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ミセスローゼンの上人坂日記

石畳濡れて木の実の落つる音

ひきこもりであった弓子さんが出歩くようになった。理由はダイエット。
昨夜も夕食後、三人で町へ出て、紀伊国屋で本を買い、弦子さんをコーラスに送る。
帰り道、地下鉄を出たら、アリスタリーホールの前がライトアップされて、えらい人だかり。警官だらけ。また誰かの葬儀でオバマさんが来てるのか、などと話しつつ、通りすがりに見たら、アリスタリホールの脇の歩道が(伝染病の簡易隔離病棟みたいに)透明のテントで囲われ、道路にはレッドカーペットが敷き詰められている。キャッツのポスターみたいなのが飾られてる。ミュージカルの授賞式か何かか、と言いつつ帰る。
今朝のUSATODAY(毎日一つ記事を選んで読むのが英語の宿題)によると、Where The Wild Things Are(かいじゅうたちのいるところ)の映画の宣伝イベントであったらしい。木曜の英語レッスン用にこれを読む。ニュースフィルムも見る。作者モーリス・センダックは81歳でこの元気。「見て、これが本当のレッドカーペットだよ」と、杖ついて叫んでる。製作のトム・ハンクスも、マルコビッチの穴の監督スパイク・ジョーンズも、俳優達もあそこにいたのである。テントの外はぞくぞくと肌寒い夜で、そのすぐ外に私と弓子さんが立っていた。
モーリス・センダックは、ポーランドから来たユダヤ系移民、ブルックリンのゲットー育ち、FAOシュワルツ玩具店のウィンドーディスプレイをしながら夜間の美術学校に通ってた逸話を持つ。オペラ魔笛の舞台美術でも有名で、年末のメトの大ウィンドーで何度もあの独特の怪獣たちを見てる。私は彼の作品の中で、Outside Over Thereが最も好き。

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