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ヒトラー~最期の12日間

2005年08月29日 23時45分05秒 | 映画・エンタメ
目撃者は一人の女秘書。
戦後はじめて明かされるヒトラー最期の12日間―。


1945年4月20日。ソ連軍の砲火が押し寄せるベルリン。ヒトラーとその側近たちは、総統官邸の地下要塞に避難していた。もはや敗戦を疑う者はいなかったが、正常な判断力を失ったヒトラーは、わずかに残った軍勢に戦況の挽回を命じ、惨状をさらに悪化させてゆく。狂気の独裁者を前に、選択を迫られる側近たち。最期まで運命をともにしようとする者、袂を分かって逃亡を謀る者、酒と享楽に溺れて現実逃避する者。そんな一部始終を間近で目撃していた総統付き秘書のユンゲは、ある日、ヒトラーから遺書の口述筆記を依頼される―。



いろいろな書籍や映像で、ヒトラーについて知る事が出来ますが、この映画の特異性は1942年~終戦(自殺)まで、ヒトラーの秘書として仕えた女性の視線を通してみたヒトラー像が描かれている事。採用当時20代前半…そのような若い女性が国の中枢機関の重要な責務に登用されること自体、かなり驚きだと思うのですが…。

公私含め、ヒトラーに近い関係にある女性や子供達、愛犬に接する態度は、【冷酷で残忍な独裁者】のイメージや人物像からは想像も出来ないほど、優しく、穏やかで、人間味溢れた紳士的な人だったようです。
それにしても地上で繰り返される、連日の残忍な殺戮とはまるで無縁の地下要塞での暮らし。身なりの整った綺麗な洋服、ワイン付きの贅沢な食卓、嗜好品(タバコ)…多くの苦しんでいる市民の事を思うとありえないでしょ!!!こんな贅沢!!!
この地下要塞にいて、秘書の彼女に、戦争の本当の恐怖や、ヒトラーの卑劣な独裁者としての姿は知る由もなかったようです。

戦況は困難を究め、敗戦濃厚な中、それでも参謀達の忠告に耳を貸さず、強行な態度を崩さない。すでに冷静に物事を見極める判断力すら失ってしまっているのに…。
自決する事を決めたヒトラーは、前日に18年来の愛人と結婚し、一緒に自決する。愛犬も道連れに!!最期の最期で結婚したのは愛人へのけじめ…??それとも孤独からの逃避??…理由はわからないけど、最期の瞬間を愛する者達と共に旅立てた彼は、ある意味幸せだったのかもしれないですね。
ヒトラーの遺体は、ヒトラー本人の遺言により、すぐさま跡形もなく焼かれ…、崇拝する偉大な指導者の死を知った側近達の多くもまた、自ら死を選んで行く…地下要塞で次々と起る壮絶な自決シーンは、あまりに痛ましく目を覆いたくなりました。

女性秘書は地下要塞から隠れるように脱出して、初めて知った地上での凄まじい地獄絵図のような惨状に激しい衝撃を受ける事となりました。
【自分がもう少し大人で冷静に判断出来ていたなら、ヒトラーの秘書を志願したりはしなかった。】と彼女は後に語ったそうです。

日本が戦後60年の節目に、戦争を扱った映画やドラマが多いように、この映画もまた、ドイツではそういった意味合いを持っているのだと思います。
この映画には、やはりいろんな意見・賛否両論があるようです。
しかし、ひとつの事実を克明に伝える映画としては、大変素晴らしい秀作と言えると思います。


【参考に、こんな解説もどうぞ!!…ちょっと拝借してきました
史上最も有名な独裁者アドルフ・ヒトラー。過去、チャップリンの『独裁者』や先鋭的な野心作が、この希代の悪漢をパロディや政治的考察の下に描いてきたが、その人間性を正面から描くことは絶対のタブーだった。そのタブーを当事国のドイツが自ら破ったのが今作だ。内容は、歴史家ヨアヒム・フェストの「ダウンフォール」と、ヒトラーの秘書トラウドゥル・ユンゲの回想録「最期の時間まで」に基づいているが、ヒトラーを人間として描くというだけで拒否反応を示す人々がいるのも当然だろう。結論から言えば、今作は完成度の高い力作であり、ある組織の終焉を描いた悲劇である。多くの場合、失われゆくものは美しい。製作者たちはそのあたりを誠実かつ慎重に演出しているが、忘れてならないのは、最期の日々に人間らしい悲哀を見せる彼らが、史上稀に見る蛮行を行った事実である。どこにでもいそうな好々爺にも映るヒトラーの姿に何を思うかは、今作を観た一人一人の胸に聞くしかない。




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