凡人だって悟れるもん

自我は幻、大体そんな感じ。

不自由意志の自由

2014年07月27日 | 悟りのこと
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自我は幻。

私達の思考、感情、行動は、全て周りの現象に対して、反射的に起きています。


嫌な上司が居るという悩みは、嫌な上司が居るからこそ。

恋愛で悩む人は、恋する異性が居るからこそ。

怒りが沸くのは、怒りの対象があるからこそ。


当たり前みたいですが、対象が無ければ、それに対するあなたの思考、感情、行動は生まれません。

そして、認識する対象が無ければ、自分(の思考感情行動)も存在しえないはずです。

どんな時も私達は、何かを対象に色々な事を考え、感じています。

その認識の土台になるのは住んでいる国の文化、地域社会、家庭環境、友人関係、職場環境であったりと色々です。

そして、さらに大前提とする土台に、自分という存在そのものがあります。

もし、認識する為の土台が無ければ、対象について色々と思う事もないですよね。

日本に住んでいなければ、日本での暮らしについて悩むこともないですし、全く別の家族と住んでいれば、この家族の事で悩むこともない訳です。

もし、あなたの身体がないとすれば・・・?

そんな事になったら、悩みや願望の、全ての前提、土台が崩れ去ってしまいます。

例えが極端に見えるかもしれません。

しかし、実際に私達は、自分という窓から、色々な出来事を判断せざるおえません。

それは、生まれてこの方、当たり前に行われてきたことですから、そんなものに疑問を持つ事自体がおかしなものだと思うのも当たり前かもしれません。

しかし、自分が自分である事って、本当に確かなものでしょうか?

認識の土台は知らないうちに出来ていたはずです。

それこそ物心がついて、今日までに、細かいディテールが勝手に用意されていませんか。

あなたは車窓から見える、流れる景色に、あーだこーだと言っているだけではありませんか。

そんな風に、流れる景色を見ているだけの私達に、自由意志は無い、と言うと


(´自Д我) 「オレの未来は全部決まっているんすか!そんな不自由なのは嫌っす!自分の運命は自分で切り開きたいっす!」


といったように、全て起きる事が決まっているなんて嫌だ!と思う方が多いようです。

しかし未来だとか運命だとか、それを認識しているのだって自分です。

未来も運命も、それを考えるあなたが居るからこそ、考えられる事。

不自由さ自由さも、それを感じるあなたが居るからこそ、感じられる事。

自由意志があろうがなかろうが、そもそも全てに後出しで反応することしか出来ない自我には、全く関係が無い事です。

というか、自我の範囲ではどうしようも無いといったところでしょうか。


例えば、自由意志が無いと言われて・・・

自由意志が無いなんて嫌だと思う事も。

自由意志が無いなんて楽だなぁと思う事も。

自由意志が無いって言われてもこんなに自由じゃん!と思う事も。

自由意志が無いなら、こんな人生に意味なんてないと思う事も。

これすなわち、その発想に至たるまでの流れすら勝手に起こっているとしたらどうでしょう。


もう笑っちゃうくらい、どうしようも無いと思いませんか?


そんなあなたが消えれば、あなたの見ていた世界も消えます。

あるのは、どうしようも無い自由かもしれません。

それでも、不自由を感じてしまうのかもしれません。

感想は人によって千差万別でしょう。

しかし、きっとそこに以前のような深刻さはもう無いはずです。

車窓に張り付いて景色だけを見ていたあなたは、ふと自分が目的地に向かう車内に居たことを思い出すでしょう。

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(´自ω我) 「車窓って電車っすか?新幹線っすか?」

呉 「どっちでもいいよ・・・ってかそこじゃない!」

悟後の紅茶

2014年07月26日 | 悟りのこと
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悟ったあと。

(悟りに前後関係を決めるべきかという話もありますが、あえてここでは、悟りの体験を軸として、悟った後とします。)

悟った(と思った)後も変わらず生活は続きますし、僕が僕であることに変わりはありませんでした。

最初は、その体験の余韻があるためか、不思議な満足感を糧に生活をしていくのですが・・・

次第に、素晴らしいと感じたその体験に対して、元通りの日常が味気なく感じ、何か物足りないような気分になってきます。

そのうちに何だか不安な気分になり、不安になっている自分に気づき、安心してはまた不安になる。

結局は、堂々巡りなんです。

体験はゴールではなく、一つの通過点に過ぎません。

気づいては見失い、また気づかされては見失う。

これまで沢山の人が気づき、これからも沢山の人が気づいていくであろう通過点が悟り。

この行ったり来たりこそが、この世界の仕組みなのかもしれません。

この世界の中、仕組みに気づいた僕たちはどうするべきか。

それこそ、たくさんの答えがあるのだと思います。

後世に伝えようと努力するも良し。

それでも何かを探そうとするも良し。

「だから何?」って具合に、何も変わらず生き続けるも良し。


僕の場合は、この先はそういった選択も含めて究極に自由だと考えています。

いや、これまでも究極に自由だったんでしょうけどね。

僕たちは、何を考え、感じ、行動しようが構いません。

僕は元通りの日常を過ごしているけれど、本質の部分で完全に肯定されている事はもう知っています。

これまでと変わった事は、その一つだけ。

全ては流れの中、その一つ一つに反応している自分が居ただけ。

いいえ、居たと思っていただけ。


本当は何も恐れる必要が無いし、また恐れる事すら肯定されています。

本当は何を願おうが構わないし、願う事に制限をかけることも肯定されています。

本当は不安にならなくてもいいし、不安になる事だって肯定されています。


この人生をどこまでも楽しみ、有り難がるのも自由。

もっと面白く、ルールを設定して楽しむのも自由。


世界VS自分から、世界=自分になった気楽さ。

少なくとも肩の力が抜けて、ずいぶん楽になった。

僕にとっての「悟り」ってそういうもんでした。


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呉 「脳みその感覚を、皆にコピーできる機械があれば楽なんだけどね」

(´自ω我) 「くだらない妄想より、その粗末な文章力をどうにかするっす!」

体験したい件2

2014年07月24日 | 悟りのこと
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悟りの体験は、得ようとして得られるもんじゃない。

その体験の良し悪しなんてどうでもいい。

そして、悟りの体験なんかに価値は無いという所までお話ししましたね。


(´自Д我) 「ちょいまち!悟りの体験に価値が無いなら、オレは何を目指せばいいっていうんすか!このままじゃ迷子になっちゃうっすよ!」


ええ、迷ってしまいますね。

でも、体験を求めて苦しむくらいなら迷えばいいんです。

悟りの体験なんかに、価値や意味などありません。

人によっては衝撃的だったり、感動的だったり、不思議な感覚だったりと様々な体験があるかもしれません。

しかし、そもそもあなたの自我は幻です。(久々に笑)

どんな体験でも、自我の中に居ながら、それに気づいた事が、各々の中で何か意味を持って現れているに過ぎません。

その体験に意味を付けているのもまた自分。

その体験に価値を見い出しているのもまた自分。

自我に気づこうが、幻を見破ろうが、土台を見れば同じこと。

その体験すら、自分という自我があるからこそ得られる体験なんです。

体験をする為には、体験する自分が居なければいけませんものね。

どんなに素敵な、感動的な、神秘的な現象でも、それを感じる自分がいなければ、何も感じられません。


その自分という存在こそが幻だとせっかく気づいたのに、その自分による体験を、まるで特別な事のように扱う必要ってあるんでしょうか?


(´自Д我) 「でも、気づいた結果が体験として現れるなら、体験というゴールを目指すに決まってるっす!そこに価値があるに決まってるっす!」


それもそうですね。

僕が思うに、体験を求める事自体は別に構わないと思うんです。

神秘体験、感動体験、何でもしたけりゃすればいいんです。

ただ、特にネット等でスピ系の話を見ていると、その気づきや体験なんかに焦点が当たりすぎていると思ったんです。

そんな体験に憧れて、それを目指していれば、おのずと体験の意味や価値がどんどん自分の中で重大な事になっていくことでしょう。

結果的に、この体験という枝葉の部分に捕らわれて、みんなが目的地にたどり着けなくなるんじゃないか、と僕は危惧しているんです。

僕も自分に自信が無い方ですから、これで散々迷わされました。


だから、あえて言いましょう。


悟りの体験自体に意味などありません。

自我は幻。

あらゆるもの全てに意味を付しているのが自分だと気づけたなら、それだけで十分です。

人の体験談を見て、ああでもないこうでもないと迷い続けるくらいなら、体験を求める事は一旦やめちゃいましょう。



まあ、ぶっちゃけどれだけ迷おうが、そもそもどこにも行ってないんですけどね。


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呉 「体験すると、確信出来るから楽なんだけどねー。」

(´自ω我) 「とりあえず、体験者の『喜びの声』集めを止めてみるっす!」

体験したい件

2014年07月22日 | 悟りのこと
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悟りの体験というのは、時に甘美な果実のようです。

悟り、気づき、見性体験と呼ばれるもの。

時に神秘的に、感動的に、色々な文章や言葉で語られるその体験の数々。

スピ好きのみなさんも、本やらセミナーやら何やらで色々と聞いてきた事でしょう。

それは日常のふとした瞬間に起きたり、時に劇的な出来事の末に起こる事もあります。

一度でなく、何度も色々なタイミングやきっかけで気づかされることもあります。

それは全てと繋がった全能感。

全てが理解できたという万能感。

何もかも救われたような多幸感。

自分にその体験が訪れたという優越感。

・・・のような、まあ主にプラスの感情をごちゃまぜにしたような気分になることがあります。

全てが自分ってこういうことか。

既に完璧ってこういうことか。

なんて素晴らしいんだ!これは歓喜すべき事だ!

なーんて気分になることがあります。

「ことがある」なんて曖昧な言い方をしているのは、そうでない人も沢山居るはずだからです。

ただ淡々と理解し、「へえ、そういうことか」程度の感想を持つ人も居る事でしょう。

中には「で、だから何なの?」と思う人も居るかもしれませんね。

まあそういう人は、そもそもここを見てないのかもしれませんが・・・。

本やネットに散らばる、数々の体験の話を見て聞いて、他人と同じ体験を求め続けている人も、スピリチュアル好きの中には多いのではないかと思われます。


そんな人達にとって、求める悟りの体験とは一体何なのでしょうか。

何を体験したら、満足できるのでしょうか。


(´自ω我) 「それが自分でも分からないからこんなブログを見てるんす!御託はいいから、さっさと手順を教えるっす!」


はいはい(笑)

では、悟りの体験を求める人はどうすれば体験を得られるのでしょうか?

僕は、体験というものは、求めて得られる性質のものでは無いと思っています。

ある日、ある時、突然腑に落ちる。

さっきまで分からなかった事が、突然理解出来るようになる。

そんな性質のものです。

その過程に、気づく為の努力があったようにも見えますが、後から思えばその原因だって、全て後付けに過ぎません。

まず原因ありきではなく、起こるべくして、結果が起こる。

ただ、それだけのことのように感じます。


というか、そもそも一体何をもって、悟りの体験と言うのでしょうか。

神様が見える?不思議な声が聞こえる?自分が居なくなる?周りが輝いて見える?

色々な体験があると思いますが、そんなもん、基準がそもそも無いんじゃないでしょうか。

というかその基準自体、どうでも良いと言った方がいいかもしれません。

体験したと思うなら、その人にとってそれが体験で間違いないと思います。

そんな気づきの体験なんて、形が無い、どこまでも個人的なものです。

「あいつの体験は正しくて、お前の体験は間違っている」だなんて、一体どこの誰が言えるんでしょうか。

もちろん僕にも言えません。

神秘的だと感じた人にとっては神秘的体験が。

感動的だと感じた人にとっては感動的体験が。

虚無感を感じた人にとっては虚無感を伴う体験が。

それぞれの中で、起きているに過ぎません。


要は、悟りの体験は得ようとしたって得られないし、何が悟りの体験だったのかも、その人自身にしか分からないってことです。

まるで元も子もないですよね。

それならスピ本やセミナー、こんなブログの存在意義って何なんでしょう。

そもそも必要ないのかもしれません(笑)


では、ここからが本題です。

結局僕が、悟りの体験について何が言いたいのかって言いますと・・・

そこには、あなたの求める価値なんて無いって事が言いたいんです。


つづく

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呉 「話がループしてる?と思ったそこの君!」

(´自ω我) 「グッド!このブログ、最初からずっとループしてるっすよ!」

オタクがゆく、台湾台北の旅3

2014年07月21日 | たびにっき
あらすじ
「台湾のアニメイトでメイド喫茶の場所を確認した一同は、いよいよメイド喫茶へ向かうことに」


ついに到着です!



アニメイトから徒歩5分の距離にその店はあります。

店名は『Moe point』

萌えポイント・・・実に素直なネーミングです。

永安大飯店の入っているビルの裏、角にあたるビルの6階。

入り口にメイドさんのポスターが貼ってあるのが唯一の目印でしょうか。

とても分かりづらかったので、立て看板があると便利だと思います・・・。





入り口のビル警備のおじさんに聞くと、どうやら店は12時からOPENとのことなので、周辺をプラプラ散歩しつつ、30分程時間を潰して入店します。

店内に入ると、ピンク色のメイド服を着た台湾メイドさんがお出迎えしてくれました。


メイド「おかえりなさいませーごしゅじんさまー」


片言の日本語でのお出迎えにほっこりした後、席に着きます。

メイドさんの写真を撮りたかったのですが、日本のメイド喫茶って撮影はほぼ禁止なんですよね。

なんとなく気が引けてしまって聞いてなかったのですが・・・聞いときゃよかった!

時間は、12時10分だったのですが、既に店内には5、6人のお客さんが入っていました。なかなか繁盛しているようです。

メイドさんは一人で駆け回っており、とても忙しそうな様子。

呼び止めて名前を英語で聞いたところ、「チュチャ」さんという名前だそうです。

発音が難しかったので、何度も聞きなおしたのですが、違ってるかもしれません(笑)

さて、メニュー表を渡されたのですが全く文字が読めません。

写真付きだったので、きっとこんな料理だろうというのは分かったのですが・・・

とりあえず3人それぞれ、メニューを指差しながら「これ!」と料理を注文しました。

友人2人はステーキランチのようなものと、カルボナーラらしきもの。
(料理は撮影許可をいただきました、「ついでにあなたの笑顔も」なんて言えれば・・・言えない小心者です)

 

そして僕は、カレーらしきものを注文しました。





どうやらカレーではなかったようです・・・

口に含んだ途端、日本では食べたことの無いすっぱいような辛いような、スパイスの効いた独特の味が口に広がります。

しかし、美味い!

・・・と言えればいいんですが、残念ながら僕には合いませんでした(泣)

ステーキランチとカルボナーラがちゃんと出てきた友人達をうらやましそうに見つめながら必死に完食しました。

食後のデザートも付くそうなので、チョコレートケーキをゆっくり食べつつ店内を観察してみます。

何のキャラかも分からないタペストリーや、ポスターが壁中に沢山貼ってあります。

すみっこの方では、おっさんが一人でパフェを黙々と食べていたり、カップルが楽しそうに談笑してたり。

数人で来た若い男女が隣の席に座り、何やら自分達で書いた絵を見せ合っています。

日本のメイド喫茶でもよく見る光景です。(メイド喫茶中毒者)

こうして人を見ていても、ますます自分が外国にいる事を忘れてしまいます。

そんな事を思っているうちに、店内が次第に込みあってきました。

広い店内なのですが、席が全て埋まりそうな勢いです。

そろそろかな、とボリュームのある食事にも満足した我々は、メイド喫茶を後にするのでした。



  
他にも色々な観光地を回りました。


もしも海外に移住するとしたら、僕は迷わず台湾を選ぶと思います。

それくらいに、大満足な旅となりました。

ありがとう台湾!

ありがとうメイド喫茶!


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オタクがゆく、台湾台北の旅2

2014年07月15日 | たびにっき
あらすじ
「台湾メイド喫茶を探す我々(主に僕)西門探検隊。しかし目当てのメイド喫茶が見当たらず途方にくれる中、我々の向かった場所とは」


餅は餅屋という言葉があるように、専門的な事は専門家に任せるのがベストであると昔の人も言っております。

つまりメイド喫茶の事はメイドに聞けばいいという事です。

しかし、メイドらしい客引きもおらず、そこらを行く台湾人にメイド喫茶の場所を聞くちょっとの勇気が僕にはありません。

ならどうすればと思案する僕。

(メイドが居ないなら、この街のメイドに精通する人間に聞けばいい訳だ・・・)

そんな事を考えている僕の横を、若い女の子3人組が通り過ぎていきます。

鞄にはキャラもののキーホルダー。

そして眼鏡で、少し声が大きい・・


ピコーン!


何かを察した僕は、困惑する友人二人を尻目に、その3人組の後を追っていきます。

そして辿り着いた場所が・・



そう、日本でもお馴染みのアニメイトです!

なんとなく日本でこういう町だったらこの子達の行き先はここだろうなぁと察したところ、大正解でした。

ポワワン

(´自ω我) 「お馴染みじゃねーよ!というそこのあなたの為に解説すると、アニメイトは日本全国あらゆる場所に店舗を構える、主にアニメ漫画好きのティーンエイジャーに人気のアニメ(グッズ)ショップっす!ちなみに台湾にも2店舗進出してるっすよ!」

シュッ


これも引き寄せの法則でしょうか(笑)

いいえ、ただオタクが同類を見分ける能力によるものです。

青地に黄色い文字のお馴染みの看板をくぐると、これまた日本と変わらない風景が広がります。

唯一の違いは、本棚に簡体文の漫画だらけという所でしょうか。

ただ、画集やフィギュア等のグッズを見ると、日本語のままで陳列されているものも多く、ここが外国であることが分からなくなる錯覚を覚えます。

これに限らず、町中には化粧品やお菓子、写真集や家電など、パッケージが日本語の表示そのままに売られているものが多かった印象を覚えました。

こんなに生活に日本が溶け込んでいたら、親日なのも納得です。

閑話休題

とにもかくにも、アニメイトに到着した我々。

何か記念に買って帰ろうと店を回り、台湾の女子高生の制服画集を購入。

ふむ、これはいいものだ・・・(ニヤッ)

ポワワン

(´自ω我) 「いつも偉そうな文章ばっか書いてるから忘れがちっすけど、人格者でも聖人でも何でもない、こいつただのオタク野郎っすから!みんな騙されちゃ駄目っす!」

シュッ


レジにてお会計する時に、日本語で聞いてみました。


呉 「あのー、メイド喫茶ってどこにあるか知りませんか?」


店員さん「あー、メイド喫茶ですか。ちょっと待ってねー。」


日本語ペラペラです!さすがアニメイトの店員さん。

オタク文化といえばメイド喫茶(?)。

オタク文化の台湾最先鋒であるところのアニメイト店員さんに聞けば、この街のメイド事情はもはや手のひらにあるも同じという考えだったのですが、上手く当たったようです。

同じオタクだと分かってりゃ話もしやすいしね!

その後、店のパソコンでグーグルマップをひらいてもらい、丁寧にここから一番近いメイド喫茶を教えてもらいました。

ありがとう台湾アニメイトの店員さん。

オタクに国境はありませんね。

さっそく我々は、ありがとうと下手糞な中国語で元気に挨拶をし、アニメイトことオタク大使館を後に、目的地であるメイド喫茶に向かうのでした。


次回、メイド喫茶編につづく


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オタクがゆく、台湾台北の旅

2014年07月12日 | たびにっき
気温34度の真夏日、二人の友人と一緒に、僕は台湾最大の都市台北市に到着しました。

空港を出た途端の熱気に、自分が南国に来たことを実感します。

石川県の感覚で、長袖も要るかな?と思ってたくらいですが持ってこなくて本当に良かった。

台湾の観光名所、見所はたくさんあります。

しかし、今回の僕の旅の一番の目的地はここ




台湾台北市西門町です。

日本のサブカルチャー、漫画、アニメ文化が色濃く街に出ている台湾のオタクの聖地(?)

日本でいえば、秋葉原と原宿を混ぜてちっちゃく圧縮したような雰囲気の街といった所でしょうか。

今回の旅、台湾観光の定番である夜市や、千と千尋のモデルとなった九份なんかにも行きましたが、正直この西門が一番落ち着きました。

オタクの性って奴でしょうか。

台湾に関する旅の記事は、ネットに点在していますので、僕は一部の人間の為、ピンポイントな紹介を行おうと思っております。

それは、今回の僕の旅の目的でもある・・・


台湾メイド喫茶へ行くこと。


日本の萌え文化が、海外でどのように広がっているのか。

親日でも知られる台湾の実際をこの目で確かめなくてはならない!(単純にメイド好き)

さっそくホテルからタクシーを拾って西門に到着した我々。



ちなみに台湾のタクシーはとにかく安いんです。

台湾市内どこまで走っても、今回の旅で200元(約700円)を超える事はありませんでした。

ホテルから西門までの約5kmの距離でも、150元程度と日本と比べれば格安でした。

乗り方は簡単。

運転手に目的地を書いた紙を見せ・・・

つ『西門』


呉「うぉーしゃんちゅーちゃー!(ここに行きたい!)」


僕の言葉が通じているのかは分かりませんが、「OK」の一言で行きたい場所に連れて行ってくれます。

(同行した友人は、紙を見せながら日本語でここ!というだけで通じてました。)


さて話はそれましたが、西門に着いた我々。

天気は快晴、日差しが照りつけ、立っているだけでフラフラしてきます。

そんな中目についたのが、可愛いらしいカフェ。

 

「Trop Penser想太多」という名前らしいです。

例によって、何が書いてあるか全然読めませんが、日本でもおなじみのバニラアイスの看板が立っているので多分アイスも売っているんでしょう。



内装もメルヘンチックな、おしゃれなカフェでした。

さて、アイスの味で我々に判別出来たのは2種類、バニラと宇治抹茶味です。

台湾にまで来て、宇治抹茶味はないだろうと思ったので、3人でバニラ味を注文。

メニューを指差して、バニラ(と思われる方)をお願いしました。


店員さん「ほにゃららほにゃらら?」


呉「イ、イエス・・・!」


何か聞かれましたが、とりあえず笑顔で答えます。

・・・・そして出てきたのが3人分の宇治抹茶アイス。

もちろん何も言わず、笑顔で受け取りました。

とりあえず、美味しかったことは確かです。

コミュニケーションって難しいですね!


さて、軽く腹ごしらえをしたものの、お目当てのメイド喫茶の場所が良く分かりません。

持参したwifiの調子も悪く、スマホで地図をみることも満足に出来なくなってしまいました。

困った我々は、日本でもおなじみのある場所に向かうのでした。


つづく


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誰も褒めちゃくれないよ

2014年07月10日 | 悟りのこと
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例えば、かつて僕の根底にあったのは、自分を卑下する強い感情でした。
(今も根が深く残ってはいますが笑)

自分なんぞに価値がある訳がない。

他人様、世間様に迷惑をかけず、おとなしくしていよう。

○○なコンプレックスを解消しない限り、自分は人より劣った人間なんだ。

こういうのって外から見ると時に謙虚に見えたり、人が良さそうに見えたりもするけれど、実際は全然違います。

それは自分の価値を認め、肯定する自信が無く、その判断を他人に任せてしまっているだけ。

自分の望む価値を、自分で決めずに他人に投げてしまっているだけなんです。

謙虚なのではなく、ただ逃げているだけ。

人が良いのではなく、外側の反応を待っているだけ。

良いも悪いもなく、空っぽなんです。

自分自身を肯定し、認められない以上、そんな自己卑下は、そう簡単に終わるはずがありません。

他人に認められ、少し自信を得たかと思えば、時間が経つごとに、その少しの自信も霧散していく。

他人から責められたり、けなされたりした日には、この世の終わりのように落ち込んで、更に自分の無価値さを「肯定」し、「認めていく」という負の無限ループ。

あまつさえ、そんな自分を「謙虚で優しい人間だ」と勘違いし始めることもあります。

そうなったら最悪です。「こんな自分が認められないのはおかしい」と他人や世間を攻撃したり、「認められない可哀相な自分」を磨き上げ、果ての無い自己憐憫を始め、ともう手に負えません。

それは他人、世間という外側を見ているつもりで、大事な自分しか見えていない卑屈モンスターです。

自分を卑下するくせ、外側に自分の問題の改善を求める卑屈モンスター。

そうやって、謙虚なつもりになり、下を向いて生きる事を一種のアイデンティティとしていた僕は幸せだったのでしょうか。

答えは否でした。

そんな生き方が、幸せなはずがありません。

自分を卑下するのは、承認欲求の裏返し。

認められたいという欲求を満たす為、人から認められない自分を可愛がって慰めているに過ぎないのです。

それで完結するなら良いですが、自分を抑えて偽っているのですから、自分の中に認められたいけど認められないという思いがあるんですね。

それをあえて良しとするようなヤケクソ気味の卑屈さがあるので、この負のループの中に幸せはありません。

そう、ありませんでした。

求めるものを自分の中に求めようとせず、他人を、世間を責め続け、自己憐憫に磨きをかける卑屈モンスター。

自分でそのループに気づくことが、既にその人自身となってしまった、強固で苦しい価値観からの脱出に繋がるはずです。

それがいつも書いている、「自我ありきの自分に気づく」ということです。



・・・と、こんな感じで自分の事を例えに書いてみましたが、心の中身むき出しで、とても恥ずかしいですね(笑)

もしかすると、ここまでの文章を見て腹が立った方、まさに自分のことだと絶望した方も居るでしょうか?

もしそう感じたなら、まさにそれです。

それこそが僕の言っていることです。

そういった条件反射的な思考をやめて、冷静になってみませんか。

まるで卑屈な思考の在り方を責めるような書き方にも見えるかもしれませんが、そういうつもりじゃないんです。

というより本題はそこじゃありません。



怒りも絶望も、自己卑下も、自己憐憫も、まるごと全て含めて自分です。

要するに、どれも全て、自分の中で起きているだけのこと。

絶対的と感じる価値観も、何もかも幻です。

それどころか、自分というものすら幻です。

自分の中にある苦しみには、自分の中以外、どこにも救いはありません。

人それぞれ、異なった思考の癖や価値観があるのは確かです。

ただ、それが絶対的と思い込み、かつその価値観こそが自分自身であると、いつの間にか錯覚しているに過ぎないんです。

自ら好んで怒り、苦しんでいるのを良しとするならともかく・・・

そうでないなら、自分がそれを大事に抱えている事に気づくだけでいいんです。

あなたはあらかじめ決まった価値観の世界で生きているのではありません。

いつからかは知りませんが、勝手に価値観を設定し、勝手に苦しんでいるだけなんです。

あとは、それに気づくだけのこと。


気づいて・・・それからどうすればって?

僕みたいな他人に聞かず、どうしたいのか自分に聞いてみて下さい。

とっくにあなたの中で、答えは出てると思いますよ。


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呉 「でも、自己卑下って時に気持ちいぃ~!」

(´自ω我) 「自虐も極めれば芸っすからね。」

台湾に行きたいわん

2014年07月08日 | たびにっき
と思ったので、先週末から月曜日にかけて行ってまいりました。

親友達と3人組での楽しい旅になりました。

せっかく個人ブログをやってるので、後日まとめて記事にしてみようと思います。

スピリチュアルからはどんどん離れていくけど、そこは気にしない方針で(笑)

やっぱり僕達は、狭ーい世界で生きてるんだなぁって再確認の旅でした。

まあ細かいことは隅っこに置いといて、飯はうまいしねーちゃんは綺麗!

台湾最高!


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7月は七夕で酒が飲めるぞ(以下略

2014年07月01日 | どうでもいいこと
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どうも、僕です。

6月も終わり、7月が始まりました。

いよいよ夏ですね。

ビアガーデンでも行って、冷たいビールを飲みたいもんです。

さて、ここしばらくの間、僕のよく分からない小説の方にお付き合いいただきありがとうございました。

今日から通常営業(?)のつもりです。

小説なんて深夜の思いつきでするもんじゃねーな、と良い経験になりました(笑)

今回頭の中の形の無いものに、形を付けることの面白さを発見出来たのが、個人的な収穫でした。

書いてる途中の思いつきや流れで、どんどん内容が変わっていくのが面白く、稚拙な部分や矛盾した部分もたくさんあるのですが、それも含めて生まれたもんは生まれたから仕方ないな、とも感じています。

最初は、朱美さんは既に死んでいて、何故か病院で自我の無いゾンビとして復活した上に、朱美パンデミックで世界が滅亡の危機。彼氏や隣人、救急隊員を巻き込んだサバイバルの末、極限状態で皆が目覚めていくってストーリーだったんです。

いやあ、オタクの想像力って歪んでますね!


ただ正直、かなり疲れることが分かったので、もう書かないかもしれません。

と言いながら懲りずにまた書くのかもしれません(笑)

どちらにせよ、適当に流れに任せることにしようと思います。


濁流のような、世の中の流れの中、こんな駄文を書きながら今日も平々凡々と過ごさせていただいてます。

世の流れと言えば、このブログで時事ネタを扱うことは少ないんですが、ニュースのように毎日飛び交う情報を通して、人の本質が見え隠れしているな、と感じることが多いです。

特に、ニュースを見た感想、意見に、自分の抱えている何かが色濃く出るのが面白いですね。

例えば、今回のサッカーワールドカップ。

日本代表は、当初期待されていた結果は出せず、残念な結果に終わりました。

それに対して、様々な角度から、色々な意見が飛び交っているのが身近な人を見ていても、テレビやツイッター、インターネットの世界なんかを見ていてもよく分かります・・・よね?

代表選手、監督に対する意見。サポーターやマスコミに対する意見。

何が正しくて、何が間違っているのか。

何が好きで、何が嫌いなのか。

当たり前のようだけれど、その基準が人それぞれ違っているんですよね。

ゆえに論争が常に起き、どこまでも無くならない。無くなりようがない訳です。

違ってるのは当たり前だ、それがどうした。と言われると、それまでなんですが・・・。

ただそれだけのことだからこそ、見落としがちなんじゃないでしょうか。

見ていて腹の立つニュースや、愚にもつかない意見を言うコメンテーターもいます。

ただ、それをそう感じている自分自身に目を向けてみると、思わぬ発見に繋がるかもしれませんよ、なんてね。


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呉 「2500円で薄いビールと脂っこいバイキング料理が食べれて最高!」

(´自ω我) 「一杯飲んだら、もう味なんて分からないっすからね」

幻十夜「第十夜」

2014年06月27日 | 小説
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第十夜


「おめでとう」


そう言われた男は、ポカーンとしたまま意味がつかめずにいるようだった。


「それが、答えだ。いや、たくさんの答えの中の一つさ」


神は、パチパチと手を叩きながらそう続ける。


「で、でも俺何も分かってねーよ?答えどころか、質問の意味もよく分かってねーし」

「いや、もう分かっている。それを言葉に出来ないだけさ」

「意味分かんね-・・・」


ますます理解が出来なくなったというように、男は釈然としない表情のままつぶやいた。

ここに来てからというもの、夢を見ているとしか思えない不思議な現象が続いているのだから仕方もないことだろう。

視界が、身体が無くなったこと、全能感とも形容できる究極の体験を味わったこと。

そんな中で、自分を神だと言うこの人物。

神の言葉は、あまりにも要領を得ないし、説明になっていないのである。


「・・でも、でも何にせよ俺も生き返れるんだよな?」


少しだけ男の表情が明るくなる。

答えによって、自分の生き死にが決まることを思い出したようだ。


「そうだね、君は生き返る。もうその時間も迫っているよ」

「時間?」


そう男が尋ねる。

すると、二人を包む白い部屋に、ある異変が起こった。

真っ白な壁が、床が、陽の差す大きな窓が、そこから見える風景が、全てタイルのように分離し、その細かい一粒ずつが泡のように消えていくのだ。

まるで積み木がくずれるように、目に見える景色がボロボロと崩れていく。


「お別れだね、またいずれ会おう」


そこかしこが崩れ、形のいびつになった床の上で、神は静かにそう言った。


「はぁ、最後まで振り回されっぱなしだ」


男はこの数時間、いや時間の感覚は当てにならないのかもしれないが、この短い時間に、状況に対して常に冷静であることを覚えたようだった。

それは崩れる景色の中でも動揺せず、また景色と同じように、自分の身体がタイルのように消えていくのを見ても『やれやれ、やっと終わるか』としか思わない程に。


「なあ、最後に一応教えてくれよ神様」

「なんだい?」


もはや部屋は跡形も無くなっている。

質問をする自分の身体も、胸から上しか残っていない中、男はどこまでも気軽な風に尋ね、神も同じように答えた。


「全部、夢なんだろ?」


そう言葉を発する間にも身体はボロボロと、首元まで消えている。


「そうだよ、何もかも全部が夢さ」


文字通り何も無い空間に、一人浮かんでいるように見える神は、そう答えた。


(まあ夢に聞いても意味ないよな・・・)


薄れゆく意識の中で、男は最後に思った。



・・・・。


・・・・。



長い夢の中に居た。

目が覚めると、俺は知らない部屋の天井を眺めていた。

意識ははっきりしているが、身体は重くて、汗をかいているのかベトベトしている。


「なんだ、また夢か」


そう発した自分の声は、ずいぶんとかすれていた。

その声に反応するように、すぐ近くであわただしい声が聞こえてくる。


「・・・タ、タケシ!お父さん、タケシが!」


懐かしい声・・・、電話越しにしか久しく聞いていない母親の声のようだ。

姿は見えないけれど、声の主がドタドタと遠くへ駆けていくのが分かった。

俺はゆっくりと、ベッドから半身だけ起き上がる。

少し頭痛がする。

一息つきながら、自分の左腕に繋がる点滴か何かの管を見ているうち、じんわりと、あいまいな記憶が戻ってきた。

深夜のアパート、腹痛、救急車、そして今ここ。

細切れになった場面場面が、頭の中で結びついていく。

まるで今この瞬間に、過去が作られたみたいだった。

見回すと、部屋は広く、いくつもベッドが並んでいるようだ。

薄いレモン色のカーテンが、ベッドのまわりをそれぞれ囲っていた。

状況から察すると、ここは病院の大部屋の中なんだろう。

そのうちにドヤドヤと父を連れて母が。それに50代くらいの、ある程度立場の高いであろう医者が歩いてきた。


「タケ、大丈夫か?」

「良かった・・本当に良かった・・・」


各々が心配そうな顔で、次々と話しかけてくる。

3日も意識が戻らなかったこと、牛乳の集団食中毒で世間が大騒ぎになっていること、身体の具合に関する質問。

色々な言葉が矢継ぎ早に飛んできた。

それに対して、俺がどう答えたかはあまり覚えていない。

話を聞いている途中で、色々な事がどうでもよくなってしまったからだ。

自分のベッドを囲む人達が、色々な事をしゃべってくるその向こう側。

対面に位置する患者のベッドに、看護師が食事を運んできたようで、薄い色のカーテンが開けられていた。

そのカーテンの開いた、ベッドの主を見てしまった。

そこには、どこか見覚えのある綺麗な女性が同じように半身を起こし、俺の方を見ているのだった。

笑顔で小さく手を振りながら。


「・・・もう何があっても驚かねえ」


苦笑しながら、俺はひとりごちた。



・・・・。


・・・・。



「さて、お次は」


胸ポケットから、虹色の手帳を取り出す。

これには、全ての帰宅者の詳細な人生が書かれている。


「後追い・・・?感心しないなぁ。全く早とちりな奴だ」


ここには、たくさんの帰宅者がやってくる。

それぞれの人生で、悩んで、苦しんで、考えて、生き抜いた上で、何かの拍子に、もしくは必然的に帰ってくる。

そして、簡単な手助けをするだけで様々な気づきを得、ここから再出発してゆく。

全く、創造主もずいぶんと意地悪な仕組みを作ったもんだ。

泣き出す人、大笑いする人、困惑を浮かべる人。

その気づきは様々だけれど、どこまでもシンプルで、しかしそれ故にかけがえのない気づきだ。

それを見守るこの仕事は、素晴らしい仕事だと信じてやまない。


(お邪魔するよ・・・)


僕は次の部屋に降りた。

実体の無い状態なので、帰宅者の目には映らない。

そして部屋をウロウロと歩いてまわる帰宅者の前に、突然姿を現した。


「えっ、何なんですかあなたは」


青年はずいぶんと驚いた顔をする。

だが、ここではもう見慣れた表情だ。


「まあとりあえず、おかえり」


僕は笑顔でそう言った。




幻十夜 完


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幻十夜「第九夜」

2014年06月18日 | 小説
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第九夜


「「地面を意識して・・地に足をつける感覚だ」」


どこまでもふわふわとした、生まれて初めての不思議な感覚だった。

身体も心も、空間に溶けていくような、空間そのものになるような。

俺が俺じゃなくなる、自分なんてどうでもよくなるような感覚。

そこに、誰かの声が響いている。


「「地面・・・地面を意識する・・・・?」」


多分俺の声だ。


「「そう、全てが同時に存在するこの空間に、自らの立つ場所を認識するんだ。」」


「「立つ・・・」」


ゆっくりと思い出す。

かかと、親指の付け根にかかる圧力。

足を支えるふくらはぎ、太もも、腰の筋肉、そこにかかる重力。

空気の匂い、呼吸、体温。

一つずつを思い出す内に、いつの間にか視界も戻ってきた。

俺という存在の中から、何も無い空間を見ている。

足の裏にしっかりとした感覚がある。

白いコンクリート質のひんやりとした床が、どこまでも広がっていた。

どこまでも広がる床の他には何も無く、真っ白な宇宙の中にでもいるように、どこまでも白い空間が広がっている。

眩しいくらいの白の世界に、俺はポツンと立っていた。


「はぁー・・戻っちまった・・」


これが、実体を取り戻した俺の第一声だ。

これが夢か幻かは分からない。

ただ、今は『俺が俺である』という事実がショックだった。

ついさっきまで、俺には全てがあって、何の不足も無い、サイコ-に良い気分の中に居た。

理屈や言葉では説明出来ない完璧な何かの中に居た。

・・・いや全てが俺だった・・のか?

とにかく究極の自由と完全さを味わった俺は、元通り不自由な身体と心の中に戻ってきてしまった。

混乱しているのかもしれない、何一つ分かっていないのかもしれない。

ただ、今は個というものがある事に、一種の歯がゆさを覚えていた。


「それでいいんだよ」


そう、正面から声をかけられる。

ずっと何もない空間を見ていたはずなのに、最初からそうしていたみたいに神様のおっさんが居た。


「これでいい?」


「そう、それでいいんだ」


「こんなに不完全でいいのか?」


こんな無力な、限定的な、何も出来ない俺でいいんだろうか。


「だからいいんじゃないか。無力で、限定的で、何も出来ないからこそ、君たちは素晴らしい」


見透かしたように神様のおっさんはそう言い放つ。


「でも俺は、嫌でも俺って容れ物の中にいなきゃいけないんだろ?」

「よく分かってるね」

「あんなもん見せられたら、理解したくなくても出来るって」

「うん、その理解を促す為の体験だからね。・・・でも、その容れ物の中に、これからも居続けるかどうかは君次第だよ」


神様のおっさんは、微動だにせず、微笑みを浮かべながら語りかけてくる。


「俺次第って・・・そんなのどうしたらいいっていうんだよ」

「どうもしないさ、だってどうしようもないだろう?」


神様のおっさんは、まるで『おいおい分かってるだろ?』とでも言いたげにこわざとらしくため息をついた。

いやいや意味が分からねえ!つーか何が分からねえのかも分からねえよ!

っていうか、さっきまで居た白い部屋はどこいったんだ?

そう思った瞬間、床から生えるように壁が、窓が、天井が現れた。

窓からは陽が差し、鳥の鳴き声まで聞こえる。


「はぁ・・・もう何があっても驚かねえよ」


そう言いながら、何の気無しに腰掛けようとすると、俺の椅子が、やっぱり既に用意されていた。

部屋には最初から何も無かったように、ゆったりとした空気が流れている。


「最初の部屋か、ちゃんと細部まで覚えてたんだね」


神様のおっさんが、部屋の中を見回しながらそう言った。


「あ、そういえば朱美さんはどこ行ったんだ?」


暗闇になってから、声しか聞こえなかった隣人は、いつの間にやら消えている。

こんな話をすれば、このパターンからいくと、部屋や椅子みたいに現れるんじゃないかと思ったが、彼女が床からにょきにょき生えることも、パッと現れることも無かった。


「彼女はね、一足先に出かけて行ったよ」

「出かけたって・・どこに?」

「分かるだろ、君たちが元居た世界にだ。現世と言ってもいいかな」

「え、それじゃあ・・・」

「そう、彼女は答えを見つけたんだ」

「マジかよ・・・」


つまりお隣さんは、知らないうちに答えとやらを見つけて、無事生き返ったってことなんだろう。

すっかり不思議体験で忘れていたけど、クイズに正解?しなければ俺はこのまま死ぬって話だったはずだ。

俺は何も分からないまま、隣人さんに追い抜かれてしまったらしい。


「おいおい、俺何も分かんねえぞ・・・。勘弁してくれよ・・・」


ちくしょう、まだ死にたくねえ・・・まだやりたい事たくさんあるんだって。

自分のしたいことやって、好きなように生きて、満足してから死にてえよ。


「さて、残念ながらシンキングタイムはここで終了なんだ。今度は君の答えを聞こうか。」


神様のおっさんは、相変わらず微笑んだままこちらに問いかけてくる。

おいおい、時間はたっぷりあるんじゃなかったのかよ・・・

つーか人の生死を目の前にしてなんで笑顔なんだこいつ・・やっぱ気味悪いわ。

くっそ、とにかく死にたくねえ、死んだら何もなくなっちまう・・・何も・・・


ふと、さっき自分という形を取り戻した時に感じたショックが頭をよぎった。

あれ、何も無い世界から戻ってきた時、俺は俺って存在にがっかりしたんだよな。

なんでだ、どうして今俺は死ぬことをこんなに怖がってんだ・・?

あーちくしょー!意味が分からねえ!


「さあ、君は一体何者かな?」


もう後が無い、頭ん中がごちゃごちゃだ。死にたくない、でも答えなんて、・・・くっそ、もうどうにでもなれ!


「う、うるせえ!俺は俺だよ!俺以外の何者でもねーよ!!」


シーン・・とした残響が部屋の中に広がる。

終わった・・・質問の意図も、答えも分からずじまいだったけど、何か失敗したことだけは理解できた。

神様のおっさんは、黙って目をつぶっている。

窓の外から聞こえる鳥のさえずりが、俺の耳から入って、まるで何倍にも増幅されたように頭の中に響いていた。


「おめでとう」


神様のおっさんは、静かにそれだけ言うと、パチパチと手を叩いた。


「ふぇ!?」


俺の間抜けな声が広い部屋に反響し、更に間抜けに響いた。


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呉 「次回が最終話です」

(´自ω我) 「生暖かく見守ってほしいっす!」

幻十夜「第八夜」

2014年06月10日 | 小説
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第八夜

自称神様が手を振り下ろすと同時、一瞬で目の前が真っ暗になった。

目を開けても、つむっても同じ。

光も輪郭も何もない、完全な暗闇。


「おい!どうなってんだよこれ・・・!」


隣で宮本くんが大声を出している。

どうやら、私だけがこの暗闇の中に居るんじゃないみたいだ。

しばらくの間、暗闇に対しての疑問や不安が、言葉になって、部屋の中に響いていた。


「五感の内、君たちの視覚だけを閉じてみたんだ。」


私達が少し落ち着いた頃、自称神様がそう言った。


「君たちは、視覚でこの世界を見て、形や色を認識している。視覚が無ければ世界の形や色が認識出来ないように、もし身体が無ければ、世界そのものを認識出来ないんだ。分かるかい?」


また謎かけだ。

身体が無かったら、世界を認識出来ない?そんなの当たり前。

死んじゃったら、何もなくなるってことでしょ。

・・・でも本当に私が、さっき聞いたとおり自殺してここに来たっていうのならどうだろう。

確かにあるように感じる、私の身体って一体何なんだろう。

そう思って、自分で自分の手を掴んだり、離したり、自分の顔をぺたぺたと触ってみた。

うん、確かに私の身体はちゃんとここにある。


「そう、そんな風に君たちの身体は確かに存在してるよね。例え世界が見えなくなっても、それは目に見えなくなるだけ。視覚が無くなっても、世界は変わらず存在しているはずだ。」


自称神様は、話をしながら歩いているみたいで、私達を囲んで円を描くように、声はゆっくり移動している。

自称神様は、ゆっくり確認するように、『見えないけれど身体がある』ということを、何度か私達に聞いてきた。

その度に、私達は「はぁ・・」とか「ええ・・」と、状況が掴めない中、ただ返事をしていた。

その間も、何度か強く瞬きをしたりしてみたけれど、やはり真っ暗なまま変化がない。

ついさっきまで、太陽の陽が差し込む、とても明るい部屋だったのに。

きっと部屋に変化があったというより、私の目そのものに変化があったんだろう。

『視界を閉じてみた』という言葉。きっと私の記憶を消したのと同じように、自称神様・・・いやこんな事が可能な人は居ないはずだ。

まあ私の記憶に無いだけかもしれないけど。

とにかく自称神様、いや神様には、きっと私達の視覚そのものを封じる方法があるんだろう。


「この暗闇に、何か意味があるんですか?」


私は、ちょうど前を通りかかった(ように感じた)神様にそう尋ねた。

足音が私の前で止まる。


「君達が、何にでも意味を付けていることに気づく、という意味があるんだ」


「意味を付けていることに気づく・・?」


「そう、君たちは目に映るモノ全てに、意味を付ける癖がある。白い部屋、椅子、椅子に座っている自分。もし認識する君達が居なければ、部屋も椅子も存在しないんだ」


「・・・言ってる意味が分かんねえよ。おっさんは俺たちをどうしたいの?」


宮本君がそう疲れた声で言った。

たしかに意味は分からない。

状況に混乱しているのもあるけれど、よく聞いてみても、見えないから何もないのと同じなんて、そんな屁理屈みたいなことを言ってるんだから。

だって、視覚が無くても、きっと白い部屋の中で、私は椅子に座っていて、身体もちゃんとここにある・・・はずだ。

・・・ちょっと、神様が何が言いたいのか、気がついたかもしれない。


「見えなくっても、全部ある・・・ありますよね?」


「おっ?いいねえ。ようし、それじゃあダメ押しだ。今度は君達に、目に見える前の世界に連れて行ってあげよう」


神様は心底うれしそうな声でそう言った。

今の私の発言に、何かヒントがあったのかな。

掴めそうで、まだ掴めないみたいだ。


「はぁ?それってどういう・・・」


宮本くんがそう言いかけたその時、今度は目の前がパッと明るくなった。

完全な暗闇から、一転光の中へ。

不思議とその切り替えに、まぶしさは感じなかった。


「「おい・・おい・・これって・・・」」


どこか、頭の中に響くような声がする。声質からすると、おそらく宮本くんの声だろうか。

私達は、もう暗闇の中には居なかった。

同時に、もう白い部屋の中にも居なかった。

とても明るくなったここには、何も存在していない。

白い部屋も、座っていた椅子も、大きな窓も、そこから差す日光も、何も無い。

それどころか、空間には上も下も無く、ただ光のプールの中に沈んでいるようだった。


「「私の身体・・・ない!」」


これは、私の声だろう。

ただ、どこから声が出ているのかは分からない。

なぜなら、肝心の私の身体が、どこにも見当たらないからだ。

いや、正確には見当たらないというのもおかしい。

慣れ親しんだ、自分の視界というものも無かった。

身体も空間も、その境目がないみたいだ。

ただ、存在しているだけという不思議な感覚。

もう、なにがなんだか分からない。

私は光の中にあって・・・いや、私が光そのものだろうか。

いや、光という表現すら当てはまらないかもしれない。

ただ、私はここに存在していた。


「「なーんにも無いでしょ、これが認識の前の世界なんだ。全ての可能性を内包していて、全てが存在している。だから逆に、何も認識が出来ない。認識というのは、全ての中から一つを選択する行為だからね」」


「「自分が自分じゃなくなりそう・・・」」


「「なんか、よく分からねえけど・・気持ちいい?」」


それぞれの声が響き、混ざり、どれが自分の声なのか分からなくなりそうだ。

頭の中に色んな声がしていて、でも頭も身体も無くて。

・・・!!

そうか、私の本質ってきっとこういうことなんだ。

存在を自分で、全ての中から選択しているんだ。

あぁ・・・そっか・・・・そうだったんだ・・・


「「・・・よし、それじゃあ認識の世界に戻ろう。」」


私?宮本君?神様?混ざり合う意識の中、誰かがそう言った。


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呉 「マインクラフトに時間が吸い取られてます」

(´自ω我) 「夜始めたのに、気づいたらお日様にオハローっすね!」

引き寄せダイエット

2014年06月02日 | どうでもいいこと
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代謝が落ちているのか、酒が美味しいせいなのか、最近お腹がぽっこり出てきました。

ただ、僕は痩せるにしても、無理しないで痩せることに決めました。

何でも無理のある事は続きませんからね。

とりあえず、方法や制限は何も考えず、天にでもお任せして5キロを目標に減量することに決めたのが2週間くらい前。

過程無しに、結果だけ求めていいってのは、もう知ってますからね。

名付けて(?)引き寄せダイエット。ただ決めるだけのお手軽ダイエットです。

方法や過程は後から付いてくることでしょう。

さて、ダイエットを決めたくせに、そんな時に限って飲み会やらの楽しいお誘いが増える増える。

平日にも誘われて、飲んだり遊んだりをしていたのが先週中のお話。

すると先週末、深夜に突然目が覚めました。

頭の奥底から響くような頭痛と、6月とは思えない熱帯夜にも関わらず不思議な寒気が・・・・

ついでに、腰や肩が金縛りにあったように、ぎしぎしと痛みます。

この感覚・・ついに俺にも心霊現象が・・?


はい、言うまでもなくただの風邪です。

そんなこんなで、何日か寝込んで苦しんでるうちに2キロ痩せました。


「あぁ、そういうことね・・・・orz」


幸先が良いのか悪いのか分かりませんけど、とりあえず僕の願いは、その内叶いそうです(笑)

ちょっとまだ本調子でないので、今日はこれまで。

小説ももうちょっとで終わるつもりなんで、もうしばらくお付き合いくださいね。

コメ返しは時間見てちょいちょいやらせていただきます。


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呉 「注射前、いっつも『気絶しませんよね?』とか言われるのは、普通のことなの?」

(´自ω我) 「顔色が青白過ぎるから、もっと太陽の下に出るべきっす!」

幻十夜「第七夜」

2014年05月26日 | 小説
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第七夜


「・・って訳で、救急車を呼んだと思ったらここに来てた・・んです」


俺がそう言い終わると、おっさんと綺麗なお姉さんは、ぱちぱちと拍手をした。

自分を神様だと抜かすおっさんの提案で、始まった自己紹介。

名前、年齢、浪人生活をしていること、夜中に腹痛に襲われたこと。

俺が説明するたび、おっさんがおおげさに相づちを打つのが少々うっとうしかった。


「さて、次は彼女の番だね・・・とは言っても、本人には自分の記憶が無いから、僕が代わりに彼女を紹介するよ」


おっさんが言うように、この姉さんには自分の記憶が無いらしい。理由は分からないし、本当か嘘かは分からないが、あえて記憶が消されている・・・らしい。


「お願いします・・・」


彼女は、うつむきがちにそう答えた。

透き通るような肌の、綺麗な人だ。うーん、夢だとしても、いい夢見てんな俺。

ただ、夢にしては五感がどこまでもリアルだ。それに、普通の夢と違ってずいぶんと、整合性のある会話が出来ていると思う。

それにしてもこの姉さん、どっかで会ったことある気がすんだよな・・・。


「えーっと彼女の名前は、遠野朱美さん。年齢は26歳で、会社員をしている。アパートに一人暮らし。あと他には・・年下の恋人がいるみたいだね」


おっさんは、何もない空間に、まるで何かが書いてあるような素振りで、彼女のプロフィールを読んでいった。

朱美か、いい名前じゃん。・・・つか彼氏持ちか・・・。だから何だって事もないけど、ちょっとがっかり。

俺は心の中で、ため息をついた。

一方の朱美さんは、自分の記憶を一字一句聞き漏らすまいとしているのか、真剣な顔で、黙っておっさんを見ている。


「そして・・・っと、ここに来た理由が、えーっと・・・まあ、自殺だね」


自殺?今自殺って言った?

部屋の空気が緊張する。

おっさんは、黙って朱美さんの反応を伺っているみたいだ。

うーん、この沈黙。とても気まずいし、かける言葉も見つからない。


「・・・・はあ、そうですか」


当の本人は、ずいぶんとあっさりとそう答えた。


「なんというか、もしかしたらそうなのかな?とは思ってたんです」


椅子に深く座りなおしながら、朱美さんは続ける。


「ここがあの世の入り口っていう話もそうだし・・・、私が記憶をあえて消されているっていうのも、きっと思い出したら冷静にいられないような記憶、つまりショッキングな内容なのかなって・・・まるで他人ごとみたいですけどね」


本当に他人ごとのように冷静だ。表情は、むしろさっきより少し明るくさえ見える。

自分の記憶がないってのは、どんな気持ちなんだろう。

自分が自殺していても、記憶がなけりゃこんなくらいの反応になるんだろうか。

ん?そもそも自殺したら、自分の記憶がどうとかいう問題じゃねえよな。

そもそも、ここが夢の中って可能性も全然否定出来ねえし・・・。


「そう、だから記憶を忘れてもらってるんだ。その方がスムーズに話が出来るからね・・・うーん、でも驚いた。いくら記憶が無いとはいえ、こんなに冷静な人は珍しいよ。」


おっさんは、そう言いながら、安心したように少しほほえんだ。

この言いぶりからすると、ここには俺たちみたいな奴が、他にも来るんだろうか。


「まあね、ここに来るっていうのはむしろラッキーな事なんだよ。自殺にしろ事故にしろ、どっちみちまだ死んでない訳だからね。さあ、それじゃあ自己紹介も軽く済んだところで、アパートのお隣さん同士、仲良く頑張ってもらおうかな」


ん、お隣さん?それってどういう


「あっ・・・、まさか昨日の救急車・・・?」


アパートのゴミ出し、お隣さんとの挨拶、救急車のサイレン、運ばれる担架、深夜の静寂、冷たい牛乳。色々な情報の点が、その一瞬でぶわっと脳裏をかけめぐり、突然一直線につながった。衝撃、快感のようなものが俺の頭の中で電流となって駆け巡るのを感じた。


「あ、あんた、昨日救急車で運ばれただろ?102号室の・・・。ほら俺、隣の103に住んでる宮本っす!」


たまに挨拶くらいはしたことあるけど、今はメイクもしていないせいで・・・いやそれだけじゃない。何というか雰囲気がずいぶん違って、全然気がつかなかった。

この人、俺のお隣さんじゃん。


「はあ、どうも・・・」


朱美さんは、とても不安そうな表情を浮かべている。・・・あーしまった、この人記憶喪失だっけ。


「あーなんか、すいません・・・」


勝手に興奮している自分に、少し恥ずかしくなった。


「こちらこそ、思い出せなくてすいません。私の部屋、お隣だったんですか?」


そう言いながら、朱美さんはこっちを見る。なんか、ここに来て初めて顔をちゃんと合わせた気がする・・・やっぱ綺麗だなこの人。


「あ、はい、俺、昨日隣の部屋に救急車が来たんで落ち着かなくって・・・」


むしろ今の方が落ちつかねーけど。


「うんうん!これでお互いの事は大体分かったね。それじゃあ、場の空気もあったまったところで・・・スピードアップしていこっか」


更にアパートのお隣さんと話そうとする俺の言葉を遮るように、おっさんが割り込んできた。

神様を自称するくせに、空気が読めないというか、本当うっとうしいなこいつ。

なんて思ってる間に、おっさんが黙って右手をあげた。

そして、その手を今度はまっすぐに振り下ろす。

と次の瞬間、目の前が暗転した。


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呉 「自己投影されてて、すごく恥ずかしい」

(´自ω我) 「小説書くなら、ドMで当然っす!」