偉大なるシルクロードの遺産展 其の壱拾伍

2006-01-18 19:28:31 | アジア編
■イスラムに対する反抗に関する記録や遺跡は少ないようです。それは布教と改宗のシステムが完備していたことと、異教徒に対する苛烈な破壊活動が続いたからです。 アラブのソグド人たちに対する態度がいかに過酷であったかは、721年に、サマルカンドの全住民が住みなれた墳墓の町を棄ててフェルガナとホーフェントの二つの都市へ移住を決意したことでも判る。アラブの支配力が少しでもゆるくなっている奥地に、新天地を見 . . . 本文を読む

雲来末・風来末 シルクロード展 其の壱拾四

2006-01-17 10:50:12 | アジア編
■ソグド人が作り出した「オスアリ」について井上靖さんも前掲書で説明しているので、紹介しましょう。。 ……パミール高原について、私たちはこのペンジケントお地誌博物館において、いろいろなことを教わった。大トカゲ、コブラ、小牛大の野猪、羚羊、熊、毒蜘蛛、大亀、ウサギ、スーロク(鼠)、大鷲、等々いずれもペンジケント周辺で捕ったものだという。玄奘三蔵や法顕のパミールを越える時の紀行を、ただこれだけのこ . . . 本文を読む

『偉大なるシルクロードの遺産展』 其の壱拾弐

2006-01-16 16:34:57 | アジア編
■玄奘さんとの関連で、興味深い出土品が出展されていました。ハキモフ博士も注目すべき作品だと指摘している作品番号120の「魔王(魔羅)頭像」です。 粘土 高74cm フェルガナ 7世紀 ウズベキスタン国立美術館蔵 この像は、南フェルガナとカシュガルを結ぶ交易ルート上にあったクワで発掘された。ここから出土した塑像はそれもインドの造形技法と現地の守護神の特徴が融合している。この像は、仏教における悪の . . . 本文を読む

『偉大なるシルクロードの遺産展』 其の壱拾壱

2006-01-16 16:34:24 | アジア編
■ここで、アクバル・ハキモフ博士の紹介論文にちょっと戻ります。 ……見事な壁画や木彫彫刻……現地の職人によって金や銀の容器が製作され、焼き物工房では多種多様な土器が焼かれ、織物工房では素晴らしい絹や木綿の織物が作られた。これらソグドの交易品はシルクロードを通じて様々な方面にもたらされた。交易の結果、イラン、インド、ビザンティン、中国、そして東方の草原地帯の美術や手工業、芸術が職人によって受け入 . . . 本文を読む

『偉大なるシルクロードの遺産展』 其の壱拾参

2006-01-07 16:30:04 | アジア編
■少々話が逸れてしまいました。ハキモフ博士の論文に戻りましょう。 拝火教徒の葬送儀式で用いられた特別の陶製納骨器であるオッスアリやアスタドンは、この時期に特徴的な遺物のひとつである。これらの儀礼に則り、人間の死後、遺体は訓練された犬か鳥に食べさせるために、ダフマと称される場所に運ばれ、その後遺骨はオッスアリの中に収められ、地面を刳り貫いて作られた場所「ナウス」に埋葬された。この地域に最初にオッ . . . 本文を読む

『偉大なるシルクロードの遺産展』 其の什

2006-01-07 16:23:52 | アジア編
■さらに井上靖さんの紀行文を引用します。 コルホーズを出ると、右手の山脈が徐々に堂々たる山容を見せ始める。ザラフシャン山脈、詳しく言えばその支脈であるハラブ山脈で、雪を頂いた稜線が青く澄み渡っている空に、長いゆるやかな線を描いている。道はいつか大平原の中の一本道となり、時折驢馬の群や羊の群が行く手に現われ、其のたびに車は徐行を余儀なくされる。やがて、左手にも山脈が現われて来る。この方はトルキス . . . 本文を読む

『偉大なるシルクロードの遺産展』 其の九

2006-01-07 16:21:37 | アジア編
■謹賀新年。本作りや本店ブログの旅限無に熱中している間に年が変わってしまいました。数は少なくとも、コアな愛読者の皆様には大変なご迷惑とご不快を感じさせてしまったことでしょう。何よりも、肝腎の『偉大なるシルクロードの遺産展』が全国巡回を終了してしまったのが残念です。しっかり現物を御覧になった方も、残念ながら見逃してしまった方も、拙ブログで中央アジアの風を感じてもらえるように、時々は展示会を離れて書き . . . 本文を読む