「古人(こじん)も多く旅に死せるあり。予もいづれの年よりか片雲(へんうん)の風にさそはれて、漂泊の思ひやまず……」『奥の細道』
■「月日は百代の過客にして、行きかふ年もまた旅人なり……。」と書き出す『奥の細道』に出て来る「漂泊」というのは、最近流行の「ニート」や、少し前の「パラサイト・シングル」などとは違って、「ホーム・レス」に限りなく近い生き方である。名作の『奥の細道』は荘子の思想を中核に包 . . . 本文を読む
旅には、人が住む町から町へと渡り歩く旅、聖なる場所を只管(ひたすら)目指す巡礼の旅、或いは、見慣れた場所を、変った時間と特別な人と共に体験する旅も有る。
■脚力が充分に発達していない3歳~4歳児の集団が、幼稚園に通う道で毎日見ていて、時々木の実を拾いに遊びに入る近所の山に、低気圧が通過する荒れる天気を冒(おか)して、足元が定まらないくせに、ぞろぞろと日暮れも近い時間に歩いて行き、急に降り出した . . . 本文を読む
■どうして旅に出るのだろう?と度々考える。駄洒落ではなく、本当に度々考える。気の利いた上手い答えが得られても、暫(しば)らくすると自分で出した答えが怪しくなって、最後には自分が掛けた嫌疑に応じられなくなって放棄されてしまった答えが沢山有る。
古代バビロニアの粘土板に刻まれた「好い物はビール。嫌な物は旅。」という言葉が大好きだ。では、「旅先で飲む旨いビール」は何としようぞ?これでは嫌な物と好い物と . . . 本文を読む