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森のいぬねこ病院 院長blog ~走れシーズー!!緊急オペです!!~宮城県仙台市の動物病院、ヘルニア、がんのことなら!

宮城県仙台市のとある緑豊かな場所にある動物病院「森のいぬねこ病院」。ガンビー院長がその思いをつづります。

検査数値の異常=体の異常とは限りません

2014-12-06 09:31:29 | 診療

こんにちは!!

スキマ時間にスー(Tsu)もコツコツ進めている西原です。

 

さて、先日のブログで少しお話しさせていただきましたが、

検査結果の数値が客観的かどうか

について、考えてみたいと思います。

 

いわゆる検査の数値って、

どんな項目を測定しても、

「結果は○○です。

参考基準値が△△~□□なので、まあ大丈夫ですね。」

というような流れになると思います。

 

で、ここで単純な疑問。

”参考基準値”ってなに?

というわけです。

おそらく、みなさんがイメージされるのは、

健康な動物はその参考基準値内だ!!

参考基準値内にあれば、病気ではない!!

といったところだと思います。

 

しかし、残念ながらすべてがそうではありません。

 

では参考基準値って???

ここでは、細かな議論は別にして、

ざっくりと解説しますね。

 

参考基準値とは、

健康な動物で測定すると、

95%の動物が収まる範囲

と決められています。

(いや、専門的に言うともっと細かいですよ(汗))

ですので、だいたいの健康なワンちゃんは、

その参考基準値内にあれば、問題ないのです。

 

しかし、じゃあ残りの5%は??ってことになりますよね。

そうなんです。

たとえ健康な動物でも、そのうち5%の動物は、

参考基準値から外れてしまうのです。

 

さらに、裏を返せば、

病気の動物の数値ははっきりいってわからない

のです。

だいたいは参考基準値から外れることが多いですが、

中には、参考基準値内にあっても病気であることは

けっこうあるのです。

 

また、以前は参考基準値のことを、よく

「正常値」

という言い方をしていましたが、

上記の理由から、

数値だけでは”正常”かどうかの判断はできないので、

”正常値”という言い方はせず、”基準値”といいましょう

という流れになっています。

このことからも、

数値だけで”正常”と判断してはいけないことが

おわかりいただけると思います。

 

さらにもう一つ、

検査数値が案外いい加減な理由があります。

それは、

機械の測定精度

です。

 

つまり、同じ血液で、同じ項目を測定しても、

結果は完全に一致することはありません。

そこからもどうしても多少の誤差は生じますし、

また、検査センターに出す場合は、

血液を冷蔵、もしくは冷凍で輸送しますので、

その間にもわずかに性状は変化してしまい、

それが検査結果に影響することも多いです。

 

このように、検査の数値は思った以上にいい加減です。

 

では、よりしっかりと診断するためにはどうすればよいのでしょうか??

やはり”100%”で診断をつけることは不可能ですが、

よりたくさんの情報を集めることで、

診断精度はかなり高くなります。

つまり血液検査結果だけじゃなく、

問診、触診、聴診、視診、レントゲン、エコーなどなど、

そしてやはり重要なのが、

日ごろの生活状況の観察です。

元気食欲はもちろん、お水の飲み方、

歩き方や舌・歯ぐきの色、

毛づや、目やに、耳の汚れ、鼻の乾き・・・

そういったものをしっかりと一つひとつ評価することはもちろん、

さらにそれらを総合的に判断することで

より確かな診断を下すことができます。

 

じゃあ、その最終判断は機械でできるのか?

残念ながら今はできませんし、

おそらく将来的にも当分不可能でしょう

(医学、獣医学が完成された学問になることはまずないでしょうから)。

そこで獣医師の登場なのです。

やはり、総合的に動物をチェックして、

異常があるかどうかの最終判断を下すのは、

獣医師しかできません。

 

もちろん、獣医師も判断を誤ることはあります

(いわゆる誤診ですね)。

しかし、勉強を継続しない獣医師や、

独りよがりな獣医師は論外ですが

(内輪だけでコミュニティをつくる獣医師も!?)、

おそらく、ほとんどの獣医師は、

数値だけで判断するよりも、

はるかに高い精度で、異常を見つけることができるでしょう。

 

ですので、みなさんもいろんな検査を受けることがあると思いますが、

決して、数値だけにとらわれないで、

獣医師ときちんと話をしたうえで、

病気をとらえるようにしてくださいね。

 

※ちなみに、健康診断は、あくまで、

「今現在」の状態をみているだけなので、

それが将来的に大丈夫かどうかを保証するものではありません。

よく、異常が見つかると

「去年の健診では何も異常はなかったんですけど?」

と言われることも多いので^^


ステロイドの落とし穴

2014-11-24 08:30:00 | 診療

こんにちは!!

日本酒に合う最高の食べ物は日本海のお魚だ!!と思っている西原です。

 

さて、前回のブログでは

ステロイドとは?というお話をさせていただきました。

ステロイド(ここでは糖質コルチコイド)は、

体に対して、実に多くの影響を与えますので、

そのお薬としての作用を解説するとなると、

ややこしくて結構大変なので、

今回は、あくまで”抗ストレス作用”

という表現にとどめさせていただきます。

(いつかはきちんと説明いたします・・・)

 

その抗ストレス作用ですが、

言い換えれば、

病気やストレスと闘うための

戦闘体制になること

とも言えます。

つまり、ステロイドを使うと、

体が戦闘体制になるイメージを

持っていただければと思います。

(これはすでに戦闘中??(笑))

 

本来、自分自身の体から分泌されるステロイドは、

さまざまな情報をキャッチして、

戦闘体制になるか、ならないか

を判断しています。

お薬としてステロイドを使う場合は、

その本来の反応をうまく補助してあげることで

抜群の効果を発揮します。

しかし、その補助がうまくいかないと、

徐々におかしなことになっていくのです。

そしてそのほとんどが、

必要以上にステロイドを使ってしまう場合

不必要にステロイドを使ってしまう場合

です。

 

イメージとしては、

ステロイドを使い続ける

ずっと戦闘体制のままになる

いい加減に体が疲れてしまう

という場合と、

そもそも戦い方が違う

という場合におかしくなることが多いです。 

 

中でも、必要以上にステロイドを使ってしまう場合、

見た目には、

ステロイドが適切に効果が表れているように見える

ために、ついついステロイドを継続してしまいがちになります。

しかし、そのまま使い続けていると、

実は体の見えない部分には負担がかかってしまい

気づいた時には副作用が出てしまっている

という事態に陥ってしまいます。

 

では、次回は具体的な病気での

ステロイドの使い方を見ていきたいと思います。


ステロイドってなんなのさ?

2014-11-22 08:30:00 | 診療

こんにちは!!

 うどんはやっぱり関西風の西原です。

 

さて、一昨日のブログで

ステロイド

について少しお話させていただいたのですが、

結構みなさんからの反応が多かったので、

ペットでのステロイド薬について

簡単に解説させていただきます。

 

まず、一般的にステロイドとは、

男性ホルモン

女性ホルモン

鉱質コルチコイド

糖質コルチコイド

という体に作用するホルモンを指します

(そうなんや~くらいで大丈夫です(笑))。

 

しかし、ここでいう”ステロイド”

とは、それらのうち、

糖質コルチコイド

と呼ばれるもので、

よくアスリートの

筋肉増強剤としてのステロイド

といわれるステロイド

とは異なります。

ただ、医療一般に使われている、

アトピーのステロイド療法や

免疫疾患でのステロイド投与、

などのものは、

すべて糖質コルチコイドに含まれます。

(以後の”ステロイド”は、すべてこの糖質コルチコイドのことを指します)

 

さて、そんなステロイドですが、

薬理的には様々な作用を示します。

一般的には

ストレスホルモン

と呼ばれ、

体に何かしらの負担(ストレス)がかかると、

本来は体自身がステロイドを分泌し、

そのストレスに抵抗する作用を示します。

そしてその抗ストレス作用が、

体に様々な影響をおよぼし、

結果として、多くの薬理作用を示すようになります。

 

そして、その薬理作用の中でも、

獣医領域で多く使われているのが、

消炎作用(炎症を鎮める作用)

免疫抑制作用

です。

一昨日の椎間板ヘルニアは脊髄の炎症ですし

(ただし、実際に使ってみたら効果は??ということです)、

アレルギー性皮膚炎は皮膚の炎症、

中には肝臓の炎症で使われることもあります。

また、免疫抑制作用としては、

リウマチといった自己免疫性疾患

(自分で自分の組織を攻撃し、炎症を引き起こす病気)

が有名です。

 

そしてこのステロイド療法は、

残念ながら(?)非常に良く効きます。

しかも割と早く効いてしまうので、

 ”とにかく早く何とかしてほしい”

と願う飼い主様の期待に応える薬なのです。

 

しかし、一見効いているように見える

 ステロイド療法

ですが、

実は大きな落とし穴があるのです。

 

次回はその落とし穴について話させていただければと思います。


すごいかも!?脂肪酸

2014-11-12 06:50:00 | 診療

こんにちは!!

実はにんにくは苦手な方の西原です。

 

さて、ここ最近は歯周病について勉強させていただいております。

もちろん、どんなに勉強しても、現時点で、

歯ブラシよりも手軽に歯周病予防できたり、

進行した歯周病を元に戻せる

という方法は残念ながらありません。

もちろん、研究レベルや、一部の獣医療でも

再生医療と言われるような治療を行っていますが、

明らかに「効果あり!!」というものはありません。

 

その中で、何か良いものはないかと探していたら、

脂肪酸サプリメント

が実は歯周病の炎症を抑える効果があるかも

ということがわかりました。

残念ながらこれは人間でのデータですので、

ワンちゃんやネコちゃんに当てはまるかどうかはわかりません。

 

ところでこの脂肪酸、もともとは

魚の油

で、いわゆるドコサヘキサエン酸とかDHAとかEPAって

呼ばれているものです。

 

特に有名なのが、

血液サラサラ効果

ということで注目されていますが、

それ以外にも、

皮膚

関節

心臓

糖尿病

脂質代謝異常(メタボリックシンドローム)

自律神経

うつ病

痴ほう

などでも注目されているすごい物質です。

 

また最近はペット用でも

高濃度のもの

や、特殊な抽出方法で「原料」に近い状態を保ったままのもの

もありますので、

森のいぬねこ病院でも取り入れていますし、

実際に、これらのサプリメントを飲み始めて

毛づやが改善した

というケースもあります。

 

もちろん、それだけで科学的な効果の根拠にはなりませんが

(あくまでサプリメントです)、

これらのサプリメントに関しては、

個人的には手ごたえを感じています。

 

ですが、即効性はありませんので、

月単位での使用が必要ですし、

また、検査の数値的な改善というよりは、

見た目の臨床症状の改善

を認めることが多いように感じます。

つまり、「病気がすっかり良くなる」

ことを望まれると、おそらくがっかりでしょう。

 

そんな感じで、

お薬のように効果をうたうことはできませんが、

皮膚、関節、心臓、高脂血症、痴ほう

などなど、試してみたい方はぜひ取り入れてみてください。

そして、個人的には

歯周病

が気になるワンちゃんやネコちゃんにも取り入れていただきたいです

(あくまで、補助的なものですよ)。

 

サプリメント、過度の期待は厳禁ですが、

やはり中には効果あり!!と感じるケースもあります。

うまく使っていきたいものですね。

 


異物誤飲のちしゃくん

2014-09-30 02:24:26 | 診療

こんにちは!!

9月いっぱいは半袖でいたい方の西原です。l

 

さて、学会明けの今日、

予想通り(!?)、緊急の手術となるワンちゃんが来院されました。

フレンチブルドックのちしゃくん、

もともとは椎間板ヘルニアのご相談にいらっしゃったのですが、

3日前から吐いているということもあり、

一緒に診察させていただきました。

 

念のため、レントゲン検査もさせていただいたのですが、

どうもあやしいです。

そこでバリウム検査へと進み、

やっぱり胃の中に何かがあり、

どうやらこいつが悪さをしていたようです。

 

そこで、本日中に手術を勧めさせていただきました。

そして出てきたものがこれ。

???

なんだかよくわからないものでした。

術後は様子をみながら食事をとっていきます。

順調であれば4~5日ほどで退院になります。

大きな病気をしているわけではないので、

術後はすでに元気です!!

でもご飯はもうちょっとおあずけです。

 

みなさんも、

くれぐれも異物誤飲にはご注意ください!!