箕面の森の小さなできごと&四季の風景 *みのおハイキングガイド 

明治の森・箕面国定公園の散策日誌から
みのおの山々を歩き始めて三千余回、季節の小さな風景を綴ってます 頑爺<肇&K>

雲隣展望台へ駆り立てた少年のパワーは? 

2020-08-26 | *編集・冬/1月

雲隣展望台へ駆り立てた少年のパワーは?

 今日は快晴の冬空・・・

暖冬とはいえ、森の中は深々と冷え込んでいるし、木の芽はまだまだ硬く、

しっかりとしている感じがする。

                                                      私は今日、滝上の「大日駐車場」に車を停めて「杉の茶屋」前の上り口から

「雲隣展望台」を経て、こもれびの森から才が原林道を少し下り、才が原池

から谷山谷,自然5号路、4号、3号、2号路を経て戻るコースです。

 

まもなく「雲隣展望台」に到着、誰もいなく一人リュックを下ろしてしばし

ここから大阪が一望できる景観を見て愉しんでいました。

それは、空気がよく澄んでいて、かつて大阪の悪名高きスモッグを知っている

私にはまるで別の都市を見ているようでした。

南東方面から生駒山、金剛山はじめ金剛生駒国定公園の山並み、

和泉山脈の山々から関西国際空港のある泉南の方までよく見渡せ、まさに

大阪が一望できる所です。

                                                                    

大阪湾の海の波が太陽に反射してキラキラと輝いています。大型のタンカー

や、貨物船もはるかかなたですがよく見えます。

南港にある赤色に塗られた巨大な南港大橋でしょうか、頭上に点滅ライトを

輝かせここからよく見えるんです。

堺臨海工業地帯からは、大きな背の高い煙突から白い煙が黙々とまっすぐ

上に立ち上っています。 

かつての黒煙と違い環境上、処理された煙のようです。

煙の立ち方から今日は本当に風もなく寒さはきついけど穏やかな日よりです

手前の伊丹空港からはまた大型の飛行機が北の空へ向かって飛び立ち

ました。

南の方へ目をやるともう着陸態勢に入った別の飛行機が滑走路へ向かって

います。

ぎっしりと埋まった大阪の街の上をゆっくりと飛んでいます。 

 

少しベンチに座って逆向きに北東の方を向くと、森と森の間に挟まるようにして

眼下に「瀧安寺」の本堂や建物群が見えます。

冬の間は木々葉が落ちてよく見渡せますが、 夏場になるとうっそうとした

木々に囲まれて見下すことはできませんから冬場の特権です。

私はそんな光景をしばし眺め,見とれながら少し早いお昼にしようとリュックの

中からコーヒーポットを出しました。 

温かいコーヒーを飲みながら目を閉じて、一人静かに耳を清ませば森の中

から聞こえてくる沢山の小鳥達のさえずり・・・ かすかな森の木々の葉音・・・

これらの音を聴き心で感じて味わっているとき、私にとっては本当に至福の

一時になるのです。

 

そんな浸りの世界を愉しんでいるときでした。

下のほうから若者達何人かの騒がしい話し声と共に、こちらへ登ってくる音が

聞こえてきました。

たまに少年達? が、変なエロ本を見たりするのにわざわざ何人かで山の

中の他人の目がない所で、それを楽しんで見ていたりするとことに出くわす

ときが有る。

若者達もびっくりだが、私もびっくり! 

時には不良少年? らしき若者達がタバコだか?  麻薬だか?  私と出く

わすとなんとなくそわそわしてたり・・・ と。    

私には今までそんなな経験もあるので・・・嫌だな・・・! せっかく良い気分を

愉しんでいるの・・・ と。

そろそろ出かけようとしてリュックを担ごうとしたとき、先の一人がふー ふー

言いながら駆け上がってきました。

 

「おーい! ここや, ここや~ 着いたで・・・ はよこんかいな~」  と

大声で下に向かって叫んでいる。

すると私を見つけ・・・ 「こんちわ!」 と  元気の良い挨拶・・・

やがて3人の若者が ふ~ ふ~ と、言いながらも上がってきて、展望台に

上がってきた。

「こんちわ!」 

私を見て、これもみんなが大きな声で挨拶したので、変な若者では無さそう

なので一安心!   

最初に登ってきた若者が一人でみんなに説明している・・・

「ほ~らな、すごい景色やろな、な、な、・・・」 と、皆に同意を求めている。    

「ほんまやな~、よう見えるな!」 「あっ!俺の家見えるわ・・」        

「あほか? 見えるわけないやろが・・」 と、わいわい賑やかだ。

すると先の若者が私に話し掛けてきた・・・

 

    *  僕な・・・ 正月に初めて親と箕面に来てな、そんでこの下に車

        置いてみんなでここへきたんや・・・ この寒いのにな・・・

        嫌やってんけどほんま死ぬかと思ったわ・・・ しんどかったわ・・・

        やっとこさ、ここまでのぼってきてな・・・ そのときな、初めてここ

        から大阪みてな、ものすご感激してん・・・  そんでな、今日は

        友達に見せたろおもてな・・・ 自転車できてんやん!・・・ と。

・  そうか、ボクらどこからきたの・・・?  と、私。

    *  十三中学や・・・   

・  十三(じゅうそう) 言うたらあの阪急十三駅の近くか・・・ 

    *  そうやで・・・

・  それならここまで自転車やと相当時間かかったやろ・・・      

    *  朝8時に出たから、3時間やな・・道、迷たしな・・・ 箕面の駅から

        ここまでの自転車が一番しんどかったな・・・

と、みんなにと確認している。 

    *  俺はここへ上がってくるのが一番しんどかったわ・・・

と、別の一人が応じている。 

    *  ほんでも、ここの景色見てチャラやわ・・・     

       おっちゃん! さっきな、尾っぽの長い鳥みたんやで・・・

       あんなん初めてやったな・・・ こんど双眼鏡もってきたろ・・・   

大きさや,色や特徴を細かく私に知らせてくれたが、どうやら

「ヤマドリのオス」のようだが、私もいつか自然3号路で目の前を120cm位の

尾の長いヤマドリを初めてみたときは感激したものだ。

初めて見る森の鳥たちにも感激した・・・と。

    *  俺、スズメ しかしらんかったもんな・・・と、笑っている。

                                                        それに先ほど滝道で10匹位のお猿さんを見たとか・・・これにもかなり興奮し

ていた。 

(都心から電車だと30~40分でもう箕面の森の中に入り自然の動物や鳥たち

接し、木々の四季の移り変わりを見ることができる。)

私は、今の若者達は自然の中で感激したり,興奮したり、愉しんだりしたり

する事はないんじゃないか・・・ と、先入観を持っていた事に少し反省した。

この中学生をここまで駆り立てる自然のパワーはすごいものだな・・・ と、感じ

入った。

 

    *  おっちゃん、これからどっち行くの・・・ ついてこかな?

・  いいけど、これからだとあの駐車場まで、早くても2時間以上はかかる

   けどいいか?    

ると・・・

    *  そんなら今度にするわ~・・・ 

と、なったが、若者達の森や自然の質問にいろいろ答えながら、私も楽しい

一時を過ごした。

 

私は彼らと別れ再び静かな「こもれびの森」の方へ入っていった。

遠くなったあの展望台の方から風に乗って、また彼らの笑い声が聞こえて

きた・・・。 

元気だな・・・!  若いっていいな・・・!  

 

でも・・・  年老いてもいいぞ・・・! (笑)

  07-1 (完)

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