プチ早期退職者の資産運用+αブログ

企業応援のための株式投資はあり?

 結論から言うと、気持ちとしては大いにありだと思うが、その気持ちによって投資判断を曇らせるべきではないということだ。


株式を保有するということ

 長期的に株式を保有するということは、結局のところ、配当によって利益の分配をもらい、成長による値上がり益を享受することに尽きると思う。株主優待もあるが、おまけと考えるべきた

 株式投資をすることはその会社を応援することだと言われることがある。気持ちとしては分かるし、嫌いな会社の株式は買わないだろう。消費者向けの商品を扱っているメーカーとかなら、株式を持っている会社の製品を買ったりすることもあるだろう。ただ、逆に言えば、上場済みの株式を保有し、製品を買う程度のことしかできないので、弱小な個人投資家が実際に応援として貢献できることは微々たるものだと思う。

 公開予定もない起業したばかりのベンチャー企業に、理念とか事業内容とか経営者にほれ込んで、少しでも出資するというのだと、本当の意味での応援になる。最近ではクラウドファンディングで少額からでもそういう応援も可能になってきた。


日本海洋掘削での失敗

 この会社は名前の通り、海底を掘削するための設備を保有し、掘削できる技術をもった会社だった。子会社で地球深部探査船「ちきゅう」の管理も手掛けていた。メタンハイドレードが話題になると、急騰したりしていた。

 2014年秋以降の原油価格の急落によって石油掘削設備の稼働率が下り、業績が冴えずに下げてきた2015年3月に4,100円で100株だけ買った。

 日本海洋掘削の上場廃止までの長期チャート (出所:ヤフーファイナンス)


 この会社は、日本に必要な技術を持っている会社だと思って応援するような気持ちもあったし、この会社の特性ゆえ潰れはしないだろうと思っていたので赤字でも気にせず保有していた。大株主には有力会社も多く倒産の心配なんて全くしていなかった。技術革新によってメタンハイドレードの採掘が実現していくのではという甘い期待もあった。そのため、買った後は、思考停止して放置していたというのに近い。

 しかし、その後も業績は一向に回復せず、2018年3月期決算でも大赤字を計上、債務超過に転落し、GC(Going Concern)注記も付くことになった。債務超過になるという社長の緊急記者会見があったのは、2018年4月26日だった。GC注記の決算短信が出たのは同年5月9日だった。

 さすがに、債務超過だと投資対象としては失格なのは明らかだ。その頃、既に退職していたので、情報把握が早く、考える時間の余裕もあった。損切りすることに決め、緊急記者会見翌日の2018年4月27日に1,990円で売却した。損害的には21万円ほどでたいしたことはなかったが、安易な考え方で投資していたことを反省した。

 債務超過のニュースの割にはあまり下げずに損切りできたのは幸いだった。2016年3月期以降ずっと赤字で業績が悪いのは周知の事実だったし、この会社に対する期待や倒産はしそうにないとの思いが株式市場にもまだあったのだろうと思う。

 業績悪化の最大の原因は、市況を読み誤って石油掘削装置への過大投資を2014年に行ったことだった。その投資判断をした時から社長は変わっていなかったが、その経営判断が大失敗だったということだ。

 2018年6月22日には結局、会社更生法の適用を申請した(「市況読み誤った」 日本海洋掘削、会社更生法申請)。翌日、株価はストップ安売り気配の979円で始まり、同年7月23日で上場廃止となった。その前営業日の終値は24円だった。マネーゲームの対象にはなっていたが、100%減資がほぼ確実なのに不思議なことだ。2019年11月29日の更生計画では実際「無償で取得し消却」と決まった。

 なお、この会社そのものは更生して現在も存続している。既存株主や債務を整理して(切り捨て)日本に必要な技術を持った会社としては存続している訳だ

 応援の気持ちもあって安易な考えで投資し、思考停止して放置してしまったのは失敗だったが、債務超過のニュースで素早く損切りしたことは正解だった。


GC注記を甘くみないこと

 日本海洋掘削も会社更生法申請前にはGC注記会社になっていた。こういう経験もあり、先月GC注記の出たTHEグローバル社は、さっさと損切りしたのだ。GC注記を甘く見てはいけない。決算資料にGC注記をしないと監査法人が許してくれないという財務状況なのだ。

 シニアにはテレビCMやその際のCMソングでおなじみのレナウンが先月破綻したが、2期連続大幅赤字のGC注記会社だった。もちろんGC注記となったあとで支援を受けたりして復活していく会社もあるが、GC注記会社の株式を保有することはもはや投資ではなく博打になってしまうと思っている。



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