ペルソナ4をクリアしてしまいました。
手持ちのペルソナは雑魚戦闘用ばかりで
ボス戦闘用もそろそろ作らないとと
思っていたところのクリアだったので
結構がっかりです。
ゲームとしては結構楽しかったのですが、
話は……。最後が意外とがっかりでした。
以下ネタバレ込みの所感です。
わたしの予想では、マヨナカテレビは
ナナコの心の世界だと思ったのですが、
どうやら最初に殺された結野アナっぽい人の
心のステージが元になっていたみたいです。
クマはナナコのアニムスだと思っていたのですが、
ただのシャドウが自己をもったものだそうです。
よくある、雷に打たれてなぜだか自我を持つロボットとか、
なぜだかひとりだけ世界に疑問をもつ主人公とか、
なぜだか一台だけ主人公のコインシュートに
堪えるボディをもつチョロQとかと同レベルの存在でした。
つまり、必然ではなく偶然の産物なのです。
しかもマヨナカテレビに人が映るのは、
犯人が狙う人が映るのではなく、
テレビで有名になった人の心を
のぞきたいと他人が願うからだそうです。
そのいやらしい電波を、テレビの中の
魔王みたいな存在が受信して、
マヨナカテレビに映していたのでした。
中に入った人の心を映していたのも
たぶんそれです。
でもそうすると、主役がなぜ最初から
テレビに入れて、ペルソナを確立していたのかは
まったく説明がされません。
正直がっかりです。
個人的には、全部心理学的な話で
収束していってもよかったと思います。
たとえば、ユングは色々な人から
夢の話を聞くうちに、共通のオブジェクトが
しばしば登場することに気づいたと言います。
うろ覚えだと、空に光の玉があって、
そこからのびたしっぽが大地を撫でていた、
というような記述です。
そういった、人がもつ根源的な概念は、
人という個体を越えて、民族や人類すらを
統括する一つの部分につながっているのではないか、
というのです。
ペルソナ4のかきかたでは、
魔王みたいなものがいてテレビの中の世界があった、
となりますが、逆に、
人の深いところの共通思念のようなものが
テレビに映り、その澱から魔王みたいなものが生まれた、
の方が納得ができた気がします。
なぜなら、筋の大元で魔王みたいなものがでてきて
すべての謎を解くことはいわゆる
『デウス・エクス・マキナ』、『機械仕掛けの神様』と
ほとんどおなじではないかと思うからです。
そして、なにより納得できないのがラスト付近。
ナナコがマヨナカテレビに誘拐されたとき、
その犯人を連れ帰ってしまいました。
わたしはそのまま放置しておいたほうがいいと
思ったのですけど……。
そのあとのバッドエンドに続く流れでは、
その犯人の病室に乗り込んで、
テレビに投げ入れるという行動ができます。
そのエンドだと、オヤジさんも
主役たちがなにかをしたのだとは知りながら、
それを直接訊ねることはしません。
「法で裁けない人間がいるとしたら、
何かをできる、そばにいる人間が
やらなくてはいけないこともあるよな?」
というような内容のことを口にします。
それは、主役に対し、
「おまえたちがなにかをしたのは知っている。
一生そのことを背負っていくのだろう。
でも、自分もできるとしたらやりたかったし、
すくなくとも自分にとってはいいことだった」
と言ったようなものです。
わたしが法律にたいして一番我慢ならないのは
刑法のもろもろで、そのセリフ、
その解決はとても大人らしいと思います。
ただ、真犯人が別にいたので
その行動は失敗になってしまうのですけど。
でも、間違った犯人をいなくしたら、
今度は真犯人がテレビ殺しをやってもいいはずで、
そのときに真犯人が別にいると
気づいてもいいはずなのに、
バッドエンドではその後が語られません。
真犯人はなんとなく二度とやらないことに
したのでしょうか。
そしてバッドエンドを回避すると、
真犯人に対してはそのエンディングができません。
基本的に一本道です。
そのうち、犯人は肩に蝶のあざがあって
沢木文恵の兄だとわかってきます。
でもこどものころに養子に出されたので
苗字は変わっているとか。
それを聞いて、オヤジさんはひらめきます。
一方、テレビに逃げ込む犯人を追って、
主役たちはテレビの中へ入っていました。
ひたすらおいかけて、
ストリップ劇場に逃げ込んだ男をおいつめます。
主役
[>なにかとれ
[>服
男「僕に、脱げと言うんですか? キミは、まさか……」
主役「俺はノンケだってかまわないで食っちまう人間なんだぜ」
男「わ、わかりました……
僕……キミみたいな人好きですから……」
そして服を脱ぐと、肩にはちょうちょのあざが……!
そう、ヤスが犯人だったのです。
強調構文で言えば、犯人は、ヤスだったのです!
――とこんなわけで、
僕の初めての連続殺人捜査体験は
クソミソな結果に終わったのでした……
……とまあ、ポートピアはさておき。
ヤスが犯人だったというのもさておき。
動機がすごいです。
なぜだかテレビに入れる力があることに気づいたものの
使い道もなくてほっておいたのですが、
ある日不倫騒動の渦中にあるアナウンサーの警護に
あたったとき、不満をいう機会を得ました。
そこで騒がれそうになったのでだまらせようとしたら
テレビに入れることができちゃった、という感じです。
そのあとも女子高生に迫ったら騒がれたので
テレビに突き落としただけ。
入れただけ。殺してない。……それだけです。
あれだけ盛り上げておいて、オチがそれ。
正直納得できません。
しかもラストダンジョンで追い詰めたら、
そこに残してこないで連れ帰るし……。
たとえばわたしがデスノートでも手に入れて、
それでいくら人を殺しても、絶対につかまりません。
なぜなら、ノートに名前を書いたら死ぬ、なんて
一般常識に照らしたときにありえないことだからです。
それは『不可能犯罪』っぽいものに分類され、
犯罪構成要素にあたらないはずです。
もしそこに名前を書いて人が死んだとしても、
それは偶然の一致となり、手段とはみなされません。
人を殺すには、『殺すための具体的なもの』が
必要となるのです。
よって、『人をテレビに入れて殺した』なんて
何の罪にもあたりません。
実際にやったことは『テレビに入れた』だけで、
もしテレビに入れたら死ぬのがわかっていたと
一般常識で認められたとしても、
つくのは『殺人』ではなく『未必の故意』だけです。
でも、テレビに入れたのではなく、
「だまらせようとしたら入ってしまった」と言えば
それすらも回避できます。
でもそもそもテレビに入れるという行為が
世の中では認められないので、ヤスの行動は
何の罪もないことになります。
やったのは護衛対象を旅館のロビーに呼び出したこと、
女子高生の取調べを一人で行おうとしたこと、くらいです。
エンディングでは心を入れ替え、
「自分で殺したと自供している」という話がでてきますが、
変な時間に他人の家の屋根にのぼり、
簡単に折れてしまうテレビのアンテナに
絶妙なバランスで死体をからませ、
だれにも見られることなく逃走したということになります。
もしかすると死体があらわれたときには
アリバイがあるかもしれないのに、です。
こんなのは正直不可能です。
証拠にしたって、実際は屋根の上に登ったのではないので、
そこに靴跡すらありません。
屋根の上になんの痕跡も残さず、
アンテナに死体をからませるなんて、
どうやってやるのでしょうか?
……無理です。死因も不明、手段も不明、
死体遺棄の証拠も皆無。
こんなもので罪には問えません。
魔王的な存在が消えたので
テレビ突っ込みはできなくなったのかもしれませんが、
軽く扱われた命は戻ってこないし、
その償いもされません。
ペルソナ4は、そこだけは納得できませんでした。
ただ、話の後半までとゲームシステムは
おもしろかったのでおすすめはできます。