ゴダールよりもデ・パルマが好き(別館)

ホンも書ける映画監督を目指す大学生monteによる映画批評。

ミラーズ

2009-01-10 12:30:40 | 映画(ま行)
2008年・アメリカ・MIRRORS
監督:アレクサンドル・アジャ
(IMDb:6.2 Metacritic:35 Rotten:14)
公式HP


ジャック・バウワーが鏡の中の恐怖と戦う「24」シリーズ最新作!
ではなく・・・
元ニューヨーク市警刑事のベン・カーソン。彼は1年前に同僚を誤って射殺したことから停職処分となり、アルコールに溺れながら妹のアパートに居候する身となっていた。それでも別居中の妻エイミーや子供たちのため、社会復帰して信頼と幸せな家庭生活を取り戻そうともがいていたのだった。そんなベンはある日、5年前の大火災で閉鎖されるも保険関係で現状維持されているメイフラワー・デパートの焼け跡を巡回する夜警の仕事へ就くことに。そして、その不気味な現場へ足を踏み入れたベンは、そこに美しい光沢のまま残された巨大な鏡に引き込まれていく。すると突然激痛に襲れ、鏡の中に焼けただれた女性の姿を見るなど怒濤の恐怖に見舞われてしまう。またそれ以来、ベンの周囲では、奇怪で凄惨な出来事が起こり始め…。というスプラッター・ホラー。

「ハイテンション」「ヒルズ・ハブ・アイズ」のアレクサンドル・アジャ監督の新作は
03年製作の韓国映画「Mirror 鏡の中」のリメイク。オリジナルは未見での鑑賞。
キーファー・サザーランドが出ているからか普段はホラー映画を見そうにない客層の人たちが多くて驚いた。
血みどろスプラッターでおなじみのアジャ監督ですよ~と教えてあげた方が良かったのかもしれない。


映画の序盤は良かった。プレ・クレジット・シークエンスの前任者が殺されるシーンからいきなり血みどろで、
劇場内では「これは考えてたのとは違ぞ・・・」というざわめきが起こった。
しかし、残酷なのはこのシーンと中盤のバスルームでの顎パックリ(←苦手な人は注意!!)
(このシーンは他のシーンとの差が激しすぎるぐらいエグイ、ホラーは得意なはずなのに、思わず顔をそむけてしまった)
ぐらいでそれ以外は映画全体でたいしたことがなかった。
また、タイトル・バックが最近見た映画の中で一、二を争うほど素晴らしかったのは全くの意外だった。



中盤の中だるみは激しかった。
上記のバス・ルームを除いたホラー・シーンは全てコケおどしで
鏡に死体が映るとか、犬が飛び出して来るとか、たいした事が起こらないのに爆音が鳴り響くためイライラさせられる。
しかも、恐怖が絶頂の(そのつもりの)ところで次のシーンに変わってしまい、その後どうなったのか、どうしたのかといったリアクションがほとんど描写されずにカットされているため、さらにコケおどし感を高めている。スプラッターをもっと見せろと言っているのではない、怖いシーンを怖く見せて欲しい。この映画ではただ、驚くだけだ。



だが、終盤になるとまた盛り返す。
息子が鏡に心奪われるところや家の中を浸した水が鏡となって襲ってくるなどアイデアが面白い。
その分、整合性がどんどん失われていく・・・。
「家族の絆」のドラマはいかにもアメリカ的であざとかったが、物語を動かす原動力として後半に上手く機能していたと思う。

精神病院でのラスト・シークエンス、映画のテンションが妙に高くなる。
鏡とアンナの爆破をスローモーションで何度も映し出したり、
アンナが進化(?)して大暴走したり、
それをジャック・バウワーが倒したり、
そして、定番の最後のどんでん返し。
(どんでん返しなのに定番なのは問題だが)

クレジットの後の反転した「MIRRORS」も不気味で秀逸。

〈65点〉