ミセスローゼンの道後日記

ものの芽や思ひ思ひに伸びてゆけ


実り多いクラスコンサートだった。全員が、良い音程のために指のアングルを変え、肘の位置を変え、もっとストレッチし、良いボウイングのためにどんなに腕を伸ばしているか全部見えた。私の二人の娘はニックに一音一音怒られ、怒鳴られ、泣かされ、𠮟咤激励されてきたので、レッスンを見なくてもみんなの頑張りはわかるつもり。だからそれが成果(よい音)となって現れるのを目の当たりにすると、涙が出てしまう。
ニックは弟子の和田理とポッパー組曲を弾いた。最後のリハーサルの直後、普通とは違う演奏をしような、とニックは約束していた。ニックはリハーサルに100%弾く。本番の第一楽章に120%弾く。二楽章はそれ以上に弾く。二楽章終わった時点で、ああ三楽章がまだある、どうするのだ、もう力は残っていない、となった時初めて人は普通では出ない力を発揮する。火事場の馬鹿力というやつだ。そこまで自分自身を追い込んで、普通じゃない演奏を見せる、自分自身との闘いを見せてくれる。これがバレエやボクシングなら当たり前。ダンサーやボクサーは自分が楽しんでパフォームするなんて事はあり得ん。一秒一秒が自己の肉体の限界との闘い。チェリストも同じという事をニックは身を持って教える。和田理との真剣勝負みたいな演奏を我々観客はハラハラ楽しんだ。闘いながら共に生き残る。丁々発止。和気藹々だけでは何も起こらない。ニックの影響で、パフォーマンスがエキサイティングになってきた生徒も増えて来た。頼もしい限りだ。
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