オオカミになりたい(遺言)

ずっとそばにいるよ

都きの百姿 嵯峨野の月

2017-05-25 | 月百姿

月岡芳年 月百姿

『嵯峨野乃月』

明治二十四年印刷

 

小督(こごう)は平安末期の高倉天皇の女房。藤原成範の娘。

保元2年(1157年)~没年不詳

美貌と音楽の才能で名高い才女。

 

 

平家物語 巻6 小督 より

小督の局は高倉天皇の深い寵愛を受けていたが

娘徳子が天皇の中宮である平清盛に憎まれ

宮中を去り姿を隠してしまいます。

小督が嵯峨野のあたりにいるという噂を聞いた天皇は

早速捜し出すように弾正大弼・源仲国に命じます。

折から八月十五夜

仲国は嵯峨野を馬で馳せめぐりますが捜しあぐねますが

やがて法輪寺のあたりでかすかに琴の音が聞こえ

耳をすますと「想夫恋」の曲です

横笛を抜き出しちらっと鳴らし 門をたたくが

 清盛を恐れる小督は戸を閉じて中へ入れようとしません。

 

国立国会図書館デジタルコレクション 085

 

源仲国の説得によって宮中に戻った小督は

治承元年(1177年) 天皇との間に範子内親王を儲けるが

清盛に知られ 治承3年に出家させられ嵯峨付近に隠棲した。

 

ここでの主役は笛を合わす仲国ではなく

嵯峨野の隠れ家で琴を弾く小督の局のようです。

 

雅楽 想夫恋(拍子二まで)~平安時代末期・鎌倉時代の古楽譜にもとづく再現~