拠点の一つに相応しい、優美な雰囲気を纏う駅です。
駅前には、2016年に賢島で開催された伊勢志摩サミット(第42回先進国首脳会議)を記念した碑が建てられ、人々を迎えています。

せっかく訪れた賢島では、折り返しまでの束の間、風光明媚な海の風景を眺めに行きます。

<帰省を兼ねた賢島プチ旅-02>>

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しまかぜの特急券は、近鉄のオンラインチケットレスで購入しました。

しまかぜの特急料金には、レギュラーの特急料金に加え、しまかぜ特別車両料金が加算されます。
京都→賢島の特急料金は3,090円で、乗車券2,590円と合わせると、片道5,680円となりますが、これで約200kmの距離を2時間以上JRのグリーン車を超える快適さで過ごすことができ食堂車(カフェ)まであるのですから、十分にリーズナブルであると思います。

因みに、しまかぜには京都発着の他に、大阪難波発着や名古屋発着もあり、これらは京都発着と比べて距離は短いので、料金も若干安くなります。



プレミアムな観光特急に相応しく、しまかぜは車内Wi-Fiも完備し、Wi-Fi接続すると運転台に設置されたカメラからの前方及び後方の走行映像をリアルタイムで視聴することができます。
先頭車両最前列の座席を確保できなくても、自席にいながらにして最前列で前方後方展望かぶり付きの気分に浸れますw

しまかぜは、乗車自体が目的となる列車であるということも、コンセプトの一つになっています。
快適な設備と新しい技術を上手に運用して、しまかぜ登場以来10年近くを経てなお高い人気を保ち続けている(切符が取りにくい)現状が、そのコンセプトを実現できていることを証明しています。

鉄道会社にとってもこの先非常に厳しい時期が続くと思われますが、沿線近くに住み、実家もある者の一人として、近鉄の動向にはこれからも期待していきたいと思います。



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