最近は株主優待が人気で、雑誌等でもよく取り上げられる。私も30年以上前から色んな株主優待をもらっていて、基本的には好きなのだが、やっぱり"おまけ"だと思っている。三つほど経験談を書く。
日本マクドナルド
だいぶ前だが、2005年12月から2013年3月にかけて100株だけ保有していた。出張時のランチ等に優待券をありがたく利用していた。しかし、業績が悪くなっている割には高いと思って少しの利益で売ってしまった。20.7万円→24.1万円で 、利益が3.4万円(+16%)ほどだった。保有期間を考えると、かなり低い利益率だった。
その頃、既に株主優待ブームが起きていて、割高に買われるようになっていた。2014年に期限切れ鶏肉の騒動が起きて赤字化した時、大きく下げたら買い戻そうかと思った。しかし、優待人気が根強く、驚くほど下がらなかった。
今や業績も回復し、株価も売値の倍以上だ。今の業績でもかなり割高だと思うんだけどなぁ。
すかいらーく
2017年9月に1,600円で100株だけ買い、下げたら買い増しも考えていたが、買いそびれたままだった。しかし、業績が悪化してきたのに逆に上げてきて、割高感が増したので2019年5月に1,970円で薄利売却した。結局、2019年12月期の配当は、前期の半分に下がっている。
外食の優待は使いやすいし、お得感を実感できるので人気だ。特に、すかいらーくの優待は手厚い。2014年10月の再上場に際して個人株主を集めるためだったからだ。個人的に割高だと思っても、売買が成立している以上、その価格が妥当株価なのだ。しかし、私としては、優待が負担にならないだけの業績が上げられていないと保有し続ける気になれなかった。減配してまで優待を続けるのが妥当とも思えない。
売却後も株価は売値を上回ったままで、年末に向けて一段高となった。しかし、最近は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で市場全般下げ、売値りを下回っている。感染が拡大すれば、外食もますます手控えられ、業績がさらに悪化する可能性もある。
システムソフト
マイナな銘柄だが、APAMAN傘下のソフト開発会社だ。この株は、不動産テックとかRPAという謳い文句と、新設されたプレミアム優待倶楽部の株主優待につられて2017年8月、150円から買い始めた。業績はよくなかったが、謳い文句による今後の業績改善に甘い期待を抱きつつ、保有株数に応じた大盤振る舞いの優待につられて買い増して行き、一時は5,000株以上保有していた。
しかし、業績はずっと冴えないままだった。APAMAN傘下で最低限の仕事は確保できるが、長年、収益力が弱すぎた。前決算は赤字で2期連続(当初は黒字見込み)、今期は黒字化見込みだが低水準で展望がなかった。一昨年の赤字見込みになった際に半分以上損切し、昨年11月に残っていた2,000株も損切した。
プレミアム優待倶楽部の優待も結局2年だけで、昨年の権利確定前に廃止された。2回の優待のために19万円以上損失の大失敗になった。この会社は、そもそも優待を実施していくだけの収益力がないのだ。受けのいい謳い文句をかかげ、願望のような黒字見込みを出すのは簡単だが、実行する能力がなかった。過去の業績を見て分かっていたのたが、優待につられて甘い業績改善期待を持ってしまったのが敗因だった。
昨年11月に損切した時は112円だったが、最近は市場全般下げているので90円ちょっとの水準になっている。時たま、イナゴが取り付いて急騰することもあるが、収益力等からは今でも十二分に割高だ。
株式投資の基本を忘れずに
(配当+株主優待)の利回りが4%以上等の目安で買うような方法もあり、市場が下げた時にそうやって選べは、ある程度いい銘柄を拾っていくことはできると思う。
しかし、上でも書いたように、株主優待を続けられる十分な収益力がないと、株主優待廃止や減配の可能性も大きくなる。投資に際しては、過去の収益力のチェックは欠かせない。株式投資は、企業業績が主で、株主優待はおまけだということを忘れないようにしたい。
【2020.9.10追記】
すかいらーくHDが本日、株主優待の改悪を発表した。
2020年12月期から4段階の配布区分のすべてで「株主優待カード」の額面が大幅に引き下げられる。詳しくは以下のIRを参照のこと。
2020年09月10日 適時開示
株主優待制度の変更に関するお知らせ
変更額は、100~299株の場合、年間6000円分⇒4000円分で33%減となる。それ以上の株数だと50%以上の減となる。
今回、新型コロナウィルスの影響を理由に挙げているが、上の記事で書いた通り、元々、優待が負担にならないだけの業績が上げられていないので、改悪は必然だったと思う。
改悪後でもまだ手厚い方ではあるが、明日、株価は多少は下がるだろうなぁ。