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WEB 特集世界に衝撃 米国民の選択

2016-11-13 11:52:11 | 日記
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世界に衝撃 米国民の選択

「異例」の選挙戦と言われた2016年のアメリカ大統領選挙。その結果も事前の大方の予想を覆す「異例」のものでした。投票の結果、共和党のドナルド・トランプ氏が当選を確実にし、来年から4年間、アメリカの第45代の大統領に就任することになりました。アメリカ史上初の女性大統領を目指したヒラリー・クリントン氏との戦いは、激しい競り合いとなり、獲得した選挙人の数は、トランプ氏が279人、クリントン氏が228人となっています。(9日現在)。予想を覆して、トランプ氏が大統領に選ばれたことは、アメリカ、そして、世界に波紋を広げています。なぜアメリカの有権者は、トランプ氏を選択したのか、その背景に迫ります。(ワシントン支局 田中正良支局長)

直前予想はクリントン氏

アメリカで選挙予測を行うサイトが、公表した投票日11月8日現在の2人の候補の勝利する確率は、クリントン氏が71.4%、トランプ氏が28.6%。大統領候補による最後のテレビ討論会のころには、クリントン氏勝利87%の確率でしたが、選挙戦最終盤、FBI=連邦捜査局によるメール問題の再捜査が明らかになると、確率は下降。ただ投票の直前に、FBIが、メール問題を「訴追せず」という結論を出したことで、クリントン氏が再び上げ、トランプ氏は下降に転じていました。

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決め手は東部ペンシルベニア州

こうした中で迎えた11月8日。開票は、現地が夜に入ってから、アメリカ東部、そして、南部から始まりました。トランプ氏は、共和党の地盤、南部ケンタッキー州、中西部インディアナ州を確実に押さえたのに対し、クリントン氏は、東部バーモント州やメリーランド州で、選挙人を積み重ねました。

開票が、東部から中西部、さらに西部へと広がる中、勝敗のかぎを握ったのが、2人が競り合った注目州の南部フロリダ州、東部ペンシルベニア州、それに、中西部オハイオ州などでした。日付がかわって9日午前2時半頃(日本時間午後4時半頃)からほぼ10分の間にアメリカの主要メディアは、「トランプ氏当選確実」を次々に伝えました。

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決め手になったのが、20人の選挙人を持つ注目州の東部ペンシルベニア州でした。大接戦となったこの州をトランプ氏が押さえることが確実になり、勝敗が決まりました。1992年の選挙以降過去6回の選挙で、民主党が勝ち続けたペンシルベニア州は、6万8000票余り、得票率にして1.2ポイントというわずかの差で、共和党のトランプ氏が制しました。

午前3時前のトランプ氏勝利宣言

9日午前3時前。ニューヨーク、マンハッタンの演説会場。トランプ氏が勝利演説を行いました。 「さきほどクリントン氏から電話を受けた。我々の勝利を祝福するものだった」と述べ、勝利を宣言しました。その上で、「クリントン氏と激しく戦った。彼女はこれまでこの国に尽くしてくれた。今こそこの分断の傷を修復し、ともに結束していくときだ」と述べ、結束を訴えました。そして、「がっかりさせないと約束する。我々はすばらしい仕事をしていく。みなさんの大統領になれることを楽しみにしている。選挙戦はこれで終わりだが、この運動はまさに今始まったばかりだ」と述べ、決意を表明しました。

一方のクリントン陣営は、トランプ氏の勝利演説に先立ち、クリントン氏ではなく、責任者のジョン・ポデスタ氏が演壇に登場。集まった支持者に「いくつかの州は接戦となっている。結果を言うのはまだ早い。今夜は何も発表しない。みなさん自宅に戻ってほしい」と述べ、すぐにはクリントン氏が演説しないことを伝えました。

クリントン氏敗北宣言、そして、オバマ大統領は政権移行準備

アメリカの大統領選挙では、通常、敗北した候補が、勝利した候補に電話をかけて祝福し、敗北を宣言し、その後、勝利宣言が行われるのが通常です。今回のように前後するのは異例です。 事前には、優勢が伝えられていただけに、クリントン氏には、敗北を受け入れ、支持者の前に現れるまで、気持ちを整理する一定の時間が必要だったのかもしれません。

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クリントン氏は、9日昼前になって、夫のビル・クリントン元大統領や、長女のチェルシーさんとともに、支持者の前に姿を現しました。この中で、クリントン氏は、「トランプ氏に昨夜電話をして祝意を伝えた。トランプ氏が、すばらしい大統領になることを期待している」と述べ、みずからの敗北を認めました。そして、「皆さんを代表して大統領選挙を戦えたことは、人生で最高の誇りとなった。勝利できず、申し訳ない気持ちで、このつらい気持ちは、長い間残ると思う」と、時折、唇をかみしめながら話しました。そして、「アメリカは私たちが思う以上に分断されているが、この結果を受け入れ、前を向かなければならない。大統領に就任するトランプ氏にこの国のかじ取りを任せよう」と述べ、敗北を受け入れる考えを示しました。最後に、「ガラスの天井を破ることはできなかったがそう遠くない将来に誰かが実現すると期待している」と述べ、みずからは果たせなかった女性初のアメリカ大統領になる夢を後進に託す考えも示しました。

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クリントン氏に続き、オバマ大統領もホワイトハウスで声明を発表しました。「次期大統領のトランプ氏と私との間には政策に大きな違いがあるが、8年前も同じ状況だった。平和的な政権移行は、我々の民主主義の特徴だ」と述べ、党派を超えて円滑な政権移行を行うと強調しました。そして「選挙で敗れれば悲しいが、我々は1つのチームであることを忘れてはならない。一番重要なのは我々はアメリカ人であることで、民主党員や共和党員であることではない」と述べて、選挙で分断された国が融和に向かうことに期待を示しました。 ワシントンでは、オバマ氏からトランプ氏への政権の移行に向けた作業が始まります。

なぜトランプ氏なのか

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事前の予想に反して、今回なぜトランプ氏が勝利したのか?。アメリカの主要メディアも、開票前はクリントン氏優勢と伝えていただけに、今回の結果を「驚くべき番狂わせ」と伝えました。 トランプ氏が、5966万を超す票を集め、アメリカの第45代の大統領に選ばれたのはなぜなのか。ひとつ言えるのは、国民の6割以上が、「国が正しい方向に向かっていない」と感じる中、有権者の不満や怒りが、投票行動に結びついた結果だということです。背景には、経済格差が拡大し、中間労働者層が減少していることがあります。OECD=経済協力開発機構の統計では、所得分配の不平等さをはかる指標のジニ係数は、アメリカの場合、0.394(2014年)。先進国の中で、もっとも高くなっています。トランプ氏は、白人の労働者層にターゲットを絞って支持を訴えてきました。中西部オハイオ州に加えて、クリントン氏優勢と伝えられていた東部ペンシルベニア州と中西部ウィスコンシン州でも勝利しました。この3州は、かつて鉄鋼や重工業が盛んだったいわゆる「ラストベルト」と呼ばれる地域で、現在の経済状況に不満を抱く白人の労働者層が多いことで知られます。ただ、大統領選挙で勝利した背景には、こうした労働者に加えて、トランプ氏を支持した人が予想を超えて広がっていたことを押さえておく必要がありそうです。

抗議の動き全米に

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トランプ氏が大統領に選ばれたことを受けて、アメリカではさっそく、「トランプ氏は自分たちの大統領ではない」と抗議するデモが、東部の首都ワシントン、ニューヨーク、それに、西部ロサンゼルスまで、全米各地に広がっています。

また、選挙を終えて、主要メディアや事前の世論調査が、なぜ「トランプ氏当選」を予測できなかったのかについても、検証が始まろうとしています。メディアが軒並み「クリントン氏勝利」を予測し、「データは死んだ」とするソーシャルメディアのつぶやきもありました。 今後、アメリカの「分断」を象徴するトランプ氏の勝利に抗議するデモの行方や、詳細がいまだに見えないトランプ氏の具体的な内政、外交の政策、さらに、なぜアメリカのメディアが先行きを正しく見通せなかったのか、こうした点を注視し、検証していく必要がありそうです。

田中正良
ワシントン支局
田中 正良 支局長

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