≪5/12≫
5月11日、母の日。選手たちはピンクのリストバンドを着用して試合に臨んだ。毎年、プロ野球では母の日にピンク色のさまざまな特製ギアでプレーする姿を目にする。プロ2年目の寺地隆成捕手もピンクのリストバンドに母への感謝のメッセージを込めた。
「今日は見に来られませんでしたけど、見に来られる時は観戦に来てくれますよ」と寺地は語る。
男3人兄弟の末っ子。両親は共に剣道界で活躍するスポーツ一家の中で育った。「小学生の時までは厳しかった。当たり前の事ではありますが、礼儀とかあいさつとか、玄関で靴を脱ぐ時にそろえないとよく怒られた。それはでも、今思うと基本的なことだけれど、とても大事なことで今に生きている。今でも欠かさないように意識をしている」と振り返る。
両親の影響もあり、野球だけではなく剣道も経験している。剣道で身体を鍛えた時間が今に生きることも多くある。身体が強くなったという。
「軸というかいわゆる丹田。よく言われた。おへそより少し下。下腹部に力を入れろと。それは剣道だけではなく打撃でも大事だと思う。そこの力が抜けるとすべてのバランスが欠ける感じ。力を入れるというか、そこに軸を入れるイメージ」という。
寺地は4月18日の仙台でのイーグルス戦でスタメンマスクをかぶると、三回にプロ入り初本塁打を記録。さらに八回にも右中間スタンドに放り込む1試合2発。まだ19歳の若者が大きな存在感を見せた。その後も先発マスクをかぶる機会が増えるなど攻守で存在感を見せ続けている。
「試合に出る中で自分の至らないところがたくさん見つかっている。試合に出ていない時もベンチで見ることも勉強になっている。日々学びで、日々成長できたらと思ってやっています」と話す。うれしいことも悔しいことも経験しながら若武者はペナントレースに全力で向き合っている。
母の日は出番はなかったが、ベンチから大きな声を出して先輩たちばかりのベンチを盛り上げた。母には、5月中旬が誕生日であることから母の日と合わせて、欲しいと言っていたタブレット型端末機をプレゼントするつもりだ。ただ、何よりも喜ぶのは自身の活躍であろう。身体の軸を保ち、力を入れ、強い打球を打ち込む。投手陣を精いっぱい、リードする。背番号「65」の親孝行は始まったばかりだ。
(千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)
(千葉日報)
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≪5/13≫
ロッテの池田来翔は開幕二軍スタートだったが、4月25日に今季初昇格すると、2日のソフトバンク戦から8試合連続でスタメン出場する。
今季に向けて1月中の自主トレで「ポジションも空いたところがあればすぐに入り込めるように、まずは打撃で結果を出したい」と意気込み、都城春季キャンプで汗を流し、2月18日からの沖縄遠征から一軍キャンプに合流。2月・3月の練習試合・オープン戦で10試合に出場して、打率.125(16-2)とアピールできず。3月1日の韓国ロッテとの練習試合を最後に一軍の対外試合の出場はなく、「ファームでは一軍で活躍することだけをイメージしてやっていきました」とファームで過ごした。
昨年のシーズン最終盤、ファームで積極的に打っていく中で四球を選ぶ姿を見せていたが、今季もファームでは開幕してからボールを見極め、四球を選ぶことが多かった。
「打ちに行けていれば、ボールもああやって見逃せると思いますし、一軍ではそれができていないので、もうちょいボールに対してうちに入っていけるようにしたいですね」。
ファームで25試合に出場して、打率.289、2本塁打、10打点、出塁率.373の成績を残し、4月25日に一軍昇格。4月29日のオリックス戦では、0-1の7回一死一塁の第3打席、「必死に打ちました。タイムリーになって良かったです」と宮城大弥が1ボールから投じた2球目のフォークをレフト線に今季初安打となる適時二塁打を放った。
翌30日はベンチスタートとなったが、0-5の9回一死走者なしの場面に代打で登場し、「しっかりボールに対して、入っていけたので、あれは良かったと思います」と田嶋大樹が投じた外角のストレートをライト前に安打。本人も納得の一打となった。
バットで結果を残した池田は、5月2日のソフトバンク戦からスタメン出場を続け、4日のソフトバンク戦で3安打、9日と10日の西武戦で安打を放った。
チーム全体が打撃で苦しんでいる中で、“打てば”、一軍定着、スタメンを勝ち取るチャンスである。一軍定着するために池田は「守備もそうですし、打撃ももちろん、毎日1本ずつは結果を残したい」と力を込める。
池田は昨季、「いろんなことを試しすぎて、ちょっといい結果にならなかったと思います。自分の芯がなかった感じがします」と反省し、昨年ZOZOマリンスタジアムで行われた秋季練習では「(芯を持つために)自分を知ることが一番ですね。自分はどういう選手か、自分がどういうバッターか、それがわかっていないと見つからないと思います」と“芯”を持つことにこだわってきた。
春季キャンプ直前の1月下旬の取材で「芯ですか、徐々に見えてきてはいます」と話していたが、シーズンが始まった現在は「バッティング面なんですけど、今のところはしっかり確立できているのかなと。あまり彷徨うことなく、ワンポイント、ワンポイントだけを修正しながら、芯を持てていると思います」とのことだ。
「チームが下に落ちている状態なので、若手がしっかりといい勢いに乗せられるように頑張りたいです」。守備、走塁面に課題はあるが、チーム事情を考えれば、打って存在感を示すことができれば、継続して一軍で出場することができるはずだ。とにかく、打ってアピールしたい。
取材・文=岩下雄太
(ベースボールキング)
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≪5/14≫
ロッテの山本大斗が13日の楽天戦、プロ初本塁打を放った4月16日の日本ハム戦以来となる一発を放った。
0-2の3回無死走者なしの第1打席、先発・荘司康誠が1ボール2ストライクから投じた5球目のフォークを振り抜くと、「逆風でしたけど打った瞬間行ったと思いました」と打球はレフトスタンドに飛び込んだ。
◆ 昨年8月以降の取り組み
山本は昨季イースタン・リーグの本塁打、打点の二冠王に輝き、特に“左足の使い方”、“タイミングの取り方”を意識した8月以降はファームで打率.377と確実性が向上。「そのまま継続して、甘い球を逃さないとかを意識してオーストラリアでもやっていました」とシーズン終了後に参加したオーストラリアのウインターリーグでは20試合に出場して、打率.301、1本塁打、7打点の成績を残した。
1月の自主トレでも昨年8月以降に取り組んできたことを継続し、石垣島春季キャンプでは「同じタイプ3人で組まれているのかなと思いますけど、2人ともいい打球を打つので、自分も負けないように。意識するところはしっかりして、その中で2人よりもいいものを見せられたらなと思うんですけど、現状は見せられていない。この2人と打っているととにかく力が入ります」と同じ右の長距離砲外野手の山口航輝、ドラフト1位・西川史礁(青山学院大)と同組で打撃練習を行った。
「8月くらいからやってきたことを継続してやっているので、一軍の練習試合でどれぐらい通用するのか楽しみ」と2月16日から始まった対外試合では、2月22日の中日とのオープン戦で満塁本塁打、翌23日の韓国・ハンファとの練習試合にもバックスクリーンに豪快な一発。ただ、練習試合・オープン戦で打率.158(38-6)、3本塁打、9打点とアピールできず。
「そこはフォームどうこうは気にしていなくて、気持ちの部分だったりとか、一軍の舞台だと自分のスイングができなくなったりと思っていた。正直、オープン戦は僕が結果を求めすぎたというか、ちょっと小さくなっていた部分があった」。
昨年一軍を経験してファームを落ちた時と、今回は開幕前にファームを落ちた時では気持ちの面で変化はあったりしたのだろうかーー。
「とにかくいつ上がっても打てるようにというのと、チャンスが多くないのもわかっていますし、しっかり結果を残すにはそういうところが大事かなと思っていました」。
ファームでは「準備の段階だったり、目付けの部分、待ちかた、ファームで打てても一軍ではどうかなと考えて、ホームランを打っても納得いっていないホームランもファームではありましたし、そういったところを自分に厳しくやっていましたね。今回は思い切って、打てなかったら自分が練習するしかない。それぐらいの準備はしてきたので、という感じです」と、打率.365、5本塁打、21打点と結果を残し、4月12日に一軍昇格を果たした。
「準備の段階であったり、やってきたことをやれば絶対に打てると思うので、そこだけですね。小さくならないことと、自分のできることをする、それだけです」。
「とにかく与えられた場面、打席でしっかり自分のできることを精一杯全力で尽くして、僕がチームを勝たすくらいの気持ちで打席に立ったり、試合に出たいですね」。
山本は4月16日の日本ハム戦でプロ初本塁打を放った後、試合に出場したり、しなかったりということがあったが、現在10日の西武戦から3試合連続先発出場中。今季に向け一軍で20本塁打を目標に掲げる山本には、チームが長年課題とする“日本人の長距離砲”を克服するような一発に期待したいところだ。
取材・文=岩下雄太
(ベースボールキング)
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≪5/14≫
ロッテの本拠地、ZOZOマリンスタジアムの移転が報じられた。老朽化が理由だとか。外観を見る限り、そんなに傷んでいる印象はないが、雨漏り、腐食は激しいらしい。潮風が猛烈に吹き寄せる東京湾に隣接しているからなぁ。
阪神が初めて、当時の名称「千葉マリンスタジアム」で公式戦を行ったのは1994年5月のヤクルト3連戦。初戦は白星だった。その後は2005年の日本シリーズに象徴されるように、悲惨な負け方を繰り返した記憶のほうが強いか。
意外だが、ロッテが本拠地を移すまで、千葉県内ではセパの公式戦が行われていない時代が続いていた。
〝千葉初〟の公式戦、当時のタテジマのチームリーダーは千葉県出身の和田豊(現1、2軍打撃巡回コーディネーター)。「凱旋する気分は?」と取材し、大きな記事になった。交流戦で2年に一度は必ず出向く現代から考えると、不思議な感覚に陥る。
ロッテが川崎球場の老朽化により千葉への移転で話題を集めたのは92年。30年余りで球場というものは朽ちるのか。そういえば、同じような時期の88年に開場した東京ドームも移転が決まっている。
記者生活をスタートさせた39年前と比較して、今も同じ場所に存在している球場は、数えてみたら4つしかない。神宮球場、横浜スタジアム、西武球場(現ベルーナドーム)、そして甲子園球場だ。
西武は中途半端(?)なドームになって雰囲気はガラリと変わってしまったし、神宮はすぐ隣への移転が明らかになっている。もっと遡って、筆者が小学校時代の大洋ホエールズ(現DeNA)の本拠地は川崎球場だった。
となると、もはや甲子園だけが草創期から伝統を守り続ける球場ということになる。
そんな甲子園も改装が繰り返されてきた。2008年からの大改装は印象的だ。
「外観を維持しながらの工事が大変。全部、ぶっ壊して建て直した方が費用的には相当安くできる」
そう教えられた。でも、その外観を守る精神のおかげで、今も甲子園だけが「伝統を守っている球場」として称賛され続けている。
そして、現在は銀傘の拡張がシーズンオフを中心に4段階の工期に分けて、進行中。28年3月の完成を目指している。既存の内野席を覆う銀傘(8184平方メートル)に加えて、一、三塁のアルプス席の7割をカバーする3328平方メートルを作り上げる計画だ。灼熱の夏の甲子園。高校野球の応援団やファンにも、阪神ファンにも、最高のプレゼントになる。
「歴史と伝統を新たに紡いでいくことが使命」
今回の大改装に際して、阪神電鉄の思いを込めた言葉だ。甲子園球場だけは、変わらず存在し続ける。野球を愛するファンにとっては、なんとありがたいことか。
ただし。個人的意見を言わせてもらう。
ZOZOマリンが移転することで、記者席が屋外の球場は甲子園だけになる。ロッテの新球場の記者席が部屋の中なのか、外なのかは不明だが。
3月の極寒のオープン戦で震えあがり、夏の猛暑で汗まみれになり…。冷暖房のない甲子園の記者席の環境は間違いなく12球団の本拠地ワースト。何とかしてくれないかなぁ。新聞記者の言い分なんて、誰も聞いてくれないか?
■上田 雅昭(うえだ・まさあき) 1962(昭和37)年8月24日生まれ、京都市生まれ。86年入社。近鉄、オリックス、阪神を担当。30年近くプロ野球を見てきたが、担当球団が一度も優勝していないのが自慢(?)
(サンスポ)
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