獅子身中の虫とは、獅子の中に寄生して生きながら内部から毒を成して命を奪う虫である。
もともとは仏教徒でありながら戒律を破り仏教に害をなす人のことだったんだって。
記述が正しいなら、母方の先祖は千年前にこの地に琵琶湖の方から入植してきた一族である。兄弟のうち兄は殿様となり、弟はその地にあった神社の神官となったとされる・・・。おいらの先祖は神官になった弟の子孫と云うことなのだろうか。
先祖の事が気になって父方の方は戸籍謄本を辿ってひいひい祖父ちゃんにまでは辿り着いた。ひいひい祖父ちゃんは金城の出身で父方に養子に入ってる。そんで父は80になるまで知らなかったが、祖母の名前は〇〇子ではなく、〇〇だった。何かいい加減でどこかで韓国籍でも混じってんのか、二つ名とか持ってるんだ。大人になってチングとは韓国語の親友って意味だと知ったけど、父は日ごろから仲がいい友達をさす時にチングと言っていた。ただ戸籍に頼ると列記とした日本人だし、韓国の血が混ざっているとしたら、祖母方の方なんだと思う。霊感が強い家系で遠い親戚には拝み屋さんになってる女性もいた。たぶんおいらは少なくともこの女性に2回は会ってる・・・。そして二回とも直後に死に目に会ってる。教えに来てくれていたんだろうか・・・。
まあ確かに不思議なことはたくさんあった。おいらが窓ガラスの前に立っていると後ろから友達がガラスを叩いた。と同時に突風が外側から吹き付けたんだけど、内側から強い力で押されたように外にいた友だちの方へ飛散したガラスが吹き飛んだ。おいらは無傷で友達は救急車で運ばれた・・・。
悪運は強いかなぁ?何度も命だけは救われてる。けど人間命だけ助かってもしょうがないんだと云うことはここ数年で気が付いた。こういう危なげな体質は不幸でしかないんだと思う。
母方は・・・母がとにかく無責任なので、なんだかんだ理屈をつけて戸籍謄本を取らなかった・・・。母の家はもと庄屋で一族の墓は地主内の山のふもとの暗い場所にある。もう少し明るくしてもいいと思うけど。いわゆる土葬の墓かなぁ。いや参り墓であって、遺体自体は山のどこかに埋められているんだと思う。昔人は死ぬと山の向こうへ帰るんだと言われていた・・・。
祖父ちゃんが拓墓をして誰の墓がうっすらと調べていたが、それと戸籍を照らし合わせると恐ろしいことが分かる。子だくさんなのではあるが、子供の半数近くが60を過ぎても家にいて独身のまま亡くなってる。昔の庄屋の事だから権力で嫁を取ることもできただろうに、そういう話も訊いたことがない。とにかく祖父ちゃんは実家に纏わる出来事を話すことはなかった。
祖父ちゃんは六男坊だったから家取りには無関係で若い頃から自由人だった。しかしボンボンではあるので上司をケンカをしては会社を辞め、満州へ渡ると言い出して県庁を辞めてくるような人だった。市井の歴史学者みたいなこともしていたが、手柄は別の人が取ったのかなぁ笑。
祖父の生家は今も健在で残っているが、家屋自体はボロボロだ。当主は長男の息子である。いろんな仕事に手を出して財を食いつぶしてきた。
いろいろ調べていたら大正時代の文献に森神の調査がなされた記録があった。森神とはこのあたりの信仰で、山にある巨木に御幣を立てて神を降臨して祀ることを言う。神職から外れていたけど、やはり神のようなモノを祀る一族であったようだ。森神とは山に還る祖霊の集合体の事なんだろうか。森神についての詳細は分からないが、一族代々名主なる家のモノが祀っていたらしい。
たぶんその森神を宿した木は終戦のどさくさに紛れて処分されていると思う。戦後は建材不足から多くの元庄屋や土地持ちが山の木々を売ったそうだ。
母と姉は霊感ゼロ。この二人は父を祖父を物凄く尊敬しているから生家の方へ行きたがるが、おいらはその家もその墓も苦手だったし、その土地が嫌いだった。この場所で霊的なモノは視ていないが、どんな場所にもいるはずのモノがいないのもやっぱり不自然なんだと思うんだけど・・・。
やたら母方の祖父母の話になると暗い話ばかりで気が滅入る。
遠い先祖が奉じていた神社は諏訪系で特に動物の供物を求める神として有名であろう。カジキメンと言う奴である。今は宮司不在なので例祭も行われていないが、なぜにこういう性格の神社が商売の神様になっているのか不思議である。
子どもの半数が嫁にも行かず嫁も取らず独身で死んでる・・・。これは昔の名家では絶対にあってはならない事だろう。戸籍では三世代前を辿るしか出来ないけど、どの世代もそんな感じだった。身体が弱かったのか、精神的な問題があったのか、・・とにかく今では一時の威勢は絶え没落の一途を辿ってる。
漫画からのインスピレーションなので信憑性は低いけど、飢饉や禍いが起こると人身御供などの生贄をしてたんじゃないのかなぁと思うんだよね・・・。諏訪神社に伝わる一年神主っていう制度はみなしごを育てて、ある年齢に達したら神主にして殺してしまうという怖ろしい習慣があったされている。近年になり、それが鹿や猪を奉納する形になったんじゃないのかと言われてる。
悲しいかな、こういう生贄の風習は戦後まもなくなくなるまでいろんな地方で信じられてきたモノなんだな。そういう悪習もあったから明治政府が記紀神話の神など祀る神を限定した廃仏毀釈令を出したのかも知れない。
森神とは別に大元神というこの地方に限定される神がいる。大元神は国之常立神と同神されることが多いけど、違うモノだろう。大元神はヘビの姿で現れる山岳信仰の一種である。因みに生家付近には大元神しかお祀りされていない。ヘビ神はニケを必要とする神でもある。おいらも元神様クラスの大蛇が身のうちに巣食っていると言われた・・・。おいらは通常人には憑かないモノである、渦を巻く穴とか、黒い焔とか、蛇神とかそういうのしか憑いてないそうである。だから何もしていないのに存在だけで疎まれたり、嫌われたりするのかも知れないけど・・・。
さすがに森神の記録では人身御供の事は触れられてはいなかったけど、〇〇村の庄屋、〇〇の木に森神ありと記載があった・・・。まぎれもなく祖父ちゃんの生家の事である。終戦間際は山口市の方に家族一同ですんでいたらしいが、手違いで祖父ちゃんは徴兵されることはなかった。赤紙が届くたびに、招集されたのは幼い伯父であったらしく、それが何回も続くうちに終戦となったらしい・・・。
まあ神のご加護と言っていいのかも知れない・・・。いや神の加護だろうと思う。しかし祖父は六男坊であととりではない。他の兄妹にどんなエピソードがあるのか知らないが、たぶん祖父はその偶然を神のお蔭とは思わなかったようだ。とにかく神社や神道を嫌っていたが、おいらのちぐはぐさと同じように居を神社の参道下に構えていた。
祖父にはいつも「神社は神さんの墓場だから、遊ぶんじゃない」と叱られてきた。幼い頃は戦争時に神社がどういう風な役目を負っていたか知らなかったけど子供ながらに不自然に思っていた。神社とはお祭りがあって、神楽があって、夜店が出てにぎわうイメージだったし、願い事を叶えてくれるところだと思っていたからだ。
でも祖父ちゃんが言う通り、おいらの人生は当たらずしも遠からずなみたいな運命を送ってる。神道はタブーだったんだと思う。特に祖父ちゃんは何らかの事情があって、神道を嫌うようになっていたんだと今は思う。
相当な恨みを買っていたからこそ、嫁がず、嫁も貰わずに家に籠る家人がいたのではないかと思うようになった。今のおいらもそんな感じである。恐怖心に駆られるとどこにも行かない。行けなかった・・・別に死ぬことが怖いんじゃなくて、誰かを巻き添えにしても生き残るとか禍いを呼んでしまうんじゃないかと言う、自らが祟りになるような気がするからだった。そう言えば周囲で惨事が起きてもおいら一人ケガもなくいた。その均衡が崩れたのは16の頃で、殴り殺されたと思っていたが一命を取り留めた。
おいらはその時に死ぬ運命だったんだと思う。何らかの事情で死ぬことが決定づけられていたんだと思う。おいらは物心ついたころから、生きることに不自由さを感じていたし、小学生になることは毎日柱に頭をぶつけて死のうとするようなガキだった。たぶん生まれて来てからずっと「死」に纏わりつかれてる気がするんだ・・・。
でも今回も死ななかった。たぶん自死するという己の運命を乗り越えてる。ただ祖父ちゃんを守った神(森神だと思うけど)とは別物である何かがおいらを「死」から守ってる気がする。そこに人の霊性は感じない。ただ異質なモノの気配を感じてるけど・・・。
まあ実際においらなんていてもいなくても同じような存在だから、いつも消えたいとは思ってるけどいろいろ邪魔があって死ねなくなった。
だけど今の生きることに不自由さを感じてる・・。もしかすると祖父の家を恨む家系の者が転生して生まれたんじゃないのだろうか。たぶん人身御供にされた方の特別な命・・・。今も祖父母を悲しませていると思う。こんなしょうもないし、ロクデナシだし。
何をどうすればいいのか・・・分からないんだよね。
本当に死ねたらいいと思うけど、神に祈願してもそれは叶えられなかった・・・。
何かにずっと囚われてて、不自由で仕方がないんだ。SOSを出してもまだ大丈夫だと家族は思ってる。家族はいつも自分の事だけでいっぱいいっぱいで人の事を考える余裕がない。
おいらは反面だらしない癖に自分を放り出して家族の事を考えてる・・・。
虚しいね。なんとか社会人として成立してるときはソレでもいいけど、今みたいになってると。
どうすればこの呪いは解けるんだろう。いくら考えても悩んでも必死に探しても答えがない。
どうしてこうも半端ものなんだろう。
どっちにも振り切れないし、どっちにも転がれない・・・・。
導きだす答えみたいなものに自信がない。
たぶん違うのだろうと思えてしまう。
幸運の尻尾も掴めそうで掴めない。
何かがずっと邪魔をしてる。
なのに殺してもくれない。
獅子身中の虫は戒律を破った仏教徒のようにおいらの中で毒を振りまして、心を殺してしまった。神道に傾向してる内に仏教を否定してしまった・・・。
何かを信じないと生きていけないわけじゃなかった。とにかく自分を信じていた。何度潰れても何度倒れてもまだ何かになれる気が常にしていた・・・・。
そんな自分がもうどこにもいない。
このうちに、この部屋に、この町にいてはいけないことは分かってる。でも物理的に逃げられないんだ・・・。
ちゃんと何かを祓うことは出来るんだろうか。もう無為に時間を使えないし、使いたくもない。
母が同じことを繰り返すと、父と姉も連動して同じ過ちを繰り返す。その流れを必死で止めたくてケンカするけど、どれだけ叫んでも同じ失敗をしておいらを困らせる。もはや追い込まれてるのと同じなんだよね・・・。地獄と同じだ。無間地獄・・・。
神道も仏教も概念的に無効化してしまったから、歯止めにならないんだ。
うっかり死ねるだけの薬もない現実がただ重い。
死にたいって神に願ったのは本気だったんだよ。おいらがいないと両親はさぞ嬉しいだろう。特に母の余計な仏事事を邪魔する奴がいなくなるし、息子を亡くした悲劇の母親役も出来るしね・・・。
姉が、唯一肉親だと思う姉が悲しむから死ねないんだ・・・。
無間地獄・・・・だね。
だから原点に返る。
おいらは何のために生まれてきたんだろう?
なんで死ぬるチャンスに上手く死ねなかったんだろう?
おいらは何のために死ぬんだろう?
自分を誤魔化せるだけの嘘も尽きてしまったというのに・・・・。
もともとは仏教徒でありながら戒律を破り仏教に害をなす人のことだったんだって。
記述が正しいなら、母方の先祖は千年前にこの地に琵琶湖の方から入植してきた一族である。兄弟のうち兄は殿様となり、弟はその地にあった神社の神官となったとされる・・・。おいらの先祖は神官になった弟の子孫と云うことなのだろうか。
先祖の事が気になって父方の方は戸籍謄本を辿ってひいひい祖父ちゃんにまでは辿り着いた。ひいひい祖父ちゃんは金城の出身で父方に養子に入ってる。そんで父は80になるまで知らなかったが、祖母の名前は〇〇子ではなく、〇〇だった。何かいい加減でどこかで韓国籍でも混じってんのか、二つ名とか持ってるんだ。大人になってチングとは韓国語の親友って意味だと知ったけど、父は日ごろから仲がいい友達をさす時にチングと言っていた。ただ戸籍に頼ると列記とした日本人だし、韓国の血が混ざっているとしたら、祖母方の方なんだと思う。霊感が強い家系で遠い親戚には拝み屋さんになってる女性もいた。たぶんおいらは少なくともこの女性に2回は会ってる・・・。そして二回とも直後に死に目に会ってる。教えに来てくれていたんだろうか・・・。
まあ確かに不思議なことはたくさんあった。おいらが窓ガラスの前に立っていると後ろから友達がガラスを叩いた。と同時に突風が外側から吹き付けたんだけど、内側から強い力で押されたように外にいた友だちの方へ飛散したガラスが吹き飛んだ。おいらは無傷で友達は救急車で運ばれた・・・。
悪運は強いかなぁ?何度も命だけは救われてる。けど人間命だけ助かってもしょうがないんだと云うことはここ数年で気が付いた。こういう危なげな体質は不幸でしかないんだと思う。
母方は・・・母がとにかく無責任なので、なんだかんだ理屈をつけて戸籍謄本を取らなかった・・・。母の家はもと庄屋で一族の墓は地主内の山のふもとの暗い場所にある。もう少し明るくしてもいいと思うけど。いわゆる土葬の墓かなぁ。いや参り墓であって、遺体自体は山のどこかに埋められているんだと思う。昔人は死ぬと山の向こうへ帰るんだと言われていた・・・。
祖父ちゃんが拓墓をして誰の墓がうっすらと調べていたが、それと戸籍を照らし合わせると恐ろしいことが分かる。子だくさんなのではあるが、子供の半数近くが60を過ぎても家にいて独身のまま亡くなってる。昔の庄屋の事だから権力で嫁を取ることもできただろうに、そういう話も訊いたことがない。とにかく祖父ちゃんは実家に纏わる出来事を話すことはなかった。
祖父ちゃんは六男坊だったから家取りには無関係で若い頃から自由人だった。しかしボンボンではあるので上司をケンカをしては会社を辞め、満州へ渡ると言い出して県庁を辞めてくるような人だった。市井の歴史学者みたいなこともしていたが、手柄は別の人が取ったのかなぁ笑。
祖父の生家は今も健在で残っているが、家屋自体はボロボロだ。当主は長男の息子である。いろんな仕事に手を出して財を食いつぶしてきた。
いろいろ調べていたら大正時代の文献に森神の調査がなされた記録があった。森神とはこのあたりの信仰で、山にある巨木に御幣を立てて神を降臨して祀ることを言う。神職から外れていたけど、やはり神のようなモノを祀る一族であったようだ。森神とは山に還る祖霊の集合体の事なんだろうか。森神についての詳細は分からないが、一族代々名主なる家のモノが祀っていたらしい。
たぶんその森神を宿した木は終戦のどさくさに紛れて処分されていると思う。戦後は建材不足から多くの元庄屋や土地持ちが山の木々を売ったそうだ。
母と姉は霊感ゼロ。この二人は父を祖父を物凄く尊敬しているから生家の方へ行きたがるが、おいらはその家もその墓も苦手だったし、その土地が嫌いだった。この場所で霊的なモノは視ていないが、どんな場所にもいるはずのモノがいないのもやっぱり不自然なんだと思うんだけど・・・。
やたら母方の祖父母の話になると暗い話ばかりで気が滅入る。
遠い先祖が奉じていた神社は諏訪系で特に動物の供物を求める神として有名であろう。カジキメンと言う奴である。今は宮司不在なので例祭も行われていないが、なぜにこういう性格の神社が商売の神様になっているのか不思議である。
子どもの半数が嫁にも行かず嫁も取らず独身で死んでる・・・。これは昔の名家では絶対にあってはならない事だろう。戸籍では三世代前を辿るしか出来ないけど、どの世代もそんな感じだった。身体が弱かったのか、精神的な問題があったのか、・・とにかく今では一時の威勢は絶え没落の一途を辿ってる。
漫画からのインスピレーションなので信憑性は低いけど、飢饉や禍いが起こると人身御供などの生贄をしてたんじゃないのかなぁと思うんだよね・・・。諏訪神社に伝わる一年神主っていう制度はみなしごを育てて、ある年齢に達したら神主にして殺してしまうという怖ろしい習慣があったされている。近年になり、それが鹿や猪を奉納する形になったんじゃないのかと言われてる。
悲しいかな、こういう生贄の風習は戦後まもなくなくなるまでいろんな地方で信じられてきたモノなんだな。そういう悪習もあったから明治政府が記紀神話の神など祀る神を限定した廃仏毀釈令を出したのかも知れない。
森神とは別に大元神というこの地方に限定される神がいる。大元神は国之常立神と同神されることが多いけど、違うモノだろう。大元神はヘビの姿で現れる山岳信仰の一種である。因みに生家付近には大元神しかお祀りされていない。ヘビ神はニケを必要とする神でもある。おいらも元神様クラスの大蛇が身のうちに巣食っていると言われた・・・。おいらは通常人には憑かないモノである、渦を巻く穴とか、黒い焔とか、蛇神とかそういうのしか憑いてないそうである。だから何もしていないのに存在だけで疎まれたり、嫌われたりするのかも知れないけど・・・。
さすがに森神の記録では人身御供の事は触れられてはいなかったけど、〇〇村の庄屋、〇〇の木に森神ありと記載があった・・・。まぎれもなく祖父ちゃんの生家の事である。終戦間際は山口市の方に家族一同ですんでいたらしいが、手違いで祖父ちゃんは徴兵されることはなかった。赤紙が届くたびに、招集されたのは幼い伯父であったらしく、それが何回も続くうちに終戦となったらしい・・・。
まあ神のご加護と言っていいのかも知れない・・・。いや神の加護だろうと思う。しかし祖父は六男坊であととりではない。他の兄妹にどんなエピソードがあるのか知らないが、たぶん祖父はその偶然を神のお蔭とは思わなかったようだ。とにかく神社や神道を嫌っていたが、おいらのちぐはぐさと同じように居を神社の参道下に構えていた。
祖父にはいつも「神社は神さんの墓場だから、遊ぶんじゃない」と叱られてきた。幼い頃は戦争時に神社がどういう風な役目を負っていたか知らなかったけど子供ながらに不自然に思っていた。神社とはお祭りがあって、神楽があって、夜店が出てにぎわうイメージだったし、願い事を叶えてくれるところだと思っていたからだ。
でも祖父ちゃんが言う通り、おいらの人生は当たらずしも遠からずなみたいな運命を送ってる。神道はタブーだったんだと思う。特に祖父ちゃんは何らかの事情があって、神道を嫌うようになっていたんだと今は思う。
相当な恨みを買っていたからこそ、嫁がず、嫁も貰わずに家に籠る家人がいたのではないかと思うようになった。今のおいらもそんな感じである。恐怖心に駆られるとどこにも行かない。行けなかった・・・別に死ぬことが怖いんじゃなくて、誰かを巻き添えにしても生き残るとか禍いを呼んでしまうんじゃないかと言う、自らが祟りになるような気がするからだった。そう言えば周囲で惨事が起きてもおいら一人ケガもなくいた。その均衡が崩れたのは16の頃で、殴り殺されたと思っていたが一命を取り留めた。
おいらはその時に死ぬ運命だったんだと思う。何らかの事情で死ぬことが決定づけられていたんだと思う。おいらは物心ついたころから、生きることに不自由さを感じていたし、小学生になることは毎日柱に頭をぶつけて死のうとするようなガキだった。たぶん生まれて来てからずっと「死」に纏わりつかれてる気がするんだ・・・。
でも今回も死ななかった。たぶん自死するという己の運命を乗り越えてる。ただ祖父ちゃんを守った神(森神だと思うけど)とは別物である何かがおいらを「死」から守ってる気がする。そこに人の霊性は感じない。ただ異質なモノの気配を感じてるけど・・・。
まあ実際においらなんていてもいなくても同じような存在だから、いつも消えたいとは思ってるけどいろいろ邪魔があって死ねなくなった。
だけど今の生きることに不自由さを感じてる・・。もしかすると祖父の家を恨む家系の者が転生して生まれたんじゃないのだろうか。たぶん人身御供にされた方の特別な命・・・。今も祖父母を悲しませていると思う。こんなしょうもないし、ロクデナシだし。
何をどうすればいいのか・・・分からないんだよね。
本当に死ねたらいいと思うけど、神に祈願してもそれは叶えられなかった・・・。
何かにずっと囚われてて、不自由で仕方がないんだ。SOSを出してもまだ大丈夫だと家族は思ってる。家族はいつも自分の事だけでいっぱいいっぱいで人の事を考える余裕がない。
おいらは反面だらしない癖に自分を放り出して家族の事を考えてる・・・。
虚しいね。なんとか社会人として成立してるときはソレでもいいけど、今みたいになってると。
どうすればこの呪いは解けるんだろう。いくら考えても悩んでも必死に探しても答えがない。
どうしてこうも半端ものなんだろう。
どっちにも振り切れないし、どっちにも転がれない・・・・。
導きだす答えみたいなものに自信がない。
たぶん違うのだろうと思えてしまう。
幸運の尻尾も掴めそうで掴めない。
何かがずっと邪魔をしてる。
なのに殺してもくれない。
獅子身中の虫は戒律を破った仏教徒のようにおいらの中で毒を振りまして、心を殺してしまった。神道に傾向してる内に仏教を否定してしまった・・・。
何かを信じないと生きていけないわけじゃなかった。とにかく自分を信じていた。何度潰れても何度倒れてもまだ何かになれる気が常にしていた・・・・。
そんな自分がもうどこにもいない。
このうちに、この部屋に、この町にいてはいけないことは分かってる。でも物理的に逃げられないんだ・・・。
ちゃんと何かを祓うことは出来るんだろうか。もう無為に時間を使えないし、使いたくもない。
母が同じことを繰り返すと、父と姉も連動して同じ過ちを繰り返す。その流れを必死で止めたくてケンカするけど、どれだけ叫んでも同じ失敗をしておいらを困らせる。もはや追い込まれてるのと同じなんだよね・・・。地獄と同じだ。無間地獄・・・。
神道も仏教も概念的に無効化してしまったから、歯止めにならないんだ。
うっかり死ねるだけの薬もない現実がただ重い。
死にたいって神に願ったのは本気だったんだよ。おいらがいないと両親はさぞ嬉しいだろう。特に母の余計な仏事事を邪魔する奴がいなくなるし、息子を亡くした悲劇の母親役も出来るしね・・・。
姉が、唯一肉親だと思う姉が悲しむから死ねないんだ・・・。
無間地獄・・・・だね。
だから原点に返る。
おいらは何のために生まれてきたんだろう?
なんで死ぬるチャンスに上手く死ねなかったんだろう?
おいらは何のために死ぬんだろう?
自分を誤魔化せるだけの嘘も尽きてしまったというのに・・・・。
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