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もうiPhoneのおまけじゃない、iPadOSの衝撃 ITジャーナリスト 石川 温

2019-06-09 05:21:35 | 日記

もうiPhoneのおまけじゃない、iPadOSの衝撃 
ITジャーナリスト 石川 温

2019/6/5 4:30
日本経済新聞 
 

米アップルがタブレット端末「iPad」の再生に本腰を入れてきた。6月3日(現地時間)に米サンノゼ市で開催された開発者向け会議「WWDC19」で、iPad専用の基本ソフト(OS)「iPadOS」を発表。これまでスマートフォン(スマホ)である「iPhone」向けのOSである「iOS」をそのまま使ってきたが、iPad専用OSとして生まれ変わらせた。大画面に加えペンとキーボード入力を重視した専用OSにして、機能の充実を図る。

 

アップルの年次開発者会議「WWDC19」に登壇したティム・クックCEO

アップルの年次開発者会議「WWDC19」に登壇したティム・クックCEO

iPadでできることはほぼiPhoneでもできていたので、ある意味で「iPhoneの大画面版」にすぎなかった。しかしここ数年、キーボード付きのカバーや専用の入力ペンを用意し、パソコンの代替としてのポジションを狙い始めていた。iPadOSではUSBメモリーやSDカードのデータ読み書きにも対応。ファイルの管理がやりやすくなり、クラウドでのデータ共有などの利便性も増した。

また1つのアプリを複数開いたり、受信メールを見ながら返信を書き、添付ファイルを自在に操れるようにするなど操作性を改善。同時に実行できるアプリは2つか3つまでだが、アプリの切り替えが容易になってスムーズに切り替えられる。標準のWebブラウザー「サファリ」もスマホ用ではなく、デスクトップ向けのサイトを開くようになる。さらに、これまで面倒だった文字列のコピー&ペーストをジェスチャーだけでできるようにするなど、「パソコンでは当たり前にできること」がiPadでもできるようになった。

 

iPadOSの新機能として、外付けメディアの利用が可能になった。これまでパソコンに後れを取っていた点だ

iPadOSの新機能として、外付けメディアの利用が可能になった。これまでパソコンに後れを取っていた点だ

 

 

 

ペン入力は従来20ミリ秒あった描画遅延(レイテンシー)が9ミリ秒に短縮し、書いているときの反応を改善。Macの新しいOSである「macOSカタリナ」と組み合わせると、iPadをMacのサブディスプレーとして利用できる。出張先など荷物に制約があっても、MacとiPadで2枚のディスプレーとして使える。作業効率は上がりそうだ。さらにiPadのペン入力機能をMac用のソフトで利用できるメリットもある。イラストを書きたいときや手書き文字を入力したいときに威力を発揮するだろう。

 

iPadOSでは、オプションのアップルペンシルの描画遅延が9ミリ秒に短縮する

iPadOSでは、オプションのアップルペンシルの描画遅延が9ミリ秒に短縮する

iPadOSになって、これまで以上にビジネス用途にも堪えられる操作性に生まれ変わったといえる。

 

■売り上げ好調iPad、アップルの「成長株」に

アップルがここまでiPadに投資するのは、iPadの業績が絶好調だからだ。直近の決算では、iPhoneの売上高は前年同期比17.3%減の310億5100万ドル。これに対しiPadは前年同期比で21.6%増の48億7200万ドルとなった。

アップルの売り上げの約6割を占めるiPhoneと比べると、金額ベースでiPadはiPhoneに遠く及ばない。しかし成長率ではiPadに勢いがある。ティム・クック最高経営責任者(CEO)も「iPadは過去6年間で最も強い成長を見せている」と、好調ぶりをアピールする。クリエーター向けのハイエンドモデル「iPadプロ」と教育現場などに最適な廉価版の「iPad」が、成長をけん引しているようだ。さらに7.9インチの「iPadミニ」を復活させるなど、小さい画面を好むユーザー層を逃さないように配慮した。

 

パソコン向け新OS「macOSカタリナ」と組み合わせると、iPadをサブディスプレーとして使える

パソコン向け新OS「macOSカタリナ」と組み合わせると、iPadをサブディスプレーとして使える

 

 

キャッシュレス社会を推進する機運が高まっている日本では追い風が吹く。QRコード決済に対応したい中小店舗が、手軽に導入できるiPadによるレジに目を向け始めたからだ。店員がスマホの操作に慣れていることもあり、「iPadの導入に心理的負担がない」という声もきく。

 

もちろんNTTドコモKDDIソフトバンクといった国内携帯電話事業者がiPadを販売しているというのも大きいだろう。iPhoneの延長で購入し契約できる。iPhoneを使い慣れたユーザーは「親しみのある操作性のコンピューター」というイメージでiPadを手にすることになるだろう。

米マイクロソフトはタブレットにもなるパソコン「サーフェス」に注力する。iPadOSがWindowsの牙城を崩せるのか。iPhoneの成長に陰りが見える中、アップルがiPadにかける期待は相当大きい。

 

石川温(いしかわ・つつむ)
 月刊誌「日経TRENDY」編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。携帯電話を中心に国内外のモバイル業界を取材し、一般誌や専門誌、女性誌などで幅広く執筆。ラジオNIKKEIで毎週木曜午後8時20分からの番組「スマホNo.1メディア」に出演(radiko、ポッドキャストでも配信)。NHKのEテレで「趣味どきっ! はじめてのスマホ バッチリ使いこなそう」に講師として出演。近著に「仕事の能率を上げる 最強最速のスマホ&パソコン活用術」(朝日新聞出版)がある。ニコニコチャンネルにてメルマガ(http://ch.nicovideo.jp/226)も配信。ツイッターアカウントはhttp://twitter.com/iskw226


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