2018.4.28-29 第34回 日本臨床皮膚科医会総会・臨床学術集会で
「2016 、7年に当院を受診した粉瘤(炎症性粉瘤含む)患者について」を発表しました。
概略を知りたい方は「粉瘤 統計 2016,7年の2年間 要旨」をご覧下さい。
2016,7年の2年間の当院受診の粉瘤の患者さんは総数 382名で、
・男性 183名(48%) 、女性 199名(52%) で女性が男性よりやや多い
・年齢構成(%)は(図参照)..20~40歳代が多い
・個数は1つが71%、2つ以上が29%..複数できる人も意外に多い。
..5個以上できる人は体質と思っていいでしょう。
・できやすい部位は顔、背中、お尻、首..の順(表参照)
・初めて気がついてから、当院を受診までの期間は
1年以内が42%
3年以上10年未満が23%
10年以上が15%
..当院受診までの期間の長い人が多い様に思われます。
・炎症の既往(赤くなったり、痛くなったこと)のある人は64%
その49%は2回以上の炎症の既往があり、
34%は3回以上繰り返している
つまり一度炎症を起こすと、5割の確率で2度目の炎症を起こす。そして、その7割の人は3回以上の炎症を繰り返し起こしているということです。
・医師受診、相談歴は約5割(49.5%)で、うち6割が皮膚科
その説明は(表参照)
・粉瘤と診断されたのは..32%、
良性のしこりとか脂肪腫..37%
・小さいから気にしなくていい..21%
・良性だから様子を見ましょう..11%
..約3割が経過観察等の説明を受けていました
・手術しましょうはと言われた人は..たった8%
・画像検査を受けた人は14名(7%) で、93%の人が検査もされずに説明を受けていることがわかりました。..これではまともな診断や説明はできないと思われます。手術するにしても、粉瘤の状態がわからずに手術することになります。
・粉瘤を放置しても自然治癒は得られません。
・経過が長くなれば炎症や感染を繰り返し起こすので、粉瘤と診断すれば積極的に手術を勧め
ています。
・当院を受診した理由は(表参照)
当院の治療の流れ
アンケート兼問診票で患者の希望を把握し、超音波検査(エコー検査)を施行して、説明をしています。
粉瘤と診断すれば上記の理由で、早めの摘出を勧めています。
希望あれば組織検査施行
炎症を起こしている場合は落ち着いてからの摘出を勧めています。
アンケートで
・癌が心配..摘出、組織検査施行
・病名を知りたい(確定診断) .. エコー検査後の説明で、ほぼ全員が納得してくれています
・手術せずに治したい..
皇太子様も手術で治している。治すには手術しかありませんと説明..100%納得
・手術でもいいから治したい(完全に)..一般的な手術法を説明(図a,b法)
・くり抜き法、へそ抜き法で治したい..キズ痕は小さく なりますが、決してきれいになるとは限りません。再発の可能性ありますと説明しています。
・綺麗なキズ跡の方がいい
・小さいキズ跡の方がいい
..c、d法を説明。この方法は超音波検査(エコー)をして粉瘤の状態を確認する必要あります。
画像検査なしで手術の説明を受けられた方はこの方法はあまり期待しない方がいいでしょう。
炎症を繰り返している場合はまわりの線維が硬くなっているので、難しくなります。
・アンケートで患者の傾向や希望がわかり的確な説明ができるので、今後も継続していきたいと考えています。