前回に続きニコンのカメラを紹介します。1983年に発売された「ニコン FA」です。このカメラは、現在では常識となっているマルチパターン測光を世界で始めて搭載したカメラです。
「Nikon FA」は「マルチパターン測光」の技術が認められて第 1 回の「カメラグランプリ」を受賞しまた。
この賞は、1 年間に発売されたカメラの中から、日本のカメラ雑誌の編集者や評論家などで構成する選定委員会が特に優れたカメラを選出するものですが、記念すべき第 1 回は、「Nikon FA」と「OLYMPUS OM-4」が最後に候補として残り、最終的に、「Nikon FA」がグランプリに輝きました。
Nikon FA」の「マルチパターン測光」が、被写体の明るさを解析することによって、露出補正という撮影者が判断する部分をできるだけ少なくする技術であるのに対し、「OM-4」の「マルチスポット測光」は逆に撮影者の判断をより多く取り込み、その意図を反映しやすくする方向に向いている技術でしたので、方向性が異なっていました。
「マルチパターン測光」の技術は、その後も発展を続け、「3D-RGB マルチパターン測光」、そしてスピードライトの「3D マルチ BL 調光」となり、他のメーカーも分割測光技術を多くのカメラに採用することになりました。
一方の「マルチスポット測光」は、むしろ単体露出計の技術として活かされ、カメラ内蔵の露出制御には発展しにくかったようです。
現在の露出制御の主流となったわけで、このカメラの果たした役割は重要です。
「カメラグランプリ」の受賞を記念して、「Nikon FA ゴールド」 も発売されました。
これは「FA」の上下カバーなどの外装を金メッキとし、革貼りをトカゲ皮としたものである。
桐箱におさめた限定品で50万円という値付けであり、付属の 50mm F1.4 標準レンズの鏡筒の着脱リングにも金メッキを施し、レンズキャップの「Nikon」ロゴにも金メッキという念の入れようでした。
私がこのカメラを購入したのは、1997年です。
丁度この年、イギリスに旅行する機会がやってきました。
旅行の前に東京に行く機会がありましたので銀座の「スキヤカメラ」で中古を手に入れました。購入金額は、発売から14年以上たっていましたが¥49000でした。当時この「FA」は中古価格も高く、なかなか値段が下がらなかったのですが、せっかくの海外旅行ですので購入しました。AFも考えましたが、今までのニコンレンズが使えるのと、メカの信頼性を考慮し決断しました。
このとき、イギリスではA夫妻に大変お世話になりました。父方の親戚になりますので、仕事の関係でイギリスに赴任している間に自宅に招いていただきました。今でも昨日のように、そのとき連れて行っていただいた場所が思い出されます。
沢山の写真を「FA」で写してきましたので、今後このブログで紹介しようと思います。
中でも「ストーンヘンジ」は神秘的でした。実際近くで眺めると、石の巨大さが実感できます。
しかし、この旅行から帰って1ヶ月後に「ダイアナ妃」が事故でお亡くなりになりました。ロンドン市内にある有名デパート「ハロッズ」(Harrods)にも行く機会がありましたが、そこのオーナーの御曹司と一緒にフランスで事故に遭い、大変残念な結果となってしまいました。老舗百貨店といえば「リバティ」(LIBERTY)も有名ですが、ここの建物は、チューダー・ハウスと呼ばれ優れた設計の伝統的な建物で歴史を感じました。どちらの百貨店も、ロンドンを代表する百貨店です。どちらのお店も特徴あるオリジナルのデザインや柄の商品が有名です。
下の写真は、当時の「FA」のカタログをデジカメで撮影したものです。
「ついに光を、追いつめた」このキャッチコピーも懐かしいですね。
カタログも貴重な資料として役に立ちます。当時のアクセサリーが載っていて使用方法などが解説してあります。
「ニコン FA」 性能諸元
形式 電子制御式35mm一眼レフレックス
フォーカルプレーンシャッターカメラ
ボディ色 シルバー、ブラック
使用フィルム 35mmフィルム(J135パトローネ入)
画面サイズ 24mm×36mm
レンズマウント ニコンFマウント(バヨネット式)
ファインダー アイレベル式、ペンタプリズム使用、アイピースシャッター付
視野率:約93%(対実画面)
倍率:約0.8倍(50mm標準レンズで∞のとき)
ファインダースクリーン K2型(スプリットマイクロ式、クリアマットスクリーン)
標準装備、交換可能
ファインダー内表示 7セグメント液晶表示:P・Aモード時/シャッタースピード
Sモード時/絞値またはシャッタースピード
Mモード時/シャッタースピードをデジタル表示。
マニュアル時の+-、M文字、その他各種警告表示
A(オート):液晶によるシャッタースピード表示
マニュアル:設定シャッタースピード表示
LED表示:レディライト(SB-15・16B等を使用時充電完了で
点灯、SB-15・16Bの場合は調光範囲外、ASA/ISO連動範囲外等
で点滅警告)、露出補正マーク
その他の表示:光学直視式絞値表示(A・Mモード時)
設定シャッタースピード表示(Sモード時) Ai-Sレンズで
シャッター速度優先AEが使える唯一の機種となる。
ミラー クイックリターン式
露出機構 P(2スピードプログラムAE)、S(シャッタースピード優先
AE)、A(絞優先AE)、M(マニュアル)
測光方式 TTLマルチパターン測光(P,S,Aモード時)
TTL中央部重点開放測光(Mモード時、測光モード切替時、
絞込測光時)
瞬間絞込制御(P,S,Aモード時)、ファインダー内表示は
開放測光、受光素子にマルチセグメントSPD2個使用、
別にTTL測光用受光素子SPD1個使用
測光範囲 EV1~EV20(ASA/ISO12では+1EV、4000では-1EVまで)
制御範囲 マルチパターン測光時EV1~16 1/3、中央重点測光時EV1~20
(ASA/ISO100・50㎜F1.4のとき)
露出計連動 AI方式(開放F値自動補正方式)
フィルム感度連動範囲 ASA/ISO12~4000
露出補正目盛 +2EV~-2EV(ASA/ISO12で+1EV,4000で-1EVまで)
シャッター 上下走行式チタン幕メタルフォーカルプレンシャッター(幕速
3.3ms)、P・Aモード時1秒~1/4000秒無段階、S・Mモード時
1秒~1/4000秒の13段階、Mモード時セラミック振動子デジタ
ル電子制御、B・M250(1/250)秒はメカニカルシャッター
セルフタイマー レバー式、作動時間約10秒(解除可)
シンクロ接点 X接点のみ(1/250秒以下でスピードライトに同調)、
SB-15・16Bの場合P,S,Aモード時およびMモード時1/500~
1/4000秒でも1/250秒に自動セット、フラッシュバルブには
1/30秒以下で同調
シンクロソケット JIS-B型ソケット、はずれ防止ねじ付
アクセサリーシュー ホットシュー(モニター、レディライト、TTL調光用接点付)
フィルム巻上げ 一作動レバー式、巻上げ角135度、予備角30度、モータードラ
イブMD-15・12による自動巻上げ可能 MD-15に縦位置レリーズ
ボタンはありません。
フィルムカウンター 自動復元順算式(S~36コマ)、フィルムカウンターが[1]になる
までは1/250秒シャッターが作動(Bを除く)
フィルム巻戻し 巻戻しボタン、および巻戻しクランクによる
裏蓋 蝶番式、 メモホルダー付き、取りはずし可能、データバックMF-16・22
と交換可能
裏蓋開閉 巻戻しノブ兼用(安全ロック付)
多重撮影 多重露出レバー操作により可能
モータードライブ カメラボディに直接取付可能(ホールディンググリップは取り
外す)
電源 1.55V銀電池(SR44タイプ)2個
1.5Vアルカリマンガン乾電池(LR44タイプ)2個
3Vリチウム-二酸化マンガン電池(CR-1/3Nタイプ)1個
いずれか使用
露出計スイッチ シャッターボタン半押しでスイッチON、指を離しても16秒間は
測光ONの状態が継続
電池チェック ファインダー内液晶表示により確認
大きさ 約142.5mm(幅)×92mm(高さ)×64.5mm(奥行)ボディのみ
重量 約625g(ボディのみ)
発売年月 1983年9月
発売時価格 ボディのみ115,000円(ブラックボディは4,000円高)
50㎜F1.4付151,000円、ケース4,000円、
モータードライブMD-15・38,000円、
スピードライトSB-16B・36,000円、
データバックMF-16・19,000円
このカメラを持って大英博物館に入った時のことです、、館内は当然撮影禁止だと思っていましたので、手荷物預かり所にカメラを預けようとしましたが、担当の方が、「NO」と身振りを交えて拒否され、困惑してしまいました、同行してくれたA氏の奥様に英語で理由を聞いていいただきましたところ、「このような高価なカメラは預かれない」といわれたそうです。それに「館内の展示品はほとんど撮影可能ですので持って入って撮影してください」と言われ丁寧に返してくれました。
海外での「NIKON」の知名度はこのときにあらためてすごいと感じました。
それにしても当時この広い大英博物館ですが、入場は無料で、世界中から人々が見学に訪れていました。特にノートを持った学生が多かったのが印象的でした。ゆっくり見学すると数日はかかると思います。
「Nikon FA」は「マルチパターン測光」の技術が認められて第 1 回の「カメラグランプリ」を受賞しまた。
この賞は、1 年間に発売されたカメラの中から、日本のカメラ雑誌の編集者や評論家などで構成する選定委員会が特に優れたカメラを選出するものですが、記念すべき第 1 回は、「Nikon FA」と「OLYMPUS OM-4」が最後に候補として残り、最終的に、「Nikon FA」がグランプリに輝きました。
Nikon FA」の「マルチパターン測光」が、被写体の明るさを解析することによって、露出補正という撮影者が判断する部分をできるだけ少なくする技術であるのに対し、「OM-4」の「マルチスポット測光」は逆に撮影者の判断をより多く取り込み、その意図を反映しやすくする方向に向いている技術でしたので、方向性が異なっていました。
「マルチパターン測光」の技術は、その後も発展を続け、「3D-RGB マルチパターン測光」、そしてスピードライトの「3D マルチ BL 調光」となり、他のメーカーも分割測光技術を多くのカメラに採用することになりました。
一方の「マルチスポット測光」は、むしろ単体露出計の技術として活かされ、カメラ内蔵の露出制御には発展しにくかったようです。
現在の露出制御の主流となったわけで、このカメラの果たした役割は重要です。
「カメラグランプリ」の受賞を記念して、「Nikon FA ゴールド」 も発売されました。
これは「FA」の上下カバーなどの外装を金メッキとし、革貼りをトカゲ皮としたものである。
桐箱におさめた限定品で50万円という値付けであり、付属の 50mm F1.4 標準レンズの鏡筒の着脱リングにも金メッキを施し、レンズキャップの「Nikon」ロゴにも金メッキという念の入れようでした。
私がこのカメラを購入したのは、1997年です。
丁度この年、イギリスに旅行する機会がやってきました。
旅行の前に東京に行く機会がありましたので銀座の「スキヤカメラ」で中古を手に入れました。購入金額は、発売から14年以上たっていましたが¥49000でした。当時この「FA」は中古価格も高く、なかなか値段が下がらなかったのですが、せっかくの海外旅行ですので購入しました。AFも考えましたが、今までのニコンレンズが使えるのと、メカの信頼性を考慮し決断しました。
このとき、イギリスではA夫妻に大変お世話になりました。父方の親戚になりますので、仕事の関係でイギリスに赴任している間に自宅に招いていただきました。今でも昨日のように、そのとき連れて行っていただいた場所が思い出されます。
沢山の写真を「FA」で写してきましたので、今後このブログで紹介しようと思います。
中でも「ストーンヘンジ」は神秘的でした。実際近くで眺めると、石の巨大さが実感できます。
しかし、この旅行から帰って1ヶ月後に「ダイアナ妃」が事故でお亡くなりになりました。ロンドン市内にある有名デパート「ハロッズ」(Harrods)にも行く機会がありましたが、そこのオーナーの御曹司と一緒にフランスで事故に遭い、大変残念な結果となってしまいました。老舗百貨店といえば「リバティ」(LIBERTY)も有名ですが、ここの建物は、チューダー・ハウスと呼ばれ優れた設計の伝統的な建物で歴史を感じました。どちらの百貨店も、ロンドンを代表する百貨店です。どちらのお店も特徴あるオリジナルのデザインや柄の商品が有名です。
下の写真は、当時の「FA」のカタログをデジカメで撮影したものです。
「ついに光を、追いつめた」このキャッチコピーも懐かしいですね。
カタログも貴重な資料として役に立ちます。当時のアクセサリーが載っていて使用方法などが解説してあります。
「ニコン FA」 性能諸元
形式 電子制御式35mm一眼レフレックス
フォーカルプレーンシャッターカメラ
ボディ色 シルバー、ブラック
使用フィルム 35mmフィルム(J135パトローネ入)
画面サイズ 24mm×36mm
レンズマウント ニコンFマウント(バヨネット式)
ファインダー アイレベル式、ペンタプリズム使用、アイピースシャッター付
視野率:約93%(対実画面)
倍率:約0.8倍(50mm標準レンズで∞のとき)
ファインダースクリーン K2型(スプリットマイクロ式、クリアマットスクリーン)
標準装備、交換可能
ファインダー内表示 7セグメント液晶表示:P・Aモード時/シャッタースピード
Sモード時/絞値またはシャッタースピード
Mモード時/シャッタースピードをデジタル表示。
マニュアル時の+-、M文字、その他各種警告表示
A(オート):液晶によるシャッタースピード表示
マニュアル:設定シャッタースピード表示
LED表示:レディライト(SB-15・16B等を使用時充電完了で
点灯、SB-15・16Bの場合は調光範囲外、ASA/ISO連動範囲外等
で点滅警告)、露出補正マーク
その他の表示:光学直視式絞値表示(A・Mモード時)
設定シャッタースピード表示(Sモード時) Ai-Sレンズで
シャッター速度優先AEが使える唯一の機種となる。
ミラー クイックリターン式
露出機構 P(2スピードプログラムAE)、S(シャッタースピード優先
AE)、A(絞優先AE)、M(マニュアル)
測光方式 TTLマルチパターン測光(P,S,Aモード時)
TTL中央部重点開放測光(Mモード時、測光モード切替時、
絞込測光時)
瞬間絞込制御(P,S,Aモード時)、ファインダー内表示は
開放測光、受光素子にマルチセグメントSPD2個使用、
別にTTL測光用受光素子SPD1個使用
測光範囲 EV1~EV20(ASA/ISO12では+1EV、4000では-1EVまで)
制御範囲 マルチパターン測光時EV1~16 1/3、中央重点測光時EV1~20
(ASA/ISO100・50㎜F1.4のとき)
露出計連動 AI方式(開放F値自動補正方式)
フィルム感度連動範囲 ASA/ISO12~4000
露出補正目盛 +2EV~-2EV(ASA/ISO12で+1EV,4000で-1EVまで)
シャッター 上下走行式チタン幕メタルフォーカルプレンシャッター(幕速
3.3ms)、P・Aモード時1秒~1/4000秒無段階、S・Mモード時
1秒~1/4000秒の13段階、Mモード時セラミック振動子デジタ
ル電子制御、B・M250(1/250)秒はメカニカルシャッター
セルフタイマー レバー式、作動時間約10秒(解除可)
シンクロ接点 X接点のみ(1/250秒以下でスピードライトに同調)、
SB-15・16Bの場合P,S,Aモード時およびMモード時1/500~
1/4000秒でも1/250秒に自動セット、フラッシュバルブには
1/30秒以下で同調
シンクロソケット JIS-B型ソケット、はずれ防止ねじ付
アクセサリーシュー ホットシュー(モニター、レディライト、TTL調光用接点付)
フィルム巻上げ 一作動レバー式、巻上げ角135度、予備角30度、モータードラ
イブMD-15・12による自動巻上げ可能 MD-15に縦位置レリーズ
ボタンはありません。
フィルムカウンター 自動復元順算式(S~36コマ)、フィルムカウンターが[1]になる
までは1/250秒シャッターが作動(Bを除く)
フィルム巻戻し 巻戻しボタン、および巻戻しクランクによる
裏蓋 蝶番式、 メモホルダー付き、取りはずし可能、データバックMF-16・22
と交換可能
裏蓋開閉 巻戻しノブ兼用(安全ロック付)
多重撮影 多重露出レバー操作により可能
モータードライブ カメラボディに直接取付可能(ホールディンググリップは取り
外す)
電源 1.55V銀電池(SR44タイプ)2個
1.5Vアルカリマンガン乾電池(LR44タイプ)2個
3Vリチウム-二酸化マンガン電池(CR-1/3Nタイプ)1個
いずれか使用
露出計スイッチ シャッターボタン半押しでスイッチON、指を離しても16秒間は
測光ONの状態が継続
電池チェック ファインダー内液晶表示により確認
大きさ 約142.5mm(幅)×92mm(高さ)×64.5mm(奥行)ボディのみ
重量 約625g(ボディのみ)
発売年月 1983年9月
発売時価格 ボディのみ115,000円(ブラックボディは4,000円高)
50㎜F1.4付151,000円、ケース4,000円、
モータードライブMD-15・38,000円、
スピードライトSB-16B・36,000円、
データバックMF-16・19,000円
このカメラを持って大英博物館に入った時のことです、、館内は当然撮影禁止だと思っていましたので、手荷物預かり所にカメラを預けようとしましたが、担当の方が、「NO」と身振りを交えて拒否され、困惑してしまいました、同行してくれたA氏の奥様に英語で理由を聞いていいただきましたところ、「このような高価なカメラは預かれない」といわれたそうです。それに「館内の展示品はほとんど撮影可能ですので持って入って撮影してください」と言われ丁寧に返してくれました。
海外での「NIKON」の知名度はこのときにあらためてすごいと感じました。
それにしても当時この広い大英博物館ですが、入場は無料で、世界中から人々が見学に訪れていました。特にノートを持った学生が多かったのが印象的でした。ゆっくり見学すると数日はかかると思います。
他から見たらヨタヨタに見えたと思います。
それにしてもMD-15の単三8本はアンマリですよね。