泣くな笑え

『肺癌闘病患者』家族の独り言

奇跡の功罪

2007-11-18 | 自分のこと

病院に行かなかったせいか、色々考えてました。
元気な母に逢えなかったから、余計なのかな??
ううん、本当はいつもいつも結論の出ないことをグルグル考えています。
弱いことを、情けなくいつまでも。

癌だけに限らない話かもしれないんですが、
調べ始めて……調べる以前から幾度か聞いていました。
『奇跡』的に癌が消えた、と云う話。

私は悲観的な人間なので、あまり『奇跡』と云うものを信じません。
ヒトとヒトとの出逢いは『奇跡』だと思うのですが、
それとは別の次元の話として、
天候を操ったり、病気を治したり、そんな『奇跡』は存在しないと思うんです。
そもそも『奇跡』とはそんなお手軽なものではなく、
そして『神サマ』とやらが起こしているものだとすれば、
この世に戦争も飢餓も、死と云う観念すら存在しません。
だからこそ『奇跡』を肯定しきれないんですが。

けれど一方で、末期癌が治ったという『奇跡』は存在するんです。

これは、患者さんにも、そして家族にとっても『希望』に見えます。
でも私にとっては、とても罪深い『事実』にも思えるんです。
そんな『奇跡』さえ存在しなければ、一縷の望みに縋ったりしない。
『希望』とやらに心を動かされない。もしかしたら、なんて想いに揺れたりしない。
たとえ数%だとしても、治療の成果が目に見えるように現れて、
母が長く生きてくれるかもしれない……

そんなことを甘く夢見ては、現実を見ろ、と自分を諭しています。
バカだと判っていても、同じことを何度も何度も繰り返して。
結局は溜め息だけを落とすんです。
せめて私がもっと子どもでもっとバカなら、夢だけでも見れたかもしれないなぁ……

『奇跡』は、甘過ぎる夢です。