取り合わせについてこないだから考えてた。取り合わせ(*1)を作ろう!と言って作った取り合わせはわざとらしい。ところが、一物俳句(*2)を作ってて、ちょっと違うなと思って取り合わせに変えてみたら、なかなかよかった。
例えばこの句。
金木犀香りは凛と母に似て 山梨在住子
金木犀という季語について描写を重ねている。どんな香り?凛とした香り。どんな風に凛としてる?母に似てる。
さて読者の脳裏には、金木犀の香と、凛とした母、二つのイメージが浮かぶだろう。母の香水、箪笥の匂い、洗いたての洗濯物。また香りだけでなく、母の立ち居振る舞いの一コマを、金木犀の姿に重ねて浮かべるかも。うちならそうする。俳句を100%楽しむために。しかし、普通にレイジーな読者はそこまで想像力働かしてくれないかも。金木犀?凛とした香だ確かにね、母みたいだねうんうん、で終わってしまったらもったいない。
俳句は省エネ産業。いかに短い言葉で、読者を説得できるか考えよう。
コツは、
1 答えを言わないこと。
この句の場合、答えは「凛と」。これを言わず読者に感じさせる。
2 イメージは、意識的に重ねる。
金木犀と母、二つのイメージを漠然と重ねると、読者の中でイメージが複数あり過ぎて、ぼやけ合う。二つの世界の出会いを鮮明に演出することが大事。
(作者の中には決定的イメージが存在するが、他人にはそれを伝えないと伝わらない。)
具体的には、季語「金木犀」に、「凛とした母の姿を簡潔に写生したフレーズ」を取り合わせる。
一例
膝ついて下駄揃えたる金木犀
下駄を揃えたのは誰?もちろん金木犀がやるわけない。ミニスカの女子高生もあまりやらない。膝、下駄、この二語から老舗旅館の女将とか、田舎の母とか、着物姿の女性が玄関先に下駄を揃えながらふと金木犀の香りに顔を上げる。そんな場面が自然に見え、凛としてるなあ、と読者が感じたら大成功。
早速、あなただけの凛とした場面を、金木犀に取り合わせてみよう!
(*1)季語とは関係ない物を描写して、季語と取り合わせた俳句。二つの世界の出会いの面白さ。
(*2)季語について一気に描写した俳句。季語をストレートに味わう。
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あき:お
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