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コラム記事【11/17~11/18】

2022年11月18日 22時49分05秒 | マリーンズ2022
≪11/17≫


チーム満塁の打率は…

 ロッテは前半戦終了時点でリーグワーストの294得点だったが、オールスター明けはリーグ3位の207得点を挙げ、終わってみれば得点数はリーグ3位の501。ただ満塁の好機を作りながら、あと1本が出なかった印象が強い。今季ロッテは満塁でどれだけ得点に結びつけることができたのか見ていきたい。

 今季ロッテが満塁のチャンスを作った回数は103度。暴投による得点などを含めると得点に繋がった回数は51度だった。満塁でのチーム打率は.278で、6月(.300)、7月(.300)、9.10月(.385)は月間のチーム満塁打率は3割を超えている。 

 オールスター明け、2連敗で迎えた8月10日のソフトバンク戦、2-4の9回に守護神・モイネロを攻め、二死満塁から髙部瑛斗の適時内野安打による1点に終わり3-4で敗戦、8月23日の西武戦で0-3の4回に一死満塁からマーティンが見逃し三振、茶谷健太が遊ゴロに打ち取られ無得点に終わるなど、チームが勝てなかった8月は好機で凡退という場面が多かった。そのイメージが強く、満塁では打てていない印象にあったが、データにすると勝負強かったことがわかる。

▼ 月別満塁成績
3.4月:率.273(11-3)本0 点11 四球0 犠飛4
5月:率.200(5-1)本0 点5 四球1 犠飛1
6月:率.300(10-3)本0 点11 四球0 犠飛3
7月:率.300(20-6)本0 点15 四球2 犠飛2
8月:率.200(20-4)本0 点13 四球1 犠飛4
9.10月:率.385(13-5)本0 点11 四球2 犠飛1
シーズン:率.278(79-22)本0 点66 四球6 犠飛15

山口と松川が満塁で勝負強さ

 満塁で勝負強さを発揮した選手を見ると、若き大砲山口航輝がチームトップの4安打、チームトップタイの9打点をマークし、満塁での打率は.444(9-4)。ちなみにオールスター前までだと、打率.600(5-3)、7打点だった。

 5月17日の楽天戦で4-3の7回二死満塁の場面で安田尚憲の代打で登場すると、弓削隼人が1ボール1ストライクから投じた3球目の外角のストレートを逆らわずライトへ2点適時二塁打。6月18日の日本ハム戦では、0-0の3回二死満塁で伊藤大海からレフトへ先制の2点適時打を放った。さらに7月8日のオリックス戦では、5-0の6回に試合を決める2点適時二塁打。

 シーズン中の6月に行ったオンライン取材で、チャンスでの打撃について山口は「たまたまかもしれないですけど、いいところでヒットになるというのはたくさんあるので、チャンスでは集中力がより一層ましてきますし、代打の経験もいきてきているのかなと思います」と話している。

 ルーキーの松川虎生はシーズンの打率は.173だったが、満塁では無類の強さを誇った。満塁での打席数は5打席だが、全て打点を挙げるなど、山口と並びチームトップタイの9打点。佐々木朗希が完全試合を達成した4月10日のオリックス戦で走者一掃の3点適時二塁打、7月29日のオリックス戦で6-5の6回にしぶとくライト前に適時打、8月19日の楽天戦では3-4の6回に逆転の3点適時二塁打を放った。8月31日のソフトバンク戦では一死満塁から二ゴロで三塁走者が生還し、9月8日の日本ハム戦では一死満塁からライトへ犠飛と最低限の仕事をした。

 チーム全体に言えることだが、満塁に強いことを考えれば、本来なら得点圏でもっと打てるはず。来年は満塁だけでなく、好機に1本出る打線になって欲しいところだ。

▼ 満塁での打点数トップ3
1位 9打点 山口航輝、松川虎生
3位 8打点 中村奨吾

▼ 満塁での安打数トップ3
1位 4安打 山口航輝
2位 3安打 中村奨吾、髙部瑛斗、松川虎生

▼ 満塁での四球トップ
1位 2 小川龍成

▼ 満塁での犠飛トップ
1位 3 佐藤都志也

取材・文=岩下雄太 

(ベースボールキング)

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≪11/17≫


清水直行が語る吉井理人新監督と今後のロッテ 前編

 2018年からロッテを指揮していた井口資仁監督が2022年シーズン限りで退任。昨季まで投手コーチ、今季はピッチングコーディネーターを務めていた吉井理人氏が新監督に就任した。 

 吉井監督とはどんな人物なのか。長らくロッテのエースとして活躍した清水直行氏に、吉井監督について聞いた。現役時代はともにロッテでプレーし、引退後は両氏ともロッテの投手コーチを務めたが、清水氏は吉井監督の人物像についてこう語る。

「自分の意見をしっかり持っていて、一本筋が通っています。一方で、10歳年下の僕が言うのもなんですが、茶目っ気たっぷりな方ですね。僕が関西の人間だからなのかはわかりませんが、吉井さんも関西気質で親しみやすいです(清水氏は京都府出身、吉井監督は和歌山県出身)。現役時代は2007年の1年間だけロッテで一緒にプレーしましたが、その時もすごく近寄りやすく、『接しやすい方だな』と思っていました」

 それから長い月日を経て、2019年には一軍が吉井氏、二軍は清水氏がそれぞれ投手コーチを務めた。

「吉井さんは一軍が休日の時などに、二軍のロッテ浦和球場に顔を出されていました。あとは石垣島の春季キャンプで、一軍のピッチャーたちがゆっくりと調整を始めた時に話をしましたね。

 そういった時に感じたのは、観察力や傾聴力の高さです。キャンプ中に1週間ぐらい接しましたが、最初の2、3日ですぐにそのすごさがわかりました。吉井さんはコーチング(自主的な行動を促す、考えさせる)とティーチング(知識やノウハウを伝える)をしっかりと分別できているんです。選手とコミュニケーションをする中での質問の内容やタイミングのよさが抜きん出ていた。僕も投手コーチを務めるにあたって、いろいろと勉強させてもらいました。

 二軍の駆け出しの選手や、三軍の選手であれば『ここはこうだよ』と教えていく部分はあると思いますし、生活面やプロ野球の仕組み、食事の取り方などは教えたりします。ただ、そういったティーチングよりも、圧倒的にコーチングのほうが必要なんです」 

プランづくりの能力の高さとバランスのよさ

 吉井氏は、選手として日米7球団で24年間プレーし、投手コーチとしては日本ハムを皮切りに、ソフトバンク、ロッテ、さらには野球日本代表と経験が豊富だ。これまでダルビッシュ有、大谷翔平、佐々木朗希など日本を代表するエースたちも指導してきた。

「経験値が圧倒的に高いです。机上ではなく実戦で積んできたもの、見てきた選手の数による経験値ですからね。成功体験や失敗体験が蓄積されていて、そういったものからブレない考えが生まれるんだと思います。

 また、ピッチャーがブルペンに入る日や投げる球数、シート打撃の登板日、オープン戦でどの試合に投げさせるかなど、全選手のプランが早い段階で決まっていた。ピッチャーの育成プランを作る力も素晴らしいですし、そういう意味では"設計者"でもありますね」

 今季に佐々木が完全試合を達成した際には、医療、栄養、コンディショニングを全面的にサポートする体制づくりや、球数制限や登板間隔を空けるといった育成プランが話題になった。清水氏は「柔と剛のバランスがいい」と続ける。

「ピッチャーを育成する上では、柔軟性を持ちながらいろいろなプランを立てていくと思うのですが、吉井さんは『いざ』という時に頑固な部分もある。投手を替える時も、事前に上限を100球と決めていたらそれを貫き通すといったように。吉井さんはそのバランスが優れていると思います」

 ただ、来季から担うのは監督。投手コーチと違い、今後はチーム全体のマネジメントが必要となる。

「吉井さんはご自身のことを"見習い監督"と言っていますね。投手コーチを歴任されてきた方なので、注目したいのはやはりピッチャーの管理です。黒木知宏さんが一軍の投手コーチに就任しましたが、ご自身の立ち位置、投手コーチを尊重する部分など、バランスをどう取っていくのかが気になります。ただ、吉井さんと黒木さんは日本ハムでも投手コーチとして一緒にやっているので、ある程度の"阿吽の呼吸"もあると思いますし、なんとなくイメージできます。

 一方で気になるのは、攻撃面でどういう手腕を振るわれるのかというところ。やはり投手の立場としては、試合前半にたくさん点を取ってくれるに越したことはないですし、アグレッシブに仕掛けていく部分と手堅くいく部分とのバランスだったり、勝負どころでの采配なども注目したいと思います」

黒木投手コーチへの期待

 清水氏は、黒木投手コーチとも現役時代に同じ先発ピッチャーとして切磋琢磨した関係だ。再びロッテのユニフォームに袖を通すことになったかつてのチームメイトについて、こう語る。

「まずは、黒木さんがロッテに戻ってきたことが嬉しかったですね。僕がロッテに入団した時の絶対的エースですから。現役時代は右肩の大ケガをして、その後に復活したり、苦労することも多かったと思います。ファンのみなさんには"魂のエース"などと呼ばれていますが、まさにその通りで、ファイティングスピリットがすごい。あと、本当に面倒見がいいです。

 やはり"魂のエース"には、一球一球に込める気持ちの大切さをピッチャー陣に注入してほしいです。一軍の投手コーチではありますが、二軍を含めて考えると30人くらいのピッチャーがいるので、どうマネジメントしていくのかが重要です。でも、黒木さんは日本ハムで一軍の投手コーチを5年間務めてきましたし、多くの経験を積んでいるので心配ないと思います」

 自身を「見習い監督」と言う吉井監督だが、指導者としての経験値は高く、ロッテの選手たちの技量や性格なども熟知している。それだけにファンだけでなく、球団OBである清水氏の期待も高まっているようだ。

「先ほども話しましたが、吉井さんは"柔"と"剛"のバランスが優れている方。どんな采配や起用法、チームマネジメントを見せてくれるのか楽しみですね」

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清水直行が語る吉井理人新監督と今後のロッテ 後編

 昨年のリーグ2位から一転、今年はリーグ5位に甘んじたロッテ。ロッテOBの清水直行氏は、チームが低迷した要因と来季へ向けた課題、投打のキーマンなどをどう考えているのか。

「はっきりしているのは、投打の軸となる選手がいないこと。先発ローテーションは、計算できるピッチャーが3枚はほしいですし、打線もシーズンを通じて中軸を任せられるバッターが2、3人いるべきです」

 中でも、清水氏は一番の課題に打線を挙げる。

「チームの特徴として、防御率はいいけど打てないシーズンがあることが多い。今年に関してもチーム防御率(3.39)はまずまずでしたが、得点能力が低いんです。

 ゲームの前半にある程度の点を取れればピッチャーは失点を怖がらなくていいので、どんどん攻めのピッチングができて相乗効果があるのですが、打線が頼りなかった。(ブランドン・)レアードと(レオネス・)マーティンが揃って不振だったことが響いて打線に厚みがなく、相手バッテリーからすれば怖さがなかったと思います」

 明るい兆しとしては、プロ入り3年目の髙部瑛斗がリーグ2位の148安打を放ち、盗塁王を獲得。また、4年目の山口航輝が前年を上回る102試合に出場し、チームトップの16本塁打をマークしたが、山口に関して清水氏はこう話す。

「山口はチームの中では最も多くのホームランを打ちましたが、12球団で見た時に、山口が『どのあたりの立ち位置の選手なのか』を考えてもらいたいんです。102試合に出て打率.237、16本塁打、57打点という数字では、僕のイメージだとまだ一流の選手ではありません。

 基本的には3年続けて成績を残して、初めてレギュラーと言えるのかなと。ホームラン数が何年か続けて今年くらいであれば、打率をもっと上げていかなければいけない。打率はある程度目をつぶって、ホームランを毎年30本以上狙っていくという考え方もありますね。

 どっちの方向に向かうかをはっきりさせる必要はないかもしれませんが、『彼の持っているポテンシャルから、将来的にどこまでいくのか』という判断は、チームを編成していく上で必要だと思います。期待値だけで使い続けることと、打撃の数値から客観的に判断して方向性を定めた上で使うことは別の考え方です」 

藤原恭大に適した打順は?

 5年目の安田尚憲は、今年プロ入り初となる100安打以上(102安打)を放ち、OPSもキャリアハイの.740。伸びは緩やかながらも、昨年よりは全般的にいい成績を残した。

「同学年の村上宗隆のように、首脳陣は将来的にホームラン30本、40本を期待しているかもしれませんが、これまでの過程や現状を見るかぎり難しいと思います。シーズン中に本人も話していましたけど、『自分はホームランバッターではなく中距離ヒッターだ』という考えのもと、コンタクト中心の打撃に意識が傾いています。選手をどう育成していくかの判断と、選手自身が考えてトライしている部分が、ちょっとかみ合っていないように見えます」

 リーグ連覇と日本一を達成したオリックスは、打つほうでは吉田正尚、投げるほうで山本由伸という投打の軸がしっかりと機能した。清水氏は、今後ロッテで軸になってもらわないといけない選手を挙げた。

「バッターであれば、そろそろ(藤原)恭大にやってもらわないと。これまでの4年間でプロの厳しさはある程度わかったと思います。いろいろな課題が明確になってきているでしょうから、壁をどう乗り越えていくか。あと、恭大の打順はカギになるかもしれませんね」

 これまでは脚力も期待されて1番や2番、そうでなければ下位で起用されてきた藤原。時に思い切りのいいスイングで、惚れ惚れするような弾丸ライナーの本塁打を見せることもあった。

「足は速いのですが、勇気がないのか盗塁はなかなか行けないんですよね。そもそも、塁に出られていない。ボール見ていくバッターではなく、そんなに出塁率も高くないですよね(出塁率.272)。恭大を上位打線で使いたくなる気持ちはわかるのですが、僕は『違うんじゃないかな』とずっと思っています。

 月間MVPを獲ったり、一時期活躍した2021年も出塁率は.301。これがキャリアにおいてのマックスなんです。そう考えると、4、5、6番ぐらいのほうがあれこれ考えずに思い切って打てるケースが多いですし、恭大にとってはいいんじゃないかと。

 僕が期待しているのは、同じ歳の大卒ルーキーが来年からプロの世界に入ってくることによる奮起です。このタイミングで『やらなあかん』と火がついて、飛躍するターニングポイントになる可能性はあると思いますよ」

佐々木と共に期待の投手

 一方、ピッチャー陣で期待されるのは佐々木朗希。今年は昨年の約2倍となる20試合に登板し、9勝4敗、防御率2.02。クオリティ・スタート率70%の成績を残し、来年以降はよりピッチャー陣の軸としての期待がかかるだろう。

「吉井監督は、『(佐々木は)今年は見習いだったけど、一人前にしていくために来年はローテーションでしっかり投げてもらう』と言っていました。そうなるとピッチングを覚える段階に入らないといけないし、コンディションをしっかりと維持して、ローテーションを飛ばされずに守っていかなければいけません。

 僕が先発ローテーションのピッチャーに投げてほしい登板試合数は、表のローテーションであれば24回。少なくとも22回か23回は登板してほしいです。佐々木であれば、そのうちの半分以上は高い確率で勝てると思うので。

 あと、タネ(種市篤暉)にも期待しています。(2020年8月に)トミー・ジョン手術を受けて、今年8月に二軍で復帰。ベストな状態にもっていくまではもう少し時間がかかると思いますが、まだ24歳ですし、手術を受けたことをプラスにしていってほしいです。

 何年かは棒に振りましたけど、僕はタネのことをずっと"エースになるべきピッチャー"だと思っています。彼は若いのに、自分がどう見られているのか、自分がどうあるべきなのかがわかっています。視野が広くてしっかりと周りが見えている。小さく見えるかもしれませんが、身長は183cm(88kg)あってけっこう体格にも恵まれています。最近のキャッチボールなどを見ると、肘が下がっているのでそこは少々不安ですが......。とにかく来シーズンに向けて調整していってほしいですね」

 ロッテは2025年までに「自他共に認める令和の常勝軍団になる」というビジョンを掲げており、今年は優勝を至上命題として挑んだシーズンだったが、結果はリーグ5位。清水氏は今後への期待も込めて、チーム作りの指針について厳しい意見を述べた。

「2025年までに常勝軍団を目指すということですが、球団として具体的にどこを強化して、どんな勝ち方をしていきたいのかが見えません。
 例えば、『2025年までに最強の投手王国を作って優勝します』ということだったら、『だから今は、外国人助っ人やFAでピッチャーの補強に投資しているのか』『ドラフトで投手の指名が多かったのはそういう理由か』と、ファンの方々も理解しやすいはず。せっかくビジョンを掲げるのであれば、そこへ向かうための道筋も示すべきだと思います。

 リーグ連覇したオリックスは若手がどんどん出てきていますし、外国人助っ人に頼っていません。オリックスは近年のドラフトで、飛びつきたくなるような即戦力の選手がいた年でも、将来有望な高校生を積極的に指名した。その選手たちが現在は主力として活躍しています。何年か前に方針を転換し、実行したことが実を結んでいるんです。選手個々の頑張りも当然必要ですが、球団、編成がどういうチームを作っていくのかを内外に示すことも大きな課題だと思います」

文=浜田哲男

(以上 Sportiva)

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≪11/18≫


QSはリーグトップ

 ロッテは2年連続2位に入りリーグ優勝の機運が高まった中で、今季リーグ5位に終わった。

 先発陣のチーム先発防御率は4月終了時点でリーグトップの「1.47」だったが、終わってみればリーグ5位の「3.35」。規定投球回に到達した投手も小島和哉のみだった。それでも、先発投手の指標のひとつに当たるクオリティ・スタート(6回以上3自責点以内)はリーグトップの「78」を記録した。 

 石川歩は故障で離脱する時期はあったが、QSは小島と並びチームトップタイの15回、4月10日のオリックス戦で完全試合を達成するなど9勝を挙げた佐々木朗希が14回、3・4月(0.34)と6月(0.43)と月間防御率0点台だったロメロが12回、オールスター明け防御率0.82と抜群の安定感を見せた美馬学が11回と、QSを10回以上達成した投手が5人いたのはパ・リーグ最多。シーズン通して勝ち頭、エースと呼べる存在がいなかったが、計算のできる先発投手が多かったことがわかる。

▼パ・リーグのQS数
1位 78 ロッテ(石川、小島、佐々木朗、ロメロ、美馬)
2位 74 西武(高橋光、松本、與座)
3位 73 オリックス(山本、宮城、田嶋、山岡)
4位 68 日本ハム(加藤、伊藤、上沢)
5位 65 楽天(岸、田中、則本)
6位 60 ソフトバンク(千賀、東浜、石川)
※()はQSを10回以上達成した投手

前半戦を引っ張ったのは佐々木朗とロメロ

 シーズンを振り返ると、昨季シーズン自己最多の8勝を挙げた岩下大輝が開幕直後に右肘を手術したため出遅れたが、石川、佐々木朗、ロメロ、小島、美馬、二木康太と実績のある6人が開幕ローテーションに入った。

 冒頭にも述べたように3・4月はチーム先発防御率リーグトップの1.47で、26試合中25試合で先発が5イニング以上を投げ、QSは21回達成した。4月終了時点の防御率を見てもロメロが0.34、石川が0.87、佐々木朗希が1.50、小島が2.77と防御率0点台が2人もいた。

 その中でも前半戦、先発陣を引っ張ったのが佐々木朗とロメロだ。佐々木朗は4月10日のオリックス戦で完全試合を達成すると、続く17日の日本ハム戦でも8回完全投球を披露。24日のオリックス戦に登板した翌日に一軍登録を抹消されたが、5月6日に一軍復帰すると同日のソフトバンク戦で6回1失点、13日のオリックス戦も7回1失点、20日のソフトバンク戦も6回1失点、27日の阪神戦は6回無失点と中6日の登板でもしっかりと先発の役割を果たした。5月終了時点で、佐々木は9試合・61回を投げ、5勝0敗、奪三振数は投球回数を大きく上回る94、防御率は1.33。

 6月3日の巨人戦、5回5失点で今季初黒星を喫するも、中7日で登板した11日のDeNA戦は8回3安打1失点と流石の修正力を見せた。しかし6月に入ってから登板間隔が空き、7月1日の楽天戦では初回に球団史上初となる1イニング4奪三振を記録するなど、4回まで10奪三振、無失点に抑えていたが、マメが潰れた影響で途中降板。それでも前半戦は13試合・85回を投げて6勝1敗、124奪三振、防御率1.48だった。

 ロメロは3・4月と6月は月間防御率0点台と驚異の安定感を見せたが、ナイトゲームに滅法強く、6月終了時点で18時試合開始の成績は、6試合・41回1/3を投げ自責点1、4勝0敗、防御率は0.22。3月29日のソフトバンク戦、3回一死二塁の場面で三森大貴に適時打を許してから7月6日の日本ハム戦の3回に清宮幸太郎に一発を浴びるまで、ナイトゲームでは41イニング自責点がなかった。ちなみに月間防御率5.11だった5月は5試合全てデーゲームでの登板だった。

 開幕投手を務めた石川は離脱する時期もあったが、今季初登板から25イニング連続で自責点0に抑え、少ない球数で長いイニングを投げ、前半戦はQSを13試合中11試合で達成。小島は20年、21年と開幕直後が不安定だったことを反省し、自主トレ期間から早めに調整した結果、前半終了時点の防御率は2.47だったが、打線の援護に恵まれず1勝7敗と黒星が先行。なお前半戦のチーム先発防御率は「2.75」だった。

後半、エース級の働きを見せた美馬

 前半戦は先発陣が安定していたが、オールスター明けはチーム先発防御率4.53と苦しんだ。

 ロメロは後半戦5試合・25回2/3を投げて1勝4敗、防御率5.61、石川も7試合・40回1/3を投げて1勝3敗、防御率4.69、チームで唯一規定投球回に到達した小島も10試合・56回を投げて2勝4敗、防御率4.18、佐々木朗は7試合・44回1/3を投げて3勝3敗、防御率3.05と、“勝負の夏場”に主力投手の多くが前半戦よりも成績を落としたのは痛かった。

 そんな中でエース級の働きを見せたのが美馬。前半戦は13試合・73回2/3を投げて5勝6敗、防御率4.15だったが、後半戦は7試合・44回を投げて5勝0敗、防御率0.82。

7月21日に新型コロナウイルス陽性判定を受け、オールスター明け最初の登板は8月16日のオリックス戦と遅れたが、この登板で6回1/3を投げ無失点に抑え6勝目。24日の西武戦は5回1失点で降板したが、9月1日のソフトバンク戦から15日の西武戦にかけて3試合連続で7イニングを投げ、いずれも無失点投球。22日のオリックス戦で6回1失点で9勝目を手にすると、28日の日本ハム戦で5回2/3を投げ3失点も打線の援護にも恵まれ10勝目を手にした。後半戦は美馬がいなければ、かなり苦しい台所事情だった。

2年連続規定投球回達成の小島

 小島は今季初登板が雨天中止で流れ、今季初登板となった3月30日のソフトバンク戦で投手ライナーを2度食らい、さらに打線の援護に恵まれず3勝11敗と大きく負け越した中で、2年連続で規定投球回に達成したのは立派。前半戦に比べて後半戦の防御率は落としたものの、シーズントータルでみれば防御率は昨年の3.76から3.14と向上させた。

 小島は今年1年を「去年も1年間投げさせてもらいましたけど、それを踏まえても1球の大事さ、1球で勝負が決まる重要性、大事さ、難しさを学べたような年だったと思います」と振り返った。故障や不調で一軍登録抹消した投手が多かった中で、先発ローテーションの一角として、その役割を全うしたことは高く評価するべきだ。

必要な絶対的エースの存在
 ここまで今季の先発陣を振り返ってきたが、ここ数年何度も述べてきたように来年以降、“シーズン通して計算のできる先発投手”、そして“絶対的なエース”は必要だろう。

 佐々木朗が今季の経験を、来年どのように活かしていくか注目だ。完全試合を達成したオリックス戦、続く日本ハム戦でも8回を無安打投球と、ポテンシャルの高さは誰もが認めているところ。コンディショニングを整えて、シーズン通して投げることができれば、間違いなく“エース”に近い存在まで上り詰めるはずだ。

 トミー・ジョン手術明け復帰後、初のシーズンとなった種市篤暉も一軍での登板は1試合に終わり、主にファームでの登板が多かったが、力強いストレートが投げられれば、佐々木と共に先発の軸になれる存在。

 ロッテの先発陣は絶対的なエースは不在だが、ベテランの石川と美馬、2年連続規定投球回に到達した小島、さらには二木、本前郁也、河村説人、鈴木昭汰、佐藤奨真、森遼大朗など先発候補の頭数は多い。絶対的なエース、シーズン通してローテーションを守る投手が小島に加えもう1人、2人増えれば、今以上に質、量ともに揃った先発陣になる。

▼先発陣の成績 ※成績は先発のみ
小島和哉 24試 3勝11敗 143回1/3 振89 四43 QS15 防3.14
佐々木朗希 20試 9勝4敗 129回1/3 振173 四23 QS14 防2.02
石川 歩 20試 7勝7敗 123回 振67 四20 QS15 防2.93
美馬 学 20試 10勝6敗 117回2/3 振86 四29 QS11 防2.91
ロメロ  20試 8勝9敗 115回1/3 振77 四38 QS12 防3.36
本前郁也 11試 2勝2敗 52回 振36 四24 QS2 防5.02
佐藤奨真  9試 2勝6敗 49回1/3 振27 四16 QS4 防4.93
二木康太  9試 2勝4敗 47回1/3 振42 四20 QS3 防4.18
河村説人  4試 2勝0敗 19回 振9 四10 QS1 防3.32
鈴木昭汰  3試 1勝1敗 10回2/3 振4 四4 QS1 防5.91
森遼大朗  2試 0勝1敗 7回 振3 四4 QS0 防11.57
種市篤暉  1試 0勝0敗 3回 振2 四4 QS0 防9.00

文=岩下雄太

(ベースボールキング)


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