私が子供の頃、向かいに私の妹と同じ年の男の子が住んでいました。
その子の家には両親、妹、お祖母さん(母親の親)が住んでいたのです。
ある日、うちの母とその子のお祖母さんが家の前で立ち話をしていました。
たまたま私も側にいたのですが、もちろん話の内容は覚えてないです。
しかしなぜかお祖母さんの言葉が数十年経った今も忘れられません。
いいえ、大した言葉じゃないのです。
「あの子ったら早く帰ってきたらいいのに。
あの子、本当に大丈夫なのかしらね~」
あの子とは、孫である男の子じゃありません。
お祖母さんの、一緒に住んでいる娘のことなんです。
私の母と同じくらいの年齢でしたから、おそらく35歳前後だったと思います。
その時、思いましたよ。
35歳の大人でも「あの子」と呼ばれるの?
あの子って言ったら、昔は年齢の低い子供に対する名称でした。
それなのに、35歳でも「あの子」?
子供だった当時の私には到底、意味不明。
でも今なら、わかる気がします。
親にとって子供は、何歳になっても手のかかる子供と同じなんだと。