プチ早期退職者の資産運用+αブログ

個別銘柄:THEグローバル社

 2週続けて個別銘柄について書くことになるとは思わなかったが、5月15日に継続企業の前提に関する事項の注記(GC注記)が適時開示されたTHEグローバル社の株式を損切りした。


THEグローバル社の2018年以降の株価チャート (出所:株探)



 ちょっと変わった名前の会社で、ミランダ・カーを起用したCMもやっていたらしいが、私は投資を検討するときまでは知らなかった。新興のデベロッパーでマンション分譲やホテル事業などで業容拡大してきた。2010年にJASDAQに上場、2016年に東証1部に指定されているから、かなり急拡大してきたと言えるだろう。

 以下は、日経ビジネスの2018年の社長へのインタビュー記事だが、なかなか威勢のよい内容だ。
(以下の記事がいつの間にか公開終了になっていて、引用の表示も乱れていたので、見出し部分の画像だけ張り付けてリンクを削除した)




 不動産分譲は、市況がよい時に借入金をテコに強気の経営をすると事業を急拡大しやすい。この会社は、インバウンドに目を付け、ホテル運営や投資用ホテルなども手掛けていた。ホテルは京都を中心にデザイナーと組んだ小規模ホテルを開発していて、なかなかうまいと思っていた。

 ただ、不動産、特にホテル関係はコロナショックの影響をまともに受ける。5月15日のIRニュースでは、2020年6月期の売上高見込みを475億円から283億円に大幅に下げ、経常利益見込みは16億円から▲30億円、1株益は37円から▲251円と劇的に悪化した。しかも、有利子負債は400億円を超えている。当然、配当も25円の見込みから無配に転落だ。

貸倒引当金繰入額の計上、 業績 予想の修正 、 配当予想の修正 及び役員報酬の減額に関するお知らせ


 同時に出た2020年6月期第3四半期決算短信では、継続企業の前提に関する事項の注記(GC注記)が付き、その内容説明のIRニュースも出た。IR文書は以下だが、ごく簡単にポイントを要約すると、融資の返済や施工費用の支払いが難しくなっているが、新たな資金調達について確実な見通しはない、ということだ。

2020年6月期第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)

継続企業の前提に関する事項の注記についてのお知らせ


 資金繰りが困難な状況で、資金調達の見通しが立ってないという内容だから、投資家は驚く。株価は、IRが出た翌営業日から2日連続ストップ安で175円まで下げた後、少し戻してもみ合っている。最悪と言っていいIRを正直に適時開示した経営陣の姿勢は評価できるし、何とか融資が受けられたり、融資返済や施工費用支払い条件の見直し交渉がうまくいくかもしれない。なので、まだある程度、値を保っているのだろう。

 この会社の資金繰りについては、3月25日のダイヤモンド・オンラインの記事で資金繰りのリスクの高い会社として名前も出てので、意表突くような話ではなかったかもしれない。元々、かなりレバレッジを掛けた経営で財務内容はよくなく、逆風に弱そうな会社だったし。



 私は、業績の割には割安で高配当だったので、株価がかなり下げてきた2018年12月に550円で500株購入し、2019年7月に470円で400株買い増ししていた。目を付けたきっかけは、ZAiの記事だったと思う。

 この会社がコロナショックの影響を大きく受けるのは覚悟していたので、赤字転落、無配ぐらいでは見切らず塩漬けにしていただろう。しかし、資金繰り不安のIRが出た後も持っているのはリスクが高過ぎる
 私は、下げ止まった後で少し戻してもみ合う中、193円と198円で2回に分けて売却した。合計で約29万円の損失、約62%の損失率になる大失敗の投資となった。

 5月15日のIRに気付いていれば、翌営業日の5月18日に売りを出したと思うが、5月18日にストップ安になったことでIRが出ていたことに気付いたのだった。それで一旦様子を見てから売却した。
 100銘柄ほど持っていると、なかなか目が行き届かなくなってしまうのが実情だ。

 今回は比較的最近の投資銘柄で、特定口座での売買なので、先週書いたニチイ学館の売却益を消すのには役立った。しかし、その前に書いた一般口座のネットワンシステムズの売却益を消すのにはそのままでは適用されず、残念だ。まぁ、まだ年末まで色々あると思うが。

 また、今回は株主優待につられて大失敗したシステムソフト以来の損切り銘柄となった。システムソフトは万年低収益が改善しないので見切ったが、APAMAN傘下なので倒産リスクは考えなかった。しかし、今回は、資金繰り不安なので倒産リスクを考えざるを得ない。黒字企業でさえ、資金繰りがうまくいかなければ倒産するのだ(いわゆる黒字倒産)。しかも、THEグローバル社はメインバンクがないと言われている。

 私はこの会社や経営陣を信じ続けられなかったので撤退したが、信じて持ち続けた人が報われることを祈っている。



【2020.8.29追記】

 上で引用していた日経BPの社長インタビュー記事が公開終了になり、表示もおかしくなっていたので修正した。ついでに、ウォッチを続けていた情報を少し追記しておく。


 5月26日、5%保有の大株主の有賀照家氏が0%になったという大量保有報告(変更報告)でが出たのに気付いてツイートした。 有賀照家氏は不動産業のGLITTERSの社長で、同業者だ。同業者も見切りを付けたということなのかなと思った。


 6月28日、東洋経済の2020年7月4日号に記事が出たという情報があったのでツイートした。以下にある有料記事だが、無料で見られる範囲でも多少様子は分かる。2月頃には自力での継続困難でスポンサー探しに奔走していたらしい。四季報に手元流動性の情報もあったが、最新ではないし、決算の6月末を乗り切れるのか気になった。



 8月12日、2020年6月期決算発表延期に関するお知らせが出ていたのでツイートした。 8月14日予定を8月28日に延期。コロナのせいで監査業務等の精査に時間がかかっているのを理由にしているが、本当かなと思った。


 8月26日、業績予想の修正を発表したのでツイートした。20年6月期最終損益を従来予想の34億円の赤字から48.3億円の赤字に下方修正、期末の純資産を50.6%毀損する規模の赤字だった。なんと1株利益▲356円だ。誰もいいとは思ってなかったので、驚きはないだろうと思った。 
 

 8月27日午前中、昨日の業績予想の修正を受けて株価がどう動いたのか見てみると、少し下がったが底堅かったのでツイートした。まさに「誰もいいとは思ってなかったので、驚きはない」という感じだ。逆に、この業績・状況でよく持ちこたえている。結局、コロナ対策で行われているゆるゆる融資でゾンビ化なのかと思った。


 8月28日の決算発表は、前日の予想数値通りで変わらなかった。株価も底堅いままだった。信用買残は8月21日時点で116万株(発行済株式の8.6%相当)もある。この業績でGC注記も出ている会社に対してずいぶんと勇気のある人が多いのに驚く。私は過去の失敗からGC注記を甘く見てはいけないと思っている。生き残っても民事再生等なら普通100%原資だ。他に色々会社があるのに、何もこの会社に賭けなくてもいいのにと思ってしまう。



【2020.10.29追記】

 10月28日にアスコット(中国平安グループ)に対する第三者割当増資やSBIホールディングスとの業務提携のIRを出し、10月29日の朝方に一時ストップ高312円まで上げていた。

第三者割当による新株式発行、主要株主、主要株主である筆頭株主、親会社及びその他の関係会社の異動

 調達額は約30億円、1株204円で14,705千株で、議決権で約52%半分以下の希薄化、かつ経営権は取られる形だが、会社としては生き延びられたようだ。

 私には無理だったが、持ち続けた人や底値で買っていた人の勝ちで決着した。


名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「株式投資」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事