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蒙古旅行入門編 其の伍

2006-12-04 12:26:15 | アジア編
蒙古旅行入門編 其の伍夕暮れの帰宅 ■馬に乗ったり、弓で遊んだりして過ごしている内に、モンゴル高原の秋の陽は傾いて空気が少々肌寒くなります。食堂専用の大きなゲルで夕食を摂ってから、キャンプ地近くの牧民のゲルを訪問すると言うので岩山をぐるりと回り込んで裏側の草地に行きました。所々に質素ながら照明設備が点在しているキャンプ地を一歩出れば、夜は月明かりと星明りだけが頼りの闇が支配する草原の夜であります . . . 本文を読む

蒙古旅行入門編 其の四

2006-10-03 22:54:09 | アジア編
軍事訓練? ■モンゴル帝国の騎馬兵は、その驚異的な機動力と強力な弓の攻撃力で怖れられました。キャンプ地内を歩き回っていると、子牛一頭分ぐらいの皮が張られているのを見つけまして、どう見ても弓の的(まと)であろうと思ってガイドさんに尋ねると、やはりモンゴル弓で遊べる施設でした。しかし、商売っ気に乏しい人達はこれを積極的に売り込むつもりはぜんぜん無く、管理人一家が暮らしているゲルから持ち出されたのは . . . 本文を読む

蒙古旅行入門編 其の参

2006-09-28 23:27:13 | アジア編
主要な食糧は牛肉 ■モンゴルは草原と砂漠の国ですから、草原には羊の群、砂漠地帯には駱駝の列が見られると思ったら大間違いでした。チベットで見慣れた草原の放牧風景は白い羊の大群に黒っぽい山羊が混ざっています。ウランバートルからキャンプ地へと向かう道沿いで出会う家畜の群は、圧倒的に山羊が多いのでした。そして兎に角牛が多い!チベットにはヤクと言う名前で有名な毛牛が何処にでもいますが、モンゴルは乳牛と肉 . . . 本文を読む

蒙古旅行入門編 其の弐

2006-09-21 22:02:51 | アジア編
其の壱の続き モンゴルの燃料は薪(1) ■モンゴル高原は大雑把に言って東の大興安嶺から西のアルタイ山脈に挟まれた、標高1000メートル前後の草原とその南に広がるゴビ砂漠へと続いています。ゴビの南が「漠南」で、今の中華人民渠和国の内モンゴル自治区に当たります。ゴビの砂漠は、ユーラシア大陸を東西に貫く恐るべき大乾燥地帯の東端に位置する不毛の大地なので、東アジアの歴史は大まかに言ってゴビの北に展開し . . . 本文を読む

蒙古旅行入門編 其の壱

2006-09-14 07:45:51 | アジア編
◎同志レーニンにも労働を! ■今年はチンギス汗即位800周年祭で、日本国籍を持っていればビザ無しで存分に旅行が楽しめます。ほんの50年前には、うっかり親分兄貴分のソ連の気も知らずに「750年祭」を企画して大目玉を喰ったのも、今では遠い昔のお話です。何と言いましても、国技大相撲の横綱・朝青龍の祖国、大関白鵬が順調に勝ち進めば間も無く東西両横綱の祖国になりますぞ!頑張れニッポン!でも、個人的に旭鷲山 . . . 本文を読む

クシャン王朝 其の壱

2006-04-04 15:48:13 | アジア編
■前回までの記事で、日本に伝来した仏教文化の重要な要素がバクトリアに由来する事が明らかとなったと思います。バクトリアについて、もう少し詳しく学ぶのに最適な文章が『偉大なるシルクロードの遺産展 図録』に収録されている、福岡市博物館学芸員の小林義彦さんの『クシャン朝――騎馬民族の交流と仏教美術の伝播』です。クシャン朝は仏教文化をインドから中国へと仲介する歴史的な役割を担っていましたから、日本人にとって . . . 本文を読む

偉大なるシルクロードの遺産展 其の壱拾伍

2006-01-18 19:28:31 | アジア編
■イスラムに対する反抗に関する記録や遺跡は少ないようです。それは布教と改宗のシステムが完備していたことと、異教徒に対する苛烈な破壊活動が続いたからです。 アラブのソグド人たちに対する態度がいかに過酷であったかは、721年に、サマルカンドの全住民が住みなれた墳墓の町を棄ててフェルガナとホーフェントの二つの都市へ移住を決意したことでも判る。アラブの支配力が少しでもゆるくなっている奥地に、新天地を見 . . . 本文を読む

雲来末・風来末 シルクロード展 其の壱拾四

2006-01-17 10:50:12 | アジア編
■ソグド人が作り出した「オスアリ」について井上靖さんも前掲書で説明しているので、紹介しましょう。。 ……パミール高原について、私たちはこのペンジケントお地誌博物館において、いろいろなことを教わった。大トカゲ、コブラ、小牛大の野猪、羚羊、熊、毒蜘蛛、大亀、ウサギ、スーロク(鼠)、大鷲、等々いずれもペンジケント周辺で捕ったものだという。玄奘三蔵や法顕のパミールを越える時の紀行を、ただこれだけのこ . . . 本文を読む

『偉大なるシルクロードの遺産展』 其の壱拾弐

2006-01-16 16:34:57 | アジア編
■玄奘さんとの関連で、興味深い出土品が出展されていました。ハキモフ博士も注目すべき作品だと指摘している作品番号120の「魔王(魔羅)頭像」です。 粘土 高74cm フェルガナ 7世紀 ウズベキスタン国立美術館蔵 この像は、南フェルガナとカシュガルを結ぶ交易ルート上にあったクワで発掘された。ここから出土した塑像はそれもインドの造形技法と現地の守護神の特徴が融合している。この像は、仏教における悪の . . . 本文を読む

『偉大なるシルクロードの遺産展』 其の壱拾壱

2006-01-16 16:34:24 | アジア編
■ここで、アクバル・ハキモフ博士の紹介論文にちょっと戻ります。 ……見事な壁画や木彫彫刻……現地の職人によって金や銀の容器が製作され、焼き物工房では多種多様な土器が焼かれ、織物工房では素晴らしい絹や木綿の織物が作られた。これらソグドの交易品はシルクロードを通じて様々な方面にもたらされた。交易の結果、イラン、インド、ビザンティン、中国、そして東方の草原地帯の美術や手工業、芸術が職人によって受け入 . . . 本文を読む

『偉大なるシルクロードの遺産展』 其の壱拾参

2006-01-07 16:30:04 | アジア編
■少々話が逸れてしまいました。ハキモフ博士の論文に戻りましょう。 拝火教徒の葬送儀式で用いられた特別の陶製納骨器であるオッスアリやアスタドンは、この時期に特徴的な遺物のひとつである。これらの儀礼に則り、人間の死後、遺体は訓練された犬か鳥に食べさせるために、ダフマと称される場所に運ばれ、その後遺骨はオッスアリの中に収められ、地面を刳り貫いて作られた場所「ナウス」に埋葬された。この地域に最初にオッ . . . 本文を読む

『偉大なるシルクロードの遺産展』 其の什

2006-01-07 16:23:52 | アジア編
■さらに井上靖さんの紀行文を引用します。 コルホーズを出ると、右手の山脈が徐々に堂々たる山容を見せ始める。ザラフシャン山脈、詳しく言えばその支脈であるハラブ山脈で、雪を頂いた稜線が青く澄み渡っている空に、長いゆるやかな線を描いている。道はいつか大平原の中の一本道となり、時折驢馬の群や羊の群が行く手に現われ、其のたびに車は徐行を余儀なくされる。やがて、左手にも山脈が現われて来る。この方はトルキス . . . 本文を読む

『偉大なるシルクロードの遺産展』 其の九

2006-01-07 16:21:37 | アジア編
■謹賀新年。本作りや本店ブログの旅限無に熱中している間に年が変わってしまいました。数は少なくとも、コアな愛読者の皆様には大変なご迷惑とご不快を感じさせてしまったことでしょう。何よりも、肝腎の『偉大なるシルクロードの遺産展』が全国巡回を終了してしまったのが残念です。しっかり現物を御覧になった方も、残念ながら見逃してしまった方も、拙ブログで中央アジアの風を感じてもらえるように、時々は展示会を離れて書き . . . 本文を読む

シンガポールの刑罰 其の弐

2005-12-12 08:39:04 | アジア編
■米国では、「残酷だ!」「少年は反省しているのだから、情状を酌量しろ!」と大規模な市民運動が盛り上がり、大統領もシンガポール政府に正式に申し入れを繰り返しました。軍事的にも経済的にも深いつながりの有る米国政府からも声を無視してシンガポール政府は判決通りの刑を執行したはずです。司法の秩序の方が外交よりも優先するのです。米国は特殊部隊を派遣して少年を救助……したりはしないで、執行条件の交渉に入りました . . . 本文を読む

シンガポールの刑罰 其の壱

2005-12-12 08:38:00 | アジア編
■日本でも、怖い顔している亀井静香議員も参加して「死刑廃止運動」が続けられていますが、死刑制度を廃止するか存続するかは、国ごとに大きな違いが有って、一概には論じられないややこしい問題です。それぞれの宗教や死生観、習慣や文化、そして何よりも建国以来の歴史的な背景の影響力が非常に強いので、単純な「人道主義」だけで廃止を進めるわけにも行かないようです。しかし、人々の移動がますます増えると、御国柄だけでは . . . 本文を読む