こんにちは!!
スキマ時間にスー(Tsu)もコツコツ進めている西原です。
さて、先日のブログで少しお話しさせていただきましたが、
検査結果の数値が客観的かどうか
について、考えてみたいと思います。
いわゆる検査の数値って、
どんな項目を測定しても、
「結果は○○です。
参考基準値が△△~□□なので、まあ大丈夫ですね。」
というような流れになると思います。
で、ここで単純な疑問。
”参考基準値”ってなに?
というわけです。
おそらく、みなさんがイメージされるのは、
健康な動物はその参考基準値内だ!!
参考基準値内にあれば、病気ではない!!
といったところだと思います。
しかし、残念ながらすべてがそうではありません。
では参考基準値って???
ここでは、細かな議論は別にして、
ざっくりと解説しますね。
参考基準値とは、
健康な動物で測定すると、
95%の動物が収まる範囲
と決められています。
(いや、専門的に言うともっと細かいですよ(汗))
ですので、だいたいの健康なワンちゃんは、
その参考基準値内にあれば、問題ないのです。
しかし、じゃあ残りの5%は??ってことになりますよね。
そうなんです。
たとえ健康な動物でも、そのうち5%の動物は、
参考基準値から外れてしまうのです。
さらに、裏を返せば、
病気の動物の数値ははっきりいってわからない
のです。
だいたいは参考基準値から外れることが多いですが、
中には、参考基準値内にあっても病気であることは
けっこうあるのです。
また、以前は参考基準値のことを、よく
「正常値」
という言い方をしていましたが、
上記の理由から、
数値だけでは”正常”かどうかの判断はできないので、
”正常値”という言い方はせず、”基準値”といいましょう
という流れになっています。
このことからも、
数値だけで”正常”と判断してはいけないことが
おわかりいただけると思います。
さらにもう一つ、
検査数値が案外いい加減な理由があります。
それは、
機械の測定精度
です。
つまり、同じ血液で、同じ項目を測定しても、
結果は完全に一致することはありません。
そこからもどうしても多少の誤差は生じますし、
また、検査センターに出す場合は、
血液を冷蔵、もしくは冷凍で輸送しますので、
その間にもわずかに性状は変化してしまい、
それが検査結果に影響することも多いです。
このように、検査の数値は思った以上にいい加減です。
では、よりしっかりと診断するためにはどうすればよいのでしょうか??
やはり”100%”で診断をつけることは不可能ですが、
よりたくさんの情報を集めることで、
診断精度はかなり高くなります。
つまり血液検査結果だけじゃなく、
問診、触診、聴診、視診、レントゲン、エコーなどなど、
そしてやはり重要なのが、
日ごろの生活状況の観察です。
元気食欲はもちろん、お水の飲み方、
歩き方や舌・歯ぐきの色、
毛づや、目やに、耳の汚れ、鼻の乾き・・・
そういったものをしっかりと一つひとつ評価することはもちろん、
さらにそれらを総合的に判断することで
より確かな診断を下すことができます。
じゃあ、その最終判断は機械でできるのか?
残念ながら今はできませんし、
おそらく将来的にも当分不可能でしょう
(医学、獣医学が完成された学問になることはまずないでしょうから)。
そこで獣医師の登場なのです。
やはり、総合的に動物をチェックして、
異常があるかどうかの最終判断を下すのは、
獣医師しかできません。
もちろん、獣医師も判断を誤ることはあります
(いわゆる誤診ですね)。
しかし、勉強を継続しない獣医師や、
独りよがりな獣医師は論外ですが
(内輪だけでコミュニティをつくる獣医師も!?)、
おそらく、ほとんどの獣医師は、
数値だけで判断するよりも、
はるかに高い精度で、異常を見つけることができるでしょう。
ですので、みなさんもいろんな検査を受けることがあると思いますが、
決して、数値だけにとらわれないで、
獣医師ときちんと話をしたうえで、
病気をとらえるようにしてくださいね。
※ちなみに、健康診断は、あくまで、
「今現在」の状態をみているだけなので、
それが将来的に大丈夫かどうかを保証するものではありません。
よく、異常が見つかると
「去年の健診では何も異常はなかったんですけど?」
と言われることも多いので^^