2021年12月5日付けで、
「三大国家資格考」という記事を
アップしてある。
要約すると、そこでは、
医師と弁護士が二大国家資格だが、
弁護士、公認会計士、不動産鑑定士を
その資格取得プロセスの類似性と
資格試験間の科目免除制度の面から
文系の三大国家資格と呼ぶことが
でき、
医師、歯科医師、薬剤師を
その大学入試難易度と資格取得
プロセスの類似性から
理系の三大国家資格と呼ぶことが
できる等々を論じた。
しかし、いくつか見落としていた点
がある。
まず、
弁理士という資格についてだが、
昔は、弁理士試験に合格すれば、
それだけで弁理士登録をできたが、
平成20年から、試験に合格しただけ
では資格登録ができず、資格登録の
ためには実務修習が必須となった。
上の文系三大国家資格に比べると
実務修習期間が4か月とかなり短い
が、弁理士試験の難易度を考慮すれば、
実務修習の必須と相俟って
弁理士は文系三大国家資格に匹敵し、
その仲間に加えるべき資格と
いうことになる。
また、資格試験の方式も、短答式試験、
論文式試験という形で文系三大国家資格
と同じ試験形式が取られている上、
弁理士試験には、文系三大国家資格
の試験には存在しない口述試験も
ある。
(実際上は、弁理士の7割が理系の人
ではあるが、文系科目だけでも
弁理士試験には合格できるし、
かつ、試験科目の大半は、特許法、
工業所有権法、著作権法などの
法律で、
弁理士の業務も、特許申請などの
法手続上の仕事なので、文系の方
に入れることとする。)
ただ、弁理士試験に合格しても、上の
文系三大国家資格の資格試験科目の
何かが免除されるということは無く、
その点は弱みではあるが、理系的要素
が強い資格であるということを考慮
すれば、「理系 > 文系」という観点
からは、やはり、文系三大国家資格に
匹敵するとしても良いのではないか。
次に、
獣医師を完全に忘れていた。
大学の獣医学部や獣医学科の難易度
は、医学部に匹敵あるいは医学部に
準じるレベルの難易度であり、かつ、
大学での修業年限も上の理系三大
国家資格と同じ6年だ。
つまり、獣医師も、理系三大国家資格
に加えるべき資格ということになる。
以上から、
文系四大国家資格として、
弁護士、公認会計士、不動産鑑定士、
弁理士の4つを、
理系四大国家資格として、
医師、歯科医師、薬剤師、獣医師の
4つを提唱する。
としたが、他に税理士とか1級建築士
とかあるんだよな~。
税理士登録のためには実務修習という
制度は無い。
その点で、文系四大国家資格とは
異なる。
が、税理士試験の簿記論・財務諸表論
に合格していると公認会計士試験の
短答式試験の財務会計論が免除され、
税理士試験に合格し実務経験を備えて
税理士登録をできる資格がある人は、
公認会計士試験の論文式試験の租税法
が免除されるという試験間科目免除があり、
また、実務修習は無いものの、
税理士資格登録のためには、試験に
合格するだけでは足りず、2年間の
実務経験が必須となっている。
そして、試験の難易度という点からも、
公認会計士試験、不動産鑑定士試験、
弁理士試験と同格あるいは、これらに
準じる。
確かに、弁護士や公認会計士は、税理士
登録をすることができるが、弁理士も
弁護士は弁理士登録をすることができる
ので、その辺は、税理士も弁理士もほぼ
同じだし。
(なお、昭和の時代には、税理士資格を
タダで付与されることでは良しとせず、
公認会計士二次試験に合格後、
実務補習1年、実務経験2年を経て、
公認会計士三次試験を受験するまでの
間に、税理士試験を受験する二次試験
合格者(会計士補)が相当数存在した。
当時は、公認会計士二次試験の試験科目
に租税法が無く、
二次試験合格者で会計士補登録をした
者は、税理士試験の会計科目を免除
されたので、税法(特に法人税法)
の勉強のために税理士試験を受ける
向学心旺盛な人が結構いたのだ。)
ただ、司法書士や行政書士も、弁理士試験
科目の「弁理士業務に関する法」が免除
されるが、これは、まあ、どうなんでしょう
ねえと、ちょっと疑問符が付く科目免除
なので、考慮外とする。
なにせ、
免除される「弁理士業務に関する法律」の
問題は、民法で、
文系三大国家資格の民法と同じく、
事例問題の論述式試験なので、
資格試験そのものの難易度と相俟って
司法書士や行政書士の合格で、これを免除
しちゃって良いの?という感じがする
からだ。「弁理士業務に関する法律」の
免除に関して、司法書士試験と行政書士
試験が司法試験と同格に扱われており、
この辺は、弁理士業界からも、これで
良いの?という疑問が発せられたり
しているのだ。
これで文系資格に税理士を加えて「五大」
とすると、理系の方も、もう一つ加えたい
が、そうなると、
1級建築士と技術士が候補になる。
甲乙つけがたいが、技術士という資格は
業務独占資格ではないので、その点で、
1級建築士に劣る。
大卒者の1級建築士の受験要件は、
大学で指定科目を修めて卒業した者
という要件があり、実質、建築学科
や土木学科などを卒業している必要
があるので、この点で、医学部(歯
学部、薬学部、獣医学部)を卒業
(または、卒業見込)しないと、
資格試験の受験資格が無い理系四大
国家資格と同質である。
また、1級建築士になるための大学
の学歴は6年制ではなく、通常の
学部と同じ4年制ではあるが、
1級建築士の免許登録要件に
実務経験2年以上というのがあり、
この2年を大学の4年間と合わせると
6年にはなる。
(ほかの理系四大国家資格は、実際に
実務に就くには、法定の研修が必要
だったりするが、
資格試験に受かれば、取りあえずは
資格の免許登録ができ、免許登録
のためには、実務経験や研修は
必要ではない。)
大学入試の難易度としては、工学部
建築学科や土木学科とかは、
同じ大学内であれば、医学部、薬学部、
獣医学部などよりは偏差値が低い。
(歯学部は、大学によって異なったり
して、微妙か)
が、
医歯薬系の場合、入試科目で、数学
的色彩の濃い物理を捨てて生物を
取ることも可能だが、工学部の場合、
基本的には、物理と化学が前提になる
し、単なる建築士ではなく建築家に
なろうとするのであれば、芸術的な
側面も重要になるため、医療系の
資格とは違った難しさがあるよと
言うことができる。
ということにすると、
文系五大国家資格が、弁護士、公認会計士、
不動産鑑定士、弁理士、税理士となり、
理系五大国家資格が、医師、歯科医師、
薬剤師、獣医師、1級建築士ということに
なる。
(やっぱ、どんどん増えていった)