≪2020/8/23≫
ロッテ・三木が今季初昇格!ファームでは内野の全ポジションで出場
今季初昇格
ロッテの三木亮が23日、今季初となる一軍昇格を果たした。
本日の試合前練習では、室内で打撃練習を行なったあと、藤岡裕大、安田尚憲とともにグローブを持ってグラウンド入り。グラウンドで和田康士朗とキャッチボールしたあと、ショートのポジションに入り、藤岡、茶谷と一緒に鳥越裕介ヘッド兼内野守備走塁コーチが打つノックを受けた。
ノック中に「1本目」、「2本目」、「ゲッツーいきます!」と大きな声で盛り上げ、同じくサードでノックを受けていた安田も、三木の声に乗せられ、いつも以上に声を出しているように見えた。
なおこの日のグラウンドで行っていた試合前練習では、ノックを受けていたのはショートのポジションのみだった。
超ユーティリティープレーヤー
昨季は内野の全ポジションを守るなど、試合終盤の守備固めでは欠かせない存在感を見せた三木は、昨年10月25日に都内の病院で『右膝蓋大腿関節軟骨損傷』と診断され、『鏡視下右膝軟骨修復術および右膝ガングリオン切除術』を受けた。6月の練習試合で一軍に昇格した時期もあったが、春季キャンプからファームで過ごす時間が長かった。
ファームでは一軍昇格を目指し、三木らしい“しぶい”働きを見せていた。7月2日のヤクルトとの二軍戦では、0-0の4回無死一、二塁の場面で、きっちりと初球で送りバントを決め走者を進め、その後ワイルドピッチの間に三塁走者が生還し得点に繋げた。同試合ではやや制球に苦しんでいた若手投手に対し、マウンドへ行き一声かける場面もあった。
もちろん守備でもファームの公式戦すでに一塁で4試合、二塁で7試合、三塁、1試合、遊撃で25試合と内野の全てのポジションで出場している。
レギュラーが固定されている現状、三木が出場するとなれば、これまでと同じように途中出場がメインになるだろう。過去の取材で途中から出場する難しさについて「試合の展開にもよりますし、流れもあります。勝っていたりしていると、いい流れで行っている中で入っていくので、流れを切らさないように」と明かし、「本当にいつ出番がくるかわからない状況。いつ出されても後悔のないような準備の仕方をしている」と最高のプレーを披露するため、入念な準備を行ってきた。この日の練習を見る限り、その姿勢は今年も変わっていないように見えた。
内野の全ポジションが守れ、打っても右打ち、バントと小技もできる。昨季は、代打で立った打席数は3だったが、4月28日の楽天戦では、9-8の8回無死二塁の場面でバルガスの代打で登場すると、相手もバントとわかりきった状況できっちりと初球でバントを決め、清田の適時打に繋げた。守備固めだけでなく、走者を進めたいという場面でピンチバンターとして起用することも可能だろう。
自身の右膝の故障や新加入の鳥谷敬、西巻賢二、福田光輝など複数のポジションを守るライバルが増えたことで、開幕はファームスタートだった。ようやく一軍の舞台に帰ってきた三木。今年も試合終盤で安定した守備、そしてスタメン出場したときには走者を進める打撃、バント、右打ちなど自身の役割を全うする姿を数多く披露して欲しい。
文=岩下雄太
(ベースボールキング)
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≪2020/8/23≫
ロッテの代打成績がスゴイ!ルーキー佐藤は代打の打率.462、出塁率.563
佐藤が代打で2点タイムリー
「今いい状態なので、なんとかいい集中力をもってバッティングができているし、結果を出してくれた」。
ロッテの井口資仁監督は、代打で登場し一時同点となる2点適時打を放った佐藤都志也の打撃をこのように評価した。
佐藤は0-2の7回二死二、三塁の場面で、藤岡裕大の代打で登場。佐藤はファウルで追い込まれるも、坂東湧梧が投じた3球目の低めのフォークをきっちり見送る。続く4球目のインコースストレートをファウルにすると、5球目のやや高めの144キロのボール球をセンター前に弾き返し、一時同点となる2点適時打とした。
佐藤は、6月27日のオリックス戦でサヨナラタイムリーを放つなど、代打での打率.462(13-6)、5打点、3四球、得点圏打率は驚異の.600、出塁率も.563と高い出塁率、勝負強さを誇る。ちなみに、現在19日のソフトバンク戦から代打で3試合連続出塁中だ。
高い成功率を誇る代打陣
佐藤の代打成績も素晴らしいが、今季のマリーンズは代打で勝負強い打者は他にもいる。
角中勝也は8月2日の楽天戦、3-5の7回無死走者なしの場面で、代打で登場し、牧田和久が投じた変化球をライトスタンドへ本塁打を放つなど、代打での打率.417(12-5)、1本塁打、1打点、出塁率.533、得点圏打率.500の成績を残す。
昨季は代打で打率.296(27-8)、1本塁打、8打点の成績を残した清田育宏は、今年も好結果を残している。8月は打点こそないが、代打での打率.667(3-2)、2四死球で、現在代打で2試合連続出塁中だ。
代打のチーム打率は.277(65-18)、7打点、12四死球、長打率.369、出塁率.390、得点圏打率.353はいずれも22日終了時点で、リーグトップの数字。清田、角中はスタメンで出場する日もあれば、代打での1打席で結果が求められる日もある。そういった難しさがある中で、与えられた役割で最高のパフォーマンスを発揮するのはさすがだ。
今季ここまでリーグトップの14度の逆転勝利は、投手陣の踏ん張り、最後まで諦めない姿勢と代打で高い成功率を誇る打者が控えていることも大きい。終盤に1人だけでなく、数多く頼もしい“代打の切り札”が控えていることは心強い。
▼佐藤、角中、清田の代打成績
佐藤都志也 16試 率.462(13-6)本0 点5 四死3 出塁率.563 得点圏.600
角中 勝也 15試 率.417(12-5)本1 点1 四死3 出塁率.533 得点圏.500
清田 育宏 10試 率.375(8-3)本0 点0 四死2 出塁率.500 得点圏.333
文=岩下雄太
(ベースボールキング)
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≪2020/8/24≫
ロッテ大嶺、トミー・ジョン手術を受ける人の希望に
<ニッカンスポーツ・コム/プロ野球番記者コラム>
ロッテ大嶺祐太投手(32)が、23日に支配下選手登録された。チームメートに拍手で祝福され「すごくうれしかったです」とさわやかに笑った。
1軍経験豊富な右腕は19年1月、右肘内側側副靱帯(じんたい)の再建手術を受けた。「痛い時は、自信をもって直球を投げることができなかったです」。リハビリに約1年を要する大きな決断をし、復活を目指した。
肘の内側側副靱帯(じんたい)の再建手術は、通称「トミー・ジョン手術」と呼ばれる。エンゼルス大谷も18年10月に受けている。大嶺は無事にリハビリを終え、石垣島キャンプから精力的に投げていた。今は「痛いところはないです」と喜ぶ。2軍では球速が150キロ超をマークしている。
30代になったプロ13年目の昨季は、マウンドとは無縁の1年だった。「リハビリに携わってくれた方々に、本当に、感謝の気持ちでいっぱいです」としみじみ話す。「これ以上悪くならないと自分に言い聞かせて、絶対に良くなるんだという気持ちでした」。
トミー・ジョン手術の経験者として、振り返る。
「投げ始めは怖さもありましたけど、自分の場合は早い段階で肘の恐怖心をとることができたので。もちろん、リハビリはしんどいですけど、やっていくうちに良くなっていくので気持ちも前向きになります」。
ロッテでは、今季の先発ローテーション入りが決定的だった西野勇士投手(29)が開幕直前に戦線離脱し、6月末に同手術を受けた。プロ野球選手のみならず、高校生にもこの手術を受ける選手はいる。彼らの不安は手に取るように分かる。だからこそ。
「西野とも手術後にいろいろな話をしました。たぶん今後(トミー・ジョン)手術をする人は増えてくると思います。その人たちの希望というか、絶対に大丈夫というところを見せられたらなと思います」。
道しるべに-。2ケタの背番号「64」を取り戻したその目は、希望の光に満ちていた。【ロッテ担当・金子真仁】
(日刊)
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≪2020/8/25≫
【千葉魂】鳥谷冷静に一気の生還 代走起用見せたベテランの業
蒸し暑い真夏の夜に大ベテランがさすがの業(わざ)を見せた。全力疾走しながらの一瞬の時で全てを計算し尽くした。プロ通算2193試合に出場をしている大ベテランの鳥谷敬が走塁でチームを劇的勝利に導いた。20日のホークス戦(ZOZOマリンスタジアム)。同点で迎えた延長十回2死一、二塁。暴投の間に二塁からイッキにホームを陥れた。
□ ■ □
「キャッチャーの追い方を見て、いい勝負になると思った、チャンスだと思った」
ホームに生還した際には満面の笑みを見せて仲間たちと喜びを分かち合っていたが試合後の鳥谷はいつものクールな表情に戻り振り返った。カウント3ボール、2ストライク。投手がボールを投げると同時にスタートを切るフルカウントの場面。走った瞬間にボールが一塁側に逸れたのを確認した。全力疾走をしながらも、決してボールの位置から目を離さない。強いバウンドで飛び跳ねるボールと捕手の位置の距離感がつかみにくかったが、激しく高いバウンドと捕手の慌てた追い方を見て走りのギアを上げた。意志が連動するように三塁ベースコーチも腕をグルグルと回した。
「ああいう場面ではいつも走り始めた瞬間からホームヘイッキに行く可能性があると心の準備をしている」と語る鳥谷が見ていたのは転々と転がるボールを必死に追う捕手の動きとホームカバーに入った投手の位置、すなわちそのラインだった。慌ててスライディングをしてまでボールを追いかけた捕手の態勢から切り替えしての的確なスローイングは厳しく、投手も捕球後のタッチの難易度は極めて高いと判断した。
「ボールの高さなども色々と想定して走路を三塁側から反対側に切り替える選択を最初に行った。そして次が足からではなく手という判断。ホームで待つ投手に対して足から行くと操作性が難しくなるけど、内側にまわって手でタッチをすれば、なんとか、かいくぐれると思った」
走り出した瞬間からホームタッチまで7秒。その中で鳥谷は判断し、思惑通りの結果を導いた。ボールはホームベースから三塁側に少し逸れ、ベースカバーに入った投手は態勢を崩しながらボールを捕球。鳥谷がしっかりと見定めた手はホームベースを楽々と触り、球審の手が横に開いた瞬間、幕張の夜空に歓喜の声がこだました。
□ ■ □
今はスタメンで出場する機会は決して多くはないが、いつ出番が来てもいいように準備を行い、自分が呼ばれる状況を想定し備える。この試合では代走の可能性を頭に入れていた。だからベンチ裏の廊下でダッシュを繰り返し、入念に体を温め続けた。
「あそこで代走はあると思っていた。それもサヨナラのランナーになる可能性としての出番があると分かっていた」と鳥谷。ベテランの思惑通りに井口監督も経験値を計算に加えて背番号「00」を代走に指名をした。期待通りに最短距離で走り抜け、セーフになるもっとも可能性の高い選択を行いチームを勝利に導いた。しかしその男は「神走塁ではない。冷静に、思い切りいけただけ」と軽く笑った。
準備は日々から徹底している。ナイターでも基本的に寝るのは夜の12時で起きるのは午前7時。デーゲームでもナイターでも同じリズムを作る事で体の状態をいつでもフラットな状態に整える。早めに球場に来てウエートを行い、ショートダッシュに坂道ダッシュ、階段上りを行いマシン相手に打ち込み全体練習に臨むのが日課だ。毎日、最善の準備を行い、出番を待つ。人事を尽くして天命を待っているからこそ、結果は生まれるのだ。
「まだまだこれから。これで終わりではなくて始まりだから」。グラウンドでは今まで見た事がないような表情で喜んでいた男はロッカーに戻るとすぐにシャワーを浴び、私服に着替えスタジアムを後にした。鳥谷はいつも若い選手たちに言っていることがある。「プロ野球は明日もある。(勝って)喜び過ぎず、(負けて)落ち込み過ぎず。切り替えが大事」と。大ベテランだからこその走塁に誰もが酔った真夏の夜も背番号「00」はいつも通りのルーティンを崩すことなく過ごした。こんな男がいるから今年のマリーンズは強いのだ。
(千葉ロッテマリーンズ広報・梶原紀章)
(千葉日報)
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≪2020/8/25≫
佐々木朗希をロッテ伝説のOBが絶賛。
ただし心配な部分もある
◆小林雅英と藤田宗一が語るリリーフ論
現在、パ・リーグの首位争いを繰り広げているロッテだが、ファンにとって気になるのはゴールデンルーキー・佐々木朗希の動向だろう。一軍に帯同に調整を続けているとのことだが、詳細は伝えられていない。いまだベールを脱いでいない"令和の怪物"の本当の実力とは? かつてロッテの"勝利の方程式"の一端を担い、2005年の日本一に貢献した藤田宗一氏と小林雅英氏に佐々木朗希の可能性について聞いた。
小林 佐々木に関しては、キャンプで投げている姿を見て本当に驚いた。ロッテだけでなく、球界の宝になると確信しました。
藤田 正直、ちょっと見たことのないレベルの素材だと思う。明らかに高卒1年目の投手が投げているボールではない。
小林 投げているボールはもちろんだけど、あれだけの体躯(190センチ・85キロ)、腕の長さで、しっかりと自分の体をコントロールできているのがすごいなと。大谷(翔平)もそうですけど、あれだけ大きな体を使いこなして、そのうえ柔らかさもある。
体が大きい選手、とくに投手はその分だけ体の動かし方が散漫だったりするのですが、佐々木は細部までしっかりコントロールして使えているというのが衝撃でした。それがパフォーマンスにもつながると思うのですが、じつはそれってすごく難しいことなんですよね。
藤田 下半身の使い方がスムーズだなというのが第一印象。とくに右足の蹴りのすばらしさに目がいく。右足の蹴りが強いから、あの体格でも体重移動ができていて、ボールにうまく力を伝えられている。
小林 だからただ速いだけでなく、ボールに力がある。
藤田 フォーム的にも制球力で苦労することがなさそうだし、どれだけの投手になるのだろうと......楽しみしかない。
小林 たしかに、コントロールで苦労するタイプには見えないですよね。まだまだ線も細く、体もできていないですが、今後プロでシーズンを戦うための体づくりをしていったら、間違いなくスピードも伸びていくはず。順調に育てば、日本人がいまだ到達していないところにいくかもしれない。
藤田 ヒジの使い方もすばらしい。よく「ムチのようにしならせる」と言うけど、まさにその言葉がピタリと当てはまるような使い方をしている。あれは天性のものだし、真似しようと思ってもできるものではない。ボールの出所が見えにくいだろうし、さらに角度もあるから、打者は相当打ちにくいだろうね。
小林 佐々木に関しては、野球選手としてしっかりした道を歩んでほしいと、とにかく球団が大事に育てているのがわかる。プロでやっていくための技術的なことはもちろん、体のつくり方、野球に対する考え方や社会人としてのあり方など、今はそうしたことをじっくり教え込んでいる時期なのかなと。
藤田 球団もあれだけの選手だから、「絶対に壊してはいけない」とすごく慎重になっている。
小林 まだ高卒1年目で、そういった基礎的なことがわからないまま一軍で投げさせるということはしないと思います。3年目ぐらいからしっかりと活躍してくれたらいい、というぐらいの考えなのかもしれないですね。
藤田 育成については考え方が分かれるだろうね。一軍レベルでしか身につかない細かいコントロールや投げる体力、試合勘というのがある。二軍で勉強するというのもひとつの手段だと思うけど、投げているボールのスピード、キレはすでに一軍レベル。
小林 実戦のなかでしか成長できない部分があるのがプロの世界。
藤田 個人的には、使いながら育てるという選択肢はありだと思う。使われながらよくなることもあるし、佐々木には経験が必要だと思う。高校時代、バリバリの強豪校で揉まれてきたというわけではないし、まずはプロの水にいかに早く慣れさせていくか。
小林 パ・リーグで高卒1年目から2ケタ勝ったピッチャーといってパッと思い出すのは、(松坂)大輔とマー君(田中将大)くらい。あいつらはちょっとパフォーマンスが違った。強豪校で揉まれてきて、甲子園という大舞台であれだけの活躍をして、体力もケタ違いだった。
藤田 並みの新人とはすべてにおいて違っていた。
小林 大輔やマー君は、いい意味で悪い顔をしていた(笑)。そういう意味では、佐々木はまだプロの顔というよりは優しい顔をしているかな。
藤田 野球を続けている限りずっと注目されるだろうし、これからも大変なことはいっぱいあると思うけど、なんとか結果を出してほしい。
小林 コーチも大変でしょうね。
藤田 あれだけの能力を持った高卒選手を指導した経験がある人は皆無だろうし、難しさはあると思う。
小林 190センチを超える身長で160キロを投げた経験のある日本人はほとんどいない。指導にしてもサンプルがないからコーチ陣も手探りかもしれない。自らの経験値を持ってアドバイスできるのは、それこそ大谷だけしかいない。佐々木はそういった未知の領域にいて、これまでいなかった選手ということを首脳陣は理解したほうがいいかもしれないですね。
藤田 参考になるのは、本当に大谷くらいだよな。個人的には、1年目の大谷より佐々木のほうが魅力はある。正直、どこまでの選手になるのか想像もつかいないし、どんなレベルに到達するのか楽しみで仕方ない。
小林 もう現時点ですごいですよね。高校卒業してすぐにシートバッティングで160キロを出す投手なんてひとりもいなかった。これが公式戦で、テンションが上がっている状況で投げたらどれだけのパフォーマンスを見せてくれるのか。
藤田 あとはそのパフォーマンスに耐えられる体になっているのかどうか。
小林 プロで投げる以上、安定してパフォーマンスを発揮しなければいけない。そのためには心身の強さが必要になってくる。成績はもちろんだけど、野球以外の部分でもいろいろな報道が出るかもしれない。そういうのをすべて飲み込める人間力を学ぶために、今はいろんな人と接しながら勉強しているのかなと。
藤田 プロとしての振る舞い方や野球との向き合い方などの指導を受けつつ、大きく成長していってほしい。"佐々木効果"もあって、今年のロッテは注目度が上がっている。そういう意味で、ほかの選手も刺激を受けているだろうし、チームとしてもいい方向に向かっていると思う。
小林 いずれにしても、デビュー戦が楽しみですね。
プロフィール
藤田宗一(ふじた・そういち)
1972年、京都府生まれ。島原中央高から西濃運輸に進み、1997年のドラフトでロッテから3位指名を受け入団。1年目から56試合に登板するなど、中継ぎのスペシャリストとして活躍。2006年には第1回WBCの日本代表に選出され、世界一を経験。その後、巨人、ソフトバンクでもプレーし、2012年にはBCリーグの群馬ダイヤモンドペガサスで選手兼コーチとして入団。同年限りで現役を引退。引退後は焼肉屋オーナーになるが、2018年より解説者に。現在はケニアの野球発展のために現地で指導も行っている。 https://yell.en-jine.com
小林雅英(こばやし・まさひで)
1974年、山梨県生まれ。都留高から日本体育大、東京ガスを経て、1998年のドラフトでロッテから1位指名を受け入団。1年目は先発としても起用され、46試合の登板で5勝をマーク。3年目の2001年からクローザーとなり、2007年まで毎年20セーブ以上を挙げるなど活躍。「幕張の防波堤」の異名をとった。2008年からMLBのクリーブランド・インディアンスに移籍。おもに中継ぎとして57試合に登板。翌年も残留となったが、シーズン途中に契約解除。同年オフに巨人と契約するも1年で戦力外となり、オリックスへ移籍。ここでも結果を残せず、2011年限りで現役を引退。引退後はオリックス、ロッテでコーチを務め、現在はプロ野球評論家として活躍。
栗田シメイ●文
(Sportiva)
ロッテ・三木が今季初昇格!ファームでは内野の全ポジションで出場
今季初昇格
ロッテの三木亮が23日、今季初となる一軍昇格を果たした。
本日の試合前練習では、室内で打撃練習を行なったあと、藤岡裕大、安田尚憲とともにグローブを持ってグラウンド入り。グラウンドで和田康士朗とキャッチボールしたあと、ショートのポジションに入り、藤岡、茶谷と一緒に鳥越裕介ヘッド兼内野守備走塁コーチが打つノックを受けた。
ノック中に「1本目」、「2本目」、「ゲッツーいきます!」と大きな声で盛り上げ、同じくサードでノックを受けていた安田も、三木の声に乗せられ、いつも以上に声を出しているように見えた。
なおこの日のグラウンドで行っていた試合前練習では、ノックを受けていたのはショートのポジションのみだった。
超ユーティリティープレーヤー
昨季は内野の全ポジションを守るなど、試合終盤の守備固めでは欠かせない存在感を見せた三木は、昨年10月25日に都内の病院で『右膝蓋大腿関節軟骨損傷』と診断され、『鏡視下右膝軟骨修復術および右膝ガングリオン切除術』を受けた。6月の練習試合で一軍に昇格した時期もあったが、春季キャンプからファームで過ごす時間が長かった。
ファームでは一軍昇格を目指し、三木らしい“しぶい”働きを見せていた。7月2日のヤクルトとの二軍戦では、0-0の4回無死一、二塁の場面で、きっちりと初球で送りバントを決め走者を進め、その後ワイルドピッチの間に三塁走者が生還し得点に繋げた。同試合ではやや制球に苦しんでいた若手投手に対し、マウンドへ行き一声かける場面もあった。
もちろん守備でもファームの公式戦すでに一塁で4試合、二塁で7試合、三塁、1試合、遊撃で25試合と内野の全てのポジションで出場している。
レギュラーが固定されている現状、三木が出場するとなれば、これまでと同じように途中出場がメインになるだろう。過去の取材で途中から出場する難しさについて「試合の展開にもよりますし、流れもあります。勝っていたりしていると、いい流れで行っている中で入っていくので、流れを切らさないように」と明かし、「本当にいつ出番がくるかわからない状況。いつ出されても後悔のないような準備の仕方をしている」と最高のプレーを披露するため、入念な準備を行ってきた。この日の練習を見る限り、その姿勢は今年も変わっていないように見えた。
内野の全ポジションが守れ、打っても右打ち、バントと小技もできる。昨季は、代打で立った打席数は3だったが、4月28日の楽天戦では、9-8の8回無死二塁の場面でバルガスの代打で登場すると、相手もバントとわかりきった状況できっちりと初球でバントを決め、清田の適時打に繋げた。守備固めだけでなく、走者を進めたいという場面でピンチバンターとして起用することも可能だろう。
自身の右膝の故障や新加入の鳥谷敬、西巻賢二、福田光輝など複数のポジションを守るライバルが増えたことで、開幕はファームスタートだった。ようやく一軍の舞台に帰ってきた三木。今年も試合終盤で安定した守備、そしてスタメン出場したときには走者を進める打撃、バント、右打ちなど自身の役割を全うする姿を数多く披露して欲しい。
文=岩下雄太
(ベースボールキング)
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≪2020/8/23≫
ロッテの代打成績がスゴイ!ルーキー佐藤は代打の打率.462、出塁率.563
佐藤が代打で2点タイムリー
「今いい状態なので、なんとかいい集中力をもってバッティングができているし、結果を出してくれた」。
ロッテの井口資仁監督は、代打で登場し一時同点となる2点適時打を放った佐藤都志也の打撃をこのように評価した。
佐藤は0-2の7回二死二、三塁の場面で、藤岡裕大の代打で登場。佐藤はファウルで追い込まれるも、坂東湧梧が投じた3球目の低めのフォークをきっちり見送る。続く4球目のインコースストレートをファウルにすると、5球目のやや高めの144キロのボール球をセンター前に弾き返し、一時同点となる2点適時打とした。
佐藤は、6月27日のオリックス戦でサヨナラタイムリーを放つなど、代打での打率.462(13-6)、5打点、3四球、得点圏打率は驚異の.600、出塁率も.563と高い出塁率、勝負強さを誇る。ちなみに、現在19日のソフトバンク戦から代打で3試合連続出塁中だ。
高い成功率を誇る代打陣
佐藤の代打成績も素晴らしいが、今季のマリーンズは代打で勝負強い打者は他にもいる。
角中勝也は8月2日の楽天戦、3-5の7回無死走者なしの場面で、代打で登場し、牧田和久が投じた変化球をライトスタンドへ本塁打を放つなど、代打での打率.417(12-5)、1本塁打、1打点、出塁率.533、得点圏打率.500の成績を残す。
昨季は代打で打率.296(27-8)、1本塁打、8打点の成績を残した清田育宏は、今年も好結果を残している。8月は打点こそないが、代打での打率.667(3-2)、2四死球で、現在代打で2試合連続出塁中だ。
代打のチーム打率は.277(65-18)、7打点、12四死球、長打率.369、出塁率.390、得点圏打率.353はいずれも22日終了時点で、リーグトップの数字。清田、角中はスタメンで出場する日もあれば、代打での1打席で結果が求められる日もある。そういった難しさがある中で、与えられた役割で最高のパフォーマンスを発揮するのはさすがだ。
今季ここまでリーグトップの14度の逆転勝利は、投手陣の踏ん張り、最後まで諦めない姿勢と代打で高い成功率を誇る打者が控えていることも大きい。終盤に1人だけでなく、数多く頼もしい“代打の切り札”が控えていることは心強い。
▼佐藤、角中、清田の代打成績
佐藤都志也 16試 率.462(13-6)本0 点5 四死3 出塁率.563 得点圏.600
角中 勝也 15試 率.417(12-5)本1 点1 四死3 出塁率.533 得点圏.500
清田 育宏 10試 率.375(8-3)本0 点0 四死2 出塁率.500 得点圏.333
文=岩下雄太
(ベースボールキング)
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≪2020/8/24≫
ロッテ大嶺、トミー・ジョン手術を受ける人の希望に
<ニッカンスポーツ・コム/プロ野球番記者コラム>
ロッテ大嶺祐太投手(32)が、23日に支配下選手登録された。チームメートに拍手で祝福され「すごくうれしかったです」とさわやかに笑った。
1軍経験豊富な右腕は19年1月、右肘内側側副靱帯(じんたい)の再建手術を受けた。「痛い時は、自信をもって直球を投げることができなかったです」。リハビリに約1年を要する大きな決断をし、復活を目指した。
肘の内側側副靱帯(じんたい)の再建手術は、通称「トミー・ジョン手術」と呼ばれる。エンゼルス大谷も18年10月に受けている。大嶺は無事にリハビリを終え、石垣島キャンプから精力的に投げていた。今は「痛いところはないです」と喜ぶ。2軍では球速が150キロ超をマークしている。
30代になったプロ13年目の昨季は、マウンドとは無縁の1年だった。「リハビリに携わってくれた方々に、本当に、感謝の気持ちでいっぱいです」としみじみ話す。「これ以上悪くならないと自分に言い聞かせて、絶対に良くなるんだという気持ちでした」。
トミー・ジョン手術の経験者として、振り返る。
「投げ始めは怖さもありましたけど、自分の場合は早い段階で肘の恐怖心をとることができたので。もちろん、リハビリはしんどいですけど、やっていくうちに良くなっていくので気持ちも前向きになります」。
ロッテでは、今季の先発ローテーション入りが決定的だった西野勇士投手(29)が開幕直前に戦線離脱し、6月末に同手術を受けた。プロ野球選手のみならず、高校生にもこの手術を受ける選手はいる。彼らの不安は手に取るように分かる。だからこそ。
「西野とも手術後にいろいろな話をしました。たぶん今後(トミー・ジョン)手術をする人は増えてくると思います。その人たちの希望というか、絶対に大丈夫というところを見せられたらなと思います」。
道しるべに-。2ケタの背番号「64」を取り戻したその目は、希望の光に満ちていた。【ロッテ担当・金子真仁】
(日刊)
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≪2020/8/25≫
【千葉魂】鳥谷冷静に一気の生還 代走起用見せたベテランの業
蒸し暑い真夏の夜に大ベテランがさすがの業(わざ)を見せた。全力疾走しながらの一瞬の時で全てを計算し尽くした。プロ通算2193試合に出場をしている大ベテランの鳥谷敬が走塁でチームを劇的勝利に導いた。20日のホークス戦(ZOZOマリンスタジアム)。同点で迎えた延長十回2死一、二塁。暴投の間に二塁からイッキにホームを陥れた。
□ ■ □
「キャッチャーの追い方を見て、いい勝負になると思った、チャンスだと思った」
ホームに生還した際には満面の笑みを見せて仲間たちと喜びを分かち合っていたが試合後の鳥谷はいつものクールな表情に戻り振り返った。カウント3ボール、2ストライク。投手がボールを投げると同時にスタートを切るフルカウントの場面。走った瞬間にボールが一塁側に逸れたのを確認した。全力疾走をしながらも、決してボールの位置から目を離さない。強いバウンドで飛び跳ねるボールと捕手の位置の距離感がつかみにくかったが、激しく高いバウンドと捕手の慌てた追い方を見て走りのギアを上げた。意志が連動するように三塁ベースコーチも腕をグルグルと回した。
「ああいう場面ではいつも走り始めた瞬間からホームヘイッキに行く可能性があると心の準備をしている」と語る鳥谷が見ていたのは転々と転がるボールを必死に追う捕手の動きとホームカバーに入った投手の位置、すなわちそのラインだった。慌ててスライディングをしてまでボールを追いかけた捕手の態勢から切り替えしての的確なスローイングは厳しく、投手も捕球後のタッチの難易度は極めて高いと判断した。
「ボールの高さなども色々と想定して走路を三塁側から反対側に切り替える選択を最初に行った。そして次が足からではなく手という判断。ホームで待つ投手に対して足から行くと操作性が難しくなるけど、内側にまわって手でタッチをすれば、なんとか、かいくぐれると思った」
走り出した瞬間からホームタッチまで7秒。その中で鳥谷は判断し、思惑通りの結果を導いた。ボールはホームベースから三塁側に少し逸れ、ベースカバーに入った投手は態勢を崩しながらボールを捕球。鳥谷がしっかりと見定めた手はホームベースを楽々と触り、球審の手が横に開いた瞬間、幕張の夜空に歓喜の声がこだました。
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今はスタメンで出場する機会は決して多くはないが、いつ出番が来てもいいように準備を行い、自分が呼ばれる状況を想定し備える。この試合では代走の可能性を頭に入れていた。だからベンチ裏の廊下でダッシュを繰り返し、入念に体を温め続けた。
「あそこで代走はあると思っていた。それもサヨナラのランナーになる可能性としての出番があると分かっていた」と鳥谷。ベテランの思惑通りに井口監督も経験値を計算に加えて背番号「00」を代走に指名をした。期待通りに最短距離で走り抜け、セーフになるもっとも可能性の高い選択を行いチームを勝利に導いた。しかしその男は「神走塁ではない。冷静に、思い切りいけただけ」と軽く笑った。
準備は日々から徹底している。ナイターでも基本的に寝るのは夜の12時で起きるのは午前7時。デーゲームでもナイターでも同じリズムを作る事で体の状態をいつでもフラットな状態に整える。早めに球場に来てウエートを行い、ショートダッシュに坂道ダッシュ、階段上りを行いマシン相手に打ち込み全体練習に臨むのが日課だ。毎日、最善の準備を行い、出番を待つ。人事を尽くして天命を待っているからこそ、結果は生まれるのだ。
「まだまだこれから。これで終わりではなくて始まりだから」。グラウンドでは今まで見た事がないような表情で喜んでいた男はロッカーに戻るとすぐにシャワーを浴び、私服に着替えスタジアムを後にした。鳥谷はいつも若い選手たちに言っていることがある。「プロ野球は明日もある。(勝って)喜び過ぎず、(負けて)落ち込み過ぎず。切り替えが大事」と。大ベテランだからこその走塁に誰もが酔った真夏の夜も背番号「00」はいつも通りのルーティンを崩すことなく過ごした。こんな男がいるから今年のマリーンズは強いのだ。
(千葉ロッテマリーンズ広報・梶原紀章)
(千葉日報)
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≪2020/8/25≫
佐々木朗希をロッテ伝説のOBが絶賛。
ただし心配な部分もある
◆小林雅英と藤田宗一が語るリリーフ論
現在、パ・リーグの首位争いを繰り広げているロッテだが、ファンにとって気になるのはゴールデンルーキー・佐々木朗希の動向だろう。一軍に帯同に調整を続けているとのことだが、詳細は伝えられていない。いまだベールを脱いでいない"令和の怪物"の本当の実力とは? かつてロッテの"勝利の方程式"の一端を担い、2005年の日本一に貢献した藤田宗一氏と小林雅英氏に佐々木朗希の可能性について聞いた。
小林 佐々木に関しては、キャンプで投げている姿を見て本当に驚いた。ロッテだけでなく、球界の宝になると確信しました。
藤田 正直、ちょっと見たことのないレベルの素材だと思う。明らかに高卒1年目の投手が投げているボールではない。
小林 投げているボールはもちろんだけど、あれだけの体躯(190センチ・85キロ)、腕の長さで、しっかりと自分の体をコントロールできているのがすごいなと。大谷(翔平)もそうですけど、あれだけ大きな体を使いこなして、そのうえ柔らかさもある。
体が大きい選手、とくに投手はその分だけ体の動かし方が散漫だったりするのですが、佐々木は細部までしっかりコントロールして使えているというのが衝撃でした。それがパフォーマンスにもつながると思うのですが、じつはそれってすごく難しいことなんですよね。
藤田 下半身の使い方がスムーズだなというのが第一印象。とくに右足の蹴りのすばらしさに目がいく。右足の蹴りが強いから、あの体格でも体重移動ができていて、ボールにうまく力を伝えられている。
小林 だからただ速いだけでなく、ボールに力がある。
藤田 フォーム的にも制球力で苦労することがなさそうだし、どれだけの投手になるのだろうと......楽しみしかない。
小林 たしかに、コントロールで苦労するタイプには見えないですよね。まだまだ線も細く、体もできていないですが、今後プロでシーズンを戦うための体づくりをしていったら、間違いなくスピードも伸びていくはず。順調に育てば、日本人がいまだ到達していないところにいくかもしれない。
藤田 ヒジの使い方もすばらしい。よく「ムチのようにしならせる」と言うけど、まさにその言葉がピタリと当てはまるような使い方をしている。あれは天性のものだし、真似しようと思ってもできるものではない。ボールの出所が見えにくいだろうし、さらに角度もあるから、打者は相当打ちにくいだろうね。
小林 佐々木に関しては、野球選手としてしっかりした道を歩んでほしいと、とにかく球団が大事に育てているのがわかる。プロでやっていくための技術的なことはもちろん、体のつくり方、野球に対する考え方や社会人としてのあり方など、今はそうしたことをじっくり教え込んでいる時期なのかなと。
藤田 球団もあれだけの選手だから、「絶対に壊してはいけない」とすごく慎重になっている。
小林 まだ高卒1年目で、そういった基礎的なことがわからないまま一軍で投げさせるということはしないと思います。3年目ぐらいからしっかりと活躍してくれたらいい、というぐらいの考えなのかもしれないですね。
藤田 育成については考え方が分かれるだろうね。一軍レベルでしか身につかない細かいコントロールや投げる体力、試合勘というのがある。二軍で勉強するというのもひとつの手段だと思うけど、投げているボールのスピード、キレはすでに一軍レベル。
小林 実戦のなかでしか成長できない部分があるのがプロの世界。
藤田 個人的には、使いながら育てるという選択肢はありだと思う。使われながらよくなることもあるし、佐々木には経験が必要だと思う。高校時代、バリバリの強豪校で揉まれてきたというわけではないし、まずはプロの水にいかに早く慣れさせていくか。
小林 パ・リーグで高卒1年目から2ケタ勝ったピッチャーといってパッと思い出すのは、(松坂)大輔とマー君(田中将大)くらい。あいつらはちょっとパフォーマンスが違った。強豪校で揉まれてきて、甲子園という大舞台であれだけの活躍をして、体力もケタ違いだった。
藤田 並みの新人とはすべてにおいて違っていた。
小林 大輔やマー君は、いい意味で悪い顔をしていた(笑)。そういう意味では、佐々木はまだプロの顔というよりは優しい顔をしているかな。
藤田 野球を続けている限りずっと注目されるだろうし、これからも大変なことはいっぱいあると思うけど、なんとか結果を出してほしい。
小林 コーチも大変でしょうね。
藤田 あれだけの能力を持った高卒選手を指導した経験がある人は皆無だろうし、難しさはあると思う。
小林 190センチを超える身長で160キロを投げた経験のある日本人はほとんどいない。指導にしてもサンプルがないからコーチ陣も手探りかもしれない。自らの経験値を持ってアドバイスできるのは、それこそ大谷だけしかいない。佐々木はそういった未知の領域にいて、これまでいなかった選手ということを首脳陣は理解したほうがいいかもしれないですね。
藤田 参考になるのは、本当に大谷くらいだよな。個人的には、1年目の大谷より佐々木のほうが魅力はある。正直、どこまでの選手になるのか想像もつかいないし、どんなレベルに到達するのか楽しみで仕方ない。
小林 もう現時点ですごいですよね。高校卒業してすぐにシートバッティングで160キロを出す投手なんてひとりもいなかった。これが公式戦で、テンションが上がっている状況で投げたらどれだけのパフォーマンスを見せてくれるのか。
藤田 あとはそのパフォーマンスに耐えられる体になっているのかどうか。
小林 プロで投げる以上、安定してパフォーマンスを発揮しなければいけない。そのためには心身の強さが必要になってくる。成績はもちろんだけど、野球以外の部分でもいろいろな報道が出るかもしれない。そういうのをすべて飲み込める人間力を学ぶために、今はいろんな人と接しながら勉強しているのかなと。
藤田 プロとしての振る舞い方や野球との向き合い方などの指導を受けつつ、大きく成長していってほしい。"佐々木効果"もあって、今年のロッテは注目度が上がっている。そういう意味で、ほかの選手も刺激を受けているだろうし、チームとしてもいい方向に向かっていると思う。
小林 いずれにしても、デビュー戦が楽しみですね。
プロフィール
藤田宗一(ふじた・そういち)
1972年、京都府生まれ。島原中央高から西濃運輸に進み、1997年のドラフトでロッテから3位指名を受け入団。1年目から56試合に登板するなど、中継ぎのスペシャリストとして活躍。2006年には第1回WBCの日本代表に選出され、世界一を経験。その後、巨人、ソフトバンクでもプレーし、2012年にはBCリーグの群馬ダイヤモンドペガサスで選手兼コーチとして入団。同年限りで現役を引退。引退後は焼肉屋オーナーになるが、2018年より解説者に。現在はケニアの野球発展のために現地で指導も行っている。 https://yell.en-jine.com
小林雅英(こばやし・まさひで)
1974年、山梨県生まれ。都留高から日本体育大、東京ガスを経て、1998年のドラフトでロッテから1位指名を受け入団。1年目は先発としても起用され、46試合の登板で5勝をマーク。3年目の2001年からクローザーとなり、2007年まで毎年20セーブ以上を挙げるなど活躍。「幕張の防波堤」の異名をとった。2008年からMLBのクリーブランド・インディアンスに移籍。おもに中継ぎとして57試合に登板。翌年も残留となったが、シーズン途中に契約解除。同年オフに巨人と契約するも1年で戦力外となり、オリックスへ移籍。ここでも結果を残せず、2011年限りで現役を引退。引退後はオリックス、ロッテでコーチを務め、現在はプロ野球評論家として活躍。
栗田シメイ●文
(Sportiva)
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