弟子遂に一人前の汗をかき

写真はパクチーの花。

シンガポールのお弟子が、急にスカイプをして来て、「明日ヴィクター・ハーバートチェロ協奏曲をオケと弾くんです。アドバイスを下さい。」と言う。これが１ヶ月前なら、いやせめて１週間前なら、言える事が幾つかあるだろうが、明日の夜の本番に何を言っても間に合わぬ。ニックは全楽章通して聞き、褒めるべきところを褒めあげた。その部分を強く押し出すよう励ました。簡単に直せる弓使いや指使いも教え、それが出来ると盛大に褒めた。弾き終えた弟子は、ニックが本番にかくのと同じぐらい膨大な汗をかいていた。

ニックが４５分のマスタークラスで見せるテクニックがこれだ。生徒がステージでコンチェルトを弾き、数分の指導の後、見違えるような演奏をさせる。観客から思わず拍手が起こる。その場で直せる所で、しかも観客にはっきりと違いがわかる所を指導するのがコツだそうだ。俳句の添削と同じだろう。手品のごとき添削を、その場で観客に見せるのは中々の荒技だ。