ゴダールよりもデ・パルマが好き(別館)

ホンも書ける映画監督を目指す大学生monteによる映画批評。

あずみ~アクションは上手いが、アクション映画としては下手だ

2010-07-16 19:48:21 | 映画(あ行)
2003年・日本・Azumi
監督:北村龍平

今更ながら「あずみ」を見た。
とても評判の悪かったイメージがあったが、
全く気負いせずに見ると普通に楽しめた。



ストーリー的な不備は目立っても、
日本のアクション映画の最高峰であることは間違いないだろう。
PG12ながら、適度にグロテスクなシーンを挟み込み、
血の出ない時代劇とは違う緊張感が生まれている。
また、無駄に人が死んでいくのではなく、生きることの意味、
死ぬことの意味を考えさせられるようになっているのが良かった。
完成度を追求しても俺には出来ないから、
それよりも観客をとことん楽しませようという
ある意味で開き直りとも取れる気概がひしひしと
伝わってくる点は日本映画界には珍しく好感が持てる。

殺陣が森の中ばかりでワンパターンなのは少し辛い。
もう少し面白いロケーションでの殺陣を見たかった。
最後の街を始め、美術が見事で、
それだけに最後の戦いは際立っていた。
日本刀での戦いだけではなく、物見やぐらなどを利用した立体感や爆発などのアクセントが
効いていて、それまでの殺陣にもこれぐらいアイデアを詰め込んであればよかったのにと思った。



小栗旬や瑛太らが完全な脇役として出ているのも今となっては面白いし、
敵役も竹中直人や伊武雅刀など意外と豪華だ。
オダギリジョーの怪演はやりすぎで、笑えた。
上戸彩の演技はダメダメで、演技そのものの前に
歩き方や走り方、立ち方などの基本的な動作がなっていない。
撮る側が完全にアイドルとして扱っているように見える点も良くない。
殺陣は若い役者たちの中では頑張っている方に見えた。
他にもっとひどいのがいる。
やっぱり、上戸彩には陰のあるシリアスな役よりも底抜けに明るい役の方が似合うな。

この作品、あと少し頑張れば最も面白くなっていた気がする。
特に編集にはもう少し頑張って欲しかった。
上の演技だって、そう。
殺陣は編集でフォローできそうな箇所がいくつかあった。
スローモーションや早回しの使い時の微妙なのだ。
そして、やはりこの内容で、2時間超えは長い。
ラストシーンが3つぐらいあったのもいさぎ悪い。

〈70点〉


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