日韓往来 [Journal Korea]

いま・ここ・実感から=はらだブログ
「現在──過去・未来」

「日韓」にかかわる 2010 総理談話

2010-08-15 11:38:01 | 日々
 内閣総理大臣談話

                      平成二十二年八月十日 

 本年は、日韓関係にとって大きな節目の年です。ちょうど百年前の八月、日韓併合条約が締結され、以後三十六年に及ぶ植民地支配が始まりました。三・一独立運動などの激しい抵抗にも示されたとおり、政治的・軍事的背景の下、当時の韓国の人々は、その意に反して行われた植民地支配によって、国と文化を奪われ、民族の誇りを深く傷付けられました。

 私は、歴史に対して誠実に向き合いたいと思います。歴史の事実を直視する勇気とそれを受け止める謙虚さを持ち、自らの過ちを省みることに率直でありたいと思います。痛みを与えた側は忘れやすく、与えられた側はそれを容易に忘れることは出来ないものです。この植民地支配がもたらした多大の損害と苦痛に対し、ここに改めて痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明いたします。

 このような認識の下、これからの百年を見据え、未来志向の日韓関係を構築していきます。また、これまで行ってきたいわゆる在サハリン韓国人支援、朝鮮半島出身者の遺骨返還支援といった人道的な協力を今後とも誠実に実施していきます。さらに、日本が統治していた期間に朝鮮総督府を経由してもたらされ、日本政府が保管している朝鮮王朝儀軌等の朝鮮半島由来の貴重な図書について、韓国の人々の期待に応えて近くこれらをお渡ししたいと思います。

 日本と韓国は、二千年来の活発な文化の交流や人の往来を通じ、世界に誇る素晴らしい文化と伝統を深く共有しています。さらに、今日の両国の交流は極めて重層的かつ広範多岐にわたり、両国の国民が互いに抱く親近感と友情はかつてないほど強くなっております。また、両国の経済関係や人的交流の規模は国交正常化以来飛躍的に拡大し、互いに切磋琢磨しながら、その結び付きは極めて強固なものとなっています。

 日韓両国は、今この二十一世紀において、民主主義や自由、市場経済といった価値を共有する最も重要で緊密な隣国同士となっています。それは、二国間関係にとどまらず、将来の東アジア共同体の構築をも念頭に置いたこの地域の平和と安定、世界経済の成長と発展、そして、核軍縮や気候変動、貧困や平和構築といった地球規模の課題まで、幅広く地域と世界の平和と繁栄のために協力してリーダーシップを発揮するパートナーの関係です。

 私は、この大きな歴史の節目に、日韓両国の絆がより深く、より固いものとなることを強く希求するとともに、両国間の未来をひらくために不断の努力を惜しまない決意を表明いたします。

──
2010 日韓総理談話について(はらだ)

▽韓国併合100年を期に公的に・政治的に、こうした「総理談話」を出す意味、意思があったということだろう。
▽日韓基本条約(1965)、戦後50年総理談話(1995)、日朝平壌宣言(2002)、日韓共同宣言(2008)につづくものだ。
▽併合100年、歴史的認識についての内外調整、つぎの行動のために、こうした国としての政治的、外交的な決着、意思表明は行われるのだろう。
▽当然、韓国政府や関係者との間で、下準備をかさねた、文言調整が行われたに違いない。
▽韓国大統領、政府はこれを評価した。

▽日韓では、実体的な、大衆的往来と接近、経験が大規模にすすんでいる。
▽いま、「日韓関係」(北朝鮮にもおよぶ)は、国家的・政治的次元と、ひとびとの社会的・文化的次元とわけるなら、それぞれの実態、変容、蓄積、見通しをくわしく見ないと間違う。
▽市民的、文化的な相互体験と理解がすすんでいる状態では、政治や理屈の「対立、妥協、合意」がじゃまにならないほうがよい。
▽そして、政治や政治家、専門家などに、ことさら依存的に、集中して期待するといった心情も薄くなる。
▽こんどの談話は、日韓関係の戦後65年時点での、政治的「追認」「追いかけ」ともいえる。

▽2010年、8・6広島集会にアメリカ大使も参加した、その背景も、無関係ではないだろう。戦争、戦後のとらえ方、決着が「事実」「共通認識」につながっていく、そういうステップが踏まれている。
▽「韓国」が相手となっているが、当時は「北朝鮮」も含むものだった──とテレビ番組でいう学者。その通り間違いではないが、口ぶりをみていると、「韓国併合」条約の「韓国」と現在の韓国が混同されている。併合条約当時、大朝鮮国(朝鮮王朝)から変えて「大韓帝国」を国名(国号)にしていた(韓国はその略)ことの認識が薄いのかも知れない。それほど日本では朝鮮─中国大陸と「戦争」認識がきっちりできていない。
▽人ごとではない。「征韓論」の時代時代の政治、軍事、社会背景について認識はあやしい。秀吉は何のために、どこまで、どのくらいの「軍」で朝鮮に攻め入ったのか、調べ直したりしている。韓国ドラマ「大長今 テジャングム」や「ホジュン」をみていると,突然和冦や倭国軍、ちょんまげが出てくるのだから。

──報道引用──


「画期的」「好感持てる」=首相談話、有識者が評価-日韓併合100年
JIJI

 日韓併合100年の首相談話は、過去の植民地支配を「意に反して行われた」と認め、日本が保管する文化財の引き渡しを表明した。有識者からは「画期的」「好感が持てる」と評価する声が聞かれた。
 小此木政夫慶応大教授(韓国朝鮮論)は「全体としては村山談話と1998年の日韓共同宣言を超えるものではない」としつつ、「政府が併合を『韓国人の意に反して行われた』と率直に認めたのは初めてで、十分に意味がある」と評価した。
 一方で、談話について「併合条約の不法性には言及しておらず、法律や補償の論議は回避している」と指摘。「条約の不当性を訴えている歴史学者やメディアが満足することはない」との懸念も示したが、「最も重要なのは普通の人々。韓国人の心を打つことができたか、しばらく様子を見ないといけない」と述べた。

 「日韓関係を維持し、推し進めていこうという意思は伝わり、好感が持てる」。在日韓国人で作家の梁石日さんも好意的に受け止めた。植民地時代の表現が抽象的で、在日コリアンへの言及がなかったことに不満はあるが、「村山談話を踏襲することさえ反対する人がたくさんいる中」で出されたことを評価。「歴史の事実を直視する勇気」「受け止める謙虚さ」といった表現を挙げ、「好感が持てる」「かなり前向き」と繰り返した。
(2010/08/10-13:18)


日韓併合に「反省とおわび」=王朝文書引き渡し表明-首相談話を閣議決定
JIJI

 政府は10日午前の閣議で、日韓併合100年に当たっての首相談話を決定した。談話は1995年の「村山首相談話」を踏襲し、「植民地支配がもたらした多大の損害と苦痛に対し、改めて痛切な反省と心からのおわび」を表明するとともに、「これからの100年を見据え、未来志向の日韓関係を構築していく」と強調。朝鮮王朝の主要行事を絵や文章で記録した古文書で、日韓併合後に日本に渡ったとされる「朝鮮王朝儀軌(ぎき)」を引き渡す方針も明らかにした。
 菅直人首相はこの後、韓国の李明博大統領に電話し、談話の内容を伝えた。大統領は謝意を示した上で「将来のより強い関係を築くことができる」と歓迎した。
 民主党政権下で、歴史認識に関して政府が見解を示したのは初めて。首相は謝罪の意思を改めて明確にすることで、菅内閣のアジア重視の姿勢を示し、日韓関係の進展につなげたい考え。ただ、与野党内には、65年の日韓請求権協定で決着した請求権問題が「再燃しかねない」との慎重論があり、今回の談話には批判も出そうだ。
 談話は冒頭、日韓併合100年に当たる今年が「日韓関係にとって大きな節目の年」と指摘。日本の植民地支配により「韓国の人々は国と文化を奪われ、民族の誇りを深く傷つけられた」として、韓国の国民感情に配慮した。
 その上で「私は歴史の事実を直視する勇気とそれを受け止める謙虚さを持ち、自らの過ちを省みることに率直でありたい」と、反省と謝罪の意思を強調。在サハリン韓国人支援や朝鮮半島出身者の遺骨返還支援に引き続き取り組む考えを示し、「両国間の未来をひらくために不断の努力を惜しまない決意」を表明した。 
 今回の談話は、「植民地支配と侵略によってアジア諸国の人々に多大の損害と苦痛を与えた。この歴史の事実を謙虚に受け止め、改めて痛切な反省の意を表し、心からのおわびの気持ちを表明する」とした村山談話をほぼそのまま踏襲した。
(2010/08/10-12:49)


2010/08/10 20:27 KST
李大統領が首相談話に返答、光復節祝う言葉で

【ソウル10日聯合ニュース】李明博(イ・ミョンバク)大統領は15日に発表する光復節(日本植民地支配からの独立記念日)を祝う言葉のなかで、日本の菅直人首相が発表した談話に対する韓国政府の立場を明らかにすると伝えられた。
 政府関係者は10日、同日に日本が発表した首相談話への回答を李大統領が光復節を祝う言葉の形で示す案を、韓日両国政府が共感の下に進めていると明らかにした。

 日本の首相談話について、青瓦台(大統領府)が「過去の談話より一歩進んだ」と1次評価を出したことから、光復節の言葉も、談話内容の評価を下げるものにはならない見通しだ。ただ、韓日併合の痛みや苦痛を記憶している韓国国民の期待には大きく及ばなかったという国内世論を考慮し、楽観一辺倒の評価にもならないだろうと、政府側は説明している。韓国と同様に、自国内の保守世論を意識しなければならない日本政府の立場も考慮してこそ、実質的な後続成果が出せるという判断も、光復節の言葉の草案過程で反映されるだろうとしている。

 このため光復節に李大統領が発表する言葉は、日本首相の談話をおおむね肯定的に評価しながら、韓日関係が未来志向的に発展するには日本政府の実践意思が重要だと強調するものになると伝えられた。

 ただ、違法な韓日併合過程の無効を直視していない点、天皇の訪韓など象徴的な措置が言及されなかった点など、首相談話の不足部分を指摘するか、指摘するならばどの水準にするのか、代案を提示するかなど、敏感な問題については、最終段階まで慎重に議論していくとされる。

 政府関係者は「光復節の言葉で日本の作品をどの水準で評価し、どの程度のトーンで語るかはまだ確定していない」とした上で、肯定的な水準、若干トーンを調整する方向で決まりそうだと話した。


2010/08/11 12:59 KST
独立運動団体「光復会」、日本の首相談話に反発

【ソウル11日聯合ニュース】独立運動家・家族団体「光復会」は11日、日本政府が10日に閣議決定した韓国併合100年にあたっての菅直人首相の首相談話に反発し、日本の天皇の具体的な謝罪を求めた。
 光復会は同日、ソウル市内で記者会見を開き、「独立運動団体を代表した光復会の要求」と題した声明を発表し、「日本首相の偽りの謝罪より、日王の真率で具体的な謝罪を促す」と批判した。日本は、強圧的かつ違法的に行われた韓日強制併合の無効を認め、歴史的、法的、実効的に韓国固有の領土である独島(日本名:竹島)が自国の領土だとする破廉恥な主張を永久に撤回すべきだと求めた。


2010/08/11 17:05 KST
韓日和解に向けた平和祭典、14日から釜山で開催

【釜山11日聯合ニュース】韓日併合100年を迎え、韓国と日本の大学生、市民がアジアの平和と未来に向け新しい連帯を模索する平和祭典が14日から15日間にわたり、釜山市内の各地で開かれる。祭典推進委員会が11日に明らかにした。
 初日の14日は、釜山カトリックセンターで「韓日強制併合100年の意味と課題」をテーマに、韓日の非政府組織(NGO)と移住女性団体が参加する「アジア平和物語マダン(広場)」が開かれる。

 光復節(日本植民地支配からの独立記念日)の15日には、「平和の日」宣布式、日本の平和通信使による全国の植民地時代の遺跡地巡礼が行われる。28日には平和映画祭が開催されるほか、韓日1000人による平和宣言、平和コンサート、青少年歴史探訪、歴史写真展などさまざまな行事が予定されている。

 この平和祭典は、韓日が誤った過去100年に対し、謝罪と反省、省察と和解のメッセージを交わし、アジアの共同繁栄に向けた平和宣言を発表することで、アジアに平和な未来を築こうという趣旨で毛企画された。日本からも市民、大学生などで構成される平和通信使と使節団100人が参加する。祭典推進委員会は、アジアで民間レベルの平和ネットワークが構築され、韓国と日本に平和議論が拡散する契機になるだろうと話している。


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1 コメント

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東京大秘匿の王朝文書「寄贈」の前例 (hs)
2010-08-15 01:20:47
宮内庁がもつ朝鮮王朝文書を「渡す」という表現。韓国では「返還」と言い換えている。
前例として、東京大から韓国に返還した朝鮮王朝實録のとき(06年)も東京大からソウル大へ「寄贈」と公式にはいっている。
概要は下の新聞記事──

○朝鮮王朝実録:東京大が47冊返還、93年ぶり韓国へ
(毎日新聞2006-05-31)
東京大学は30日、朝鮮王朝(1392~1910)の公式記録『朝鮮王朝実録』(以下、『実録』)47冊をソウル大学に寄贈すると発表した。東京大学総合図 書館に保管されている『実録』は大正2年(1913)、朝鮮総督府から東京帝国大学に移され、大部分は関東大震災で焼失した。焼け残った74冊のうち27 冊は昭和7年(1932)に京城帝国大に移管され、47冊の寄贈で74年ぶりに一体化される。…略9115
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