ねこがち

【旧:里親ゲッター タカサキ!】

嘘話:マキオの巻き尾

2023年12月24日 | ゆる創作
12/24はクリスマスイブ。

良い子のもとにはサンタさんがやってくる。

クリスマスプレゼントを持って。

…そんなこと、嘘に決まってるじゃない! と、マキオは思った。

「今年はいい子にしていたもい!」

「僕は常にいい子ですからね。きっと素敵なプレゼントがあるはずですよ」

「僕は…、サンタさん来てくれるかな?」

昼寝しているそばで、もい、あま、あさひが話をしていた。

「みんな子供ね」

マキオは聞こえないようにつぶやいた。

「前におれお兄さんが言ってました。サンタさんはプレゼントを靴下に入れてくれるんです!」

あまが得意げに言った。

「靴下?」

「持ってないもい…」

「こふく姐さんが運んでるを見たことがあります!」

3猫は早速、こふくのもとへ。

靴下の在処を聞いて、1つずつ調達してきた。

「これを枕もとに置いて寝ればいいもいか?」

3猫は、靴下を置き、ちょうどかかとに片耳がくっつくようにして寝てしまった。

しかし、皆、寝相がいいこと!

ほどなく、耳の位置はかかとからつま先へ動いた。

そして、靴下は頭のあたりから腹の方へ、尻尾の方へ、足の先へ…。

いつのまにやら靴下は遠くへ放り出され、3猫は団子になって眠っていた。

「仕方ないわね!」

マキオは、団子の間に靴下を差し込んでやることにした。

「頭の所に置くのよね」

3猫の頭がくっつている間に、ぎゅーぎゅーと靴下を1つ差し込んだ。

「これでいいでしょ」

まったく世話に焼ける…とばかりにため息をつき、自分もまたくるんと体を丸めた。

その時、は! と思い立ち、マキオは自分のくるりと巻いた尻尾の間に靴下を1つ挟み込んだ。

それから、円を描くように体を丸め、ちょうど靴下を枕にして眠りについた。
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替え歌:3287日のマーチ

2021年03月27日 | ゆる創作
3/26は、セキの事故記念日だった。

 撥ねられたにゃんこを保護して飼ったから 3/26はセキ事故記念日

…ってなもんである。

そこで、久々に替え歌でも作ってみるかな~と。

よろしければお付き合いください。

元歌は、水前寺清子の「三百六十五歩のマーチ」である。 ⇒youtubeへ

(と、書いてるそばから「さわやかに 恋をして♪」ってのが脳内再生中だ…)


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パンツーパンツーパンツーパンツー

(※イントロ※
  ちゃ~っちゃちゃららら  ちゃ~っちゃちゃららら
  ちゃ~っちゃちゃららら  ちゃ~っちゃちゃららら
  ちゃららちゃららら~)


セキちゃんは 歩けちゃいない
だからズリズリゆくんだね

部屋から一歩 廊下を散歩
散歩済んだら 食べて寝る

事故に遭い 半身不随
這いずり もがいて 進むのよ
ぐんにゃり気味の 足だけど
本猫まったく気にしない

オムツ着けて パンツ穿いて
パンツーパンツー
思うままに進め
それ! パンツーパンツー
パンツーパンツー


セキちゃんの衣装はだいたい
100円ショップでそろえたね

逆さに穿いたわんこのシャツと
帽子クリップ あとハーネス

ニャン生の大半パンツ
4足歩行は覚えてない
あなたはホント逞しい
キセキを起こしたセキだもの

オムツ着けて パンツ穿いて
パンツーパンツー
どこまでも進め
それ! パンツーパンツー
パンツーパンツー


しあわせの 隣や近く
不幸と普通があるんだね
うっかり飛び出しヒヤッとしたり
一歩違いで事故ったり
人間に ワンツーパンチ
唸ってかじって暴れても
手負いの獣も家猫化
なじめたことに 感謝しよう

オムツ着けて パンツ穿いて
パンツーパンツー
これからも進め
それ! パンツーパンツー
パンツーパンツー

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おまけ…でもないけど、セキの写真も載せときましょう。



歌唱中(嘘)


パンツ姿


たけさんとお食事


パンツマンの休日


パンツマンの休日PART2



ともあれ、猫の皆さん、交通事故にはくれぐれもお気を付けください。 <(_ _)>

ドライバーの皆さん、猫の飛び出しにはホントに気を付けましょう。 <(_ _)><(_ _)>

猫飼いの皆さん、お散歩猫は相当リスキーですよ。 ((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

(ぶっちゃけ、取り返しつかなかったり、エライ出費が待ってたりですわ。_| ̄|○)
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嘘話:ハードボイルド哉

2021年02月28日 | ゆる創作
ハードボイルドな毎日ね…とマキオは思った。
人影が見えたら姿を隠さなくてはいけない。
あの人間は、マキオを小さな箱に詰めて運び、注射するのだ。
注射は、その痛みもさることながら、何が起こるかわからない怖さがある。
万一、恐ろしい薬だったなら?
幸いまだ命は失っていない。
けれど、それが今後も続くことなのか、たまたまななのかはわからない。
用心するに越したことはないと思うのだ。

ボロボロのソファの下は、マキオの寝床である。
ここで息をひそめていれば、愚鈍な人間は気づかない。
そして、ソファをどかしてまでちょっかいを出そうとは、ものぐさな人間は考えもしない。
ソファの下は床暖房が利いていて暖かいし、リビングにいるみんなとはコミュニケーションが取れる。
そして、暴力猫の攻撃は防げるのだから、こんなにいいことはない。
食事とトイレの時は注意深く周りを確認してじゃら出かければよい。
もちろん、人間さえいなければ普段通りに過ごせばいい。
慣れてしまえば、この上なく快適な暮らしなのである。

ソファの下で寝ていると、足音が近づいてきた。
寝ていたマキオの耳が、それをキャッチする。
おかしい、こっちに来る!
前進に力が入る。
マキオは少しだけ奥に身をずらし、そっと隙間から様子をうかがった。
「マキちゃん、ここにいたのね」
その声はOBのものだった。
OBちゃんなら大丈夫ね…と、マキオは再び目を閉じた。

OBが去ってすぐ、隙間からあまが覗き込んだ。
「マキオ姉さん、大丈夫ですか?」
「何がかしら?」
「OBちゃんが覗いてましたよ」
「知ってるわ」
眠りを邪魔されたマキオは不愛想に答えた。
それでもまだ心配そうに覗き込むあまに、「まだ何か?」とまで言ってしまう。
「またどこかに連れていかれるんじゃ…」
「そんなわけないでしょ! OBちゃんはマキオの味方なのよ!」
「僕…知ってるんです…」
「何を?」
「OBちゃんが、あの人間に命じてるのを聞いちゃったんです」

隙間からではあまの表情すべては見えない。
言っていることの意味も、それを口にした意図も。
「ちゃんと話して頂戴」
あまが言うには、OBが「早く捕まえて連れて行きなさいよ」と言っていたという。
人間は「面倒くさい」「今日は忙しい」「今日は休診だ」などとゴネていたんだとか。
それでもOBは人間に迫り、苛立った人間が「じゃーもうOBが捕まえて!」と言い放ったのだそうだ。

話に夢中になっている間に、また足音が近づいていた。
あまと話をしていて、気づくのが遅れてしまった。
逃げるタイミングを逃し、固まっていると、急に視界が明るくなった。
ソファが動いたのである。
マキオをガードしていたものが少しづつ奪われていく。
すべてがなくなる前に逃げるべきか?
いや、脱出口はすでに手が回っているはずだ。
ならば、すべてが取り去られた時に、思わぬ方向に飛び出した方が良いのではないか?
マキオは頭をフル回転させていた。

視界が完全に開けた時、そこにいたのはOBだった。
まさかの気持ちと、やっぱりの気持ち。
のろのろ動くOBの隙をついて、マキオは駆け出した。
逃げるのよ! 逃げるのよ!!
しかし、思うように足に力が入らない。
なんで? なんでなの?
ふらつく足に力を込めても、コーナーでは滑ってしまう。
文字通り転がるように進んだ先には、あの人間がいた。

不気味な振動を感じていた。
ソファの下も、小さな箱の中も、狭くて暗いことに変わりはない。
しかし、今は生きた心地がしない。
とてもじゃないが、昼寝などできない。
マキオは大きな目をさらに見開き、何が起こるかを見逃さないように身構えていた。
大きな危機の予兆も、小さな脱出のチャンスも見逃してはいけないのだ。

マキオの体は小さな振動に揺さぶられていた。
運ばれている…。
バタンと大きな音がして、エンジン音が始まってすでに5分は経過していた。
行く先は察していた。
また薬を使われるのだろう。
いや、いつも同じだという保証はない。
今日こそは…?
嫌な考えにぐっと胸が詰まったその時、急に体が横に引っ張られた。
ぐわんと大きくゆすられ、マキオの体は転ろがされた。
急いで体制を整え身構えたが、それ以降は特に何も起こらなかった。

振動がとまってから、マキオは小さな箱ごと運ばれた。
冷たい風を感じるところでようやくすべてが静まる。
何処からともなく、猫の悲鳴が聞こえる。
やはりここは…。

さっき逃げるときに足がふらついた。
とうとう薬の影響が出てきたに違いない、とマキオは思った。
あの人間は、マキオを弱らせようとしているのだ。
では弱らせてどうするのか。
食い意地の張った人間のことだ。
マキオを丸焼きにでもしようとしているのだろう。
「なんてこと! もいの方が大きくて美味しいわよ!」
恐怖と悔しさで涙がこぼれそうになる。
グッとこらえると、大きな瞳がうるんで輝いた。

箱に光が差し込むと、大きな手が入ってきて、マキオをむんずと掴む。
人間の笑い声が聞こえる。
ダメだ…、本当にやられる!
逃げようとするが、足に力が入らない。
マキオの体を掴んだ手の力も強く、向きを変えることもままならない。
どうしよう…
どうしよう…
「じゃぁ、いつもので」
男の眼鏡が光、背中に鈍い痛みが走る。
どうしよう…
どうしよう…
「さぁ、帰ろうか」
人間の言葉に、マキオは心臓が止まる思いだった。

「マキオちゃん!」
再び箱に詰め込まれ、次にその扉があいた時、目の前にはあさひとあまがいた。
「お帰りなさい」
どうやら家に戻ったらしい。
人間の姿はない。
今のうちに逃げなくては!
何処へ?
いつものソファ下…それではまた捕まってしまう。
ではどこへ?

箱から一歩を踏み出すと世界がぐらんと揺れた。
物陰に隠れなくては!
危ないのはわかっていても、今の状態では遠くへ逃げることは難しい。
ならば…と、いつものソファ下へひとまず身を隠した。
この場所の危険性は理解していたので、体を丸めつつも周囲の様子を注意深く伺う。
小さな音に身を硬くし、人影に緊張した。
そうしたまま、かなりの時間がたち、やがて猫以外の気配がすべて消えた。

夜が明け、再び人間が動き出す。
「マキオ~、マキオ~」
あの人間の声がする。
いよいよマキオを食べるのかもしれない。
だが、その声とともにソファ下に出されたものにマキオは抗えなかった。
ホタテの麗しい香り…
頭の中に危険を知らせる声がある。
だが、一方で、ホタテを欲する自分もいる。
結局、空腹に耐えかねてマキオはホタテの誘い乗ってしまったのだった。

むんずと捕まえられたマキオは、口を無理やり開かれ、のどの奥に何かを落とされた。
ダメだ! と思ったが時すでに遅く、それは喉の奥へと落ちてしまった。
「薬、完了」
人間の声に、「やられた!」と思ったが時すでに遅し。
後悔で血の気が引きかけたマキオだったが、すぐに目の前にでてきたホタテに意識を奪われた。
「これも危ないかもしれない」そう思うことは思った。
しかし、思ったことがストップをかける前に口が開いて、ホタテを味わってしまっていた。
うまうまうまうま…
人間が次々口にホタテを運ぶ。
うまうまうまうま…
確かにそれはホタテで、美味しかった。
だがマキオは、以前食べた者との違いに気づいていた。
「ちょっと火が入りすぎて固いかもなぁ…」
人間が呟いた。
それを聞いたマキオは、ニヒルに笑うのだった。


おしまい
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猫と語ろう: with P・B

2020年04月21日 | ゆる創作
世:世話人、P:ぴーさん(ひめ)、B:びびこ(びたん)


P: ちょっと、ちょっと、人間!

世: ???

P: ここよ! ここ、ここ!!

B: 世話人には俺たちの声は聞こえないのだ…

P: 仕方ないわね! えい!!

世: 痛ぇ! 

B: 思いっきり噛みついてどーするんだ?

P: ちょっと人間! これでわかるかしら?

世: おぉ! ぴーさんじゃないですかい?

P: そうよ、ぴーさんよ!

世: …つか、死んだはずでは?

P: 死んだわよ! 死んで骨になったわよ!

世: だのに…って、恨めしいんですか?

P: そーじゃないのよ。ただちょっと暇潰しにきたのよ!

B: そんな暇の潰し方が…

世: お、もう一匹! お前はびびこ!!

B: うむ、余である!

P: 「余」ってなにかしら?

B: 俺は世話人に「将軍」にされてたから…

P: あぁ、そういうキャラ設定なのね? 中の人ってやつね?

世・B: 中の人などいない!

P: …ま、どーでもいいわ。それより人間、ちょっと話があるのよ

B: その前に世話人、鼻から血が出てるぞ

P: あらごめんなさい。ぴーさん思いっきり噛みついたもんだから

世: さっきのはひめの仕業か…。お前たちは鼻外からの鼻血出させるの好きだよねぇ

B: 俺のは父さん母さんの直伝だぞ!

世: そういやレクもびたんも、なんなら若もやるなぁ。あ、たけさんもだ!

P: じゃぁ、たけさんも一族なの?

世: 可能性はあるよ。もしかしたら、くるんちゃんとセルさんもつながってるかもだし

P: なによ! じゃーみんな血縁だったっていうの?

世: ながーい目でみたら、結局そうだろうけどもさ

P: 胡散臭いわ。なんだか壷とか買わされる感じよ!

世: 壷? いいじゃん、あんたらは壷にもう入ってるんだから

P: えぇ、今じゃ箱入りならぬ壷入りなのよ

B: それは火葬ギャグ?

世: 死んでるからって自由だなぁ

P: 自由なのよ。まぁ、あなたのおとぼけ頭だから受信できてるんだけどもね

世: 死してなお毒舌…

P: ぴーさん、つい最近死んだから、あなたの仕打ちを忘れてないのよ

世: 何しましたっけ?

P: 無理やり薬飲ませたり、背中に針刺したり

世: あれは輸液ですよ。ひからびた婆さんに潤いを与えていたんですよ!

B: 余もやられたぞ! しかし、余は潤い過ぎて困ることになったがな

世: びたんの場合はちょっと色々難しかったけどもさ。ぴーさんは腎臓ぶっ壊すからいけないんだよ

P: 長生き猫の宿命なのよ

世: じゃぁ、針も宿命ですわな。つか、ツボとかに刺してやればよかったかもね

P: またなの!?

世: いや、壷じゃなくてさ…

B: 『お前はもう死んでいる』みたいなやつだな

世: それは秘孔な

P: まぁ、確かに死んでるのよねぇ…

世: あれで死ぬと爆発するからなぁ

P: なんてむごい!

世: 掃除が大変そうだよ

P: そこ?

B: ウチの飼い主はアホだから許して欲しいぞ

P: …知ってるわ。付き合い長いのよ。そんなことより、ぴーさん心配があるのよ

世: なんです?

P: 最近あなた、ずっと家にいるわね?

世: いますよ。でも、完全ではないんですけどもね

P: もしかして、また仕事がなくなったのかしら?

B: そういや去年の今頃もこんなだったぞ!

世: う~ん、アノ時と今はいろいろ事情が違うんだよねぇ

P: どう違うのかしら?

世: 去年の春は、家にいてもお金がもらえるミラクル期間と、仕事探し期間だったんだよねぇ

B: ミラクル期間とは、夢のようだな

世: 今はちょっとミラクル期間に近くて、家にいることが仕事っつーか…

P: ずいぶん愉快な仕事があったものね。大得意じゃない!

世: でもねぇ、【出なくてよい】ではなく、【出るな】なんだよ

B: 何が違うんだ?

P: ぴーさん、わかるわ! ダメって言われるのは辛いのよ

世: あぁ、ひめはお散歩猫から、完全室内飼いに転身したもんね。あれに似てるかもよ

P: 日課の市中見回りに行こうとしても家から出してもらえないし、カナヘビ退治も、よその家でのお茶会もできなくなったのよ

世: つか、びたんも庭から家に入ったじゃん。覚えてる?

B: お茶畑で遊んでたら呼ばれて、近寄ったらそのまま家に連れ込まれたぞ

P: 拉致・誘拐…ね

世: まぁ、ウチの子らはみんな似たり寄ったりだけどもさ

P: 極悪人じゃない! びたん、あなたそれで辛くなかったの?

B: う~ん、くるん母さんには「もう大きくなったんだから一人で生きていきなさい」って言われてたし…

世: お前の大きいは、サイズの話のような…。あと、くるんちゃんが小さかったからってのもあるような…

B: 家に入ったら昼寝する場所もあったし、餌も出てきたし、くるん母さんにもガラス越しだけど会えたし。問題なしだったぞ

世: そのうち家族もみんなやってきたしね

B: そうだな。あんまり辛いことはなかったな。しいて言えば…

世: なに?

B: 家に入ってすぐ丸洗いされたことくらいか。あれは驚いたぞ

P: 当たり前でしょ! ぴーさんたちにノミでも移ったらどうしてくれるのよ!

世: 自分はお風呂大嫌いだったくせに…

P: うるさいわね。ぴーさんがするのはいいのよ! やられるのが嫌なだけよ!

世: へいへい

P: 話を戻すけど、じゃー、今はちゃんと稼ぎがあるのね?

世: あるよ。少ないけど

P: 少ないの? お気の毒ね…

世: 少ないさ。ひめの看病とかですっからかんさ

P: あら、それは光栄なことと心得なさい!

世: へいへい

B: ミラクル期間、ずっと続くといいな

世: そうでもないんだよ…

B: そうなのか?

世: 病気が流行ってるせいだかんね

P: ぴーさんご存知よ! 死んじゃうこともある病気よね。

世: そうなんだよ。この状況だと、ミラクル期間がミラクルであり続けられるか怪しいもんさ

B: ?

P: 経済活動の停滞が世話人の懐を直撃! 大打撃! ノックアウト!! って話かしら?

世: 難しいことはわからんけど、先細る予感しかないのさ

P: ぴーさんは死んじゃったけど、生きてる子には時々でもホタテを振る舞って欲しいわ…

世: ね。でもホタテどころか猫餌すら怪しくなりかねないんだよね

B: 一大事ではないか!!!!!!

世: そういうことさ。お二片の力でどうにかならんかね?

P: やーね。ぴーさんたち、死んでるだけで特になにもできないわよ

世: 死んで神様になる場合もあるじゃん

P: 死んだら万能と思わないで!

世: ダメか…

P: まぁ、見守っててはあげるけど

世: 何かあったら助けてくれるの?

B: 見てるだけだぞ

世: ですよね~

P: あとは、たまにお話し相手になってあげるわ

世: そりゃありがたいですけども…って、それじゃ生前とあまり変わりないですな

B: 餌不要、世話不要だぞ!

世: おぉ、理想形!!

P: でも、撫でたりはできないのよ

世: おぉ、魅力80%オフ…

P: とりあえず、暇潰しくらいは付き合ってあげるから

B: うむ。残ってるみんなをよろしく頼むぞ!

世: へ~い


終わり
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食いしん坊将軍 ~猫の日万歳!~

2020年02月22日 | ゆる創作
しろ猫幕府 八代将軍 尾黒びたん 別名、食いしん坊将軍

このお話は、食いしん坊将軍「びたん」の波乱万丈の食欲の物語である。



「上様~、上様~~」

バタバタと廊下を走ってきたのは家老の麿。

「御免!」

勢いよく各部屋のふすまを開けていく。

「一体どこにおられるのだ?」

おろおろする麿の耳に、昼を告げる鐘の音が聞こえた。

「上様~、昼餉にございます~~~!!」

麿は叫んだ。

一縷の望みをかけて。

すると、シュルシュルシュル…ポン! と、目の前にびたんが現れた。

手に箸をにぎり、きちんと正座をしている。

「上様!」

出現に驚いたのもつかの間、大事な用件を切り出そうとした麿に、びたんが恨めしそうにつぶやく。

「麿、余をたばかったのか?」

「は! 誠に心苦しきことなれど、火急の用件なれば…」

そういいながら、スッと饅頭をびたんの前に差し出した。

ほんわかと立ち上る湯気にびたんの目はくぎ付けだ。

麿はささっとお茶を用意し、目礼をした。

それを合図にびたんは饅頭をぺろり。

お茶をごくんと飲み干した。

「して、火急の用件とは?」

「は! 実は本日、猫の日ということで、イベントなるものが開催されるのでございます」

猫の日…

それは、どこぞの国のお祭りらしい。

2月22日は、「にゃーにゃーにゃー」で猫の日…というそうだ。

猫の日のことを聞いたとき、麿は正直「は?」という気分だった。

なぜならおニャドは猫の街。

喩えていうなら、我々が「人間の日」と言われるようなものなのだ。

種の起源というような、なにやら壮大且ぼんやりしたものなのか、それともやけっぱちで作られたのか。

いぜれにせよ、麿の食指は動かなかった。

しかし、猫の日という名のもとに、晴れの日を満喫するという話になればイメージもわきやすくなる。

各自ご馳走を食べるも良いが、イベントの名のもとに屋台や余興などを行い、皆で楽しむこともあると言われたときには麿の体は前のめりになっていた。

猫の日を麿に進言したものは、それによる経済効果や民の息抜きなどを意図していたのだが、麿はご馳走や屋台に反応した。

「きっと上様もお喜びになるはず」と考え、話を進めていたのだ。

お仕事を好まない将軍に代り、また「サプライズにしては?」といういたずら心も手伝って、麿はひそかに計画を進めた。

そして当日を迎えることになる。

屋台は城下にどどんと並んだ。

余興の舞台も整えられた。

街中を練り歩く、子猫の行列や音曲衆もスタンバイOKだ。

麿の考えでは、すべてが整った段階でびたんに猫の日のことを知らせる。

そして開催の挨拶をしてもらおうという運びだった。

サプライズだからびたんには何も詳細を知らせていない。

それでも、美味しい匂いを少しでも嗅がせれば会場へ呼び出すことはたやすいと考えていた。

だが、当日はうっかりと春一番が吹き荒れたのである。

屋台の美味しい匂いがうっかりと城とは逆の方角へ。

そのため麿は、びたんを探して右往左往することになっていたのだった。

「猫の日とな?」

祭りの起源は古く…、我ら猫族の始祖が…などなど、それらしい文言を考えていた麿だったが、なにせ時間がない。

「先ほどの饅頭や、ほかにもいろいろと美味いものを取りそろえた集いでござります」

「何! そのようなものが? して、いずこにて?」

「ご城下にて」

びたんは走り出した。

それに麿も続いた。

2ニャンは、猫穴の存在も忘れ、ただただ門へ向けて全力で走った。

強い風がやんでいたせいか、びたんの鼻に麗しい香りが届く。

それを頼りに今度は城下を激走する。

そして迷わずにメイン会場となる広場へ到着した。

「うわ~、なんじゃここは? 楽園ではないか!?」

ニャド中の屋台が集結したのではないか…という規模に、びたんは目を見張る。

さてどこから食すか…と迷いつつ、「ピロシキ」と書かれた店へふらふらっと吸い寄せられていった。

そこにはなじみの猫一家がいた。

「びーさん、先にあっちだよ」

灰色の手が示したのは舞台。

紅白の垂れ幕が下がっている。

「びーさんはあそこで、まず挨拶しないと!」

「そんなのはあとでいいから、1つだけでも…」

びたんがピロシキに手を伸ばすと、ビシッと何かでたたかれた。

「ぎゃん!」

「おのれ曲者!!」…とでも言ってやろうと顔を上げたびたんの横にはセルの方が立っていた。

「まずは皆に挨拶をなさい。舞台の上で一言話をしてからですニャ」

セルの方に言われてびたんは縮みあがった。

そこにようやく麿が現れ、びたんの手を引いて舞台へと上がった。

たくさんの屋台しか目に入っていなかったびたんだが、舞台の上からみると、たくさんの猫もいた。

猫だけではない。

犬も、鳥も、うさぎも、リス、人間の姿もある。

「さ、上様、一言」

そういって、麿は袖にはけた。

どどん! と太鼓が鳴る。

「皆さま大変お待たせしました」

立派な裃をつけ、頭には赤い鉢巻を巻いた猫が大きな声で言った。

それまでざわついていた会場がしんと静まる。

「第一回おニャド猫祭りの開催に際し、主催のびーさんからご挨拶いただきます!」

ん? びーさん??

将軍であるびたんだが、日ごろは食いしん坊のびーさんとして市中をうろついている。

このような場であるから、将軍として一言なのかと思っていたびたんは、ちらりと麿を見た。

麿は目配せで、猫祭りの看板を示した。

そこには、「主催:白猫本舗(代表:びたん)」と書かれていた。

勧められるままに前に進み出たびたんを前に、会場の猫たちがささやいていた。

「びーさんって、白猫本舗のエライさんなんだね」

「どーりでいっぱい食べても支払いが滞らないはずだよ」

びたんは白猫本舗というものを知らなかったのだが、これはセルシオが取り仕切っている商いの総称らしい。

後で聞かされたところによると、びたんの猫穴による食べ歩きからヒントを得て、各地の美味いものを流通させたりしているらしい。

「でもさ、実際のご商売は、びーさんの母上がやってるんだよ」

「それじゃーバカぼんぼんだね」

「びーさんの食欲は天災級だから丁度いいや」

「バ~カぼんぼん♪ あはははは」

そんな会話もびたんの耳には届かなかった。

はて、なんといったものか…と考えていた。

そんなとき、耳元でセルシオの声が聞こえた気がした。

「早いとこ一言言わなければ、美味しいものはお預けですよ」

「は!」

目を上げると会場の隅にいるセルシオの目が光っていた。

「思うままに仰い!」

びたんの腹が小さく鳴り、言葉は思うより簡単に滑り出てきた。

「皆さん、今日は猫の日です。なんで猫の日を特別に祝うのかわかりませんが、めでたいことはいいことです」

どんな言葉が出るかと息をのんでいた麿は、ちょっとがっくりし、その後ふっと笑ってしまった。

「めでたいことといえば美味しいものを食べること!」

会場もどっと沸いた。

「お天気にも恵まれました。大いに美味しいものを食べて、ゴロゴロお昼寝をしましょう」

どこからともなく「任かしとけ!」と声が上がる。

「猫がのんびり暮らせるのは良い世の中です。この平和に大いに感謝して猫の日を楽しみましょう!」

パチパチパチパチと拍手が起こる。

それが小さくなったところを見計らって、「もちろん、猫でない皆さんも。種類なんか越えて楽しむことが平和なんですから!」と付け加えた。

「そうだワン!!」と鳴いたのは、居酒屋の番頭犬とその弟子だった。

びたんは深々と頭を下げ、大きな拍手に送られて舞台を降りた。

司会の猫が「それじゃー猫の日、大いに楽しもう!!」と叫ぶと、音曲衆が陽気な曲を奏でだした。

それを合図にあちこちで、「うまいよ、うまいよ」「安いよ」「寄ってきな~」…美味しそうな匂いと一緒に威勢の良い声がする。

こうなったらびたんが落ち着いていられるはずがない。

「麿、参るぞ!!」

「お供いたします!!」

2ニャンは人ごみに飛び出していった。

その背中を見つめるセルシオは「今日は無礼講ですニャーね」と呟いて、梅が枝餅をパクりと食べた。


~終わり~


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