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森のいぬねこ病院 院長blog ~走れシーズー!!緊急オペです!!~宮城県仙台市の動物病院、ヘルニア、がんのことなら!

宮城県仙台市のとある緑豊かな場所にある動物病院「森のいぬねこ病院」。ガンビー院長がその思いをつづります。

進行性脊髄軟化症~椎間板ヘルニアの最悪なパターン~

2013-10-10 00:01:23 | 椎間板ヘルニア

こんにちは!
コメダのない宮城ではもっぱらタリーズな西原です。



ご注意!!

今回は、途中に手術画像があります。

その手のものが苦手な方はご注意ください。。。

 

進行性脊髄軟化症・・・

未だ治療方法が存在しない、

椎間板ヘルニアの最悪パターン・・・

 

簡単に説明しますと、

通常の椎間板ヘルニアでは、

脊髄の炎症は部分的で、

すなわち椎間板の圧迫を受けた場所のみが

炎症を起こします。

この図でいうと、脊髄の赤い部分ですね。

ところが、進行性脊髄軟化症では、

この赤い炎症がどんどんと広がってしまい、

下半身だけだった麻痺が前足、首へと進行し、

最終的には脳にまで達し、死亡してしまいます。

 

この進行性脊髄軟化症、

前述のとおり治療方法がありません。

しかしやっかいなのはそれだけでなく、

事前にこの病気を予測することも難しく、

最悪の場合、この病気をふまえて手術をします。

つまり、ヘルニアの重症度でもっとも重いグレード5で、

診察当初には脊髄軟化症の徴候が見られない場合、

少しでも麻痺からの回復を望むためには手術が必要なのですが、

もし隠れて脊髄軟化症が進行していると、

手術をしたのに亡くなってしまう、

というケースもあるのです。

 

 

先日、他院で椎間板ヘルニアの診断を受けたダックスさんが、

手術を受けに森のいぬねこ病院に来院されました。

ヘルニアの病状はもっとも重いグレード5で、

進行性脊髄軟化症を発症する可能性も十分ありましたが、

受診当初はその徴候はみられませんでした。

そこで、脊髄軟化症のことをご理解いただきながら、

少しでも可能性にかけるということで手術を行いました。

 

ところが・・・

手術では実際に脊髄を目視しますので、

そのダメージの大きさをある程度知ることができます。

もちろん肉眼的にひどくても

必ずしも進行性脊髄軟化症で亡くなってしまう

というわけではないのですが・・・

今回のダックスさんは、

私が今まで経験した中では

最も肉眼的にひどい脊髄をしていました。。。

上図の矢印で示したところが脊髄です。

普通の脊髄は普通に白い色をしています

(普通の画像がなくてすみません。

通常の手術では傷口が小さく、

うまく写真が撮れないのです)。

それに比べてこのワンちゃんの脊髄は

赤黒く変色していて、

しかもそれが広範囲に広がっており、

明らかに進行性脊髄軟化症を発症していました。

念のため硬膜切開も実施したのですが、

案の定・・・

 

そして手術してから二日後、

やはり前足にまで麻痺が進行していました。

その時点であと数日の命だということは明らかでしたので、

最後はご自宅で看取りたいとのことで退院となりました。

飼い主様にとっては、

「最後まで諦めたくない!!」

「でも最後は、看取るなら安心できる自宅が良い」

という思いで最後の最後まで悩まれたと思います。。。

 

今回の飼い主様もおっしゃっていたのですが、

この進行性脊髄軟化症を発症してしまったケース、

ほぼ全員の方が、

「椎間板ヘルニアで死んでしまうなんて知らなかった」

とおっしゃっています。

ただ残念ながら、

進行性脊髄軟化症は未だ治療方法がなく、

発症、進行するとほぼ100%亡くなってしまいます。

 

ワンちゃんの椎間板ヘルニアの多くが

突然発症するタイプで、

それは軟骨異栄養犬種にとっては

宿命のような病気です。

ですので、椎間板ヘルニアには確実な予防方法もなく、

すなわち進行性脊髄軟化症も予防方法はありません。

 

今回は非常に悲しい内容となってしまいましたが、

ワンちゃんにはこういった病気があることも

ぜひ知っていていただきたいのです。。。

 

森のいぬねこ病院ホームページでは

椎間板ヘルニアについて詳しく解説しています。

また森のいぬねこ病院Facebookページでは、

椎間板ヘルニアだけでなく、

さまざまな病気をわずらったペットさんの様子を掲載しています

(FacebookページはFacebookに登録してなくてもご覧いただけます)。

ぜひご覧いただき、みなさんのペットライフにお役だていただければと思います。

 


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