箕面の森の小さなできごと&四季の風景 *みのおハイキングガイド 

明治の森・箕面国定公園の散策日誌から
みのおの山々を歩き始めて三千余回、季節の小さな風景を綴ってます 頑爺<肇&K>

中学生のサバイバル訓練?

2020-08-26 | *編集・冬/1月

中学生のサバイバル訓練?

 今年の冬、箕面の森にはじめて雪が降り積もった日、私は六箇山から

ようらく台を経てこの道を下ってきた時の事でした。

箕面の森に雪が降り積もるのも冬の季節で数回しかなく、まして好んで雪の

中を散策する人も無く、この日初めての出会いがこの若者達でした。

しかもまだあどけない顔をした子供たちです。

 

10余人が完全装備のいでたちで下から上ってきました。

付き添いの大人が見当たらず・・・思わず・・・

・  君達どこへ行くの・・・? 

と 聞いてみました。

そこが冒頭の分岐している所だったのですが・・・ 

何と!  この道なき道の所へ入っていくとの事。

・  エ~  この道って?  この先へ行けるの?

  

     *  はい! 僕らは10日前に先生らと一緒に下見に来ましたから・・・ 

・  それで今日 先生は ?

     *  いません・・・僕らだけで今日ここでキャンプして過ごすんです・・・

・  ちょっと待って!  この雪の中で君達だけで? 

 

     *  僕ら、クラスの30人と一緒です・・・  テント張って、飯盒でご飯

         作ってカレーにするんです・・・寝袋で寝るし・・・

・  それでそんなに荷物が多いんだな・・・ ところで大人は ?

     *   誰も来ないんです・・・

 

・  エ~! 

     *  僕らだけでみんなやるんです・・・

・  何年生?

     *  私立○○中学一年です、毎年僕らの学校の行事ですから・・・

 

それにしても、この雪の中でビックリするやら・・・

山の中で携帯電話も通じないし・・・

もしもの時はどうするんだろう・・・・  先生も保護者も心配だろうに・・・

でも、あえて実行するその勇気には恐れ入りました。

事前の訓練もしっかりやってきたようだし、それにみんな礼儀正しい。

しっかりした受け応えをしている・・・  しっかりした学校のようだ。

 

・  この先に何か施設があるの?

     *  いいえ、何にもありません・・・ すこし台地になっている所が

         あるんで、そこでみんなでキャンプするんです・・・

 

恐がらせてはいけないけれど、この落合谷から前鬼谷の谷川へは山から

獣道がいっぱい付いているので、イノシシや鹿、キツネやたぬきや森の

動物達がいっぱい夜になると出てくるのに大丈夫かな? と、一瞬思った・・・

     *  明日お昼に先生らが来てくれるんで・・・

少し不安な様子も伺えるが、半分はこれからはじまる自分達だけのキャンプ

に、心弾ませている様子だった。

 

・  それにしてもすごいな・・・  気をつけてね・・・

私はカルチャーショックを受けていた。

彼らを見送って我に返りながら下に下りていった時、今度は同じ格好の

女子生徒達が8人・・・ 同じようないでたちで ふ~ふ~ と 言いながら

上ってきた。

ほんとにまだ幼い顔をしている・・・

・  こんにちは!  君達もキャンプするの・・・

     *  ハイ!そうです・・・! 

と、この寒い雪の中でも汗を流していた。

・  気をつけてね・・・  頑張ってね ・・・ 楽しんでね・・・

     *  ハ~イ !

 

みんな元気だな すごいな!

この若者達も元気ですごいけど、学校も保護者も本当に勇気のある行事だな

・・・と、改めて感心したものです。

まさに 「森は無言の教材・・・」を地でいく 実地訓練と教育体験なんだな

・・・と、 しみじみ感じ入ったのでした。

 

先日、あの時の事が忘れられず、季節は変ったものの、再びこの道を通った

時に、あの分岐からあの日の中学生がキャンプをした場所へ行って見たの

です。

道は急斜面に這うようにあったけど、私は何度か滑り、危ないので谷川の

岩伝いに入っていったら、急に開けて少し台地になっている所がありました。

ここだな!  と すぐに分かったのですが・・・

 

浅い谷川の流れ、かたや杉木立、かたや雑木林でうっそうとしているが、

冬には葉が落ちていただろうからもう少し明るかったに違いない。

木で組んだ丸木橋があった、木の枝で作った小さな囲い小屋もあった、

飯盒やキャンプフャイアーをしたのか?  岩で炉が組んであった・・・

彼らの手作り作品がすこし残っていたが、それ以外は全く何も無い。

あの雪の日、30人というクラスの仲間だけでテントと寝袋で過ごした一晩は、

どんな思い出が残ったのだろうか?

恐かったのか? 楽しかったのか? 想像するとワクワクしてくる。

シ~ンとした森の中で自然をいっぱい感じながら、いいサバイバル体験を

したに違いない。

 

文豪ドストエフスキーは 「葉っぱ一枚の中にも宇宙がある・・・」 と書いて

いるが、葉っぱ一枚でも人間の力では創り出すことが出来ないが、

その葉っぱ一枚から自分という人間を見つめる事は出来る。

アレルギー体質の子供が増えていると言う・・・

その原因の一つに 「子供を自然から遠ざけた事による、過度の清潔感に

よる免疫システムの偏り・・・」 があると言われていますね。

 

地球規模での環境問題もありますが、私は目の前にあるこの箕面の森が

いつまでも子供たちが学びえる自然学校であって欲しいと、強く感じたの

でした。

 

それにしてもこの箕面の森の中で、あの子供たちだけの雪中キャンプに

森の動物達もさぞビックリした事でしょう・・・ (笑)

うるさくて?  おもしろくて?  それとも・・・?

 07-1 (完)   2007 5・10

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