4th blog

自作の詩を公開しています

無題

2010-03-06 16:42:03 | 日記
すれ違う傘の波に飲まれながら
涙を隠すように先を急ぐ私
どこをどんなふうに歩いたかさえも
後になって思い出せないぐらいだった
知っている誰かと会いたくないと
そればかり考えていたのは覚えている

冬の冷たい雨が私を濡らす
悲しい気持ちを洗い流してお願い
あなたを忘れる方法があるなら
誰でもいいから教えてほしかったのに
あの日の自分を思い出すたびに
皮肉なことにあなたが浮かんで来るとは

何年も経ってから人伝てに聞いた
あれがあなたの最大級の優しさ
それに気が付くまでの時の流れを
この胸で抱き締めることができたなら
二人とも少しは癒されるだろうか
離れて重ねた多くの季節の中で

無題

2010-03-06 02:58:53 | 日記
あなたと最後に会ったのは
坂道の一番上だったね
さよならを言うつもりではなく
偶然に出会っただけなのに
もう会うこともないだろうと
予感めいたものを覚えた
坂を下りていく後ろ姿
黙って見送ったあの日
それまで降っていた雨が
少しずつ止み始めていた

あなたは振り返ることなく
見えなくなるまで見送ったけど
遠く離れて行く私に
何も言わなかったあなたのこと
冷たい人だと思ってた
雨上がりに傘を閉じながら
大人になった今ならわかる
あの時のあなたの気持ち
優しさゆえに何も言わずに
背中を押してくれたと

あなたを見送ったその後に
空に見えた虹の架け橋
今も忘れられずにいる
大切な思い出の光景