703 ~NAOMI’s Room~

「美しき諍い女(いさかいめ) 」/1991


「美しき諍い女(いさかいめ) 」1991年/仏
原題: THE BEAUTIFUL TROUBLEMAKER/La Belle Noiseuse



監督:ジャック・リヴェット
現作:オノレ・ド・バルザック
音楽:イゴール・ストラヴィンスキー
脚本:ジャック・リヴェット 、パスカル・ボニツェール 、クリスティ・ローレン
出演:ミシェル・ピッコリ、エマニュエル・ベアール、ジェーン・バーキン、ダヴィッド・バースタイン、マリアンヌ・ドニクール...



ーーーーーーーーー

いつか観ようと思っていた。

エマニュエル・べアールが全篇ほぼフルヌードで挑み、
一躍有名演技派女優の座を掴んだ作品。

フランスの小説家オノレ・ド・バルザックの短編小説
『知られざる傑作』を脚色してつくられた作品とのこと。


DVD2枚組。238分。
まさか4時間以上もあるとは知らなかった。

作品が長かった分、二日に分けて観たけれど
ハリウッドでは、まず、こういった作品はつくらないだろうな。

良い意味でフランス映画らしい、けだるさと哲学っぽさを全面に出し、
芸術性を追い求めた結果、こうなった、どうだ!という感覚。



あらすじはこんな感じ。

著名だけど高齢で、妻と田舎暮らしをする
画家のフレンホーフェル(ミシェル・ピッコリ)は、
10年前、妻のリズ(ジェーン・バーキン)をモデルに
「美しき諍い女」という作品を描こうとした。
しかし完成間際で断念し、それを機に画家としての気力もなくなり、
月日だけが流れていた。

ある日、二人が暮らす城のような豪邸に、
画商のポルビュスが、若い画家のニコラ(ダヴィッド・バースタイン)と
その恋人マリアンヌ(エマニュエル・べアール)を連れて訪れる。

フレンホーフェルはマリアンヌをモデルに
10年前に断念した「美しき諍い女」を描くことを決心する。

密室のアトリエで美しいマリアンヌと二人きりで創作に励む中で、
フレンホーフェルには次第に、画家としての記憶が蘇り始める。



モデルのマリアンヌに、さまざまなポーズをさせながら、
フレンホーフェルは内面をさらけ出せ!と言う。




ついには、モデルだった妻のリズの顔がはっきりと描かれた、
創作途中の「美しき諍い女」の絵を、白と水色の絵の具で塗りつぶし、
その上からマリアンヌをモデルとした絵を描き出す。
そして、何日もかけてついに絵は完成。

しかし、フレンホーフェルは、完成したその絵を
アトリエの壁にセメントで埋めてしまう。
その後一晩で、モデル無しで描き上げた作品を、
「美しき諍い女」として発表する。

ーーー

この作品のテーマは、秘密。
精神的で繊細な作品。
勝手な推測だけど登場人物それぞれの、秘めた感情。。なのか。


フレンホーフェルの、マリアンヌへの愛、信頼。
そしてリズへの愛の消失。。
それに気付いているリズのフレンホーフェルへの憎しみ、悲しみ。
マリアンヌへの憎しみ、嫉妬。

マリアンヌのフレンホーフェルへの愛、信頼。
リズへの憎しみ、嫉妬。
そしてニコラへの愛の消失。。
それに気付いているニコラのマリアンヌへの憎しみ、悲しみ。
フレンホーフェルへの憎しみ。

ポルビュスのリズへの秘めた愛。
もしかしたら、ニコラの妹のジュリエンヌの
ニコラへの愛とマリアンヌへの憎しみ。。

などなど、、、

完成した絵は、それぞれの秘めた想いの現れとなって完成した。
けれど、その絵を壁に埋めてしまうことにより、
皆の秘密は封印され、もう一人の自分としてふるまう。

唯一、秘めた心を絵に描かれてしまったマリアンヌだけが、
本心が表に現れるようになる。

リズに冷たく接したり、
エンディングでは、ニコラの誘いをあからさまに断ったり。


完成した本物の絵(本心)を見たのは、
フレンホーフェルと、マリアンヌとリズだけ。
それぞれの対応も、違った。

フレンホーフェルは壁に絵を隠したことで、その気持ちを自ら封印し、
リズは、フレンホーフェルのその対応を認めた。

マリアンヌは、自分の冷酷な部分がすべて現れたことに動揺しつつ、
それを、すべて、認める。
正確には認めざるを得なかった。




心理描写を絵で描いた
美しく深く、切ない作品だった。






映画の一言。
「誰もが、秘めている。」

 

 

 

 

 



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