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ロッテ佐々木朗希投手(21)が、憧れの楽天田中将大投手(34)との初対談で、少年時代の出会いや野球への思いを語りあった。
22日に再開するペナントレース後半戦前に「マイナビオールスターゲーム2023」の試合会場でテレビ朝日との合同インタビューに応じた。東北を本拠地とする「最強エース」と岩手出身の「令和の怪物」は、接点や共通項も数多い。12年オールスター第3戦(盛岡)で“初対面”し、19日のオールスター第1戦(バンテリンドーム)では全パの継投リレーで勝利に貢献した2人の思いに迫った。【取材・構成=鎌田直秀】
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おそろいのパ・リーグTシャツを着て、笑顔で座った。田中将が座るのを待って、佐々木朗は帽子をかぶり直してソファに並んだ。
互いの印象を問われると、田中将が真っ先に口を開いた。佐々木朗も少し照れながら目標の存在を見つめた。
田中 末恐ろしいです。すごいです。本当に。まだまだ多分ここから行くと思うので。まだまだ年齢も若いですし。本当楽しみですね。
朗希 小さい頃から。そうですね、野球見始めた頃から、やっぱり憧れの選手だったので。ユニホームとか今でも家に飾っていますし。
田中 ほんとですか。ありがとうございます。
佐々木朗にとって楽天の背番号18のユニホームは、今でも宝物の1つだ。東日本大震災の被災地の子供たち約2400人が招待された12年7月23日のオールスター第3戦(岩手県営野球場)の外野スタンドから、先発した田中将を応援したことは最高の思い出になっている。
朗希 見ていました。投げている姿とかピッチングもすごいですし、闘志あふれる感じもすごい格好良かったです。
13年1月に仙台市内で行われた田中将が発起人になった坂本勇人や前田健太らによる「88年会」の被災地野球教室イベントにも参加している。
朗希 仙台のドームで。ロッテの沢村さんも一緒にいて。信じられないですね。
田中 (驚きの表情で)今、初めて知りました。
ロッテ入団時には目標の選手に田中将の名前を挙げている。プロ入り後「夢や希望を与える選手に-」と発言していることも影響は大きい。13年に田中将がシーズン無傷の24連勝など楽天を日本一に導いた姿は、プロ野球選手を目指す大きなきっかけにもなった。
田中 そうだったんですか!?
朗希 ずっと勝ち続けてて。みんなが目指すエース像というか。
田中 (日本シリーズで)僕、1回負けちゃったんですよ(苦笑い)。あの時、日本一になった日は朗希くん誕生日だよね。11月3日。すごいね。僕は11月1日。11月3日の日本一になった日が、誕生日だったという縁で。
朗希 野球始めたころとか、プロ野球とか、それこそWBCとかを見て、すごく憧れだったり、格好いいなって、野球を頑張りたいなっていう気持ちに、すごくなりました。
田中 そういうことを、最初のころは僕も言ってたんですけど、でも、なんかこう、年を重ねるごとに、何か与えるっていう、そんな偉そうなこと言えねえなっていうのは思って。やっぱり自分の出来ることだったり、グラウンド上で表現して、見に来てくださったファンの方々だったり、テレビを通して見てくださってる方々に、何か感じていただけるようにっていうふうには思ってます。
朗希 楽天の優勝の瞬間はちゃんと見てましたし、すごく勇気づけられたというか。すごく力を、元気をいただきました。
同じプロ野球選手の立場になった今、教えてほしい、学びたいことはあるのだろうか-。
朗希 シーズン通して投げるのが先発ピッチャーの仕事なので、そこに関して、やっぱりまだまだ規定投球回数もいったことないですし、それを継続して投げることはすごく大変なことだと思うので、そこらへんで長年投げ続ける秘訣(ひけつ)を聞きたいです。
田中 大丈夫だよ。投げ続けて自分でいろいろ感じて学習していって成長していくから。大丈夫、大丈夫。すごいところを挙げたらきりがないと思う。今年は投げ合う機会ないですけれど、やっぱりパフォーマンスが安定してきていますよね。平均球速もそうですけど、ちょっと前はばらつきも結構あったかなと思うんですけど、今は高い水準で。もともと高かったですけど、さらに高い水準で安定していますし。もちろん変化球もすごいですし。WBCでスライダーも学んで、スライダーも明らかに(良くなった)。オールスターでも投げていたよね。スライダーも明らかに変わって、投手としてレベルアップをさらにしているなと。目に見えた部分ではそこはすごい思いましたね。偉そうにスミマセン。
さらにトレーニング法に質問が飛んだ。
田中 本当に何もやっていないんです。そんな人に何か言えるようなことは何もやっていないので。逆に何やっているんですか?
朗希 僕もなんもやっていないです。
田中 絶対、ウソやろ。絶対、ウソ。体も大きくなっているし。
朗希 体重は今年のWBC終わってから8キロくらい増えました。
田中 えっ、終わってから!? 体重はある程度ないとダメだと思いますけれど。僕はヤンキースのローテーションの中で一番小さいくらいな感じだったので。周りみんな大きくて。フィジカルは大事かなと思いますね。
朗希 トレーニングしていく中で大きくなったらいいかなと思っています。
今日22日からレギュラーシーズンが再開する。田中将は日米通算200勝まであと5勝。佐々木朗にはNPB最速166キロの更新や最多奪三振など個人タイトルの期待も高まっている。田中将からは意外な弱気発言も。
田中 イマイチですね。投球の内容も良くないですし、良かったら次の登板に打たれてっていう、なかなかいい登板が続いていないというのが現状ですね。年齢は自分としても受け入れていかないといけない部分というのはありますけども、まだまだ自分の中で、出来るとは思っていて。先輩方のお姿を見るとまだまだやなとも思いますし。自分の変化とかにも向き合って、どううまくやっていくかっていうのを、うまく考えながら。それを何年かたった後に振り返って、いい時期だったなと思えるように、今はしたいなというふうには思っています。
朗希 僕は去年も前半戦良かったんですけれど、今年も数字的には順調に行ってるかなと。今年はカード頭投げたりだとか、そういった大事な試合で、投げることが多いので、去年とはまた違った位置にいるかなと思います。
田中 200勝まであと5つですけども、なかなか…。やっぱり難しいなっていう。勝ち星を積み重ねる難しさは感じています。(米国から帰国後)間違いなく日本の野球のレベルも高くなってるなって感じますし。アジャストしていかないといけない部分っていうのはたくさんあったので、そこは最初は苦労はしましたけど。今シーズン中にっていうのは、気持ちとしては、やっぱりあります。
最後は互いの健闘を誓い合い、固い握手。これからも2人で球界を盛り上げる約束も交わした。
(日刊)
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